【PM剣盾】実績『食の探求者』解除【実況】 作:麻婆豆腐Mk-Ⅵ
2話連続投稿です。
いつだったか。
均衡を崩すのは決まって焦りをおぼえた方だ、と言われたのは。
「……」
時が経てば経つほど、この泥沼の戦いが終わらぬもののように思えてならない。攻撃をすることもなく、回避や牽制に専念し続けた蝶の羽ばたきが、段々と鈍くなっているのを感じた。もう十数年の付き合い。苦楽を共にした相棒の調子なんて手に取るように理解出来る。
(もってあと10分ってところかしら)
対する相手の動向はというと、不動の二文字に尽きると言ってもいいだろう。
バトル序盤に受けた〈しびれごな〉の効果によって、前脚を動かすこともままならない彼女のドロバンコ。攻撃や防御に至るまでを阻害され、あとは体力だけの勝負を挑むしか方法はない。そんな吹けば飛ぶような非力さで立ち続ける姿に、自然と目が細くなった。
──『飛び続けること』と『立ち続けること』
──君はどちらが辛いと思うかね?
この状況をどうするか。そんなことを考えていると、いつの間にか脳裏にとある言葉が浮かび上がっていた。
あぁ懐かしいな。私が今の研究所に勤め始めた頃、出先の研究者の誰かが戯れに問いかけてきたんだっけ。
(確か私、あの時『種類によりますね』って答えたのよね)
そうだ、確かに私はそう答えた。だって明確な比較対象が述べられていなかったんだもの。
立ち続けること。
飛び続けること。
泳ぎ続けること。
生き物の種類によって感じ方や限界は様々で、一概に『こうだ』と断定することはできなかったから、明確な答えを口にすることはなかったの。
──そうだね。特徴は個々によって違う。
──それぞれの一長一短を擦り合わせて『比較』するしか、我々は『個』を測れない。
(『勿論、それは人も例外ではないがね』……だったかしら)
目の前の状況を俯瞰する。
客観的な目線でもって比較する。
(この勝負、あとはポピーちゃん次第ね)
圧倒的なアドバンテージに立つ私と、手負いのポケモンで戦い続ける彼女。もう終わってもいい戦いなのに、それでも彼女は降参をしない。
意地やプライドが原因かと思ったけれど、それにしては彼女の雰囲気が静かだったから、たぶんこの線は無いような気がする。
「【立ち続けて】」
「ブルルッ!」
ポピーちゃんの声を受けたドロバンコが、震える前脚で地面を引っ掻く。威嚇の仕草だ。表情もどこかキリッと引き締まり、つり上がった目が『まだまだ勝負はこれから』と、そう強く語りかけるように煌めいた。
相手の出方を窺って回避を指示するしか、もうやることが無い私。目線を相棒のバタフリーに向ければ、長時間の滞空に疲れきっている様子で、今にも地面に降り立ってしまいそうだった。
(……無理もないわ。今日は無風だし、寧ろよく飛んだほうよ)
風が無い。つまり『空気の流れを利用できない』というのは、存外羽を持つポケモン達にとって致命的なことである。
特に羽の大きなポケモンは、風に乗ることによって消費する体力を軽減させたり、長距離の飛行を可能にしているだけあって、無風になると飛行性能がガクッと下がる。
バタフリー自体も、良い風が吹く時なんかは島1つを軽く飛び越えるし、それでいて自分の巣に帰ってくるだけの余力さえ残すのだから、その恩恵はかなりの物だと言えるだろう。
「【立ち続けて】」
「……どうあっても膝を突かせないつもりのようね」
立ち上がって戦闘態勢に入る。もしドロバンコが膝を突いたら、この工程が必要になるだろう。
でもそれは相手にとって大きな隙だ。
脚が自慢のポケモンがその脚を使えないだなんて、攻撃してくださいと言っているようなもの。
いつ攻撃されるかも分からない状況下では、そんな無防備な隙はなるべく取り除いておきたいのがトレーナーの考え。勝ち負けを賭けた真剣勝負なら、非情になるべき場面も多々出てくる。
彼女にとっては、それが今なだけ。
(攻撃する
勝つためではなく、かと言って負けるためでもない。平行線をなぞるような戦い。私はハナからそういう状況に彼女を追い込むつもりだった。
〈しびれごな〉で相手の出鼻を挫いたのも、〈いとをはく〉で動きを止めようとしたのも、それが原因。だから、補助技ばかりで攻撃技を使用しない私に付き合ってくれるバタフリーには、後で謝っておかないと。
(感情を引き出すにはこれが一番手っ取り早い。あぁ……嫌なこと思い出しちゃった)
窮地に追い込めば相手はきっとボロを出す、奥底の本性を曝け出す。嘗ては怒りすら買ったんだ。私の培ってきた勘がそう叫んで止まない。
焦れば焦るほど坩堝に嵌る。
彼女の冷静な判断が問われる場面に、緊張の糸が張り詰めたのを肌で感じた。
「フル……フルルル〜」
「【ドロバンコ、じならし】」
「フルルッッ?!!」
「ッバタフリー!」
バタフリーがよろよろと地面に降り立った瞬間、ドロバンコの〈じならし〉が襲いかかる。逃げようにもその羽は疲れきっていて、回避が間に合わない。問答無用の攻撃が悲鳴ごとバタフリーを飲み込んだ。
(しくじった! 地面に接すれば地面技が当たる。なんでそんなことも忘れてたのよ、私!)
〈うちおとす〉や〈じゅうりょく〉で飛行タイプのポケモンを空から引きずり落とす。その方法は私もよく知ってるわ。虫の天敵・岩タイプがよくやる戦法だから。
……でもまさか地面に足を着けた瞬間を狙われるとはね。
技を仕掛けるんじゃなくて、技が届く範囲内に敵が来るのをずっと待っていたってこと? 文字通り『同じ土俵に立たせればいい』って考えなら、とんだ脳筋思考じゃない。
「【ドロバンコ、バタフリーにステルスロック】」
「ブ、ブルルル?!」
「ステルスロックを『いわなだれ』みたいな使い方しないの!」
体を麻痺に蝕まれていたドロバンコが、有り得ない速度でトレーナーの方を二度見する。ちなみに私も二度見した。
〈ステルスロック〉を攻撃技として指示する人がこの世にいるなんて信じられない。地表や空中に漂い相手の行動を制限する技が、どうして岩雪崩になるのよ。冷えた肝が温かくなっちゃったわ。
……でもまぁ、私の負けよね。
顔を覆っていた手を退けてバタフリーの方を見てみれば、羽が岩の下敷きになっていた。あそこから抜け出すには相当な体力がいるだろうし、その体力も長時間の飛行でもうスッカラカン。
〈サイコキネシス〉で脱出する手もあるにはあるけれど、それだと『攻撃技を使わない』という前提に反してしまうから、やっぱりこの勝負は私の負けになる。
「バトル終了よ。良い勝負だったわ」
その卓越した忍耐力と冷静な判断に賞賛を。
風は貴女に吹いていたのね。
*
ほっ。見逃された感が凄いですが、なんとか勝利することができました(安心)
最初の
おめでとうのハイタッチも
ポケモンだけじゃなくて主人公自身もレベルアップした、そんな印象的なバトルでしたけど、流石にもう格上とは戦いたくないかなぁ(苦笑)
「──じゃあ、この1週間カレーばっかり食べてたってこと? えぇ……それはちょっと」
「さっきあげた5000円で美味しい物でも食べにいったらどうかしら。まぁそんなにカレーが良いって言うなら無理強いはしないけれど」
▶貴方は「大丈夫だ」と答えた
「開会式の前日までワイルドエリアにいるんだっけか。修行も程々にな。体は大事だぞ」
「2週間もワイルドエリアに籠って修行するとか、なんかヨロイ島の人達みたいだね」
「詳しいことは知らないけど、あのマスタードさんが師範を務めてるらしいから皆強いんじゃないか?」
「はいはいっ! アタシ『毎日精進料理食べてる』って聞いたことあるよ!」
「本当か? それ凄いな」
いや、全員でスープ飲んでます。
材料はピンク色のキノコで、食べたらデカくなるらしいですよ(意味深)
というか、メインストーリー中に鎧島について言及されるの珍しいな。マスタード師範はかなり前に現役を引退しているみたいですし、今はもうローズ委員長の宣伝効果でダンデの方が有名ですからねぇ。
現地の人から前・チャンピオンの話が聞けるって、なんだか有難いような気がします。
「あっ、ポケモンセンター見えてきた!」
「走るな走るな」
「何やってるのよ……」
着ぐるみに駆け寄る子供とそれを窘める親のような図に、ルビア姉貴も思わず苦笑い。ほら早くとアリス姉貴に急かされ、4人が中に入ります。
ロトム捕獲の時とは真逆ですねこれ。あの時は3人に護衛してもらいましたけど、今回はポピーちゃんが護衛役を務めているところに成長を感じます。
「ねぇポピーちゃん、聞いてもいいかしら?」
全員のポケモンが回復されるまで気長に待っていると、ルビア姉貴に声をかけられました。
おっ?何か用ですか?
「体調とか本当に大丈夫なの?」
健康面ですか? うーん、特にココが悪いっていうのは無いですかね。怪我イベントも発生してないですし、たぶん健康だと思いますよ。
「そう、ならいいの。手間取らせてごめんなさいね。朝から晩まで野生のポケモンとバトルしてるそうだから、私も心配だったのよ。あまり無茶をしないでね」
ん!了解です!(敬礼)
「──お待たせしました。ポケモンの回復が終わりましたよ」
「ありがとうございます」
「ラキラー!」
「ラッキーもありがとうね」
カートを押して持ってきてくれたラッキーと付き添いのジョーイさんにお礼を言ってから、モンスターボールを回収します。
腰のベルトに収めた後、短い手を振りながらお見送りしてくれるラッキーを背に、4人でポケモンセンターから出る。さながらコンビニ帰りの学生ってところですかね。クラン兄貴とアリス姉貴の手には白いカップアイスが握られています。
俺これ知ってる! 俺達に隠れて買ってたやつだ!
商品名は……『くましゅん』
ん〜〜〜セウト!!(断言)
「もう夕方かぁ……んじゃあ、帰るか」
「そうだねぇ。明日も早いしもう帰らないと」
「「はぁ」」
「明日仕事なのは皆同じでしょ。ポピーちゃんだってジムチャレンジに向けて最後の追い込みやるんだから、シャキッとしなさい」
名残惜しそうにする2人の背中を叩くルビア姉貴。もうなんか……お母ちゃんポジにしか見えないんだけど。その若さでこんな大っきい子供が二人もいるなんて、大変そうだなぁ(小並感)
「それじゃあワイルドエリアの前まで戻ってきたことだし、ここで解散しましょうか」
「俺達の分まで頑張れよチャレンジャー!!! ううっ」
「クラン、口から『くましゅん』出てるよ」
「あ、ほんとだ」
口からクマシュン(パワーワード)
変なパワーワード生み出すのやめてくれ。色んな意味で危ねぇんだ……(懇願)
「アタシも応援してる。追い込み頑張ってね!」
満面の笑みを浮かべて去っていくアリス姉貴にほっこりしながら、今日はここまでにしたいと思います。
ご視聴ありがとうございました。
『※ポケモンレポートを書いています。電源を落とさないでください』
『※ポケモンレポートを書き終わった!』
*
「ねぇルビア。結局何か分かったの?」
「ん? そうね……まぁ色々」
カップアイスを手で弄ぶアリスの問いに軽く答えれば、ふ〜んと気の抜けたような返事が返ってきた。
「戦い方、独特だったよな」
「最短かつ最高効率。なんていうか、そんな感じがしたんだよねぇ」
「俺達2人の時は特にそうだった気がするな」
ぽつぽつと言葉を交わす帰り道。
沈みかけた夕日が目に痛い。
「あの子……たぶん怪我をしてるかもしれないわ」
「ワイルドエリアで?」
「違うと思う」
「ガラルに来る前ってことか」
「そう考えた方が良いかも」
私もバトル中には気づかなかったことだ。
バトル終了後に良い勝負だったと握手をして、そして彼女に駆け寄る2人を見て、そしてハイタッチをしようとして、
(──失敗した)
最初「疲れてるのかな」と思って終わったけれど、でもそうじゃなかった。
あの子と2人で喋る少し前、ショップでアイスを買っていたクランとアリスに声をかけられて、勢い良く後ろを振り返った彼女の……その前髪に隠れた素顔を見てしまったの。
(左眼……怪我してるのかしら)
直接聞くことは、終ぞできなかったけれど。
ワイルドエリアで修行回は、今回で終了です。
『地面に体がついたから地面技が当たった』云々は、重力や撃ち落とす、風船(道具)などの内容を踏まえて書きました。
※その時に効果があるかどうか(等倍、効果抜群など)は、タイプ相性次第だと思っています
新しく追加するポケモンについて(4体目)※1番多い欄を基準に図鑑からランダムで選びます
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伝説・準伝説・幻関係のポケモン
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第8世代のポケモン(ガラル)
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第1~第7世代のポケモン(ガラル以前)