仮面ライダーアギト×ソードアート・オンライン ~目覚めろ、その魂!~   作:バーラ18

2 / 10
始まりの日

 

「本当にいいの姉さん?」

僕はナーヴギアを手にとりながら、恐る恐る姉さんに尋ねる。

「いいの!どうせ私は後からじっくり楽しむし先にアンタがプレイしちゃいなよ!」

そう言いながら姉さんは僕の背中をバシバシ叩く。

「けど・・・・。」

「それにアンタは昔っから無欲で店のお手伝い以外に趣味がないじゃない!そのまま大人になったんじゃ絶対損だよ!だから今日はウンと遊びなさい!お店の手伝いはアタシがやるからさ。」

姉さんは僕とは違って活発であり、勉強も遊びも全力で打ち込む人である。

そんな姉の一番の趣味はゲームであり、暇を見つけてはプレイに没頭していた。

「それにしてもこれがフルダイブ?とやらができる最新のゲーム機なんだね」

「そう、最近出たハードで“ナーヴギア”て言うの。」

「へー、これが有名になっているアレか。」

“ナーヴギア“、流行に疎い僕であってもテレビで毎日紹介されているため噂程度なら聞いていた。

「えーっと、それで貸してくれるソフトはどれ?」

ゲーム機があってもソフトがなければ意味がない、それくらいは常識なので僕も知っている。

「アンタにはこれをやってもらうわ。」

姉さんが取り出したゲームソフトのパッケージには大空を背景に一つの何やら巨大な城か塔みたいなものが浮かんでいた。

「えーっと、ソード・・アート・・・オンライン・・?」

学のない頭で僕は英語の単語をどうにか読み取った。

「そう、これは販売を開始してからものの数秒で売り切れた超激レアソフトなのよ!」

姉さんは自慢気に語るが、僕はゲームをやらないため、あんまりピンとこなかった。

「なによその顔、言っとくけど私はこれを手に入れるのに相当運を使ったんだからね!」

確かに販売してから数秒で売り切れるゲームを手に入れた姉さんは強運の持ち主だろう、しかし普通にゲームを購入するならば店頭に張り込むか、パソコンの予約画面と睨めっこしなければならない。

その場合手に入れた暁には運もそうだが、まず自身の忍耐力を自讃するはずだ。

「“運”ということは誰かに譲ってもらったの?」

「バカね、こんなに人気のソフトをみんなが人に渡すわけないじゃない。」

確かに姉さんの言う通りだ。

「最先端+人気」というのはいつだって人が欲しがるものであり、それは所持するだけで1つのステータスとなる。

仮に譲ってもらうとしても流行が下火になってからだろう。

「じゃあ、どうやって手に入れたの?」

「前に私はβテスター・・・・所謂先行プレイの権利を手に入れたのよ、倍率数千倍の壁を乗り越えてね。」

「もしかしてそれって、姉さんがおかしくなっていたあの時期の話?」

今思いだせばかなり気持ちが悪かった姉さんの奇行の数々。

いきなり僕の部屋に入ってきたかと思えば棒を振り回し始めたり、店の皿洗いをやっている間ずっと呪文のように何か独り言を言ってたり、挙句の果てには一日中ずっと部屋に籠りっぱなしになっていた。

あまりにも見かねて父さんに相談したが「大丈夫じゃない?あんまり心配ばかりしてると心肺が苦しくなっちゃうよ?」といつもの寒いギャグを言われただけだった。

幸い、姉さんの奇行は1ヶ月で収まり、それ以降は再発することはなかったので原因があるとすればソードアート・オンラインの先行プレイに熱中していたとしか考えられないのである。

「おかしいとは何よ、1ヶ月でデータがリセットされるんだからプレイに没頭するのは当たり前じゃない。」

だとしてもやり過ぎだと思います姉さん。

「じゃあもしかして・・・・その先行プレイの権利を手に入れたのと同時に優先的にソフトを購入できる権利も手に入れたということ?」

「アンタ本当に感が良いわね・・・その通りよ、だから私は店頭の列に並んだりPCの画面に張り込むといった面倒くさいことをしなくても良かったの。」

「なるほどねえ・・・・・・・」

「さて!時間が勿体ないからお喋りはここまでにしてさっさとプレイしなさい。」

パチンと手を鳴らし、姉さんは会話を切り上げた。

 

 

 

 

「よし・・・これでOK、あとはベッドに横になって。」

一通りの設定を終え、僕は姉さんの指示通りにベッドに仰向けになる。

「結構重いねナーヴギア。」

「ギアの重さの三割はバッテリーだからね、瞬間停電でもあったら大変よ。」

「ははっ、違いないね。」

起動するまでの少しのあいだに僕と姉さんは軽い冗談を交すも、運命の刻は刻一刻と迫っていた。

「起動完了が完了ね、後は“リンクスタート“と言ったらフルダイブが完了するわ。」

「はい、じゃあ行ってきます。」

「行ってらっしゃい、帰ってきたら感想を聞かせてね。」

これが二年半に及ぶ遠い現実世界との別れ、その最後の会話となった。

「リンクスタート!」

そう高らかに僕は叫び、意識は暗闇に落ちた。

 

 




いかがでしたでしょうか?
次は主人公のアインクラッド初日の話となります。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。