DーHEROと共に戦うデュエリスト。 リメイク版 作:無言の短パン
移動の最中、俺はピケルにこの世界に付いて、知ってることをいろいろ聞いた。
ピケルによると、どうやらこの世界にはたくさんの種族の精霊が暮らしているらしい。
その中でピケルは魔法使いで、魔法使いの町は、何十もあるそうだ。
しかし最近、魔法使いを滅ぼそうとしている種族がいるらしい。
それは、昆虫族、獣戦士族、獣族、恐竜族、その4種族だ。
昆虫族、獣戦士族、獣族、はデュエルで魔法使いを消滅させているらしい。
恐竜族、デュエルできない昆虫族、獣族、は力で消滅させるそうだ。
さらにピケルは、魔法使いの国の王女で、王女はもう一人いるらしい。
まあ、もう1人が誰かはなんとなく想像がつくが。
「着きました。ここが、私の住んでいる町です!」
そこはまるで、ドラゴンクエストに出てくる町や村のようなところだ。
そして、家や建物の先には大きなお城が立っていた。
「あの城がピケルの住んでる場所か?」
「はい、そうですよ」
さすがにお城まで付いていくわけにはいかない。
どこか適当な宿屋にでも泊まろう。
まてよ。宿屋といえば、当然金は取るよな。
「なあピケル、お金ってこの世界にあるか?」
「はい、何を言ってるんですか? 当然じゃないですか」
そうだよな。俺の世界の金ならいくらかは持ってるけど、絶対使えないよなー。
試しに、ピケルに俺の世界の金を見せたけど、そんなお金は知らないと言われた。
まずいな、どうしよう。
「浮かない顔をしてどうしたんですか?」
「実は俺、この町で暮らす金を持ってなくて……」
「へっ、そっそれって大変じゃないですか」
「まぁ、なんとかなると思うぞ……多分……」
「そ、そんな適当な。……そうです。私のお城にきてください。私のお城なら空き部屋もたくさんあるので!」
「えっ! ……いやいや、いいよ。そこまでしなくても」
「遠慮しなくてもいいです。お城の人たちも、私を助けてくれた人と言えば、喜んで歓迎してくれるです」
ピケル……良い子だな。
「迷惑じゃないなら……お願いしたいけど……」
「迷惑じゃないです。なので、私に付いて来てください」
そう言って、ピケルは俺の手を引っ張って歩き出した。
しばらく歩くと城についた。城の門には、門番が二人いた。
「ピケル様、戻られましたか。クラン様がとても心配してました」
もう一人の門番が俺の方を見た。
「む。怪しいやつ、何者だ!?」
「ち、違うです。その人は私のお客さんです」
ピケルは慌てて門番の言ったことを、否定してくれた。
「し、失礼しました! どうぞ、お通りください!」
そう言って門番たちは、通してくれた。
「さあ、ついて来てください。未来さん」
そう言ってピケルは歩き出した。
「……あ、ああ」
俺は戸惑いながら、ついて行った。
お城の中は、とても綺麗だった。
思わずあたりをキョロキョロと、見渡した。
すると一人の女の子が 、ピケルを見た瞬間、走ってきて、ピケルに抱きついた。
「ピケル! 貴方どこ行ってたの! 心配したんだからね!」
「お姉ちゃん! ごめんなさい。私、お姉ちゃんにとっても心配かけて、本当にごめんなさい」
「いいのよ、ピケルが無事に帰ってきたんだから」
その女の子は、俺が知っているモンスターカード、黒魔道士クランだ。
しばらく、ピケルとクランは抱きあっていた。
しかし、クランは俺を見た瞬間ピケルを後ろに隠して俺を思いっきり睨んできた。
「あんた誰? なに勝手にお城に入ってきてるの。早く出ていきなさい!」
あっ、これ完全に不審者と思われてる。
「お姉ちゃん、大丈夫だよ。この人は、私が連れてきた人だから」
「なっ! あ、あんたピケルに何したの? 私の知ってるピケルなら、こんなおっさんみたいな変な奴、城に連れてこないわよ」
「だれが、おっさんだ。俺はまだ17歳だぞ」
そう言うと、クランとピケルは驚いた顔をした。
嘘だろ、クランだけじゃなくピケルまでも驚いてる。
そんなに老け顔か俺。
「この人、未来さんは私を助けてくれた、とっても良い人だよ。だから疑わなくても大丈夫だよ。お姉ちゃん」
「本当なのピケル」
「うん。本当だよ。お姉ちゃん」
クランは俺の方を向いた。
「ピケルが世話になったようね。ひとまずお礼は言うわ。ありがとう」
「俺は何もしてない。ドグマガイのお陰だ」
「ドグマガイ? 何よそれ?」
「未来さんのモンスターカードだよ」
「そうなの。……そうだ、名のってなかったわね。私はクラン。ピケルの姉よ。アンタは?」
「俺は未来だ。よろしくな」
そう言って、俺はクランに手を出した。
すると、クランは持っているムチで俺の手を叩いた。
「痛」
「あんたどう言うつもり。言っておくけどね、もしピケルに変な事したら、ただじゃおかないから覚えておきなさい」
どうやら、クランはシスコンらしいな。まぁ妹がこんなにかわいかったら分からなくも無い。
「未来さん大丈夫ですか。お姉ちゃん、なんて事するの!」
「ピケル。こんな奴かばわなくていいのよ」
「こんなやつって。そんなこと言うお姉ちゃんは、嫌いです」
「な、なんですって。……私が嫌いって。嘘でしょピケル!」
「ふん。お姉ちゃんなんて知らないもん」
そう言って、ピケルはそっぽを向いた。
うん、なかなかかわいいな。
「そんな。アンタのせいでピケルに嫌われたじゃない。許さないわ。こうなったら、デュエルよ」
えっ、クランは今なんて言った。
「はっ? ……お前……頭大丈夫か? なんでデュエルなんだよ!」
「兵士たちとね」
俺は思わずその場でずっこけた。
自分でデュエルしないのかよ。
「さあ、兵士たちとデュエルしなさい」
いつの間にか、たくさんの兵士に囲まれていた。
「ちょっと待ってくれよ。そもそも、デュエルで負ければ消滅するんだぞ!」
「アンタバカね。デュエルディスクでやるんじゃないわよ。こっちに来なさい」
そう言って、クランは歩き出した。
俺は兵士に囲まれながら、クランについて行った。
「未来さん、ごめんなさいです。お姉ちゃんが迷惑掛けちゃって」
ピケルは俺に謝ってきた。いい子だなぁ。
こんなかわいくて、いい性格の妹がいるなら、クランの気持ちも少しわかるかもしれない。
「いや、ピケルが謝ることじゃないだろ」
「着いたわ。この部屋よ」
中に入ると、そこには、たくさんのテーブルと椅子があり、さらにテーブルの上には、遊戯王のデュエルフィールドが広げられていた。
「ここは、兵士同士でデュエルして、デュエルの腕をあげる場所よ。アンタはここで、兵士達とデュエルしてもらうわ。兵士達に負けたら、すぐにこの城から出て行きなさい」
「お姉ちゃん。未来さんは、今日、宿屋に泊まるお金が無くって困ってたんだよ。私は助けて貰った恩返しをしようと思って、お城に連れてきたんだよ」
「だとしたらいいこと思い付いたわ。もし10人の兵士に勝ったらこの城に泊まる事が出来るってことでどう。アンタだって、何も無しに泊まろうだなんて思って無いでしょ」
「確かにそうだな。分かった、10人とデュエルして負けたらこの城から出て行く」
俺がそう言うとクランはとても嫌な笑みを浮かべていた。
おそらく、俺はすぐに負けると思っているんだろう。
「そんな。10人に勝つなんて無理ですよ」
「心配するな。何とかなるだろ……多分」
「そんな適当な」
「大口叩くのも、今の内よ。そこのアンタ、行きなさい」
クランが命令すると、一人の兵士が真ん中のテーブルに座った。
俺はデュエルディスクからデッキを取り出して、同じテーブルに座った。
あまり、デュエルはしたくないんだが……仕方ないな。
「準備OKだ」
「なら、デュエルだ」
「デュエル」
「これで終わりだ。ダイヤモンドガイでダイレクトアタック!」
ダイヤモンドガイのダイレクトアタックによって、相手のライフはゼロになった。
「……くそ、完敗だ!」
「凄いです。完勝ですね」
初手事故って危なかったけどな。
相手が弱いモンスターしか出さなくって助かった。
「何してるのよ。次、アンタ行きなさい」
「ドリルガイでダイレクトアタック!」
「まっ、負けた」
「ドローガイでダイレクトアタック」
「つ、強い!」
「ダッシュガイでダイレクトアタック」
「ま、参った!」
「ダブルガイで連続ダイレクトアタック」
「む、無念だ」
「す、すごいです! あっという間に5人に勝っちゃったです!」
「1人1人相手にしてると、面倒くさいから、2対1で良いぞ」
この程度のカードしか使わないなら余裕そうだし。
ちゃっちゃと終わらせたい。
「ああそう。ならそうさせてもらうわよ。2人でやりなさい!」
「トリニティでそれぞれのプレイヤーのモンスターに攻撃」
「2人がかりで勝てないなんて……強すぎる」
「しかもワンターンキルだと」
「す、凄いです! 2対1なのに、あっさりと勝っちゃったです!」
「あと3人だな、クラン」
あーあ、つまらない。
デッキパワーが違いすぎるな。今までのデュエルで相手が出したモンスターの最高攻撃力が1850のギルティアって。
「 に、2対1なのよ! きっとマグレよ。次はきっと勝てるわよ!」
「ドグマガイとドレッドガイでダイレクトアタック」
「ま、まったく歯が立たなかった。強すぎる!」
「どうすれば勝てるというのだ!?」
「す、凄いです。まさかこんなに強いなんて……」
「言っただろ、なんとかなるって」
「さぁ、次で最後だな! さあどいつが相手してくれるのかな」
そう言うとクランは何も言わず、兵士達は静かに後ろに下がった。
「こいつに勝てるデュエリストなんて……この城には」
クランは絶望した顔をしている。……ちょっとかわいいな。
「私が相手をしましょうか、クラン様」
一人の男がおずおずと言った。
そいつは俺が知ってるモンスターカード、ブラック・エクスキューショナーだった。
このカードは確か、ストラクチャーデッキ魔法使いの裁きで収録された、魔法使い族のモンスター。
「そうだ! そういえば師匠が居たわね。師匠ならきっとあいつにも勝てるわ!」
どうやらクランはブラック・エクスキューショナーのことを、師匠と呼んでいるようだ。
こいつはなかなか強そうだな。今までの兵士達よりは強そうだ。
「では、私とデュエルしようか。だがどうやらキミは、このテーブルのデュエルでは楽しめないようだ。なのでこっちのデュエルディスクでデュエルしようじゃないか」
「ちょ、ちょっと待てよ。デュエルディスクでデュエルして、負けた奴は消滅するんだろ。だからこのテーブルのデュエルフィールドでデュエルしてたんだろ。俺、命をかけてまでデュエルはしたくないぞ」
「安心してくれ。私が魔法をかければ、命がけのデュエルをしなくてもデュエルディスクでデュエルが出来る」
「そうなのか。だったら、断る理由はないが」
俺がそう言うとブラック・エクスキューショナーは、俺と自分に魔法を掛けた。
おそらくこれの魔法が、命がけのデュエルを阻止する魔法なんだろうな。
「これで大丈夫だ。ではそろそろ、デュエルといこうかな」
そう言って、エクスキューショナーはデュエルディスクを構えた。
「分かった。デュエルだ」