俺は飛行魔法を使って紗由理を探しに行った。いる場所にも心当たりがないし、0から探し始めた。
どこにいるんだ、紗由理。
光魔法を使いながら、飛んで探した。下まで照らせるには照らせるが、あまりはっきりではない。
10分ほど飛んだだろうか。細い路地裏に女性がただ1人で体育座りになってうずくまっていた。俺はその方向に向かって空中から降りた。
「紗由理?」
「…なに…」
ぶっきらぼうな返事。目は俺を睨んできている。
「帰ろうぜ、紗由理――」
「…触らないで…」
「は?紗由理、今なんて」
「触らないで!」
紗由理は大きな声を出した。誰もが驚くような鋭く大きな声だった。
「紗由理!なに言ってるんだ」
俺もきつく言った。
「ここにいる!もう居場所なんてないんだから!」
「いい加減にしろ!」
俺は紗由理の肩を強く押した。紗由理は地面に倒れた。俺は紗由理に向かって怒鳴った。
「何が居場所ないだよ!居場所ぐらい、作ればいいんだろ!そんなことも出来ないかよ!」
「家に帰れないのに、どこにあるのよ!」
「家なんて、考えなくていいだろ。」
俺は少し落ち着いて言った。
「誰も、自分の家なんてないんだよ。なくなったら、誰かの家に行けばいい。」
「そりゃあしたよ。友達の家とかも。でも、拒否されたんだよ?どこもないじゃん」
「俺の家には聞いたか」
俺の家には聞きに来た覚えはない。だったら来てないはずだ。
「俺の記憶は鮮明だぞ。記憶魔法でストックされてるからな」
5年前から鮮明に覚えている。その日の天気、その日の最高気温、全て覚えている。
「来てないだろ、紗由理。恥ずかしくない。言ってみろ」
「……家、泊まっていい…?」
紗由理はうつむいて言った。俺は紗由理の顔が下を向いている時にも関わらず俺は言った。
「何泊でも、何年でもいいさ。」
「…ホント?」
紗由理は少し明るくなったような声で言った。
「あぁ。俺は紗由理の味方だよ」
「…ありがと」
紗由理は俺の体に顔を埋めた。俺は紗由理を抱き抱えて、飛行魔法を使い飛んだ。俺は紗由理が落ちないようにしっかり抱えていた。
家に着くと、咲春が家で待ってくれていた。紗由理のことも待っていたらしく、風呂を沸かしてくれていた。
「風呂入ってきな。汚れてるだろ」
「柊くんも一緒に来てくれない?」
「は?1人で…」
「汚れてるから」
なんで異性と一緒に入らないといけないんだよ。
「前隠せよ。俺は水着で入るから」
「はーい」
紗由理は前をタオルで隠すことを約束し、俺は水着を着て風呂に向かった。