DーHEROと共に戦うデュエリスト。 リメイク版 作:無言の短パン
「……きて! ……起きて! ……起きてよ、おじさん!」
何だ? どこからか声が
「……仕方ないな……はにわちゃん落とし」
「痛っ!」
何だ、何が起こったんだ? 頭が痛え……
「ようやく起きたー?」
目を覚ますと、俺の目の前にセームベルがいた。
「……セームベル?」
「私もいるよ〜」
「……プノ?」
何がどうなってるだ。確かプノとセームベルのデュエルの後、プノと仲良くなって喫茶店みたいな店で話してたら突然、俺達3人は真っ白な光に包まれたんだっけ?
「ここは、どこだ?」
見渡すとあたり一面は真っ白。恐らくどこか建物の中だとは思うが。
ピケルやクランの住んでいる城では無い。あの城にはこんな広いスペースはなかった。
「ここは12ある世界の1つ、天界。そしてここは天空の聖域です」
俺達が途方にくれてると、いきなり上の方からそんな声が聞こえた。
俺は思わず上を見て、驚いた。馬鹿みたいにデカイモンスターが居たからだ。
そのモンスターは光の創造神ホルアクティ。
オベリスクの巨神兵、オシリスの天空竜、ラーの翼神竜の3幻神を束ねる事でのみ誕生するモンスター。恐らく、遊戯王デュエルモンスターズ最強のモンスター。
「うわ! デカイ!!」
「うわ〜、とってもおっきい〜」
セームベルもプノも、ホルアクティのあまりのデカさにとても驚いている。
「身体の大きさなど、私にとっては些細な事です」
そう言うとホルアクティは、あっという間に俺より少し高いぐらいの身長になった。
「うわ──! 凄い!! ……貴方は一体何もの?」
「私の名はホルアクティ。この天界を収める者であり、この12の世界を創造した神です」
「ふーん。……え────! 神様────ー!!」
「……ふ〜ん。……ホルアクティか〜」
セームベルとプノはホルアクティが神だと知って、とても驚いているようだ。
「そして……貴方、斎藤未来をこの世界に転生させたのは……この私です」
……は? ……いまホルアクティは俺をこの世界に転生させたのは私だと言ったか?
「何故だ! どうして俺をこんな世界に! ……まさか! あの時俺が車に轢かれたのはお前のせいか!!」
「それは違います。あれは完全な事故です。貴方はあの事故で死にました」
「そうか……そいつは残念だ」
「話を戻しますが。……今、この12の世界は滅亡の危機にあります。ある邪悪なモンスター達が復活する事によって」
「邪悪なモンスター……ダークネスか?」
「いいえ、違います。それ以上に邪悪なモンスターです。その邪悪なモンスターの復活を阻止して貰うために、貴方をこの世界に呼んだのです」
「成る程、だいたい分かった。だが、なぜ俺なんだ? この世界には、俺よりも強いデュエリストなんて無限にいるだろ」
十代、ヨハン、エド、カイザー……挙げればキリがない。
「ええそうですね。ですが、強いデュエリストは1人でも多くいた方がいいので、貴方をこの世界に転生させたのです」
「そんな理由で、俺をこの世界に……なら他にも俺みたいな転生者が」
「いいえ、貴方だけです。今後、貴方以外を転生させることはありません」
「なぜ俺なんだ! 俺より強くてカードを持ってる奴なんて幾らでもいるし、デュエルが好きじゃないのに」
「おかしなことを言いますね、貴方の死ぬ間際に願ったことを叶えたと言うのに」
死ぬ間際に思った事? 何のことだ?
あの時は痛い以外の感情なんて無かったはず。
「貴方が覚えていないのならば、これ以上この話は不毛です」
一体、俺は死ぬ間際に何を思ったんだ?
「さて、貴方に復活を阻止をしていただきたいモンスターとは、邪神と呼ばれるモンスターです」
「邪神! アバター、ドレッドルート、イレイザーの3体か?」
「ええそうです。ですが、それだけではありません。さらに邪神アポピス。邪神サウザントアイズサクリファイスの合計5体が、現時点で分かっている邪神と呼ばれるモンスターです」
3邪神に加えて、アポピスにサウザントアイズサクリファイスか。
サウザントアイズサクリファイスはこの時代では禁止カードの筈だが。
「それで、一体どうすれば邪神の復活を阻止できるんだ」
「それは……12の世界のどこかに私が言った5邪神のいずれかの邪神を宿している宿主がいます。その宿主を見つけてください」
「そいつらがどこに居るのかは分かってんのか?」
「いいえ。恥ずかしながら1人もどの世界にいるのかすら分かっていません」
おいおいマジかよ、使えない神だなぁ。
「それは……つまり、俺に全ての世界を虱潰しに探せって事か?」
「そうなりますね。ですが安心してください。邪神を宿す者を探して居るのは貴方だけでは有りませんから」
「俺だけじゃない、どうゆう事だ?」
「私の配下にはガーディアンと呼ばれる者が多数存在します。ガーディアンとは12の世界を私に変わり監視する者の事を言い、たまに私に自身が居る世界の事などを報告をしに来ます。もちろん全員がデュエルの強者ですよ。そのガーディアンたちも貴方と同様に、邪神を宿す者を探すのを命じてます。なのできっと、なんとかなるでしょう」
なんとかなるでしょうって随分いい加減だなぁ。大丈夫か? この神様?
「それで、邪神を宿す者を見つけたらどうすればいいんだ?」
「そうですね。とにかく私の元に連れて来てください。そうすれば私が取り憑いている邪神を封印するので。ですが邪神を宿す者が素直に従うとも思えませんので、デュエルで倒すのが一番です」
結局そうなるのかよ。
これ以上、命懸けのデュエルなんてしたくないのに。
「それで、どうすれば宿主を見つける事が出来るんだ?」
「そ、それは……じ、自分で考えてください!!」
「おいおいそれは幾ら何でもあんまりなんじゃないか? ……待てよ、お前ひょっとして、邪神のことたいして知らないんじゃねーだろうなぁ?」
「はい? ……そ、そんな事は有りませんよ!! ……そ、そうです、貴方にこのカードを渡しておきましょう!」
そう言ってホルアクティは俺に次元の裂け目のカードを渡してきた。
「次元の裂け目? こんなカード要らないんだが」
「そのカードはただのカードではありません。発動する事で、この12次元世界すべてを自由に行ききすることが出来る優れたカードです」
「そいつは凄いな。有り難く貰っておく」
さて、これで別の異世界に行く手段を手に入れたわけだ。後は……
「なぁホルアクティ。この2人を元の世界に帰してくれないか? この2人は邪神とまったくの無関係なんだし。そもそもこの2人は明らかに、お前のミスでこの世界に連れてこられたんだし帰すのは当然だよなぁ!!」
「み、ミスではありませんよ! ですが、分かりました。その少女達を元の世界に戻しますよ」
そう言うとホルアクティは、呪文を唱えだした。
「ちょ、ちょっと待ってよ! どうしてそうなっちゃうの!」
「当然だろ! 2人には何も関係ないんだから」
「そ、そんな! 私、もっとおじさんにデュエルを教わりたいんだよ!!」
「俺以外にもデュエルの知識が豊富な奴はいる。そいつに教わってくれ」
「……ねぇおじさん。私、お兄ちゃんが死んじゃった後一人でいると、とっても悲しくてとっても不安だったんだ」
「……でもね。おじさんと居ると、とっても楽しくて安心できたんだ」
「だから。私、今はおじさんと一緒に居たいよ。……1人は……寂しいのは……やだよ」
セームベルは泣きながらそう言った。
少し考えて見れば分かる事だ。
兄も居なくなって、ピケルとクランは王女様だから気軽には会えない。
ずっと1人ぼっちで心細がったんだろうな。
俺はライズベルトにセームベルの事を頼まれたんだ。仕方ないか。
「分かった。……セームベル。俺の邪神探しの旅についてくるか?
「言っとくけど、かなり危険だ。死ぬかもしれないぞ。それでもついてくるか?」
「おじさん。……勿論……ついていくよ!!」
「それなら、私も付いていくよ〜。ベルベルがついて行っていいなら、私もいいよね〜」
「ちょっと! アンタは帰りなさいよ!」
「どうして〜? ベルベルは1人は寂しいんでしょ〜。私も一緒に居てあげるよ〜」
「アンタなんてお断り!」
「おいおい、お前な。これは危険なんだぞ」
「あははは〜……そんな事、分かってるよ」
プノは急に、とても低い声でそう言ってきた。……正直かなり恐い。
さらにプノは、いつもは開いていない額にある赤い目が怪しく開いていた。
もしかして怒ってんのか?
「分かった。だが……何があっても恨まないでくれよ」
「うん、ありがとね〜」
「よし、2人とも次元の裂け目を使うぞ!」
「私はいつでもOKだよ」
「あはは〜、分かったよ〜」
マイペースな奴らだな。
「次元の裂け目発動」
目の前に次元の裂け目が出現した。
「行くぞ2人とも。俺にしっかり掴まってろよ!!」
そう言って、俺たちは次元の裂け目の中に飛び込んだ!
……あれ、そういえば。この次元の裂け目はどの世界に繋がってんだ?
しまった、ホルアクティにもっとちゃんと聞いとくべきだった!
「そういえば。次元の裂け目で行くことができる世界は、ランダムに選ばれる事を伝えてませんでした。もしダークネスの世界や魔界にいってしまったなら……まぁ、きっとなんとかなるでしょう。期待してますよ、 未来」
「良しドグマガイを特殊召喚! こいつの攻撃で終わりだ!」
「これで4連勝! やっぱり、DーHEROは強いな」
「こいつらがいれば怖いものなしだ! 俺はいつまでも、このデッキを使っていくぜ」
「……夢……か」
まだ俺が小学生の頃の思い出だな。
あの頃は純粋に遊戯王を楽しんでいたな。
毎日、デュエルのことばっかり考えていて。
アニメの遊戯王を見た後は無性にデュエルがしたくなって。
あの頃が一番遊戯王を好きだったな。
「目が覚めたか?」
声のした方を見てみると、1人の男が椅子に座っていた。
そいつは俺が知っているモンスターカード、戦士ダイ・グレファーだった。
……あれ、そもそもここは何処だ?
「……俺はどうしてこんな場所にいるんだ?」
「覚えてないのか? キミは森で倒れてたんだ」
「俺が……森で。そうか! 次元の裂け目を使って」
「ふむ。もしかして君は私たちと同じように、気がついたらこの異世界に飛ばされて来たのか?」
「まぁ、そうだな」
「ふむ、やはりそうか。実は私もキミと同じく、別の世界から飛ばされて来たんだ」
「あんたも別の世界から」
「あっ、おじさん! 起きたんだね」
「無事で良かったよ〜」
「2人とも無事だったのか」
「うん、この人とか女の人とかが助けてくれたんだよ」
「この町は私たちの様な、異世界から飛ばされて来た者たちが集結し出来た町だ。キミも気の済むまでここに居るといい」
「それは助かる、何から何まで本当に感謝する」
「気にすることはない。そうだ、君の名は何という。私の名はダイ・グレファーだ」
「未来だ。よろしく」
「グレファー様。 倒れていた人は目覚めましたか?」
突然部屋の中に男の子が入って来た。それは俺が知っているモンスター、ランドスターの剣士だった。
「ああ、目覚めたぞ」
「そうですか! それは良かったです。……あっ、 初めまして。僕の名前はランドスターの剣士です。よろしくお願いします」
「らうんどすたーの剣士?」
「ち、違うよ。ラウンドスターじゃなくて、ランドスターだよ」
「ラウンドスター君だね。私、セームベル。よろしく」
「いや、だからランドスター」
「じゃ〜ラウラウだね〜。私はプノだよ〜よろしく〜」
「ラ、ランドスターなのにー」
プノ……お前、絶対ワザとだろ。分かっててそんなアダ名を。
このままだと可哀想だ。
俺はきちんと名前で呼んでやるか。
「俺は未来だ。よろしくな、ランドスター」
「!! ……ハイ! よろしくお願いします! 未来さん!」