硬梨菜先生のTwitterでの「ラク君」呼びネタから
「サンラクさん今日時間あります?ちょっと検証に付き合って欲しいんですけど…」
「あの!今日はエムルちゃん連れてないんですか?是非またモフ…は無理でも、せめて一緒にスクショを…!」
「あー、ゴメン今日は俺この後
「「そこをなんとか!」」
うーむ、面倒臭い。
そろそろ鉱石系素材の補充をしようとエイドルトを訪れた俺は、偶然出くわしたライブラリとSF-zooのプレイヤー達に捕まっていた。
完全に見ず知らずの人間であれば無視して走り去ってもいいのだが、今回話しかけてきた二人は顔とネームが一致する程度には付き合いのあるプレイヤーであったこともあり、あまり無下にするのも憚られた。
ちなみに例によって死に戻り前提の予定なので今日はエムル達NPCとは別行動だ。
女キャラ二人が男キャラを挟んで詰め寄る姿は見ようによっては痴情の縺れのようにも見えるのか、周囲からは「二股?」「おいあれツチノコさんじゃ…」「何で半裸なの?変態?」などといったひそひそ話と共に好奇心の籠った視線が向けられているのを感じる。今変態って言った奴、顔覚えたからな。
(さてどうするか……げっ)
如何にしてこの場を切りぬけようかと頭を悩ませていると、野次馬たちの中に
そいつは颯爽と俺と二人のプレイヤー達の間に割り込むと、わざとらしい程に朗らかな声で俺に声をかけた。
「ラク君おまたせー!遅れちゃってごめんね?いやークエストが長引いちゃって…」
ライブラリとSF-zooの二人は突然の天音永遠…の姿をしたペンシルゴンの乱入に目を白黒させている。
俺としても特に待ち合わせなどをした覚えも無く、不可解なペンシルゴンの台詞に疑問と困惑が湧いてくる。
「お前今度は何を企ん……」
(しーっ!いいから君は黙って話を合わせて!)
黙ればいいのか話せばいいのかどっちなんだ、という無言の講義も本業としてのスキルをいかんなく発揮した業務用の笑顔で黙殺された。
今度は一体どんな悪事を企んでいるのかと戦々恐々とする俺に構わず、ペンシルゴンは目の前の二人とのトークを続ける。
「何かラク君に用事かな?でもゴメンね、今日は私が先約だからサ?」
「あ、さっき言ってた親友ってペンシルゴンさんだったんですね」
「まあそんな感じ!んー、でも親友かぁ…」
ライブラリのプレイヤーの言葉を受けたペンシルゴンが、曖昧に肯定の意を返しながら俺にアイコンタクトを向けてくる
どうやら俺がこの場を抜け出すのを助けてくれる腹積もりらしい。引き換えに何を要求されるのかは少々怖いがここは有難く話に乗っておくべきか。
しかし、こいつ今日は妙に語気が強いような…というか何か怒ってる?
そんな疑問も束の間、ペンシルゴンはおもむろに俺の手を取り、互いの指を絡めていって……
「まあ、今はそういうことにしておいてあげるようか……ラ・ク・君?」
繋いだ手と手を見せつけながら、そんなことを宣いやがった。
「えっ、あのお二人ってもしかして…?」
「そういうことでしたか!お邪魔しちゃってごめんなさい、デートの時はいつでもエムルちゃん預かりますからね!」
「ふふっ、それじゃ私たちはこれで。一応これはここだけの話にしておいてね?」
さっきまでとは別の理由で騒がしくなった二人をあしらいながら、俺の手を引きペンシルゴンが歩き出す。
形だけの口止めをしたペンシルゴンであるが、「ここだけの話」がどれほどの速度で拡散されるかなど、今更語るまでもないだろう。
俺もこいつもシャンフロ内で何かと有名なこともあり、今のやり取りは公然の秘密となったも同然だ。
まあ、俺としては今更噂の一つ二つ増えたところでどうということは無いのだが…
「おい、あんなに大っぴらにしてよかったのか?」
「いやあ、私も悩んだけどね?君の所有権が誰の物なのか、そろそろハッキリさせておきたいかなーって」
「誰が所有物だコラ」
「まあまあ、そんなことよりせっかく人が助けてあげたんだから、今日はお礼にこのままデートだよ!しっかりエスコートしてね?楽君?」
俺は繋がれた手を握り返しつつ、相も変わらず自爆上等な我が恋人に呆れながらもその横暴に付き合うのだった。
「さーて、それじゃあどこに行こうか?いくら何でも半裸でデートってのも締まらないし、服屋でも冷やかす?」
「
「おっ、天音永遠のファッションショーをお望みかい?後で瑠美ちゃんに自慢していいよ」
「それは俺が追及で死ぬやつ!」
「はっはっは、世界が羨むこの美貌を独り占めできるんだからそのくらいは必要経費でしょ」
「それを自分で言うか」
「事実だからね……って、流れでそのまま来ちゃったけど、さっき友達がどうとか言ってたのはいいの?」
「ああ、そっちは別に気にしなくて大丈夫。別に約束があるわけじゃなくて、俺が勝手に会いに行きたかっただけだから」
「あ、そうなんだ……でも、君がわざわざ会いに行くなんて随分と仲がいいんだね…」
「ああ、自慢じゃないがこのゲームで俺程あいつらと親しいプレイヤーは居ないだろうな」
「ほ、ほうほう。そこまで言うんだ………」
「おう、こないだ遊びに行った時も(俺をボールにして)熱烈に歓迎してくれたからな」
「ふうん……ねえ、ちょっっと私もその親友とやらに会ってみたいなー、なんて」
「それは……あ、(インベントリアのある)お前なら大丈夫か。今日は二人でカチコミといこうぜ」
「よーし、それじゃラク君の親友に気合入れてご挨拶を……カチコミ?」
この後滅茶苦茶死に戻りした。