《我らの目覚めは近い、自覚せよ、認識せよ、そして、理解せよ。我らが主よ》
その声に反応して飛び起きる
俺が最後に見た時間から一時間ほど経過していた
つまり俺は一時間ほど眠っていたことになる
俺は今の夢を思い出そうとした
けどそれはリアス先輩の一言によって遮られた
「おはよう、マコト。早速で悪いのだけどあなたの神器についての話があるの」
「俺の神器、すか?」
それはさっき先輩が説明してなかったっけ?
歴代所有者がどうたらって
「それは違ったようなの」
「違った?どういうことすか?」
素直に聞き返す
「さっきあなたの中のシュナイゼルという人が現れてね。大まかな能力についての考察を受けたわ。あなたの神器は別世界、つまりパラレルワールドといえる数ある世界の中の人の人格をあなたを媒体にこの世界に発現させる、またはそれに近い効果を持った神器、であると推測されるわ」
「別世界の…人の人格を…?」
何言ってんだ?って素直に思った
でも堕天使の男に襲われた時に変わったモッキンバードって人
あの人に人格が変わった時身体の中の何かが変わったのはわかった
なにが変わったのかはわからなかったけどそれを俺は説明した
「身体の中のなにか…」
とリアス先輩は考え込む
「なんか…血が騒ぎ出したみたいな感覚が…」
「血が…別世界の技か何かかしら…あなたは吸血鬼とは違うみたいだし」
「あの時何かする前にリアス先輩が止めたのでどうかはわからないですけど…一誠の血を嬉しそうに舐めた記憶はあります」
「まぁこの話はとりあえずここで終わりましょう」
と考えても終わらない話し合いに終止符を打つ
それから数日間俺は今までと変わらない日を過ごした
一誠の方は色々あったようだけれど…
ある日の夜、俺は小腹が空いたので真夜中だがコンビニへ行って食べ物を購入した
帰り道に近道をしようと真夜中なら誰も通らないような場所を足早に歩いていた
その時だった、背後から嫌な気配がしたので俺は走り出した
すると俺が歩いていた場所に大きな音がした
「人間だ…人間!」
俺は振り返ってその正体をみて驚き、腰が抜けてしまった
そこにいたのは巨大な獣の体に上半身は裸の女性という異形のモノがいたからだ
「ば…バケモノ!」
「貴様はそのバケモノに喰われて終わるのさぁぁぁ!」
と両手に持った槍らしきもので俺を刺そうと構えた
「なんでこないだから槍ばっかに狙われるんだよ!」
と嘆きながらガムシャラにバケモノから逃げ出す
情けなくたっていい、生きなきゃ意味がない
「逃がしはしないよぉぉ!」
と槍を投擲するバケモノ
しかしその後に待っていたのは投げたばかりの槍で自分の手を貫かれたバケモノだった
「舐めてンじゃねェぞ、三下ァァァ」
とある世界で第一位と恐れられた白い悪魔が本物の悪魔に対して牙を向けた瞬間だった
いきなり雰囲気が変わり、尚且つ自分がわからない位のスピードで反撃を受けたバケモノは狼狽える
だがその僅かな隙を逃すほど学園都市第一位は甘くは無かった
「甘ェ、甘ェぞ」
足元のベクトルを操作しバケモノに向かって跳躍、そしてその勢いそのままに全てのベクトルを操り一撃必殺とも言えるパンチを繰り出す
「人間風情がぁぁぁぁ」
と雄叫びをあげながらたちあがる
「この悪魔バイザー様が貴様を食らってやるわぁぁぁぁ」
「三下程度にこの俺がやられっかよォ」
と相手に突っ込んで行き
「姿形は違えど体組織は変わンねェだろ」
と血が出てる部分に手を触れ
「血を逆流してやンよ、安らかに死ね」
と自身の反射の能力を発動させる
それにより傷口から流れていた血の向きが反転
本来ならばあり得ない流れにより身体が耐えきれなくなる
「ついでに体に流れてる電気信号も逆流させておいてやった。ま、声は聞こえて無いだろうがよ…」
と悪魔バイザーに背を向けて人格を誠自身に返した時である
誠の体が手によって掴まれる
「かはっ!」
その力の強さに思わず吐血してしまう
掴んできたのは悪魔バイザーだった
悪魔バイザーの手に誠の吐いた血が付いていく
「捕まえたぞ人間ンンン!」
と誠を高く持ち上げながら吠える
「貴様は食わない、このまま叩きつけて殺してやる」
完全に怒りに飲み込まれた悪魔バイザーは誠を叩きつけるべく振りかぶり地面に向けて投げ放つ
だがその試みも失敗に終わった
誠の腕には鋭利なもので切られた後がありそこから刃のようなものが伸びておりそれを地面に刺して地面にぶつかるのを防いだのだ
「アッハ」
手を叩きながら笑う誠に対して恐怖とは言えない何かが悪魔バイザーを襲う
「貴様、何者だ」
始めて襲う得体の知れない悪寒に悪魔バイザーは誠に向けて問いかける
「今回は周りに人もいないみたいだし…名乗ろうかな」
と後ろの茂みを気にしながら答える誠
「咲神トトと言いたいところだが剥切燐一郎と答えよう」
そう名乗る誠
今の誠は誠であって誠でない
別の人格が誠の身体を支配し、操っているのだ
普段の誠の戦闘能力とは全く違うため普段の誠を知っているものから見れば一目瞭然であるが悪魔バイザーはそれを知らない
「悪魔という存在には80関心だが君という存在には0関心、つまり無関心だよ」
と言いながら指を鳴らす
それを合図に下半身の獣の手についていた誠の血が燃え上がる
「Condor Candle」
とある眠れない爺さんが宿した罪の枝の能力を使う誠
その炎に焼かれる悪魔バイザーは叫び声をあげながらのたうちまわる
「やはり貴様は0関心だ」
と両方の手のひらから刃を伸ばして眉間に突き刺し横に引き裂き完全に絶命させる
その時背後の茂みからリアス・グレモリー達が現れた
「あなたは誠ではないわね、その身のこなしからして…モッキンバード、と名乗った人であってるかしら?」
と問いかける
「アッハ、覚えてたのかい、聞けば君達も悪魔だそうじゃないか。80関心、いや人型も存在するのか…90関心だね」
と嬉しそうに近寄る誠、だがそれを許さないリアス・グレモリーは
「あなたか誠を助けてくれたのは礼を言うわ。けれどそれとこれとは話が別よ。あなたには私達には近寄らないで、あなたからは危険な匂いがプンプンするわ」
と、剥切の人格が入った誠を拒むリアス
後ろの眷属達からの視線も厳しいようだ
「アッハ」
と笑う誠
「まぁ君たちに何かしようとすればこの子が黙ってないからね。もうこの子は私達を任意で呼び出す位には身体が慣れてしまったからね。呼び出すことが出来るなら追い出すことも可能だからね」
「どういうこと?」
「今僕を呼んだのはこの身体の持ち主、西園寺誠だよ」
「え…」
と驚愕するリアスとその眷属達
「確かに一度目に襲われた時にはこの子は呼び出すことは出来なかった。けれど、危機的状況には変わりなかった。」
「つまりその危機的状況が、彼を成長させたと?」
「そういことだ。この子の成長には100関心だよ」
と両手を広げながら笑う男
「だけどやはり継続時間は長くはなってもまだこれだけしか無理なようだ。」
と言うといきなり人格を誠に返す
返された瞬間にふらつきはしたもののなんとか踏みとどまりリアス達に向けて笑う
「こんばんわ」
力ない笑顔だが確かにその表情は誠のそれだった