始まったね
やっと始まった
そうなのかな
誰とも争わずに過ごせたらいいと思って一人になった。でも目の前にさっきまで動いていた肉塊がある。
「ほらこうなった」
私じゃないワタシが呟いた言葉に私は必死に耳を塞いで聞かないようにする。だがその言葉は耳を塞いでもおかまいなしにいつまでも脳内で反響して私を離してはくれない。
「楽になりたい?でも無理よ?」
またなのか
「だってあなたは」
それはもう聞き飽きた
「全てを」
もういい…やめろ
「裏切ったんだから」
ヤメろっていってんだろ!!!
「だから一人ぼっちも仕方ないよね?」
「ヤメロォォォォォォおおおおおおおおおお!!!!!!」
汗だくになり肌に張り付いた服を投げ捨て必死になって己の体を確認する。途中で吐き気がしたがそれをなんとか我慢して痕が残っていないか確認する。そして痕がないのを確かめのかベットに倒れこむ目を閉じゆっくりと息を吸う。
「靈夢さん!?」
意識が少し体を離れたような寝る前の意識が段々と失われていくような心地のいい感覚が私を包み込んで段々と吐き気が和らいでいく。
タッタッタ
床を思いっきり叩いている音が聞こえそちらに目を向けると慌てた様子の鈴仙にこちらに近寄ってきていた。鈴仙が上がった息を必死に整えようともせずに声を掛けてきた。
「靈夢、さん…大丈夫ですか」
こちらを心配そうな顔で覗き込んでいる。
―――その表情が憎い
「そうだ殺せ」
―――ワタシを知らない人が憎い
「殺せ」
―――コロセ
「コロセ」
『「コロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセコロセ―――」』
ワタシは目の前の妖怪衝動のままに飛びつき首を絞める。万力でへし折るようにそのまま捩じ切ってしまうほどの力を込めてへし折ろうとした。
「グッ…ゲッ…レ…イム……さん」
その言葉とともにうどんげの目は妖しくヒカリを放ちワタシは意識を失った。それとともに私の意識が浮上していきしだいにうどんげの首を絞めていた力を緩める。そして静かに立ちベットに座った。目の前で未だに地面に座って息を体内に必死に取り込んでいるうどんげを目の端で捉えながら自分の足をつねり呟いた。
「手術…うまくいったのね」
その言葉にうどんげは少し忌々しそうにこちらを見ながら手で銃の形をつくりこちらに向ける。
「えぇうまくいきましたよ。それで師匠に経過報告のための資料作りのためにきたのですが…その様子なら大丈夫なようですね」
言葉の端からひしひしと伝わる敵意…まるであのころに戻った気分だ。うどんげの赤い目がこちらを向きその目を直視して私は動けるようになった足で部屋のドアに近づいていく。
「化物…」
そう呟いたうどんけの言葉が耳の中で反響していつまでも残っていた。
「化物…」
一瞬目を見られたときに感じた悪寒…人間に恐怖を感じた。これが一番の理由だ。私が示した敵意を敏感に察し。尚且つ私の能力が一瞬しか効かなく二度目は能力を無効化していた。それとともに私の目が捉えた空間の波長の僅かな変化。まるで世界をナニカに塗りつぶしたような僅かな波長の変化…塗りつぶしたはずなのにそれが正しいかのようにすぐさまに波長は元に戻った。でもそれが彼女がしたことだと…故に私は無意識のうちに漏れていたのだろう。
『化物』
と。
私はレイムさんが出て行ったドアを見つめる。そのドアノブにはよく見ると血がついていた。そのことに嫌な予感を覚えドアの外を見るそこには何滴も垂れた血の跡が続いていた。
「…あぁもう!」
仕方なしに血の跡を辿りレイムを追うことにする。言っておくが別に彼女のことが心配だとかそういったことはない。ただ単にあの無表情な顔をさっきの礼もこめてぶん殴りたいだけだ。
―――ほんとうにそうなのかしら?
一瞬どこからか声が聞こえてきたような気がしたが周りを見渡しても誰もいないため聞き間違いだと思いレイムの後を追った。
100人の常人の中に一人の狂人が入ったとしたらその中の100人は汚染されて同じ狂人になってしまう。
実際にそういう事件があったらしいです。
目の前で自分が理解できないことをきっと脳が精神を守るためにそうなってしまうのかそれとも狂人自体の撒き散らす狂気自体に汚染されてそうなってしまうのかは賛否が分かれているらしいのですが。