化物靈夢と幻想郷   作:komika

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あかん全5回って予定だったけど10回くらいになりそう


Another 紫の日記02

彼女に出会ったのは偶然だった。しかし今思えばそれは必然だったのかもしれない。そう思えるほど彼女との出会いが私を変えた。

 

 

 

周りを森で囲まれた中にぽつんとある里。その里のはずれにとてもいい匂いを放っている人間がいた。そこいらの木っ端妖怪では近づくだけで祓われてしまうであろうほどの濃度の霊力。同じ人間だとしても傍にいるだけで首を絞められたかのように息に詰まるであろう。そして例え世に神隠しの元凶と名を轟かせている私をもってしても殺せるかどうかわからないと思えるほどの威圧が霊力に混じり家への立ち入りをひたすらに拒んでいた。

 

「よくって…よくってよ」

 

目の前の死をも感じさせる脅威に紫はただひたすらに興奮していた。頬を僅かに朱く染めねっとりとした視線を目の前の家に向け口角を釣り上げる。その姿は恐怖を感じるほど妖艶で妖怪だとしっても足を止め彼女に魅入っていただろう。

 

「死を伴う狩り。娯楽とは本来こうあるべきですわ」

 

静かに呟き己の能力を使いその家の中を暗闇から伺う。家の中はとてもじゃないが人が住める環境ではなかった。そこらじゅうに埃はたまり敷いてある畳は手入れされていないのかほどけ、もはや最低限の機能すらはたしているようには見えなかった。そしてその家の角隅にはボロボロになった服をきた少女がいた。ボサボサとした髪は膝下まで無造作に伸ばされ体は汚れているせいで埃まみれとなっていた。そして僅かに髪の中から伺える目を見たとき紫は興味をなくしたかのように興奮が完全にさめきっていた。

 

「…少しは期待できると思ったのに……残念ですわ」

 

目の前の少女は目は絶望に沈みきっていた、黒い瞳は濁り虚空を見つめるのみ。そしてその少女のことを暫く見ていた紫はスキマより姿を現し地面に降り立つ。その紫を見た少女は逃げもせずただ見つめるのみ。

紫はどこから出したのか刃渡り4寸ほどの刀を手に持ちそれを少女の喉に突きつけた。しかし少女は震えもせずまるで命そのものに関心がないかのように思える。

 

「あなた死ぬわよ?」

 

妖力を込めながら恐怖心を煽るように紡がれた言葉に少女は色を失った瞳で紫を見つめるだけで何もしない。震えもせず、関心自体ないように見える。

 

「アナタだれ?」

 

そんな少女から絞り出すかのように呟かれた声。もう何日も水を口にしていないのかその声は擦れ切り吐き出される空気の音が目立つほど小さかった。その少女に対して一時的な同情かそれとも気の間違いか紫は名乗る。

 

「スキマ妖怪の八雲紫よ。西洋では狭間の悪魔なんて呼ばれていてよ」

 

次の瞬間紫の背後の空間が縦に裂け目がそこらじゅうに浮いている奇妙な空間が現れた。

 

「なにもないけどゆっくりしていってください」

 

力なくしかし思いが込められたその言葉に私は従う。

 

「えぇゆっくりさせてもらうわ」

 

そして畳の上に座ろうとした時

 

「…ッ!?」

 

(ナゼ今私はこの少女の言葉に大人しく従った?)

 

そう思うと同時に少女から距離を離す。それと同時にスキマを使い催眠術式または思考誘導の礼装がないか空間にサーチをかける。

 

―――空間把握……この家の中限定で特殊な空間の形成を確認。

削除行動開始…失敗

空間解析開始…不明

解除方法検索…不明

 

私が空間の把握に努めていると目の前の彼女はいつの間にか私の目の前に立ち上目遣いでこちらを見上げてくる。

 

「かえら…ないで……いっしょに…いて」

 

汚れた顔に涙を浮かべ懇願する少女。それは喋れば喋るほど少女の歪さを醸しだしその周りにいるものを壊していく。紫はその少女に僅かな恐怖心を抱きかけていた。

 

「放しなさい!近寄らないで!!」

 

自分の恐怖心をごまかすように強く少女を蹴りつけた。少女は壁まで吹き飛ばされ背を壁に預けるかのように倒れた。紫は術式特化の妖怪だとしても妖怪にはかわりない。その妖怪の全力の蹴りを受ければただでは済まないだろう。最悪の場合死ぬことすらありえる。弱冠130歳の妖怪は静かに胸に手を当て荒れた動悸をおさめようとする。

 

「これで…これで終わりよ!ザマァ見たことですか?人間風情が妖怪に逆らうからこうなるのです!!!!」

 

顔を歪ませ必死に少女に向かって叫ぶ言葉。それは必死になり少女がもう反撃の余力を残していないことを祈るかのように叫んだ。

 

「ご…さい」

 

静かに呟きながら立ち上がる少女そしてまた家の角に膝を抱えるように座り込み地面を見つめながらなんどもなんども呪いをかけるように呟き始めた。

 

「ごめんなさい」

 

「ゴメンなさい」

 

「御免なさい」

 

「ゴメンナサイ」

 

それがひたすらに繰り返され少女はまた口を閉じ虚空を見つめ始めた。

 

「化物」

 

紫は恐怖心を怒りでごまかしながらそう呟き裂けた空間の中へと消えた。

 

「やくもゆかり」

 

最後に少女はそう呟き天井を見つめる。

 

「あなたならワタシをコロしてくれる?」

 




『スキマ』
便利な能力、これ一つで空間支配から解析、解除までお手の物

『紫のスキマが負けた空間』
色即是空ゥゥゥを別のベクトルから解釈したらこうなった

『きちゃない少女』
みんな大好き○○ちゃん

『若き頃の紫』
よくってよくってよ!

『化物』
妖怪の力で蹴り飛ばされても外傷いっさいなしの堅さを誇ります(ドやァ

『ごめんなさい』
無敵の言葉
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