仮面ライダーアギト×ソードアート・オンライン ~目覚めろ、その魂!~ 作:バーラ18
俺は石壁に掛けられた巨大な一枚の画に思わず圧倒されていた。
著名な美術館に掛けられてある名作の絵画に勝るとも劣らない魅力に俺もアルゴも言葉を忘れ眺めていた。
「こりゃあ・・・スゲエ、このアインクラッドでこんな立派な絵画を見れるなんてナ」
「ああ・・・でもこれはただの絵じゃない、きっとアギトの謎を解明する重要な手がかりなんだ」
俺はもう一度冷静に絵画を観察する。
絵には人間と怪物の対立、地上に堕ちていく1人の天使、天上にて君臨する神、人間のつがいを乗せた船、など様々な内容が詰め込まれており、さながら神話の創世記を表しているかのようだった。
「これだけだと一体何がどういうことか分からないな・・・・。アルゴ、そっちのメッセージプレートに何て書いてあるんだ?」
「フムフム・・・とりあえず読み上げてみるヨ」
元始にテオスありき。
テオス、光と闇を分かち、昼と夜を分けぬ。 天と地とを分かち、陸と海を分けぬ。
世界の創られしはこなり。
テオス次にエルを創り、マラークを創りぬ。
マラークをかたどりて動物を創り、己をかたどりて人間を創りぬ。
世界は楽園なりき。
やがて人間増え、地に満ちれり。
人間のいわく、
「我らテオスの形なり。されば、我らエルやマラークに勝るべし。
マラークの形なる動物ども、我ら家畜としし従えん」
マラークらのいわく、
「見よ、人間の動物どもを家畜とし従えしを。
我ら人間を家畜とし、従えん。さもなくば殺すべし」と。
ここにマラークと人間の戦い始まれり。
その数各々二億にして、戦い40年に及べり。
7人のエルの一人プロメス、人間を助けんと地にくだりて人間と交われり。
プロメスと人間の間に生まれし子供、これネフェリムなり。
戦いの挙げ句プロメスは殺され、マラーク勝利せり。
エルらのいわく、
「我ら大洪水を起こし、プロメスの子らも、彼らの従えし動物らも全て滅ぼし尽くさん」と。
即ち欺くなりて、水が地の表を40日に渡りて覆いたりき。
テオス深く悲しみ、人間と動物の1対ずつを方舟に乗せ、洪水を生き延びさせたまいけり。
40日を経てのち、水の枯れ、人間の生き残れるを見て、エルら怒りて言いけるは
「テオスよ、人間は汝に逆らう者。ならばすべて殺すべし。
彼ら、すでに汝の創りたまいし人間ならずして、ネフェリムなれば」
テオスの言いたまいけるは、
「エルどもよ、我が言葉に逆らいしは汝らもひとしからん。
人間の再び増え、地に満ちる日まで、
我は我と、汝らを封印せん而して、
人間が果たして我に逆らう者らなりや確かめるべし」
即ち欺くなりぬ。
メッセージプレートの内容をすべて聞き終え俺はまるで一冊の物語を読んだような深い感慨に満たされる。
「これはまるで小さい頃に読んだ“ノアの箱舟”にそっくりの話だナ」
「ああ、でも肝心のアギトに関する記述は一切されてない。折角ここまで来たのに情報がこれだけなのは辛いな」
「うーん、他に情報がないかオレっちが周りを見てくるとするヨ。キー坊はもう一度この絵に何か隠されてないか調べてくれないカ?」
「分かった。けどいくら低階層とはいえ油断するなよ」
そういってアルゴはAGIを活かした跳躍ですばやく周囲の森へと消え、それを見届けた後俺は石壁の裏に回る。
そこには表と同じように一枚の絵画とメッセージプレートが掛けられてはいたものの、先ほどのものとは全く違う内容であった。
まず絵画の方であるが表のイコン画とはうってかわってこちらは天に向かって構えを取るアギトだけの非常にシンプルなものとなっている。
(あれ?この構えは・・・・)
そう、俺はこの構えに見覚えがある。それは先日、アギトによって戦闘不能にされたB班の救出のためにアスナと共に殿を務めた時にヤツが使用した構えだった。
あれは今までに見ない非常に斬新で独特な構えであったが、それには無駄をすべて取り除いたような異常な隙の無さが感じられた。
今度はメッセージプレートの方を見てみる。イコン画のメッセージプレートとは違って内容は比較的少なかったものの、そこには重大な情報が書いてあった。
アギトとは墜ちた天使、火のエルロードたるプロメスの力なり。
プロメスは神に身を滅ぼさる前にて、その力をこの世すべての人に分け与える。
即ちアギトは全ての人間に覚醒する兆しあり。
しかしながら、真に発現するは聖夜に与えられた恵みを賜りし者のみ。
そして、神は人から逸脱した者を許すまじ。
その全能を以てして必ずやアギトを滅ぼさん。
「なるほど、
」
全てのメッセージを読み終え、俺は戦慄に打ち震える。つまり、アギトは俺達プレイヤーすべてに発現する可能性があり、実際にアギトであったアイツも俺達と同じ人間なのだ。
そうなるとアギトの正体は一体誰なのか、もう一つの謎が思い浮かぶ。
「“真に発現するは聖夜に与えられた恵みを賜りし者のみ”・・・聖夜の恵みて一体何なんだ?」
すると、後ろの方から草をかき分けてこちらへやってくる音がした。ここはmob侵入不可エリアであるため探索から帰ってきたアルゴだと判断した俺は、後ろを振り向かないまま声をかける。
「アルゴ、アギトの正体が何か分かったぞ!アイツはきっと俺達と同じ――――」
「動くな」
あまりにも機械的かつ冷徹な声に驚き思わず俺は振り向いた。そこにはアルゴと彼女の首に片刃の刃を突き付けたアギトの姿があった。
いかがでしたでしょうか?
もうすぐアギトの正体はいったい誰なのか?そしてどういう経緯でアギトになったのかが分かってきます。
次回もお楽しみに!