力の賢者&風の覇者の昔語り   作:マガガマオウ

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フーマ閃風史 序章前半

「……そろそろ聞いても良い頃合いだな。」

「ん?どうしたタイタス?何か聞きたい事でもあるのか?」

 

日課のトレーニングを終え体を休ませていたタイタスは何を思ったのか誰かに問いたい事があると呟いた、それにタイガが不思議そうに反応する。

 

「あぁ、以前君にヒューマノイドタイプの異星人との融合について聞かれたことがあっただろう?」

「あぁ!あの時のヤツか!それでタイタスには前に岩谷尚文って名前の地球人と融合してた経験が有ったんだよな。」

 

タイタスが唐突に言い出したのはいつかの日、タイガが自分とフーマの過去に地球人又はそれに近いヒューマノイドタイプの異星人との融合経験が有るのかと尋ねた時の事だ。

 

「うむ、それであの時フーマは明確に否定していなかったかのを思い出してな、君にも経験が有るんじゃないかと考えに至った訳だ。」

「げっ!忘れてなかったのかよ……。」

 

当時タイガの彼が質問に対して曖昧に答え事を覚えいたタイタスは、フーマにも自信と同じ様に同化の経験が有るのではと踏んでいたが、彼の様子から察するにその読みは合っていたらしい。

 

「なんだよフーマ?やっぱり経験が有ったんじゃないか、何で黙ってたんだよ⁉」

「まぁ待てタイガ、何か語りたくない理由でもあるのかね?そうでないなら、聞かせて貰えないだろうか?」

 

タイガは強く興味を引かれ話を引き出そうとする、それを諫めつつも自身も相当気に掛かっているタイタスが話をする流れに持っていこうとしていた。

 

「お前ら……はぁ、仕方ねぇな!いいぜ、話してやるよ俺とアイツの出会いをさぁ。」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

あれは……そう、俺が以前に話した少女との一件が合ってからそう経って無かった時だった。

当時の俺は、あの一件の事もあってほかの星の種族との交流に消極的になってたんだが、そうは言ってられない指令が入ったんだよ。

 

「今回の仕事はまた、きっついな……。」

 

俺は今ある惑星の大気圏の外に留まっている、と言うのも今回の指令で派遣先がこの惑星だからなんだが……。

 

「こりゃ行ってすぐ終わるタイプの仕事じゃねぇな……クソッ人間体になって活動するしかねぇか?」

 

この星で指令の内容がそれなりに時間が懸かりそうな内容で且つウルトラマン(普段)の姿だと目立ちすぎる、かと言って人間体に戻ればアイツ(ゲルグ)との誓いを反故する事になる。

正直今まではこの姿であっても然して問題なく仕事をこなせた、言ってしまえばこの姿のままでも通用する星系が中心だったからだ、だが今回は違う他の星の種族との交流が無い閉ざされた世界への介入でありこの姿のままだと返って目立ち如いては討伐対象にもマークされ動きずらくなる。

 

「どうしたもんか……ん、なんだ?」

 

どの様に今の姿のまま星の中で活動していくか思惑を巡らせていた時だ、一時的では有れど大気圏の外からでも感じることが出来る程大きな時空が歪んだ反応、俺はその反応の有った地点が気になって一旦体を光子化して向かう事にしたんだ。

 

「こいつは……惑星間テレポートか?それにして余波の規模が……。」

 

反応のあった場所にはこの惑星の文化レベルとはまた違った服装の人間が複数人それも一か所に固まっていた、様子を見るにアイツ等は別の星からこの星に呼び出されたクチの人間らしいな。

 

「しっかし異世界転移ねぇ~。」

 

アイツ等の言う異世界転移と言う単語は多少大袈裟な表現に思えるのは、俺が宇宙を飛び回ってきたせいだろうな、俺達(ウルトラマン)みたいな存在からしたら宇宙全体が一つの世界でありそこに点在する惑星は世界の一部云わば島の様な物だ、確かに小さな島の中で暮らす人々ならば島の中のみが世界であり全てだろう、だが俺から見たら一つの惑星の中の出来事でそれを全く違う世界に来たと感じるのは些か大袈裟だと思えた。

 

「それでもこの状況でのあれは都合が良いか。」

 

俺達ウルトラマンが他惑星で活動する時は二通りの方法で現地の環境に馴染んで行動する、一つは力を押さえ人間の姿で活動する方法そしてもう一つが……。

 

「あいつ等の中の一人と同化すりゃ、俺もこっちの姿のまま潜り込めるって訳だ。」

 

今回の仕事での問題に対する取り敢えずな対処の仕方に光明が見えたか?

 

「まぁそれでも、いざ同化するとなると意外に難しいんだが。」

 

何せ俺達(ウルトラマン)みたいな存在が違う種族、特に遥かに力量差がある相手との同化するには相性ってやつが良くないと上手く行かない、一度でも経験があるなら別だが俺は今回が初であり同化の相手は良く選んでから決めないと不味い、それに同化した人間の性格的な問題も無視はできねぇんだよなぁ……突然己の力量以上の力を得て増長して他の奴を見下す様な奴とは組みたくねぇしな。

 

「よし!ここはアイツ等の事をじっくり観察してから誰にするか決めるか!」

 

その後、俺はその星の大気圏の外側であいつ等の事を見守り続け候補を二人まで絞り込んだ、あと一押し何か切っ掛けがあれば後はソイツと一体化する、だがそのあと一押しが中々見つけられず決めてを欠いていた……そんな時だったなアレが起きたのは。

それは、あいつ等が何時もの訓練場から離れ別の場所に向かっているのが見えた時だ、あいつ等の向かう目的地が地下に続くデカイ洞穴の様な場所だと知って俺は自分の体を光子化して着いて行く事にした。

 

「っ!あいつ何やって⁉」

 

その日もいつもの様にあいつ等の動向を注視して見守ってやるつもりでいたんだ、実際その洞窟探索自体は問題なく進行していたしな、だが集団の内に一人が軽率な行動を取った事で問題が起きた。

 

「テレポート⁉あいつ等の反応は……少し遠い、間に合うか⁉」

 

突如アイツ等が目の前から見失い慌てて気配を探り、見つけたが大分下の方に転移したらしく近くにやばい気配も感知した、これは急がねぇとやべぇ!

アイツ等の気配を頼りにしてドンドン下層へ降りていく。

 

「クソッ!こうなるならさっさと同化してやるんだった、そしたらアイツを直ぐそばで守ってやれたのに……。」

 

迷うことなど無かった心の何処かではもう決まっていたんだ、だがあれやこれやと理由をつけては先延ばしにしてた、アイツの姿が過去(負け犬)の頃のアイツ(ゲルグ)と出会ったばかりの俺と重なったから……努力するアイツの邪魔をしたくなかった。

 

「もうすぐだ、もう少しで追いつくから……耐えろよ!」

 

自分の判断の甘さを悔いながら急いでアイツの下に向かい、そして辿り着いた時アイツはさらに下層に落ちる瞬間だった。

 

「っ!まだだ、間に合え!」

 

諦めて堪るか、真っ逆さまに落ちていくアイツをギリギリで掴む事が出来た俺はそのまま降下していき、そして縦穴の底に着いた。

 

「あれ?……痛くない?というか生きてる?」

「よう兄ちゃん!驚いたか?」

 

あの高さから落ちて無事だった事に驚いて困惑している相棒に、俺は出来るだけ気さくに声を掛ける。

 

「えっ⁉誰⁉何処から話して⁉」

「落ち着けよ相棒、俺はフーマ一応ウルトラマンをやってる。んで、今はお前さんと一体化して中から話しかけてる。」

 

状況が判らず混乱している時だったからだろうな、俺が話しかけると更に困惑して辺りを見回す相棒を落ち着かせようと、遅ればせながら軽く自己紹介をして現在の状態も簡単に説明してやる。

 

「はぁ、これはどうも僕は南雲ハジメです……ん?ウルトラマン……えぇ~!」

 

一旦冷静になったと思ったらまた相棒は慌てだした、まぁその反応は理解できなくもねぇがちと騒がしすぎるな。

 

「だから落ち着けよ、こんな場所で騒がしくしてるとッ!……敵を呼ぶぞ。」

「えっ?」

 

ここは魔窟、人に世の理が通じない魔物の巣窟、そんな場所で冷静さを欠き騒ぎまわれば当然、敵を引き寄せ異常に発達した両脚を除けば兎に見えなくもない魔物が現れる。

 

「兎……じゃないよな、どう見ても足がデカすぎるし。」

「油断すんな、警戒を止めんな……右へ避けろ!」

 

ゲルグとの修業の日々の中で培った見切りで魔物の予備動作から凡その攻撃の着地位置を読む、魔物の攻撃は威力はあるがその分貯めの動作が独特で先読みしやすく、相手に合わせて動けば大体避けられる。

 

「はっはい!」

 

俺の掛け声に従って右に逃れたハジメの元々いた場所に魔物の蹴りが突き刺さり、着地した場所から蜘蛛の巣状に亀裂が広がった。

 

「嘘だろ……。」

「気を抜くな、次に備えろ!後ろか……伏せろ!」

 

余りの威力に言葉を失うハジメを一括し、背後に別の気配を感じて低姿勢を取るよう指示を出す。

 

「はい~!」

 

咄嗟に体を俯けたハジメの背の上を切れ味鋭い風の刃が擦り剝け、向かい側に居た兎の魔物を引き裂いた。

風の刃を放った攻撃の主である熊のような魔物は、ハジメに攻撃が当たらなかった事を気にしてはいた様子はあるが引き裂かれた兎を方に近づいていく。

 

「に、逃げなきゃ……死にたくない!」

「っ!おい、相手がまだ居る内は背を見せるな!」

 

死の気配が強まった事で生存意識が強くなったハジメ、その場から離れようと熊の魔物に背を向けた時また風の刃が迫る。

 

「全く世話が焼けるぜ!……ハジメ少し体借りるぞ。」

「えっ?」

 

取り敢えず危機を脱しないと落ち着いて話も出来そうにねぇ、だからここは俺が気張るとしますか!

 

『フーマソーサー。』

「いつの間に、それに体が勝手に……!」

 

一時的だが無理やり体の主導権を奪ってしまった事を悔いる気持ちはある、この場を凌げたら幾らでも文句は聞くからこの時だけは貸してくれハジメ!

ハジメの左手に俺の変身する力を宿した手裏剣型のアイテム、ウルトラソーサーを握らせ起動して右腕にはめらえたブレスレット”フーマガンド”にはめ込み刃の部分を掴んで回す。

 

『ウルトラマンフーマ”フラッシュ”!」

 

刃の回転と共に光が渦巻きハジメの姿から、俺のウルトラマンとして姿に変わるが身長はハジメと同じ位に止まった。

 

「やっぱ、同意なしの変身じゃこの位が関の山か……おい熊野郎!お前の斬撃、俺のスピードに付いてこれるかよ!」

 

分かり切っていた事だ今は気にしない、それより目の前のコイツをさっさと片付ける事に集中する!

そこからは俺の光波手裏剣と風の刃がぶつかり合う攻防戦が幕を開けた、相手の攻撃を躱しコチラが撃てば相手も躱す一進一退の勝負を繰り広げる。

 

「中々勝負がつかねぇ、このままじゃ不味い。」

 

一見互角の勝負に見えてもこっちにはタイムリミットがあり残り時間がジリジリ削られ分が悪い。

 

「……あの、フーマさん。」

「ん?何だ、文句なら後で……。」

 

若干焦り出したそんな時に今までずっと黙り込んでたハジメが語り掛けて来た、勝手に体を使って戦っている事に文句でもあんだろうが、そう言うのは後にして欲しいぜ。

 

「若しかしたらこの状況を打開できる作戦、思い付いたかもしれません。」

「っ!……俺は、どうすりゃいい?」

 

俺が言い終わる前に自信なさげに投げられたセリフに、最初は苦情が来ると思っていた俺は面食らいそしてハジメの提案に乗る事にした。

その直後一進一退だった攻防に動きが見える、フーマの胸のカラータイマーが点滅しだし一瞬動きが乱れ緩慢になり隙が出来る、その一瞬を逃さない熊の魔物がフーマに目掛け風の刃を飛ばし捉えた、だが捉えたと思ったフーマは煙と消える。

 

「幻影だ……貰ったぜ、極星光波手裏剣!」

 

フーマガンドから発せられた光粒子が渦を巻き、刃となって熊の魔物の背後を直撃し崩れ落ちた。

 

「フーマさん、あの……。」

「イヤー!助かったぜハジメ、お前の作戦が無けりゃ時間切れで変身が解けてた。」

 

戦いを終えウルトラマンから人間の姿に戻ったハジメは自分の中のフーマに何かを語ろうとし、それを察してフーマは調子を上げて遮り作戦の成功をねぎらう。

 

「いえ僕の命も懸かってましたから、それよりも助けてくれてありがとうございました。」

「それはこっちセリフだぜ。お前が最後に力を貸してくれたからお互い生き残れた、ありがとな。」

 

謙遜した様に俺に礼を言うハジメだが、それはコッチも同じだ俺も助かる為にお前の体を勝手に借りた。

 

「その……助けてもらっておいてこういうこと言うのもアレですけど、やっぱり別の僕より相応しい相手と一体化し直した方が、その僕は一緒に召喚された誰よりも凡庸でありふれた落ちこぼれですから。」

 

後に続いた言葉は、嘗ての俺が抱えていた劣等感を思い出させた、だからこそ俺はあの時ゲルグに出会ったあの瞬間を思い返して、今度は俺の番かっと自嘲気味に内心で呟きあの日ゲルグに言われたセリフをハジメ(新しい相棒)に言ってやる。

 

「なぁハジメ、これは俺の師匠の受け売りの言葉何だが……化け物は何処までも化け物なのか、負け犬は何処までも負け犬なのか、試したくは無いか?」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「ってな事があったんだが……どうしたお前ら?」

 

しんみりと語るフーマの思い出話に聞き入っていた二人は、無言のまま天井を仰ぎ見ていた。

 

「いや……君の話に引き込まれてしまってな、やはりフーマには語り聞かせる才能があるな。」

「あぁ、なんて言うか話の中に自然と入っていけるって言うか、没入感がすごいよな!」

「おま……聞かせてくれって言うから、話してやってるの今回も関心はそこかよ!」

 

タイタスがそんな風に話すとタイガがもその意見に同意して、そんな二人に思わず突っ込むフーマは呆れているのか溜め息を溢す。

 

「それで、その後はどうなったんだよフーマ?」

「うむ、実に気になるな?」

「いや、それは今度にしてくれねぇか?何か昔の事を思い出したら色々疲れた。」

 

続きを促されるす二人だが、当のフーマ本人は疲れた様に日を改めさせて欲しいと言って断ってきた。

 

「お、おぉ……分かった、今日は止めとくよ。」

「無理を言って済まなかったなフーマ。」

「悪いな、ありがとよ二人とも。」

 

そんな様子を見て素直に引くタイガとタイタス、フーマは二人に礼を言うとその日は一人物思いに更けるのだった。

 

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