「はぁ…はぁ…くそっ…巻いたか…?」
俺は街にある入り組んだ路地裏に隠れていた。なんでかって?
「ミキ姉こっちいるにゃ~」
「でかしたにゃ!リオン!」
「ちぃ!もう見つかったのかよ!」
そりゃ追いかけられてるからだよ…「何か悪いことでもしたのか?」だって?いや何もしてねぇよ…本当信じて!しいて言うならこの追いかけられる原因を作ったのはあの頭の逝った親どもだ。あいつらのせいでやつらに追われてる。
「ねぇ逃げにゃいでよ~」
「わ・か・さ・ま・ぁ♡」
「何で…何で!」
「どんな奴に追われてる?」だって?あぁ!答えてやるよ!一部の奴らからには需要のある恰好で秋葉原によくいるやつ(偏見)!
「何でこんなことになったんだぁぁぁぁぁ!!!」
二人の猫耳メイドだよ!こんちくしょぉぉぉおおお!!!
~それは数時間前の出来事~
「店をリニューアルするだぁ?」
俺は「
「そりゃどういうことだよ?売上でも下がったのか?」
店をリニューアルするなんて普通は売れ行きが低迷した時などに考えるものだろうになんだってこの両親はこんなこと言いだしたんだ?
「いや、売り上げは下がっとらん」
この渋い声の禿げ頭にサングラスのおっさんは俺の親父「
「じゃあなんで?それなら変える必要ないじゃん」
「確かにそうねぇ…けどこれは私たちの夢を叶えるために必要なことなのよ」
「夢ぇ…?」
禿サングラスの隣に座っているふくよかな(ここ重要)女性は俺の母さんの「
「夢ってなにさ?」
俺は両親の夢についてなんて一度も聞いたことがなかった、というかよくある話でこの喫茶店が夢だと思っていた。
「それはな…」
「それはね…」
「それは…?」
やけにタメを作る両親一体なんだっていうんだ…ゴクリッと俺が唾を飲み込んだ瞬間
「「猫耳メイド喫茶を経営することだ!」よ!」
両親の目がカッっと見開きそう大きな声で叫んだ。
「…………はい…?」
「苦節二十年もし経営が失敗した時の貯金は予定額溜まった。ならばやることはただ一つ!」
「えぇ!今こそ私たちの夢を叶える時よ!そして実行する準備も万端!」
……はっ!一瞬脳が停止していた!…今この両親はなんて言った…?猫耳メイド喫茶を経営することが夢…?
「…まじで…?」
「本気と書いてマジだ!」
「マジよ!」
マジなのかよ…夢なら覚めてくれ…両親から夢は猫耳メイド喫茶を経営することって言われた悪夢から覚めてくれ…
「てゆーか、なんで猫耳メイド喫茶なのさ…」
そう一番理解できないのは猫耳メイド喫茶という部分なんで猫耳メイド喫茶なのさ…
「それはな俺たちは総じて猫が好きだが猫アレルギーなのはお前もわかってるよな?」
「うん、それはわかってるさ…おいまてそれが理由とか言うなよ?」
「えぇ、それが理由よ」
「なんでだよ!!!」
これが一番最初に言ってた深いわけだ。うちの家族はみんな猫がたまらなく好きなのだが猫アレルギーで猫に触れることができないのだ。俺も猫が大好きだから猫のヌイグルミとかグッズをいろいろ持ってるわけだ。だけど猫アレルギーだからって猫耳メイド喫茶やるんだよ!メイドは一体どこから来た!
「俺たちは猫が好きだ、だが猫アレルギーだ。けど猫と遊びたい俺たちは猫と仲良くする方法を必死に考えた。」
「完全防備したうえでネコちゃんと遊ぶこともしたわ。けど心が満たされなかったの…」
「そして俺たちは考えた、そうだ人に猫になってもらおうと」
「なんでだよ!発想がおかしいだろ!」
なんで満たされなったからって人に猫になってもらおうなんて発想が出てくるんだよ!おかしいよ俺の両親!
「で、人に猫になってもらうための費用を貯めるためにこの喫茶店を開いた」
「そうしたらどうよ?数年たったら猫耳メイドなんて言葉が生まれはやり始めたじゃない?その時ピンときたのよ」
「「そうだ猫耳メイド喫茶にすればいいじゃないかと」」
「もうやだ!この両親!よく今までそのこと俺に隠せてたな!」
今まで好きだったけど、こうなったら恨むぞ日本のサブカルチャー!お前らのせいで俺は地獄真っ只中だよ!
「だがいきなり猫耳メイド喫茶にして経営が続けれるか不安だった…だから俺たちは貯金を貯め始めた」
「そして先月その貯金が予定に達したのよ」
「「だから実行することにした」」
「もうやだぁ‥この両親…」
本当今まで店をここまで続けていたところ尊敬していたけど、このやり取りで崩れ去ったよ…マジかぁ…実家が猫耳メイド喫茶になるのかぁ…いやだなぁ…ん?まてよ?
「おいこの猫耳メイドバカ両親。未希さんと璃音の二人はどうすんだよ?二人ともそんな店なら働きたくないとか言いだすぞ」
うちには今雇ってる人が二人いる。一人は
もう一人は
「あぁ、それは問題ない。二人とも了承済みだからな」
「は?」
「えぇ、このお店で働く場合そのうち猫耳メイド喫茶になるけれどその時やめないなら雇うって二人に確認した上で雇ってるもの」
「は?」
え?は?え?…え、二人とも了承済みなの?てか雇うときにこの話してるの!?よく二人ともOKだしたな!
「てことで二人とも出てきていいぞー!」
「えっ出てきていいって…まさか!」
「じゃーん!猫耳メイドミキちゃんだにゃん♡」
「同じく猫耳メイドリオンだにゃ~」
「」
俺は声が出なかった…いつも頼れるお姉さんオーラを出していた未希さんとオタクな幼馴染の璃音がフリルを至る所にあしらったミニスカメイド服を着て猫耳バンドをつけて二人が目の前に立っていたからだ…声が出ねぇよ…こんなの現実って受け止められねぇよ…認めたくねぇよ…頼れるお姉さんとオタクな幼馴染を返して!
「にゃんで固まっているにゃ?若様?」
「若様大丈夫にゃ~?」
「…は?若様?」
おいちょっとまて若様ってなんだよ!?
「そうにゃ!旦那様と奥様に雇われているから修悟のことは二人の息子だから若様って呼ぶことにしたにゃ♡」
「なんでそうなった!」
「…にゃんとにゃくそっちの方がおもしろいかにゃ?って」
「この愉悦部どもめ!」
こいつらノリノリで猫語で喋ってやがる!羞恥心ってものはないのか!
「まったく問題ないにゃ!むしろこーゆーの好きだからウェルカムだにゃ!」
「この恰好で猫語喋って働いてくれるならにゃら給料倍にするって言われたから少しくらい恥ずかしいのは我慢するにゃ」
「さっきから当たり前のように心の声読まないで!というか未希さんこうゆうの好きだったの!?あと璃音は恥ずかしいならやめろよ!」
「にゃははは!実は私は演劇が好きで演じることも好きにゃのだ!修悟の前ではずっと頼れるお姉さんを演じてたんだにゃ~♪あっ、ちなみにどっちかというとこっち方が素に近いからね!」
「嘘だろ!?」
あの頼れるお姉さんはすべて演技だったってことかよ!返して!中学生の頃頼れる未希さんに胸がドキッってしたあの頃の純情を返して!
「時給2300円には負けたのにゃ…だってゲームとグッズもっと買えるもん」
「璃音…お前なぁ……」
お前は自分の欲に素直すぎるんだよ…もう少し考えてから動けっていっつも言ってたのに…
「それにこの方が修悟喜ぶと思ったから…」
「ん?なんか言った?」
「にゃんでもない」
なんか言ったような気がしたけど気のせいか…?
「うぉほん!」
「うわ!なんだよ親父…いきなり咳して…」
「すまんな、で、だ、俺達はこのまま猫耳メイド喫茶をやろうと思ったが一つ問題が浮上した」
「なんだよ問題って…俺にしちゃ猫耳メイド喫茶自体が問題だよ…」
これ以上の問題がどこにあるんだよ…あるとしたらアンタらの頭の中だよ…
「問題というのはお前だ修悟」
「は?俺が問題?」
どうゆうことだ?俺の何が問題だって言うんだ…
「ここは猫耳メイド喫茶だ…猫耳メイドしかいないはずなんだ」
「お、おう…で?」
「お前男じゃん?」
「あぁ」
「猫耳メイドに男はいらないじゃん?」
「…あ?…まぁそうだなメイドは基本女性だな」
「ぶっちゃけ厨房は俺と母さんでなんとかなるからお前は注文とか取ってほしいわけよ」
「あぁなるほど…注文とってほしいけど俺は男だからメイドにはなれないってことか」
「そうゆうことだ」
あーなるほどなー…俺は店の手伝いした分だけ小遣いもらってたからそれがもらえなくなるし、店としては人手が減るから困るわけか…そりゃそうだよな猫耳メイド喫茶やるってなってバイトに来るような子はそうそういないもんな、そりゃ困るわな
「で、俺と母さんと未希ちゃんと璃音ちゃんと四人で考えたわけだ…その結果お前に女装猫耳メイドとして働いてもらえばいいじゃん?ということになった」
「おいこら、おい待て待て待て待て!!!何がどうしてそうなった!!!」
なんで俺が女装して猫耳メイドやることになってるんだよ!
「だってお前も小遣いほしいだろ?俺らも人手がほしい。ならばお前を女装させて猫耳メイドさせればお前も小遣いが貰える、俺らは人手を確保できるWinWinじゃないか!」
「全っ然っWinWinじゃねーよ!そんなんだったら小遣いなんていらないわ!」
「ふむ、やはりだめかぁ…」
「やはりだめかじゃねぇよ!当然だろんなこと!」
誰がそこまでして小遣いほしいと思うか!俺の心が先に悲鳴を上げて小遣いどころじゃないわ!このアホ親父!
「ならば妥協案だ」
「妥協案…?」
さっきの流れからしたら妥協案でもかなり怖いんだが…
「お前が女装猫耳メイドを嫌がるのはあらかじめ予想できていた」
「予想できてたならわざわざ言うな!」
「そこで俺らは妥協案でお前は執事の恰好でもいいと考えた」
「…まぁそれなら嫌ではないな…恥ずいけど」
「けどそれじゃあ面白くない」
「そこで面白さを求めるなこの糞親父!」
妥協案っていうんだから執事の恰好で妥協しろよ!何面白さを求めているんだよ!
「それで私たちは考えたわ、お互いの利害の一致する面白い妥協案を!」
「だから妥協案に面白さを求めるなおふくろ!…で、その妥協案は?聞くだけ聞いてやる」
それに賛同するかは不明だけどな!
「これから三時間この店のリニューアル宣伝がてらこの街の中で未希ちゃんと璃音ちゃんと鬼ごっこしてもらう」
「は?」
「逃げ切ったらお前は明日から執事の恰好でバイトでいい、ただし二人のどちらかに捕まった場合は女装猫耳メイドで働いてもらう」
「はぁ!?」
デメリットが強すぎるそんなん却下だ!却下!
「ちなみに拒否した場合は強制的に女装猫耳メイドの刑よ」
「ちょ、それは卑怯だろ!」
「これぞ親の特権てね!」
この両親息子に対して厳しすぎやしないか!?というより息子の女装猫耳メイドみたいのか「「見たい」」よ!って心の声に食い気味で答えるな!
「勝てば問題ないわよ、勝・て・ば♡」
「~~~っ!!!わぁーったよ!その鬼ごっこやればいいんだろ!」
この両親に物理的に勝てないのはしってるからやるしかないだろーが!
「そう来なくっちゃ!じゃあ今から始めるわよ!修悟がスタートしてから一分後に二人が追いかけ始めるわ!」
「にゃっふっふっ…若様も一緒に猫耳メイドやろうにゃぁ…女装したらお嬢様かにゃ?」
「絶対にやんねーからな!」
「捕まえたら時給さらにあっぷ…!頑張るにゃ!」
「璃音お前金で釣られるんじゃねぇ!」
さっきから金で釣られすぎだろ璃音!そして金で釣るなこのバカ親共!
「さぁ一時ちょうどがスタートよ、覚悟はいいかしら修悟?」
「ここまできたらもうやけだ!絶対逃げ切ってやる!!!」
「その威勢がどこまで持つかにゃ~?」
「…修悟と一緒に猫耳メイド…いい!」
こうなったら自棄だ!やってやるよこん畜生!これからの俺の人生の運命を分ける戦いだ!本当はやりたくねぇけど!マジで!なんでこんなことになってるんだよ!
「それじゃぁ…よーいスタート!」
「俺はぜってぇ!猫耳メイドなんてやらないからなぁぁぁぁぁ!!!!!」
これが俺のこれから人生をかけた鬼ごっこの始まりだった…この鬼ごっこの結果?あぁ何とか逃げ切って女装猫耳メイドにはならずにすんだ…親父達に「チッ…」って舌打ちされたけど…そんなに息子に女装猫耳メイドにしたかったのか…?あと、次の日の学校で周りから「昨日猫耳メイドに追いかけられてたやつ」とか「実家がいきなり猫耳メイド喫茶になったやつ」とか、ずっと煽られた…俺だって好きで追いかけられてねぇし、好きで実家が猫耳メイド喫茶になったんじゃねぇよ!てゆうか宣伝効果ばっちりだなおい!今日の学校の話題うちの店のことばっかだぞ!
はぁ…これからの俺の人生どうなるんだろうなぁ…よく人生は一瞬で変わってしまうって言うけどここまでガラリと変わるとは思わねぇよ…
とりあえずこの現実を受け止めて覚悟を決めて生きていくしかないかぁ…
…冷静になったら猫耳メイドの二人がかわいいと思ったのは仕方ないよな…?
初めてオリジナル?書いたけど人名前を考えるのスッゴい大変…