Nadir Song -天底ノ歌-   作:可惜夜ヒビキ

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元々予定していた第二章は消して、第三章から書き始めていこうと思います。迷い子界ってなんなんだ...


第二章 おじいちゃんだけは大丈夫
2-1 森の老人


かくしてペルシャ湾岸からSoldatの本拠地であるドイツへと向かった俺、アランさん、エルフナインさんの三人は

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

完全に道に迷っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

周囲は草木が生い茂り、それらを食べに来る動物たちも多いため食物に困ることはなかったが、何しろ広大な――おまけに高くまで伸びている木のせいで日の光があまり届かず薄暗い――森の中である、これで迷わない方が不思議だろう。方角はわかっているはずなのだが、崖から転げ落ちたのが運の尽きだった。そのまま気絶した俺たちは流され、気がつくと下流まで漂着していたのだ。

 

 

 

 

「――も、もう歩けないです...」

「潜水艦に方位磁針をおいてきたのが一番の問題だろう。今頃向こうは大慌て、か...」

「せめて日の光でもあれば太陽が上ってくる方向で東西は分かるんだけど、ここまで少ないとなると...」

 

 

 

 

 

 

「はぁ...」

 

 

 

 

俺たち四人は、揃ってため息を吐いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――えっ、」

 

 

 

 

 

 

 

ようやく気付いた――誰か一人多い。

恐る恐る隣を見ると、俺の横には同じく困惑の色を浮かべているアランさんが見えた。そしてその横にはエルフナインさんが「いいや違う!!どっからどう見てもエルフナインさんがこんな短時間で急に老けるなんてありえない!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アランさんの隣には、木の節のように窪んだ顔をしている老人が座っていた。一心に焚火を見つめるその目の周りは木の節のように窪んでいて、顔にはしわが深く刻まれていた。その老人は俺の声に反応したのだろう、ゆっくりとこちらを向いて「おや、あなた達も迷子ですか?」と聞いてきた。

 

「見ればわかるでしょ迷子ですよ悪かったね!そうでもなかったらこんなところで三人仲良くため息なんてついてないですって!」

「そうですか、お互い大変ですねぇ」

 

ここで俺は、あれっ、と違和感を覚えた。現在、陸上戦艦やプラズマ銃など対Krieg用兵器の殆どが日本で作られており日本人の技術者が世界各地に派遣されているため、今回のように国外に出ても日本語で会話をする場面は少なくない。が、あまりにも日本語が流暢すぎる――間違いない、彼はアジア出身だ。それも東アジアだろう。

 

「あの、あなたは...?」

「おっと、私としたことが申し遅れてしまいましたな!私は藤堂と申します。こんなところで迷ってますが、れっきとした日本人ですよ」

「そうなんですか!僕達も日本人なんですが今は道に迷っている最中で...」

「おや、奇遇ですねえ。私も同じく、迷ってます」

 

うん、でしょうね。何しろこの森には何も無い。なにか目的があってここにやって来るなら、それは何かから隠れるためだとかそれぐらいだろう。この老人がそんなにスパイ気質な人には、俺には見えなかった。

 

「あはは、お互い大変ですねぇ...ところで、藤堂さんはどうしてここに?」

「実は、とある場所を目指して歩いていたところ、うっかり足を滑らせて崖から落ちてしまいまして...気が付いたら、ここまで流されていたという訳ですな、はっはっは」

 

うわぁ落ち方まで一緒だ、もうどっかで血の繋がりでもあるんじゃないかなぁと心の中で苦笑しつつも、俺はもう一つ質問を投げかけた。

 

「それで、藤堂さんはどこに行こうとしているんですか?」

「聞いて驚かないでくださいよ。私が行こうとしているのは――ドイツです」

 

その瞬間、俺は飲みかけていた水をもう少しで吹いてしまうところだった。こんな偶然、あるだろうか?迷子の森の中で偶然出会った日本国籍の老人と、まさか目的地が一緒になるなんて。これは夢だ、そうに違いないと何度も目をこすったが、目の前にいるのはやはり暗い森と窪んだ顔の老翁だった。

 

「ドイツって――あそこは今や危険地帯と言われている場所じゃないですか!どうしてそんなところに行こうとしているんですか?」

 

耐えきれず、アランが口を開いた。僕たちの言えることじゃないでしょう、と声をかけようと思ったが、流石にここで僕たちもドイツに行きますと言ったらこの老人が同じく俺たちを止めるかもわからない。俺は何とか思いとどまった。

 

「私は――人を探しているんです。」

「人...?」

「えぇ、私の大切な人ですよ。昔はドイツで仕事をしていたんですが、"あの事件"以来すっかり行方が分からなくなって...」

 

あの事件というのはSoldat暴走事件のことである。藤堂さんにとっての大切な人は、よりにもよってドイツで巻き込まれ消息を絶っているらしい。

 

「俺も――」

 

思わず、口を挟んだ。

 

「俺も、妹を探しているんです。ドイツに連れ去られた妹を――」

 

ここまで言って、俺ははっと口をつぐんだ。アランさんとエルフナインさんも察したのだろう、こちらを見、冷や汗をかいている。

老人も、こちらを驚いたように見ていた。

 

 

 

 

 

間。

 

 

 

 

老人がふっと笑うと、口を開いた。

 

「あなたたちも、ドイツに行くんですね」

「いや、これは――」

「もう無理に隠そうとしなくても分かりますよ。大切な人を連れ去られたその気持ち、痛いほどわかります。どうです、ここは私たちとともにドイツを目指しませんか?」

 

願ってもない発言だった。この老人についていけば、俺達三人だけでドイツへ行くよりもすんなりとその国内にはいれるかもしれない。何より、人員は多いに越したことはないだろう。俺は口を開いた。アランさんとエルフナインさんも同時だった。

 

 

 

 

 

 

「ぜひお願いしますッ!!」

 

 

 

 

 

俺たち三人の元気な答えに、藤堂さんも満足したようだった。

 

「ではでは、さっそく老人の知恵を絞りましょうかねぇ...私の予測ですが、この川を下っていけば森を抜けられると思いますよ」

「――?それは、どうして――」

「川はやがて海にたどり着く、という単純なことですよ。仮にこの森が海に面していても、海岸沿いに進めばいつかは抜けられる、ということです。幸いここには豊富な食料がありますから暫くは食べるものには困らないでしょうしね」

「なるほど、流石です!それでは早速出発しましょう!」

 

 

 

 

 

 

〈side アラン〉

 

「う、海...なのか?」

 

あれから1週間はたっただろうか、ようやく俺たちの前の道が開けた。川の水に少し塩気が出てきたことから、どうやら海岸に着いたらしい。前の方で、エルフナインとカレンが話しているのが聞こえる。

 

「でも、まだ森は抜けられていないみたいですね」

「なら、ここから海岸沿いに歩いていけば──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「危ないッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

咄嗟に俺は3人は木陰に押し込んだ。後ろから爆発音と、そして機械の動く音が聞こえた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「チッ、こんなところまで嗅ぎつけてきたか...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Soldatッ!!」




いやーあの章を消したらだいぶ書きやすくなりましたね!!!!(おい)



さてさて次回予告!

「それでは、どうか──ご武運を」

突如襲われたカレンたち一行!
彼らに前に現れたのは、見たことも無い敵で──ッ!?

次回[急襲、そして──]
お楽しみに!
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