GANTZ:S   作:かいな

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戦姫絶唱しないシンフォギア
戦姫絶唱しないシンフォギア:G


~月が破壊される少し前のこと~

 

「ヒイロさん、何をしてるんですか? と言うか何ですかコレ」

 

「ふっ……お前にハードスーツの使い方を教えてやろうと思ってな」

 

 ヒイロたちは何時もの採掘場にて、ゴツゴツのハードスーツを纏っていた。

 

「良いか? ハードスーツとはこう使うのだッ!」

 

「おおっ! 腕が凄い!」

 

「それだけじゃ無い。光線も放てるッ!」

 

「おおお! 岩をも砕く一撃!」

 

「そして食らえッ最終奥義ッ!!」

 

「おおおおお!!!」

 

 ヒイロは巨大な両手を前に構え、叫ぶ。

 

「しゃあっ! ハードスーツ・キック!!!」

 

 ドゴッという音共に、目の前に置かれた岩が砕かれた。

 

 その一撃、凶悪にして強靱。

 どう見てもその腕を使うだろ! と思わせてからの岩をも砕く蹴りは、誰にだって避けることは出来ない。

 その凶悪さにドヤ顔を浮かべているヒイロを見て……響は叫んだ。

 

「いや、腕使わないんかいッッ!!」

 

 

 

~月が破壊される少し前のこと その2~

 

 

 

「おいおい。こう見えてコイツの必殺率は高いんだぜ」

 

「そりゃ誰が見ても足を使うとは思いませんもんッ!」

 

「しかもコイツを覚えるのに一秒もかからん」

 

「そりゃ腕を構えて足で蹴るだけですもんッ!」

 

「……ったくもう。じゃあどんな"最終奥義"なら納得なんだよッ! あーっ?」

 

「……そりゃ、こう……敵を一撃で吹っ飛ばす! 的な……」

 

 響の要望を聞いたヒイロは少し考える素振りをした後、何かヘルメットのようなモノを転送させた。

 

「何ですコレ?」

 

「コイツは『ゼロスーツ』と呼ばれている十五回クリアで手に入る産廃武器だ」

 

「えっ産廃?」

 

「まぁどんなモノか見せてやるよ」

 

 そう言うと、『ゼロスーツ』をつけたヒイロが腕のコントローラーをいじって『ゼロスーツ』の形態を変えていく。

 

「お、おお……何かまがまがしいですね」

 

「響、危ねーから離れてろ」

 

「あ、はい」

 

 そう言うとヒイロは、腕を真上に上げながら叫ぶ。

 

「『デッドエンド』ッ!」

 

 直後、目が焼けそうな程の閃光がほとばしる。

 

「ッッ!!??」

 

「ぐっ、おおおお!!」

 

 強力すぎる反動を各所の棘で支えながら、どうにかこうにか全弾斉射を乗り切った。

 

「はっ……はっ……ど、どうだ響……」

 

「……いやあの……凄いですね」

 

「だろ?」

 

 その時、響はあまりの威力に呆けて、こんなモノぶっ放したら目立つんじゃ? という疑問がすっかり抜け落ちていた。

 ちなみにこの採掘場にはガンツの転送を使ってきている。その際にステルスを使っているためバレる心配は無い。

 

「あ、あの……こんな威力なのに産廃なんですか? さっきの『ハードスーツ・キック』よりもよっぽど奥義っぽいですけど」

 

「そうだな。まずはコレ、一度だけの使い切りだ」

 

「へぇ……え?」

 

「まぁこれは別に良いんだが、普通に使うときもエネルギーの上限が決まってるから、使ってる最中に常にエネルギー切れを心配しないといけなくなる」

 

「えぇ……」

 

 ガンツの武器とはその殆どが謎動力により球数制限というモノが無い。

 少なくとも、ヒイロは今までのミッションの中で弾切れという現象に出会ったことは無い。

 

「そして欠点その二。反動が強すぎて、よっぽど鍛えてないとこれを使った瞬間に反動で押しつぶされて死ぬ」

 

「えっ」

 

「後ろの棘が支えになるんだけどさ。棘が頑丈過ぎて身体に突き刺さってくんだよな」

 

「えぇ……」

 

 ちなみにヒイロはコレで死にかけたことがある。

 

「欠点その三。威力が強すぎる」

 

「えっ? それは美点なんじゃ」

 

「よく考えても見ろ。こんなモノ……街中で使ったらえらいことになるだろ」

 

「あっ」

 

「だから大抵、空に向けてしか使えないんだよ。というか棘の配置的に作った側もそれを想定してるっぽいしな。つまり空に浮いてる上で、更にこの馬鹿火力を使わざるを得ない敵が対象って訳だ。使い所何処だよって感じだ」

 

「……」

 

 そう言って溜め息を吐いたヒイロは、更に言葉を続けた。

 

「そして欠点その四。何故か個体ごとの品質にバラつきがある。外れを引くと、『デッドエンド』の後に『ゼロスーツ』が壊れる時もある」

 

「……」

 

「初回に外れを引いてな。その時はモニターが壊れた。運によっては撃った瞬間目の前が真っ暗になるとか……マジでクソだ」

 

 恐らく企業の検品がザルなのだと考えられる。

 

「なる程……確かにそれだと……産廃……ですね」

 

「だろ? なら『ハードスーツ・キック』の方が──」

 

「でもヒイロさん。ソレも一回使ったら二度目は効かないんじゃ無いですか?」

 

「……」

 

「それが有効なのは不意打ちだからですよね? 二度目は相手も警戒するんじゃ? その点では『ゼロスーツ』と同じだと思うんですけど……」

 

 ヒイロは……。

 

「……」

 

 ヒイロはその響の忌憚の無い上にぐうの音も出ない正論に黙るしか無かった。

 

 

 

~月が破壊される少し前のこと その3~

 

 

 

「そういえばヒイロさん! ちょっと聞きたいことがあって……」

 

 ヒイロたちが特訓を終え、家に帰って食事をしている時。

 響が思い出したようにヒイロに尋ねてきた。

 

「……何だよ。俺は今メチャクチャ機嫌が悪いんだ」

 

「えっ? な、何でですかっ!? も、もしかしてハンバーグ美味しくなかったんですか!?」

 

「いや美味いが」

 

「えっ。じゃあなんで……」

 

「もう良いだろ。はい、機嫌治りました。それで? 聞きたい事ってのは……」

 

 先ほどのぐうの音も出ない正論を未だに引きずっていたヒイロだったが、響の作ったハンバーグで面白いほどに気を取り直していた。

 

「えっと……何時も疑問だったんですけど……ガンツの武器とかの名前って、誰が決めてるんですか?」

 

「なんだ、そんなことか」

 

 そう言ってヒイロは語り出す。

 

「基本となる武器達はずーっと前にブラックボールスレで統一して決めてたらしい。で、それでXガンとかYガンの名前がつけられた」

 

「へー、そうだったんですね」

 

「ただ……産廃武器はあまりにも使われなかったのか、一度もそう言う話し合いが無かったんだ」

 

「……ちょっと可哀想ですね」

 

「正直仕方ない所はあるが……まぁ、それで……少し前にブラックボールスレで名前が付いてない武器に名前をつけようって流れになってな。で、色々と案が出た」

 

「ほうほう」

 

「これが中々盛り上がって……あの時は楽しかった……」

 

 そうして昔を懐かしむ老人のように過去を思い出していたヒイロは、幾つかの名前を挙げていく。

 

「Zガン改造型の『Σガン』。ハードスーツ改造型の『ゼロスーツ』。ソード改造型の『ソード改造型』。こんな所だな」

 

「ん? 一つ名前が名前じゃ無いのがいません……?」

 

「ああ……ソード改造型だけ皆やる気無くてさ……適当に仮称がそのまま名前になったんだよ」

 

「えぇ……」

 

 やる気が無い部屋の住人達のせいで酷い名前をつけられたソード改造型である。

 まぁ一番の産廃なので仕方ないが。

 

「ちなみに『ゼロスーツ』は俺が考えた名前だ」

 

「えっそうだったんですか!?」

 

「ああ……。『デオキシス』と良い勝負になって……まああれも特徴捉えてる良い名前だから仕方ないが……ともかく俺の考えた名前が主流になったんだ……」

 

「へぇ~。ちなみにどういった由来があるんですか?」

 

 そう響に問われたヒイロは、待ってましたとばかりにペラペラと喋りだした。

 

「ああ、それは~」

 

「ふんふん」

 

 ヒイロはぺちゃくちゃぺちゃくちゃとゼロスーツと言う名前を思いついた理由を語った。

 

「これが~~こうなって~~」

 

「へぇ……」

 

 ヒイロはぺちゃくちゃぺちゃくちゃとゼロスーツの造形について語った。

 

「あの時見たアニメが~~」

 

「ほへ-」

 

 ヒイロはぺちゃくちゃぺちゃくちゃと当時見ていたアニメについて語った。

 

「……だから『ゼロスーツ』と言うわけだ」

 

「……なる程」

 

 そして、ヒイロが全て語りきった後……響はうん、と頷いた。

 

「ヒイロさんって、色んな事知ってますね!」

 

「え?」

 

「いや~私アニメとか疎くて、ヒイロさんってそう言う事にも詳しいんですねっ!!」

 

「え?」

 

「『ゼロスーツ』……凄いかっこいいですよね! かっこよすぎて、私じゃ絶対思いつきませんよっ!」

 

「え? え?」

 

「凄いな……私憧れちゃいます……いやー! ヒイロさんが自分の子供にどういう名前をつけるのかな~とか……凄い気になります!」

 

 彼女はそう言ってチラチラと陽色の顔を見ながらその表情を赤くしている。

 しかしヒイロは打って変わって顔を青くしていた。

 

「そうですね……例えば~」

 

「……」

 

 ……彼女に悪気は……無かった。

 

「『(ゼロ)』くんとか?」

 

 けれど響は、しっかりヒイロにトドメを刺して……話を締めくくった。

 

「……あああああッ!!??」

 

「ヒイロさんっ!?」

 

 

 戦姫絶唱しないシンフォギア:G 完

 

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