仮面ライダーアギト×ソードアート・オンライン ~目覚めろ、その魂!~ 作:バーラ18
そこは――――まさしく幻想の世界だった。
現実では考えられないような建築、風情、景観に圧倒された僕は碌にフィールドにも出ず、はじまりの街の至る所を見て回った。
今では見ない中世風の武器を並べた武器屋、現実では信じられない値が付くほど大振りの宝石が付いた装飾品、今では歴史博物館でしか見られなくなった数百年前の時代の民家、本当に見ているだけで心が躍っていた。
(なるほど、姉さんがハマる訳だ)
これほどの冒険心をくすぐる非日常ぶりを目にすると現実世界に帰るのが馬鹿馬鹿しくなってくるのも僕には頷けた。
しかし、楽しい時間というのは夢のように儚いものだ、気づいたらすっかり日は西に傾き無常にも現実に引き戻される。
「あ・・・・そろそろお店の準備を手伝わないと・・・・・」
名残惜しいがこの夢の世界と別れを告げねばならなかった。
(姉さんと一緒にこの世界を冒険するのも良いかもしれないな・・・・)
両親へのおねだりを考えながら僕はメニュータブの一番下にあるログアウトボタンを探した。
・・・・・・これが僕の永い永い仮想世界での戦いの幕開けであり、自らの運命を決定づけたターニングポイントとなった。
「うーん?ログアウトボタンがどこにもないぞ」
故障かもしれないと思いメニュータブを何度も何度も開きなおすが一向に改善しなかった
「どうしよう・・・早くしないと仕込みに間に合わない・・・・」
早く家に帰らなければ店の準備に間に合わないため僕は内心非常に焦っていた。
それと同時に街からリンゴーン、リンゴーンと大きな鐘の音が響いた。
「鐘?いったいどういう・・・・わ!」
後に続くように自分も光に包まれた。
気が付くとそこはゲームのスタート地点である、はじまりの街の中央広場だった。
辺りを見回すと他にも多くのプレイヤーがここに集められていた。
僕は内心ホッとしていた、ようやくゲームの運営からの対策が施され現実に戻ることができると。
しかし、その安堵は盛大に裏切られることとなった。
上空が深紅の市松模様に染め上げられ、中心部分から巨大な雫みたいなものがドロリと垂れ下がり、やがてそれはゆっくりと巨大な人の型をとっていく。
出現したのは、二十メートル近くある、深紅のフードを被った人の姿みたいなものだった。
なかなか凝った演出だなと僕は静かに驚く。
「プレイヤーの諸君、私の世界へようこそ。」
ふと、低く落ち着いたよく響き渡るような男の声がローブの中から聞こえた。