辻斬・狂想曲・オンライン~フライングスパルタン、殺伐ゲーに臨まんとす~   作:ブドー君

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遂に書き切りました。結局文字数も合計して1万字以内に収まったので当初の予定どうり、この先はオリ主視点となっておりますのでご注意を


ワンマンスパルタン〜栄枯盛衰〜

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「ふむ、頃合いだな」

 

月明かりのまばゆい満月の夜、とある長屋の一室にて一人の男が目を覚ました。

その男は、頭は相手に表情を気取らせない為かフルフェイスの兜で覆い、筋骨隆々のたくましい体を上半身は裸で露わにしその裸体には大小様々な猛々しい刺青が彫られていた。

その姿はまさに紛うことなきへんた…いや、変態(スパルタン)がそこには立っていた

 

 

「ログインスパルタン!」「グボァ!」

 

スパルタンとは常に戦いの宿命の中で生きている!それはログイン直後も!ログアウト直前も!戦闘前も!戦闘後も!天誅されたリスポーン中ですらも、スパルタンは闘い続けている!

 

 

彼が挨拶代わりに長屋の襖を蹴り開けると、蹴り飛ばされた襖と共にこの幕末での目覚めの一歩(ログボ確認)すらも阻まんとする不埒な輩達も一緒になって吹っ飛んでいった

 

「イツツ、チッログボ天誅は失敗したk何だあの変態!?」「しかも格好がどう見てもこの幕末にそぐわない西洋風なんだが!?」「ランカー連中にデュラハンやモロ出しとか言われてる奴もいるんだし何を今更!」

 

「ふむ、今日はひーふーみー…3人と言った所か」

スパルタンの最初の一歩を邪魔せんと群がったハイエナ連中は皆それぞれに彼の雄姿に目を見張り品評していった。そして最初の口火を切ったのは強者たるランカーを比較に出したハイエナだった

 

「へっ、どんな格好で俺たち幕末の住人の虚を突こうとしたところで天誅!」

「アイアムアスパルタ!」ガギィッ!

 

ハイエナの一人が振り下ろした大太刀の凶刃に対し、スパルタンもまた懐からスパルタの魂とも呼べる『武器』を打ち合わせた。

 

「何っ!そいつは伐採や木工用に使われる『薪割り用の斧』!?」

「ヘッ、そんなどこにでもある『日用道具』なんぞでこの幕末の修羅共を相手にしようってのかぁ?」

「おいおい、そんな『ただの道具』一本でこの多人数相手に出来ると思われるタァ舐められたもんだなァ天誅!」

 

「ヌウゥッ!」

 

ハイエナ共がスパルタの『魂』を皆一様に貶しながら放たれた二の刃を、飛び退きながらまた別の長屋に押し入ったスパルタンはもう一つの『魂』とも呼べる、ある『調理道具』を手にとった

 

 

「さあこれで我がスパルタの装備は整ったぞ!もう恐れるものなど何も無い!」

 

 

 

 

「ブッハハハハハ!『窯の蓋』ァ!?確かに幕末において非破壊オブジェクトであるソイツは鉄壁の守りを誇るが俺の大太刀に弾き飛ばされるのがオチだァ!」

 

 

 

 

グワァン!

 

 

 

 

「フンッ…!スパルタの魂は不滅だ!」

「なっ、た、耐えた!?」

 

 

そう、『本来なら』ただ持つことしか出来ず何の補正もスキルも働くことのない『窯の蓋』を携えたところで、握力が攻撃の衝撃に耐えきれず手を離してしまうのが普通である。

 

 

 

だがこのスパルタンは違う!そう!なぜなら彼は在りし日に隆盛を誇った『ドヤ顔ダブル釜蓋(シールド)』の会得者なのである!

ドヤ顔ダブル釜蓋(シールド)…………それは幕末において数少ない非破壊オブジェクト『釜の蓋』を極限まで高めた膂力によって握りなど存在しないコレを無敵の盾とし絶対に破られることのない究極の守りとする大いなる戦術である!

 

なお不意打ち闇討ち騙し討ちが蔓延る幕末において、正面に『しか』無敵になれないダブル釜蓋(シールド)は夜空を流れる綺羅星の如く上位陣に即対応されて露と消えていった。

 

 

 

「ヘッ!幕末でタイマンなんて!」「お行儀のいいヤツなんぞいない天誅!」

 

 

「アイアムアスパルタ!」

「レバ!」「ニラ!」「イタメ!」

 

咄嗟に息を合わせた取り巻きに対してスパルタンもまた合わせて横一文字に魂たる斧を振るうと、有象無象たるハイエナ共は口々に断末魔を上げていった。

 

「お前たちはもう、死んでいる」

「どうしてだ」「ただの道具に」「負けるとは」

 

 

「うーむ素晴らしいリレー辞世の句、敬意を評して追いスパルタン!」

「チン!」「ジャオ!」「ロウス!」

 

スパルタンが有象無象の意外と息の合った断末魔に敬意を評していると、この闘いの気に当てられたのか向こうから凄まじい殺気を放つ「剣鬼」が近づいて来ていた

 

 

 

 

「半裸…?刺青…?フルフェイス………?サンラクァァァァァァァァ!!!」

 

「なっ、何だこの凄まじい殺気は!」

 

「サンラクだ!!サンラクだろう!?なあ、サンラクだろうお前!!首置いてけ!!なあ!!!」

 

「さ、サンラク!?誰なんだそれは!?」

 

「とぼけるなァァァァァァァァァ!!!例え貴様がサンラクでなかったとしてもその似姿が罪で天誅ァァァァァァァ!!!」

 

おお、なんという怨念か……幕末の瘴気に底の底まで当てられ哀れな修羅と成り果てた剣鬼………今こそスパルタの魂で持って弔う時だスパルタンよ!

 

 

「天誅天誅天誅天誅天誅!天誅ゥ!天誅ァ!天誅ゥゥゥァッ!ダアアアアアアアアアアアア!!!」

 

(ヌウゥ!クッ、ダブル釜蓋(シールド)で鍛えた腕力といえど、凄まじい気迫で我が魂たちを離してしまいそうだ!コイツは………できる!)

 

この殺気に任せたデタラメな振りに見せかけて二手三手先を読もうとするような剣筋、どうやらリアルの方でも剣術に対する心得があると見える。さらにその型を殺気に紛らわせ気取らせないよう仕込むクレバーな闘い方…この『剣鬼』、実に幕末らしい最悪の共鳴を起こしている!

 

 

 

(やはりこの人間性すらも捨て去らんとしつつある『鬼』の猛攻には無傷では済まないか、これでは武器を離してしまうのも時間の問題k……いやそうか!)

 

『鬼』と相対し続け、スパルタンも意を決したように覚悟を決めると、

 

 

 

ああ何ということかスパルタン!その鬼に対してガードを解き、腕を広げつつあるではないか!これではスパルタンと言えどもひとたまりもない!

 

 

 

 

「ギャアハァッハハハハハハ!!そのタマ天誅ゥァァァァァァァァ!」

「グウゥゥゥッ…!」

 

 

 

 

「やったァァァ…コレでサンラクをしt、は、離せ!離しやがれ!僕の刀を離せって!何でコイツの手から刀が離れないn「アイアムア…スパルタ!」

 

その一瞬闘いを諦めかけたと見せかけたその時、スパルタンは自らの被害も厭わずに「剣鬼」の刃を肉で受け止め、そして圧倒的握力を持ってして凶刃の二撃目以降を片手で封じたのだ。これぞ正に肉を切らせて骨を断つ、だがコレがもしスパルタンと同等以上の膂力か、スパルタン以上の得物だとしたなら、今この場で天に召される運命(さだめ)が確定していたのはどちらだったか……紙一重の運命とは全てにおいて等しいのである。

 

「アグャァァァァァァ…お、おぼえたぞ、きさまのタマも、とってやる」

 

「幕末に囚われた悲しき剣鬼よ、ヴァルハラにてまた会おうぞ」

 

 

斯くして、幕末に降り立ったスパルタンの最初の死闘は辛くも制したもののやはりゲーム(遊び)の領域を超えた「鬼」との闘いは、例え有象無象相手だとしてもコレ以上の戦闘続行は困難極めざる程の無視できないダメージをスパルタンにも残した。

 

「斯くなる上は…あの秘奥義を使わざるを得ない!」

 

 

 

 

「ヘッへ、見てたぜェ?お前もう相当の手負いだろォ?」

「あれだけ大騒ぎしてたんだァ、天誅してくださいって言ってるようなモンだよなァ?」

「ヒッハハ、ヒャハ、ヒッハ、ヒャッハハハハハハハハh!天誅天誅天誅天誅ゥア!!!」

 

今の手負いのスパルタンをまさに鴨がネギを背負ってきたと言わんばかりに、ゾロゾロとどこで潜んでいたのか疑問を持たざるを得ない程にそこら中からハイエナ共が群がり集って来ていた

 

 

「フッ、なら貴様ら全員に見せてやろう!我がスパルタの究極の秘奥義を!」

 

「ああサッサとその秘奥義とやらを見せてもr「アアアア話が長い天ちゅ「もひとつオマケに辻天誅!」

「天誅」「天誅」「天誅」「天誅」「天誅」「天誅」「天誅」「天誅」「天誅」「天誅」「天誅」

 

「「「「「「「「天誅!!!!!」」」」」」」」

 

やはり幕末、どうやらその大半はまともに話を解する舌なぞ当に持ち合わせていない修羅共ばかりだったようだ。ハイエナ共の内に収まらん獣が起こした天誅が、更に天誅が天誅を呼ぶ暴風雨となってスパルタンの四方八方から迫ってきていた。

 

するとスパルタンは有象無象が飛びかかるのが先か自らが口火を切ったのが先か、咄嗟に盾を頭上に掲げつつ身を屈めると

 

 

「スパルタンエスケープ!!!」

 

自らの致命傷となり得る軌道を描く一撃に対しては蓋が請け負う角度を保ちつつ、最大限姿勢を低くした状態で一飛びで近くの路地裏へと飛び退いていった。

 

 

「ひでぶっ!」「たわばっ!」「あべしっ!」「ぴえんっ!」「なうっ!」「もやしっ!」「ぱみゅ!」「うわらば!」

 

なお当然ながら同じ座標を目指して一斉に四方八方から向かった為に少なくない修羅が互い違いに得物の大試食会を開催する羽目となった

 

 

 

 

「あっ逃げたぞ追え!」「逃がすかよォ!」「天誅させろてぇぇぇぇぇんちゅううううううう!」

 

 

 

「クソッ!どこ行きやがった!」「あの一瞬でこの路地を抜けきれるわきゃねぇだろ天誅!」「うおっあぶねぇ!ん?今このタル動いt

「サプライズスパルタン!」

 

「ホイ!?」「コー?!」「ロオ!!」

 

ここまでの間で少しお忘れの方もいるかもしれないが、スパルタは常に闘いの宿命の中で生きている!例えそれが死闘を辛くも制し、ひどい手負いとなり撤退しなければいけなくなったとしても、それは『逃走』ではないのだ!その場を仕切り直しまたすぐその素っ首を刎ねんと虎視眈々と気をうかがっているに過ぎない!スパルタンの『闘争』は自らが首を刎ね飛ばされるまで終わりは無いのだ!

 

 

「チッ、先に言った連中はどうなったんだ?」

「俺が知るかよ、代わりに俺がお前を天ちゅ「ウオオオオアアアアアイアムアスパルタン!」

 

「なん!」「だと!」

 

スパルタンの勢いは止まらない、路地の裏の闇につかの間潜んだと思ったら、一気に闇から飛び出しその眼前に佇む修羅たちを一息に叩き伏せたスパルタン。しかし『運命』は彼の与り知らぬ所で刻一刻と迫ってきていた。

 

 

「アイアムア「ぴぇん!」スパルタン!ふぅ、ここまで暴れてまだ『ランカー』や『二つ名持ち』とも遭遇しないとは運が良いのか悪いのやら…」

 

そんな事を独り言ちていると、ついに彼の目の前にその「運命」が姿を現すのだった。

 

 

 

 

「ここかぁ……祭りの場所はァ…」

 

「その着流しに般若面に二刀流…まさかお前は『祭囃子』だな!?」

 

「ああそうだとも、ここで変態スパルタの喧嘩祭が催されてるって聞いて、なぁっ!」

 

ついに姿を表した皆が『強者』と認める証たる『二つ名』を持つ者は言い終わるのが先か、斬りかかるのが先か、即座にスパルタンとの距離を詰め『右手』に持つ刀を振り下ろした

 

(クッ、なんて速さだ!コレは盾を持つ左手側じゃなければ斬られていたな…いや都合が良すぎる)

 

 

「へぇ、反応は悪くないみたいだな。だが!」

 

「ウッ、くぉ、やはり盾を持つ『左手側』を斬りつけてきたのはわざとか!」

 

「ご名答!そんな速さじゃあ俺に一太刀浴びせることも出来ねぇなぁ!」

 

やはり『二つ名持ち』、まるで試すような太刀筋に反してその圧倒的速さから繰り出される二刀の斬撃はここまで何とか戦い抜いてきたスパルタンですらも防戦一方と為らざるを得なくさせていた

 

 

 

しかしその二人の一方的となりつつある闘いを陰で、いや『真上』から見つめる影が一人………

 

 

 

ヒュッ

 

「っぶねっ!」

「ヌゥ!スパルタンスウェイ!」

 

 

「あ~あ、避けたら天誅出来ないだろ」

 

 

 

「あ、『アイツ』は…あいつ!(クイッ」

「あいつ!(クイッ」

 

ついに姿を表した最初のランカーは『あいつ(クイッ』だった。

この剣と火薬の飛び交う世界にてただ一人、自らに刃が届かない高所においてただただ一方的に敵を撃ち抜く畜生にも劣る精神性でもって『剣士』共を屠ってきた真の外道、それが『あいつ(クイッ』だ!

 

 

「出やがったなコンチクショウ!サッサと爆死しとけオラッ!」

 

そう言いながら『祭囃子』が敵に対して投げた可燃性の花を添える球は放物線を描き

 

 

「いつまでも出爆破オチされる俺とおもうなよ?フンッ!」

「ああっ!撃ち落とされやがった!」

 

『あいつ(クイッ』が放った矢がその僅か数ミリにも満たない火種のみを撃ち抜き、誘爆すらも許さず無残にも花の種たちは役目も果たせぬまま地面へと重力によって叩きつけられてしまった

 

 

「なんて奴だ…あんな点にも満たない僅かな火種のみを狙って誘爆も許さずに地面へ叩き返してしまうとは…!」

敵ながら圧巻としか言いようのない技巧に、思わず地面へ突き返されたタダの火薬玉を手に取りマジマジと見ていると、然しものスパルタンも一瞬身震いを覚えた

だがスパルタンに『逃走』の二文字は存在しない!その辞書に記されているのは『闘争』の二文字だけなのだ!

 

「イチかバチか…スパルタンスロウ!」

 

「おっとぉっ!そんな鈍っちい斧投げなんかに当たるかよ!」

 

スパルタンも『祭囃子』の横で負けじとその手に持つスパルタの魂たる斧を投げつけるも、『あいつ(クイッ』は軽やかなステップ一つで避け、無念にもスパルタの魂は足場とされている屋根に突き刺さってしまった……だが『スパルタの魂』は不滅!スパルタンはすぐさま次の動作に移った

 

 

「スパルタの魂は不滅だ!まだまだまだまだまだァァァァァ!」

 

すかさずスパルタンは次から次へとストックから斧を取り出し投げ付け続ける!スパルタの魂たる斧は『武器』でもあり同時に人々の暮らしに寄り添う『日用品』でもある!つまりそこら中にこの『魂』はあり、調達は比較的容易な為このように次から次へと大量に投げ付け続ける事も可能なのだ!

 

(頼む『祭囃子』…俺が奴の妨害をしている間にあの非人道的兵器使いを仕留めるんだ…!)

 

スパルタンが奴に気取らせぬよう精一杯の目配せを『祭囃子』に送っていると、当の屋根上で華麗に舞うかの如く避け続ける『あいつ(クイッ』に遂に悲劇が降り掛かる

 

 

 

「よっ、ほっ、いよっ、ははは無駄無駄。そんなもん何十本、何百本と数打ったところで当たる訳nうわぁ!」

 

急に『あいつ(クイッ』の踊りは足を取られたかと思うと、そのまま奴は下へ先程の火薬玉よろしく落ちていった。

そう、例え『あいつ(クイッ』が何十本、何百本避けようとも奴自身が足場としている屋根がスパルタンに投げ続けられた斧によって少しずつ歪を生み、遂には耐えきれずに決壊してしまったのだ

 

「よっしゃ死ねやこのクソ芋りチキン野郎がァァッァッァァァァァァ!」

「ええまた俺爆破オチィ!? またなのか どうしていつも 爆破キル」

 

そして『祭囃子』は今や非人道的兵器弓使い専用処刑牢と化した長屋に花火を投げ込むと、向こう両隣を巻き込む大きな華がこの外道の天誅を彩った

 

 

「ふぅ、お前ああやって闇雲に投擲してるように見せかけて『あいつ(クイッ』のボッシュートワンキル狙うなんて中々やるじゃん」

 

「え?あ、あぁそうだとも、スパルタンの闘いとは、常に全ての行動が相手を屠る布石なのだからな!」

 

時として運すらも味方とする、これぞ選ばれたスパルタンの闘い方なのだ

 

 

 

だがしかし、この幕末において1つの戦闘が終わるという事はまた新たな「闘争」が始まる事を意味していた。

 

 

「じゃあ続きと行こうや天誅!」

 

「くっ、望む所だ!」

 

しかし、口では虚勢を張る物のスパルタンも連戦に次ぐ連戦により蓄積したダメージは相当であり、ともすれば先程死闘を演じた「剣鬼」ですらも、この修羅が蔓延る幕末においては名無しの一剣士に他ならない存在であり、「二つ名持ち」たる「祭囃子」に至っては万全の状態で相対した所で勝てるかは怪しく、ましてやの満身創痍の手負い状態ではスパルタンの勝ち目は限りなく薄いと言わざるを得ない。

 

「ホラホラホラホラホラァッ!おいおいさっきよりもスピードが更に落ちてんな?なんだもう終わりかぁ?」

 

「まだだ、まだ終わってない!スパルタの魂は滅びない!」

 

だがそれでもスパルタンは諦めない、何故ならスパルタの辞書に載っている『トウソウ』の文字は『闘争』の2文字しか存在しないのだからだ!

 

 

そんな負け戦に等しい見る人によれば『無駄』にも見える闘いを続け、その魂に呼応してしまったのか、この闘いの場に最悪の『災害』を呼び寄せてしまった

 

 

「もらったァ!天誅ゥー!」

 

(しまった!ここまでか…!)

 

 

遂にスパルタンも自らの滅びを想起したその時、スパルタンを天誅せんと振り下ろされた凶刃は『錆色の残光』に遮られた

 

 

「ぼくも、混ぜてよ」

 

 

 

「ゲェ!『レイドボス』!」

 

「アッ…アア、ク、クセルクセスだァッ!クセルクセスが出たぞォォォォォォォ!」

 

 

突然の、幕末という金魚鉢の中の鮫とでも言う『ランカー』の中でも、文句の付けようが無い『最強』にして『最凶』の存在、その強さはシステムを超越し『レイドボス』と呼ばれる者が、この闘いを遮ったのだ

 

 

「相変わらず、君の周りは、面白いね」

 

「ア、アハハ、そりゃどうも」

 

 

(あ、あの『レイドボス』とすらも対等に話している…!?この強さにあのキルマシーンに等しいこの幕末一の狂人(レイドボス)とすらも親交を築ける程の会話力、普通じゃない…こいつ『ランカー』でも無いのにやはり何者なんだ…!?)

 

 

スパルタンが驚くのも無理は無い、いくらスパルタの魂に目覚めたと言えどもまだまだ感性に関しては一般人の域を抜け切れていないスパルタンと、常人ではまず体験し得ない経験(クソゲー)を嬉々として自ら進んで摂取したがる彼とでは生きてきた道が根本からして違う、つまりこの2人の狂人が会話を成立させているのも、スパルタンとは次元(ゲーム)が違うという事なのだ

 

 

 

 

 

 

 

「うぅ…何だよこの状況…」

 

一方時を同じくして、物陰からスパルタンと『二つ名持ち』と「ランカー」の壮絶な睨み合いに完全に飛び出すタイミングを失ってしまったハイエナ共もこのイベントの期間でもそうそうお目にかかれない状況に皆困惑していた。

 

「クッソー、折角あのエセサンラク野郎とにっくきモノホンサンラクも天誅しようと思ったのに…」

 

先程スパルタンと壮絶な死闘を繰り広げ、自らの無念を晴らすべく再ログインし、あわよくば自分をこの修羅に堕としたにっくき『祭囃子』も潰しあって消耗した所を天誅しようと戻って来ていた京極もその一人である

 

 

 

 

 

そしてこの睨めっこにいの一番に抜け出したのは、スパルタンだった

 

 

「かくなる上は!ウオオオオオオオオ!」

 

「あっそれは『あいつ(クイッ』に撃ち落とされた俺の花火!?」

 

「自爆、する気?無駄だよ?」

 

 

スパルタンが懐から取り出したるは、先程図らずも共闘を取る事となった『祭囃子』が落としていった花火玉をいつの間にか導火線に火を着けた状態で掲げていた

 

ああ何と言う事をスパルタン!触れば砕けんとする脆くも鋭い『錆光』を愛刀とする『クセルクセス(レイドボス)』にはそのようなやけっぱちでは到底通用するハズも無い!果たしてスパルタンはここで諦めてしまったというのか!?

 

 

「スパルタの魂はァ!不滅なんだァァァァ!」

 

そう叫んだスパルタンは次の瞬間、『クセルクセス(レイドボス)』にもましてや『祭囃子』にも特攻する事無く、自らの足元に叩きつけその身を熱量を持った大輪へと変えてしまった

 

 

「あいつ勝負を諦めて自爆しやがった…」

 

「なぁんだ、その程度か…」

 

その場にいた、一人は殊更呆気ない一時の嵐のような存在の幕切れに拍子抜けし、片やもう一人はがっくりとした様子を滲ませその対象の興味を失いかけたその時、不思議な事が起こった

 

 

 

 

「………ァァァ……!」

 

 

 

 

「…ん?何だ?」

 

「…声が、聞こえる!」

 

2人がその存在に気付いた瞬間、まだこの『祭り』は終わりなどしていなかったという事にやっと気付くのだった

 

 

 

「アアアアアアアア!アイアムアスパルタァァァァァァァァァァァ!」

 

 

「な、何だアイツ!?上半身だけで吹っ飛んで来たぞ!?」

 

「フライング、スパルタン…!」

 

 

そう、スパルタンが『祭囃子』から拝借した花火を取り出し、自らの足元を吹っ飛ばしたのも、全てはこの狂った世界(幕末)にて『最強』を誇り、『最凶』のプレイヤーたるクセルクセス(レイドボス)に一矢報いるこの瞬間の為だけに自らの身を一輪の花と変えたのである。スパルタは闘いの宿命の中に生きている!例え相手と自らに絶望的なまでの実力差が有ろうと、その作戦により自身が滅びる事となっても、スパルタは闘いに全てを捧げるのだ!

 

 

 

しかし、このような非現実的な異常を前にしても、幕末一の『最凶』は常識の埒外にあるのだった

 

 

 

「わ、笑ってる…!レイドボスさんがとてつもなく黒い笑みを…!」

 

 

 

「君、面白いね」

そう呟いた次の瞬間、あと数ミリで刃が標的に触れる刹那、斧を持つ腕とそれに連なるかろうじて残されていたスパルタンの頭と胴体は、まるで最初からそうであったかのような目にも止まらぬ速さで32分割にされた

 

 

 

「グフッ…死闘終え このスパルタン 悔いは無い」

 

「ああ!あのテケテケ状態の変態スパルタが一瞬で細切れに!」

 

スパルタンは、自分の持ちうる全ての力、知恵、勇気を

出し切り、その魂を払うかの様にその身を電子の粒子へと還っていった

勇猛なるスパルタの魂よ、その御心はヴァルハラへと誘われん事を願おう

 

 

 

 

 

「ふうぅ…何だか、気分が高まって、きた。」

 

「結局何だったんだアイtってうわっ!」

 

 

 

 

 

 

「続き、しよっか?」

 

 

 

「うおおおおおやべええええええあっ京ティメットオッスオッス!」

 

「あっおいバカサンラクコッチに逃げてくんn

 

 

 

「「ウボァー!」」

 

 

〜完〜




1万字書くのでもめっちゃ大変だった………コレをハイペースで書き続けてるネニキ先生やっぱ半端ないって!

因みにもう1つのサンラク視点ではプロット時点でボツになった『モロ出し』や他のランカーとの一悶着がここに来るまでにあったという構想でした。
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