「全艦出港しました」
副長がそう報告した直後、航海長が聞いてきた
「艦長、針路はどういたしますか?」
「針路は航海長に任せる」
「はッ、了解しました」
そう言うと航海長は前を向き、指示をした
「針路、一七〇」
「宜候、針路一七〇」
そう、操舵手が復唱すると、直後、俺は航空参謀に伝えた
「航空参謀、浦賀水道を出たら上空直援機と対潜哨戒機を発艦させるように空母と航巡に伝えてくれ」
「はッ、了解しました」
「それで、稼働機数は?」
俺がそう聞くと航空参謀は
「上空直援機は、瑞鷹隊が25機、雲鶴隊が30機で、対潜哨戒機は、東光以下三艦合わせおよそ30機です」
「分かった、ありがとう」
「しかし艦長、進路上の安全はブルーマーメイドが確保してある筈ですがなぜ直援機を出すのでしょうか」
そう、不思議そうに航空参謀が聞いてきた
「ブルーマーメイドの艦艇が前方の安全を確認してはいるが、確認してから通過の時間までは十分空いている、その間に、我が艦隊を攻撃せんとする潜水艦が進路上に展開する可能性があるからな」
「しかし、我々は一応とは言え、ブルーマーメイドの指揮下に入ったではありませんか。それなのに攻撃をして来るとは思えませんが」
「航空参謀、君はこの世界で気付いたことはないか?」
「はッ、海水面の上昇と海軍艦艇に乗船しているのが全員女性と言う事でしょうか?」
「概ね正解だが、君の仕事上一番大事な事が抜けているぞ」
俺がそう言うと航空参謀は考え、少しするとハッとした顔で答えた
「航空機ですか!」
「ああ、その通りだ」
俺はそう言うとまた続けた
「この世界には航空機が存在しない、その中に我が艦隊と言う航空機を多数保有する艦隊が現れた、それによりこの世界の軍事バランスを根底から覆す可能性がある。我が艦隊の能力が、世界に公表される前に無かったことにしようとする勢力があるやも知れん」
「了解しました。即座に全艦に伝えます」
航空参謀が話し終わると副長が聞いてきた
「本当にそのような事があり得るのですか?」
「この世界は電征…いや零観1機だけでも軍事バランスが変わる世界だ、電征や零観が1機ならともかくここまでの規模の受け入れになると戦争が起こりかねん、だからこそ、我が艦隊を沈めて、戦争の火種を摘み取ると言う選択肢が出てくるわけだ」
「戦争を防ぐ為ですか」
「ああ、世界を平和にする為に生れた物が逆に戦争の火種になりかけていると言うのは面白くもない冗談だよ」
「しかし、平和とは一体何なのでしょうか」
「それは人により違うから何とも言えないさ」
「それはそうでした」
「だがな副長、1つだけ言える事はある」
「それは何でしょうか?」
「平和を手に入れる為には俺達、軍人が血を流し、もがき苦しみ、やっとの思いで手に入れている、その事を忘れるべきではない」
「しかし艦長、戦争での犠牲は我々、軍人だけに出来ないのでしょうか」
「今の戦闘は総力戦とゲリラ戦が主だから難しいかもしれんが、そこ考えは忘れない様にしておくんだ」
「分かりました。ところで艦長はブルーマーメイドについてどう思いますか?」
「俺はブルーマーメイドというのは男女平等の観点から言えばいい取り組みだが俺個人として言えば反対だな」
「なぜでしょうか」
「俺達、軍人がしなければならない物を女性に肩代わりさせていると言うのを考えるとどうしてもな」
「艦長、私も同意いたします」
「ありがとう副長、俺の考えに賛同してもらえて嬉しいよ」
俺がそう言った直後、航海長が俺に報告して来た
「間もなく、浦賀水道を抜けます」
「よし、分かった。航空参謀、上空直援機と対潜哨戒機の発艦準備をさせよ」
「了解しました!」
「航海長、ブルーマーメイドの前衛艦との合流は何時間後か」
「はッ、合流は七時間後の一五・三〇、三宅島沖を予定しております」
「ありがとう」
俺は、航海長に礼をし、航空参謀に聞いた
「航空参謀、全機に実弾を積んでるな?」
「はッ、全機に実弾を搭載しておりますがどう致しましたか?」
「いや、何でもない」
その時、姉さんが今朝直接話して来た事が頭に過った
(我が艦隊を攻撃する為の潜水艦が出撃したという事を姉さんが直接言ってくるって事は本気で我が艦隊を葬ろうとしている勢力が居るのだろうな。まあ、あちらが攻撃して来るのであればこちらは全力で答えるまでだ)
その後数時間は何事もなく航海が進んだがブルーマーメイドの前衛艦と合流する30分前、通信兵が報告して来た
「すみません艦長、東光1番機が潜水艦を発見しました」
「艦種は分かるか?」
「いえ、仙狩では音紋が分からないとの事です」
「分かった、副長、本艦で音紋の照合は出来るな?」
「はい、宗谷一等監察官が潜水艦の音紋を全て持って来られたので可能です」
「分かった、即座に音紋の照合を始めてくれ」
俺がそう言うと即座に音紋照合が始まり、すぐ、報告しにやって来た
「艦長、音紋の照合が終了しました」
「艦種は分かったか?」
俺がそう言うと副長がメモを見て答えた
「はッ、ホワイトドルフィン所属、おやしお型潜水艦と一致しました」
「分かった、潜水艦を発見した仙狩にこれ以上我が艦隊に近付けば撃沈すると潜水艦に伝えさせろ」
「本当によろしいのですか?」
「ああ、構わん。あとついでに魚雷発射管が開いたら即座に撃沈するように伝えてくれ」
俺がそう伝え、数分後、通信兵が急いでやって来た
「敵潜がこちらの通告後、即座に魚雷発射管を開き、我が艦隊に向け、魚雷を発射、直後に我が仙狩が撃沈したと報告が入りました。」
それを聞くと副長は即座に聞き返した
「魚雷の発射数は?」
「6発です」
「艦長、それなら全管打ってますね」
「ああ、打ってるな」
「副長、全艦艇に総員起こしと対潜戦闘の用意と対魚雷防御をさせよ」
「了解しました!」
副長がそう言った直後、俺は聴音に聞いた
「聴音、まだ付近に敵潜はいるか!?」
『はッ、まだ付近に6隻おります』
「分かった、水中探信儀の使用を許可する。敵潜の正確な位置を知らせよ」
『了解しました!』
聴音が返事を返した直後、俺は通信手に叫んだ
「通信手、ブルーマーメイド本隊と前衛艦隊に知らせ!」
「これより我が艦隊は敵潜と交戦に入る、以上だ!」
追加する艦艇
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潜水艦
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空母
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戦艦
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水上機
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その他