ハイスクールD×D-同級生のアルケミスト-   作:駄目男。

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第五工程:『人間』

「さて、二人を呼んだのには理由があるわ」

 

私の素性について少し明かしたところで、グレモリー先輩が口を開いた。

 

「この前の休日、ある地域でエネルギーの爆発が起こったの。それは魔法でもなく堕天使の光でもない...そんなものじゃ表現できない謎の力だった。私達グレモリー眷属が調査してみたんだけど、爆発の反応があった現場には何も痕跡が残っていなかった...その場にイッセー、アナタがいたってこと以外は」

 

「休日」、「エネルギーの爆発」、「謎の力」、ねえ...

すんごい心当たりあるんだけど、どうしよう。やべえ内心すんごいドキドキなんだけど。

 

「そこで朱乃から聞いたんだけど、進君。アナタ、『賢者の石』に近づいているそうじゃない」

 

...そう、どう考えても私がイッセーに渡した「漆黒の石」の反応以外考え付かない。堕天使の光ならまだレ...なんとかの力と考えるが、謎の力となると...というか謎の力と聞いたらまず漆黒の石について思い出してしまう辺りに私の業の深さを再確認してしまう。

というか姫島先輩って悪魔側の人間だったのね、人間だと思ってたから結構口滑らせてたのだが。

 

「師匠!?『賢者の石』ってあの人間の魂が材料の...」

 

「いやイッセー、流石にあの作品に出てくるもの程おぞましい物ではないよ。まあそれでも三勢力の均衡を崩しかねないシロモノではあるがね」

 

 

そう言いながら私は、制服のポケットに入れていた一個の黒い石を皆に見せた。その黒色の深さは、まるで見ている者の意識すら飲み込んでしまいそうな程である。

 

「これが現段階の賢者の石、漆黒の石(ニグレド)だ。賢者の石としては未完成だが、それでもかなりの力を秘めている...使い方を知らない者がむやみに利用しようとしたら、あまりの力に良くてパンク...悪くて破裂(物理)くらいには」

 

そう言った瞬間、皆が一歩下がった。まあそれが普通の反応だ。

 

「製造は簡略化できそうだがまだ解析出来ていない点も多く、現状ではエネルギーの増幅、構造が単純な物質の創造...あとは低確率ではあるが、簡単な願いを叶える力もあるのではないかと最近の実験で分かった」

 

『っ!?...』

 

そう、天野夕麻消失事件の後疑問に思っていたことがあった。『賢者の石が何故発動したのか』...考えられたのが、イッセーがレなんとかに襲われる前に私がペンダントに『イッセーを守ってくれ』と願ったからではないか...と。

その後三十パターン程の実験を何セットもおこなった結果...何らかの「願い」に反応し、その願いが叶うように暴走する可能性が高いことが判明した。

ちなみにまだ仮説の状態、というより机上の空論だが。賢者の石が更に完成に近づくにつれ、その願いを叶えようと暴走する可能性は更に高くなるのではないかと考えている。

 

「...師匠、やっぱすげーや。俺なんか足元にも及ばないっす」

 

「それについてなんだが...イッセー、お前は赤龍帝かもしれない」

 

 

 

 

 

 

 

『.....え゙』

 

 

 

 

 

 

 

 

「赤龍帝...なんすかそのロマンあふれる単語」

 

「アレだ、なんかめっちゃすごいの。ひょっとしたら潜在能力は私以上かもしれんぞ」

 

「マジっすか!よっしゃ、これで師匠に追いつけるっすよ!!」

 

「とりあえずこう、自分の中で一番強いと思う物のイメージをしてみろ」

 

「自分の中で...拳っすかねえ」

 

「じゃあアレだ、思い切り殴るイメージで」

 

「うっす...衝撃のファースト○リッドオオォォォ!!!!

...ってアレ、左手がかっこよくなってる!?」

 

 

グレモリー眷属が再起動したのは、私がイッセーに赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)の特性を教え、中に入っている二天龍の片割れ...名前はドライグさんだったか...と少々会話させた辺りである。前々からイッセーからドラゴンっぽい力を感じたので調べてみたところビンゴ、まさかの二天龍が片割れだったと。強く生きろ、イッセー。

 

 

 

 

「二人とも、私の眷属にならない?」

 

グレモリーさんからそんな提案をされたのは、彼女らが再起動してから数分のこと。

前みたいな変態のままだったらドライグさんも苦労していただろう。紳士であるように矯正したから多少は安心して赤龍帝をしてもらいたいものだが。

 

「眷属...ですか」

 

「ええ、勿論タダではないわ。働き次第では転生悪魔でも中級や上級になれるかもしれない。もしかしたらイッセー、アナタがお望みのハーレムなんてのも出来るかもしれないわよ?」

 

「ハーレム!!俺なります、悪魔になります!!」

 

「イッセーェ...」

 

「それに進君、アナタの研究も手伝えるかもしれないし」

 

そう言いながらグレモリー先輩は私を見つめてくる、宝石のような綺麗な瞳だ。

しかし正直に言うと悪魔になる気はさらさら無い、悪いが断らせてもらおう。

 

「だが断る」

 

「...理由を聞いても?」

 

 

 

 

「簡単な話だ、私は人間でいたいんだよ。何より私の目標が、『人間の無限の可能性の追求』だからね。そしてもう一つ、私は人間が悪魔や堕天使、天界の奴らに劣っていないと考えている。私は自分が人間であることを誇っているんだ」

 

 

 

 

錬金術も、もとは人が神に近づこうと開発された...いわば人間の可能性を技術の形で体現したもの。ならば私は『人間として』錬金術の無限の可能性の先にあるものを見てみたい。だから私は悪魔にもならなければ、天使にもならないし、堕天使にもならない。

 

「...あらそう、残念ね」

 

「あぁ、本当に残念だよ...」

 

だから木場君、本当に残念そうにしながら涙目でこちらを見ないでいただきたい。正直気持ち悪い。

 

「だがまあ、オカルト研究部の部員という形でなら協力は惜しまない。イッセーが悪魔になった以上、私も協力はしよう」

 

「じゃあ俺も!師匠の研究に協力します!」

 

「じゃあ二人ともよろしくね、そして期待してるわよイッセー」

 

 

 

(...ホント、見た目だけで判断するとカップルみたいね)

 

(...東乃さんから、あの人の匂いがする...?)

 

(うふふ、客と店主の関係からもっとお近づきになれるかしら♪)

 

(あぁ、イッセー君が羨ましい...ハッ!?僕は何を考えて...)

 

 

一瞬、蛇に睨まれた蛙のように背筋に寒気を感じたのは何故だろうか。




『人間の無限の可能性の追求』~東乃進の錬金術師としての目標。悪魔や天使になるのを「逃げ」とし、人間として錬金術の可能性の果てを目指す...というもの。
考え方としては真・女神転生シリーズのニュートラルルートのようなもの。
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