Nadir Song -天底ノ歌-   作:可惜夜ヒビキ

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ようやくテストも終わったんでしっかり書けそうです。もう三か月ぐらい更新してない気もするけど学生だから仕方ないね!


2-2 急襲、そして――

「こんなところまで嗅ぎつけてきたか――Soldatッ!!」

 

アランは薄々予想していた。あの時ペルシャ湾上陸の際のひと騒動から、きっと奴らは俺たちのことをつけてきているはずだ。ドイツへ着くまでに、もう一度相まみえることは避けられない――だが。

 

 

 

 

だが、それがあまりにも早すぎるのだ。河口で待ち伏せしていたKriegたちは、隊列を組んでいた。つまり向こうは、偶然ではなく前もって自分たちのことを知り、河口付近で待ち伏せしていたのだ――まるで、自分たちの居場所を知っていたかのように。

アランがKriegとの接触に驚きを隠せずにいると、隣でカレンが叫んだ。

 

「アランさん、行きましょうッ!!俺達でKriegを止めないと!」

「あ、あぁ!エルフナインはどこか安全な場所に!」

「はいッ!!藤堂さん、こちらです!」

 

エルフナインが見えなくなったのを横目で確認すると、2人は聖詠を唱えた。

 

「Necro shen shou jing nova zizzl...」

「Imyuteus amenohabakiri tron...」

 

たちまち、辺りを紫と青色の光が包む。ギアに身を包んだ二人を、木陰から老人が目を見開いて見つめていた。

 

「おぉ...この輝きは...!?」

 

エルフナインが必死に森の奥へと誘導しようとするが、彼はその場からピクリとも動かず、吸い寄せられるかの如く目の前で起こっている戦闘に釘付けになっていた。

 

 

 

「ふっ!!はぁっ!!」

「喰らえッ!!せいッ!!」

 

 

 

アランとカレンは、次々にKriegを倒していった。その光景を見ていた老人は、何やらぶつぶつ言いながら――あろうことか、二人のもとに近づいたのである。

 

「あっ!?待ってください、危ないですッ!!」

 

エルフナインが危険を顧みずと目に行こうとするが、老人は一向にその足を止める気配はない。歩きながら、なおも独り言を言っている。

 

「――あの輝き、そしてこの力...これならきっと、奴らも――」

「いけません藤堂さん!!戻ってくださいッ!!」

 

エルフナインが必死に抑え、木陰に押し戻そうとする。が、なおも老人は歩き続ける。彼の耳に、エルフナインの必死の叫びは届かない。そして――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

幾つかのことが、同時に起こった。

 

 

 

 

 

 

 

 

まず、カレンが老人とエルフナインの存在に気づき、2人を木陰に押し戻そうと駆け寄った。2人のいる場所まではかなり距離があったため、すぐにはそれができなかったが。

そして、アランはその直前に最後のKriegを倒していた。その機体は断末魔の方向を上げたかと思うと、あらぬ方向へミサイルを放った。そのミサイルがとらえたのはカレンでも、アランでもなかった。

 

 

 

 

 

刹那、カレンの目の前で爆発が起こった。周りの土が抉り取られ、爆風が吹き荒れる。

 

 

 

「うッ...!?」

 

 

カレンは思わず後ろにとんだ。砂煙がしばらくそこに漂い、少しずつ消えていく中、カレンは恐ろしいことを思い出していた。

 

 

 

 

 

 

爆発の直前、俺の目の前にいた二人は一体。まさか、あの爆発に――。カレンは最悪の事態を想定し、急いで消えつつある砂煙の中へ向かった。

 

 

「エルフナインさん!藤堂さん!無事ですか!?」

 

 

聞こえてきたのは、か細いすすり声だった。どうやらエルフナインのものらしい。恐らくミサイルが落ちてきたときの恐怖と衝撃で涙が出てしまったんだろう、と一安心して、カレンは声のする方へと向かった。

 

「二人とも、今向かうので動かないで!」

 

 

ほどなくして、小さな人影が見えてきた。近くまで行き、アランは目の前の光景を目にした。こちらを見ながら、泣き続けるエルフナイン。そして、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

うつ伏せで倒れ、出血のとまらない藤堂氏。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

震えながら、エルフナインが声を絞り出した。

 

「と、藤堂さんは、ボクを庇って…」

 

それだけ言うと、老人の腕に突っ伏してまた泣き出してしまった。

 

「そんな…」

 

カレンの後ろで、アランがか細い声を出していた。と、それまでピクリとも動かなかった藤堂氏が、突然喋りだした。

 

「もはや、ここまでですか…せめて、あのバカ科学者に挨拶ぐらいしてやろうと思ってたんだが…」

「ダメです藤堂さん!今喋ったら、傷口が──」

「何も喋らず死ぬより、君たちに私の持つ情報を知らせておいた方がいいでしょう。どの道、私はもうダメですよ」

 

エルフナインを目で制し、老人はそう言った。

 

「バカ科学者…もしかして、あなたの探してる人って言うのは──」

「勘がいいですねぇ。そうですよ、私が探しているのは藤堂集です」

 

やっぱり──。彼の苗字を聞いた時からなにか引っかかるものがあったが、それが取れたような気がした。要するにこの老人は、俺たちにKriegをけしかけ、俺に向かってドイツへ来いと言っていた藤堂集の父親だと言うのだ。

 

「──あなたは、彼の何を知っているんですか?」

 

いつになく真面目なアランの返答に、老人は少し顔を傾けてこう言った。

 

 

 

 

「では──私の知ることを、話せる限り話しましょう。少し長くなるかもしれませんがね…」




今回めちゃ短いです。戦闘シーン端折って早く話進めたいなーって脳死で書いてたらこうなりましたはい。

さて次回は…

「──君に、これを」

老人の正体は、なんとあの天才科学者藤堂集の父親だった。そして今、彼の口から真実が語られる──。


次回[天才の影]

お楽しみに!
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