☦進Side
「おっぱい!!!」
朝の駒王学園。ホームルームが始まるまで昨晩の復習をしていたら、教室中にそんな声が響いていた。今まで頭の中で描いていた錬成陣を星の彼方まで吹っ飛ばすような子供の教育に悪すぎる魂の叫び。言わずもがなヤツである。
「いいか元浜、松田!!おっぱいというのは女性、または母性の象徴であり我らが望んでやまないものだ!何故我らは渇望するのか!それは恋愛に飢え、愛情に飢えているからに他ならない!
故に我らのおっぱいへの欲望は肯定はされずとも否定はされない!否!否定させてはならない!女性からの愛情、包み込んでくれる母性!我らがそれらを求めていることは絶対的な真実だからである!
同時に我らはおっぱいを区別はすれど差別はしてはならない!たとえどのようなおっぱいであろうともそれは世界に一つだけのおっぱいでありその女性の個性でもあるからだ!全てのおっぱいはその個性と共に一様に褒め称えられなければならない!それが我らの礼儀であり、おっぱいを愛する者の義務でもあるからである!!!」
兵藤一誠....通称イッセーと呼ばれている彼は松田、元浜と共に変態三人組と呼ばれている。松田がエロ坊主、元浜がエロメガネと呼ばれているのに対し、イッセーだけは「おっぱい紳士」と呼ばれている。何故彼が紳士と呼ばれているのか、それがこの演説である。
「胸を張れ、松田!元浜!お前らの熱い欲望は我らのような年代には必ず湧き上がるものだ、恥ずかしいことはない!真に恥ずべきなのは我らの変態的行為にて誰かが悲しき涙を流した時だ、誰かを傷つけた時だ!
我らは変態である前に紳士でなくてはならない!我らはエロ猿である前に人間でなくてはならない!女を泣かせるのは嬉し涙の時だけにしろ!それが我ら、変態紳士である!」
この兵藤一誠という男、変態であることは確定なのだが...このようにずれてはいるものの紳士なのだ。類稀なるエロへの欲望を持ちつつもこの紳士的思考により女性へは非常に愛想がいい。だからか他の二人に比べ女子からの信頼も比較的厚く、少々好意的に見られている。
それ故か「変態じゃなかったら」モテ男になっていたであろうと、駒王学園でも屈指の残念系男子として有名である。あ、こっち見た。
「師匠もそう思いますよね!」
「私はお前の師匠になった覚えはない、あと周りの人に迷惑だから大声で騒ぐな」
そして何故か私はこの紳士的変態、兵藤一誠の師匠ということになっている。何故だ。
~それからどうした~
「東乃、また『僕の考えた最強の』シリーズの構想か?」
「いいではないか、なんやかんやで黒歴史時代から引きずってたら止められなくなったんだから」
昼休み、変態三人衆が「破れたニーソの魅力について」というアホな議題で話し合っている横でノートにメモを書き連ねる。....言わずもがな錬金術のアイデアを考えていた。現在はゴーレムの応用で戦車でも作ってみようかと思っている。しかし傍から見たら中二病以外の何物でもない、まあ入学当初からずっとこの行為はやってきたことだし皆も慣れたらしく、趣味の一つとして受け入れらえている。どちらかというと皆も意見を出してくれることもあり、それが私からしたら盲点だったりするもんでありがたかったりする。
「どれどれ...面白い形の戦車だな。今は装備をどんな感じにするかってところか?」
「まあそんなところだな、元浜はどんなのがいいと思う?」
「俺はアレだな、全身から追尾ミサイルが一斉に打ち出されて敵に向かって飛んでいくやつ。無骨な火力はロマンだろ?松田は?」
「武装もいいけどさ、補助的なパーツがあったらいいと思わない?細かい作業が出来たりするアームとかあるといいよね」
「なるほど...」
こんな感じで自分の視点とは違う意見が新鮮であり斬新でもある、松田の補助アームというのは私からは出なかった意見だろう。
「イッセーはどうだ?私としては君の意見も聞きたいんだが」
「そうですね...」
横からノートを覗いていた私の弟子(笑)にも話を聞いてみる。この兵藤一誠、たまに面白い発想が浮かぶのでちょっと楽しみだったりする。
「先日テレビで見たんですけど、圧縮した水を打ち出す武器とかあったら面白そうっすよね」
「!?....ほほう」
「あとドラマで見たんすけど、土砂ってすさまじい威力があるらしいんすよ。だから水に何か混ぜて打ち出せたら強そうですしかっこよさそうじゃないかな~と」
「ふむ....私もそういうのは思いつかなかったな。良い意見だイッセー、中二心が捗る」
実際に捗るのは錬金術の実験だがな。たとえば元浜のミサイルは内容をエネルギー弾に置き換えることで実現可能になる。
そしてイッセー、素敵な意見をありがとう。確かにウォーターカッターが存在するほどに高圧縮した水の威力は高い。そしてそこに何かを混ぜて威力を上げるというのは面白い。
例えば水に何らかの属性エネルギーを付与してみたらどうだろう?あぁ実験したい、早く放課後にならないものか。
「おい見ろよイッセー、リアス先輩に姫島先輩だぜ」
「あぁ、今日も素敵なお姿だよな。だからこそ高嶺の花って感じで俺らには届かない感じがなー....いつかあんなおっぱいを揉んでみたいもんだ」
「だよな~、東乃もそう思うだろ?」
「私に同意を求めるな。どちらかといえば姫島先輩が使っているトリートメントを教えてもらいたいな、私も使いたい」
「あぁ、お前の髪背中まであるもんな」
「というか見た目まんまおんn」
「松田元浜、私が見た目女性だというのを気にしてることを知った上での発言なら容赦はしないぞ?」
「「サーセンした」」
このような感じで駄弁りつつ休み時間を過ごし、授業が終われば帰宅、錬金術の実験にふけるというのが私の日常である。
しかし、この日常が崩されることになるとは思いもよらなかった。
ゴーレム...RPGやファンタジー小説でおなじみ。本来はユダヤ教の秘術『カバラ』で作られたロボットのようなもの。しかし錬金術はカバラ思想も取り込まれていて、やがてゴーレム=錬金術の産物というイメージが強くなった。主人公が扱うゴーレムは「錬金術の技術を使って作られたロボットのようなもの」です。