インフィニット・ストラトス ー紅蓮ノ太刀ー   作:通りすがりの料理人

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第26話です!

 今回はシリアス&残酷な描写の回です。4機のIS……内一機は狂化機。そして束の前に現れた謎の機体……。そして千冬VSアリーシャ……

 いったいどうなるのか!?蓮仁の運命はいかに!?

それでは混沌と深淵の第26話をどうぞ!


原作前第26話 そして怪物は生まれ堕ちる

前回のあらすじ!

 

遂に動き出した亡国企業!

 

一夏を守る為に変装して態と捕まった蓮仁!

 

連れて行かれた先にて男達を撃破!

 

その後2機のISとも対峙!かろうじて撃破した!

 

そして束さんから不審な連絡が!?

 

逃げようとしたその時、新たに4機のISが現れた……

 

 

 

 

 

 

 

Side束

 

「コチラは今会場近くでレンくんの言ってた4人を相手にしてたけど、今は突然現れた謎の機体と交戦してるの!そして他の4機はソッチに向かってるから直ぐに逃げて!ISのスピードなら直ぐに到着する!それと一機だけ他のより明らかにヤバイのが『プツッ』!?レンくん!?レンくん!?あぁもう!お前がジャミングしたのか!」

 

『その通りだ篠ノ之束。せっかく二人で話しているのに電話など無粋ではないかね?』

 

 今対峙している謎の機体……全身銀色の装甲で身体全体を覆う全身装甲(フルスキン)。ロボットに近いISと違ってコイツはボディーアーマーに近いスタイリッシュな機体……

 明らかにISとは違う得体の知れない奴だ…御丁寧に声まで加工してるし…

 

『おや?コレが気になるのかな?』

 

「はぁ?別に?束さんはお前みたいな有象無象なんか興味無いから消えてくれない?」

 

『おっと、中々辛辣な……だがしかし、本当に私を有象無象だと?貴女のハッキングですら防いで見せた私が?』

 

 チッ!ならコイツが例の奴か!早くレンくんの所に行きたいのに…!でもコイツをほっとく訳にもいかないし…!

 なら……

 

「ふん、あんなの本気な訳ないじゃん。あと急いでるから構ってる余裕無いんだよね〜……来い!ゴーレム!」

 

 そう叫んだ瞬間に事前に潜ませていた無人機型IS【ゴーレム・プロトタイプ】が飛び出してきた。その数は合計5機。アイツ相手ならお釣りがくるくらいだね〜。

 あとはゴーレムに任せてレンくんの所に行こうとした時だ。

 

バキッ!

 

『ふむ…無人機か…興味深い。だがこの程度なら大した脅威にはならないか…』

 

 一撃でゴーレムが破壊された?あぁもう…本当に何なんだよコイツ…!イライラするなぁ!

 

「あぁもう……そこまで言うなら束さん直々にぶっ潰してやるよッ!白騎士ッ!」

 

 そう叫んだ瞬間に身体を白い装甲が覆う

 【白騎士】…私が初めて作ったISのプロトタイプだ。今回最悪を想定して持って来といたけど…まさか本当に使う事になるなんて…

 

『ッ!?白騎士だと…?コアを初期化して解体し、企業などに技術提供の形で公開したゆえにすでに現存していないはずの機体がなぜ……』

 

「残念だけどアレは予備パーツで組み上げたもう一つの白騎士だからね。こっちが本物」

 

 そう、予備パーツで組み上げたもう一つの白騎士を技術提供に出したんだよね〜。流石に一番最初に作ったこの子を解体するのは嫌だったんだもん!でももう一機の方もしっかり作ったしちゃんとコアも入ってるから問題無し! 

 

『く、くははは…まさかこんな所でISのプロトタイプと戦えるとは…!この機体、私が長年研究して作りあげた機体のプロトタイプなのだよ。とあるシステムを搭載していてね。その名も【アー『ごちゃごちゃうるさいんだよ!死ねッ!』ッ!危ない危ない…流石に荷電粒子砲(かでんりゅうしほう)なんて喰らったらひとたまりもない』

 

 アーもう!本当なんかウザいなコイツ!話してるだけでストレスマッハだよ!

 

「とっとと倒してレンくんのとこに行くんだから邪魔するなッ!行くぞゴーレム達!」

 

 そして謎の機体に向かってプラズマブレードを構えて飛び掛かるのだった……

 

 

 

Side束Sideout

 

 

 

 

 

 

Side千冬

 

 

 私は今専用機【暮桜】を纏いピットに待機していた

 決勝戦まであと少し……蓮の事が頭を過る。やはり心配だ……本当なら試合なんか放り出して今すぐに助けに行きたい…!

 

『圧倒的な力で完膚無きまでに叩きのめして来てください』

 

 ……あぁ、そうだな。お前の事ばかり考えて相手を蔑ろにするなんて失礼極まりないからな。

 だから私は……今まで以上に強いぞ?覚悟は良いだろうなジョセスターフ?

 

「システムオールグリーン!暮桜出れます!」

 

 そしていよいよ出撃の時が来た。お前ならなんて言うだろうか?

 ……ふっ…きっとこう言うな

 

「織斑千冬 IS暮桜…出る!」

 

 そう言って私は勢い良くピットから飛び立った

 

 

 


 

 

〜ピット内〜

 

「見ました?あのドヤ顔での出撃セリフ」

 

「はい…なんかギャップが良いですね!」

 

「マジそれな」

 

「意外な一面でしたねぇ…」

 

「「「「HAHAHAHAHAHAHAHA!」」」」

 

 

 


 

 

 

 

 ピットから飛び出すとジョセスターフも飛び出してきた。

 

「この時を待ってたヨ…。千冬と戦えるこの時ヲ!」

 

 片言の日本語で話し掛けてくるジョセスターフ。よほど楽しみだったのかテンションが高めだ

 

「フッ……なら存分に相手になろう。……あぁ、そうだ」

 

「…?」

 

 試合が始まる前にコレだけは言っておこう

 

「今の私は…昨日より遥かに強い。だから…気を抜いたらあっという間に終わると思え…ジョセスターフ」

 

「ッッ!?」ゾクッ

 

 今の私は負ける訳にはいかないし、負ける気がしない。不甲斐ない姿を見せられない!蓮にも一夏にも世界にも!私が最強だと世界中に知らしめてやろう…!

 

「まったく…とんでもない気迫だヨ……少しビックリしちゃったじゃないカ…」

 

そして試合が開始されるのだった……

 

 

Side千冬Sideout

 

 

 

 

 

 

 

 

Side蓮仁

 

 

 束さんから連絡を受けて直ぐに4機ものISが現れた。軽く今の状況を整理すると……IS2機を撃破したが既に肉体ダメージがかなりのものだ。武器は十分にある。あるが……勝つ見込みは無いな……逃げに撤するのが一番良いんだろうな…。しかし相手はIS4機。しかもリーダー機と思われる機体は他のよりデザインが違うし強そうだ。閃光弾などで足止めしても逃げ切れるかどうか……。それに一般人への被害が出そうだし…やはりここで時間を稼いでドイツ軍か束さん、千冬さんが来るのを待つしか無いから……。

 

 既にガタがきている肉体。無理すれば身体強化で戦えるが闘気解放を使ったらどうなるのか……。でも場合によっては使わないと死ぬ……。……あぁ、命のやり取りなんて山籠りして以来だな。前の方が幾分かマシだったけど。

 さて、覚悟は決まった。刀を抜刀して構える

 

「《身体強化・速》ッ!」

 

 スピード特化状態になり攻撃を仕掛ける。壁を蹴って飛び上がり背後に近付き上段に構え振り下ろす。

 

「《時雨流・岩砕割り》ッッ!」

 

「グアッ!?」

 

 一機を地面に叩きつけ、追撃しようとした時

 

「調子に乗るなよクソガキが!」

 

「なっ!?速…!ッッグアッ!!?」

 

 いつの間にかすぐ近くに来ていたリーダー機に首を掴まれた。そして掴んだまま地面に向かって急降下し地面に叩きつけられた

 

「〜〜〜〜〜ッッッッ!?」

 

 凄まじい衝撃により肺から空気が抜けて声が出ない。そして背中から伝わる激痛により意識が飛びかけた。口からは血が吐き出され周りに飛散する

 

「ゲホッ!ゲホッ!グアァァァッ……」

 

「あん?なんだよまだ意識あんのか?コイツ本当に人間かよ」

 

 そう言って再び俺の首を掴もうとしたのをかろうじて躱して距離を取る。急降下からの叩きつけにより内臓と骨が幾つかやられた……既に呼吸するだけで肺が焼けるように痛む。そんな中でも武器を手放さなかったのは修行の成果だ。

 

 俺は再び刀を構えるがカタカタと揺れている。……俺の身体が震えているのか。痛み・絶望・焦り・恐怖が俺を襲う。本能が告げる。コイツには勝てない、今すぐに逃げろと。しかし奴らは逃がす気は無い。

 あぁ、もう全てを投げ出して逃げてしまいたい。武器を握るのすら辛い。でも……それでも逃げる訳には行かない…!今逃げたら他の人が危ない、一夏が危ない!それだけは絶対に嫌だ!

 ……だから、もうなりふり構ってる場合じゃ無い……この後どうなるかなんて分からない。それでも今よりはマシな状況になるかも知れない……

 

「ハァッ…ハァッ…ゲホッ………ふぅー……《闘気解放》ッ…!35%ッ!」

 

 35%…それが今俺に使える最高の力。ただしダメージを負った今の状態で扱えるか分からないが……

 

 そして俺は残像を残しながら走り出す。

 

「《時雨流(しぐれりゅう)・幻像霧月(げんぞうむげつ)》」

 

 幻像霧月…残像を残す速さで移動し敵を撹乱、そして敵を惑わせて斬り掛かる技。

 そして俺は残像を残しなからリーダー機に斬り掛かる。繰り出す技は最速の抜刀術《時雨流・疾風斬り》……その上位技の《時雨流“極”疾風迅舞》だ。抜刀の勢いのまま複数回斬り裂く技。威力はソコソコ、しかしスピードと手数が多い技。これでコイツのSEをなるべく削る。

 

「《時雨流“極”疾風迅…ッ!グハッ!?」

 

 技を繰り出そうとした時だ。横腹に衝撃を感じたと思った次の瞬間には吹き飛ばされて壁を突き破っていた。

 

「テメェはハイパーセンサーを舐めすぎだ。言ったろ?調子に乗るなってなぁッ!」

 

 そう言って銃を乱射してきた。身体が悲鳴を上げるが無理矢理動かして逃げる。しかし反応が遅すぎた。

 

「ガハッ!?グゥ……ヴァァァァァッ!!?」

 

 何発も被弾し右耳は吹き飛び脇腹を抉られ、左足の太ももを掠る。もっとも酷いのが左腕だ。二の腕に被弾した事により骨まで抉られて今にも千切れそうになっている。

 

 痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!!?

 

「グアァァァァァァァァァァァァァァッッッッッッ!!?」

 

 ただ叫ぶ事しかできない。俺でも分かるこれは致命傷だ。血を流しすぎている。なんだよコイツは……さっきの奴らとは桁違いの強さじゃないかよ……コイツの方が化物じゃねぇか…!

 

「ウ"ゥ"…カ"ア"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ッッッ!!」

 

 意識が朦朧とする中、それでも俺は斬り掛かる。もはや攻撃とも言えないような斬り裂きを喰らわせようとする。

 

 しかし

 

バキッ

 

「いい加減に死ね」

 

「ガアッ!?」

 

 飛び掛かった瞬間に愛刀の【雪月赤】を掴まれ、そして折られた。空中にて勢いを失った俺の腹を思いっきり殴り再び地面に叩きつけた。

 

「ゴヒュッ……」

 

 口から血が噴水のように溢れ出し辺りに血溜まりを作っていく。

 

 あぁ…もう……動けねぇ……

 

 そしてISを纏った4人、さっき気絶させた2人がコチラに近付いてきた。そして気絶させた片方の奴が俺の腹を蹴り飛ばす。

 

「このクソクソクソがッ!穢らわしい男の分際でよくもやってくれたな!?死ね!苦しんで死ね死ね死ねッ!」

 

 何度も何度も蹴り飛ばす。腹を、顔を、何度も何度も……胸ぐらを掴んで殴る、殴る、殴る。

 もう意識がほとんど消えかかっている中でひたすらに罵詈雑言を履かれながら暴行されている事ははっきり分かった。

 

「おい、その辺にしとけ」

 

「しかしオータムさん!コイツは…」

 

「止めろって言ってんのが分かんねぇか?あぁ?」

 

「ッ!……すいません…」

 

 そしてリーダー機……オータムがコチラに近付いてきた。

 

「悪いな。今楽にしてやるッッ!?グハッ!ゴホッゴホッ!?」

 

「…!?オータムさん!?」

 

 突然血を吐き出すオータムに周りが戸惑う

 

「大丈夫だ……チッ、ゲノムの野郎が言ってたがまさかここまで肉体的負荷があるとはな……ゴホッ」

 

「確か改造機でしたよね?このガキのスピードに対応できるなんて……普通のラファールならまず反応すら出来ませんよ」

 

「その分かなり危険だがな……。まぁいい、待たせたな。今から楽にしてやる」

 

 銃のトリガーに指をかけたその時

 

『待ちたまえ君たち。彼を殺すな』

 

「あぁ?なんだよゲノム?」

 

 突然通信が入り指を止めた

 

『戦いながらだが彼の力を……グウッ!?……ハァッ…ハァッ…彼の力を見た。素晴らしい力だ。是非研究がしたい生きたまま連れて来てくれ』

 

「……つまり何だ?このガキをモルモットにするのか?」

 

『モルモットだなんてとんでもない。実験に協力して貰うだけさ』

 

「(それがモルモットって言うんだよ)……分かったがもう死にかけだ。助かるか分かんねぇからな」

 

『最悪死体でも構わない。コチラに着くまでに生きていれば延命措置くらいは出来る。コチラも戦闘中でねッ!クッ…!結構手こずっている!頼んだぞオータムくん!』

 

 そこで通信が途切れた

 

「チッ…あのマッドサイエンティストが……気にくわねぇな…。お前ら!通信を聞いたな!ソイツを可能な限り止血しておけ!」

 

 

 …………あぁ…死ぬか、モルモットになるか……本当に…最悪だ……

 

 ………死にたく無い……まだ…死にたく無い………

 もっと生きたい……まだ…やりたい事が…沢山あるのに………母さん……親父……黒丸……シフ……師匠……箒……鈴……弾……数馬……キリト……ユイ……直葉……束さん……千冬さん………一夏………誰か……助けてくれ……

 

 ……まだ皆と遊びに行きたかった…ALOの世界だってもっと冒険したかった……箒と再会する約束だってしたのに……まだ…母さんにも親父にも…親孝行出来てない……

 

 ……誰か……誰か……誰か!…………

 ………………………………………………

 …………………………………

 ……………………

 ………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……誰も……助けになんて…来ない……

 

 

 

 …助けを求めても無駄だ……自分でなんとかするしかない…

 

 

 

 ………力……力が…欲しい……!コイツ等を…コイツ等を殺せる力が…!

 

 

 

 

〘力を求めるか?〙

 

 ………誰だ?

 

〘貴様は力を求めるか?〙

 

 ……欲しい……力が…欲しい……力が必要だ…!

 

「だ…から……力を…寄…越せ…ッ!」

 

〘ならば貴様の血を寄越せ。血の契約を結べ〙

 

 突然左腕のブレスレットが光出すと朱時雨が現れた。俺は右腕を伸ばして掴む。

 ……血ならいくらでもくれてやる、沢山流したからな……

 

 朱時雨を地面の血溜まりに突き立てる。するとみるみるうちに血が朱時雨に吸収されていく。

 ソレを…その光景をオータム達はただ眺めるしか出来なかった。余りに現実離れした、恐ろしいそのナニカにより動けなくなる。

 

〘足りない……もっとだ…もっと寄越せ……心の臓に突き刺せ…〙

 

「…なら…ゲホッ……好きなだけッ……持って…行けッ…!」

 

 俺は朱時雨を自分の心臓に朱時雨を突き刺した。もう痛みも何も感じない。心臓を突き刺した筈なのに、普通は死んでる筈なのに……何も感じない……

 血を吸い取られる感覚が伝わる。

そして朱時雨を引き抜いた瞬間に意識を手放した……

 

 

Side蓮仁Sideout

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……その日、一匹の怪物が生まれ堕ちた。

 憎しみ・怒り・殺意・悪意……それらが生んだ怪物はゆっくりと起き上がる。

 

「ッ!!今すぐに離れろ!様子が変だ!」

 

 オータムがそう叫び部下を離れさせようとする。しかし蓮仁を蹴り飛ばしていた女は動けないでいた。

 

「ク"ル"ル"ル"ゥ"ゥ"ッ…」

 

 そこに一歩ずつゆっくりと歩いて来る蓮仁……。まるで獣のように唸り声を上げ、睨み付けながら歩く。しかしその目は光を灯しておらず、黒かった瞳が血のように真っ赤に変色し、更に瞳孔が縦に裂けて爬虫類のようになっていた。

 

 そして千切れ掛けている腕で女の首を掴んで持ち上げる。

 

「ガッ……ば、化物…」

 

ゴキッ

 

 突如として鳴り響く音…そして力無く垂れる女の腕……。

 オータム達は悟った。仲間が死んだ事を。

 

「う、撃てぇぇぇぇぇぇぇッ!?」

 

 そう叫び号令した瞬間。ISを破壊されたもう一人の女が縦に真っ二つになっていた。

 

「…は?」

 

 つい数秒前まで目の前にいた部下が叫んだ瞬間に真っ二つになっている異常な光景に思考が停止する。そしてようやく理解した時に悲鳴が響いた。

 

「キャアァァァァァァァッ!?」

 

 恐怖の余りに叫んだ部下。そして次の瞬間……その部下の前に蓮仁が現れた。そして胸に朱時雨を突き刺した。

 

「……えっ…?ゴフッ!?」

 

 その女のISは未だダメージを受けていないSEがMAXの状態だった。その筈なのにたった一突きでシールドバリアーが破壊され、絶対防御も突破された。

 

 しかしまだ救いようがあると武器を構えて蓮仁を攻撃しようとした瞬間……。

 

 その女が爆ぜた。

 まるで体内で爆薬が爆発したかのように爆ぜ、辺り一面に肉片を撒き散らして死んだ。

 

「う"、う"お"ぇ"ぇ"ぇ"ぇ"ぇ"っ!?」

 

 誰かが吐いた。無理も無い。突然仲間が爆ぜて肉片になった光景などを間近で見たのだから。

 

 

そして蓮仁は残り3人の方を見る。

 

「ク"ゥ"オ"お"オ"お"ォ"ォ"ォ"ぉ"ぉ"ォ"ぉ"オ"お"お"オ"オ"オ"お"オ"ォ"ぉ"ぉ"オ"お"ォ"ォ"ォ"ぉ"オ"ォ"オ"お"お"オ"ォ"ォ"ぉ"オ"ォ"オ"お"オ"ッッッッ!!!」

 

「ヒッ!?」

 

 とても人間が出すような声では無い。そんな叫びがドイツに響き渡る。この時悟った。コイツは人間じゃない……化物だと。

 

「て、撤退だ!戦うな!逃げろ!」

 

 そう言って飛び上がり最高速度で逃げるオータム。ふと横を見る。そこに並走する内の一機に乗ってる部下。

 その部下の頭が無い。後ろを振り向いた。振り向いてしまった。怪物の左手に無造作に掴まれた物体を見てしまった。

 

 部下の頭だ。ハイパーセンサーで見えたその顔は恐怖に染まっていて絶望した顔で絶命していた。

 

 胃の中身がこみ上げるのを抑え必死に逃げる。

 

 その光景を見た蓮仁は……否、蓮仁の姿をした怪物は左手に持っている頭を放り投げて八双に構えた。筋肉が膨張し、朱時雨に途轍もない量の《気》が込められていく。

 そしてその刃を振り下ろした

 

 

     《時雨流(しぐれりゅう)“極(きわみ)”・真空烈斬(しんくうれつざん)》 

 

 

 その一撃はあまりにも強力であり空気を斬り裂き真空状態すら作り出した。そしてその一撃を振り下ろした蓮仁の筋肉はブチブチと音をたて千切れ、健も断裂し、両手両足の骨は粉砕した。更に内臓にも多大なダメージを負った。

 

 そんな一撃は空を裂きながら突き進む。狙った獲物を切り裂く為に。

 

 そして……

 

「オータムさん危ない!」

 

「ッ!?」

 

 死んだ。オータムはそう思った……しかし横からの衝撃により攻撃の直撃は避けられた。しかし左腕が切断されてしまった。

 そして、横からの衝撃……それは部下がオータムを押し出した衝撃だった。そしてその部下は真っ二つになって地上へと落下していった

 

「あ"…ア"ア"ア"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ァ"ッ!?…ッ!クソクソクソクソッ!この化物がぁぁぁぁッ!殺す!殺してやるッ!アイツ等の仇をとってやるッッ!」

 

『止めろオータムくん!彼は危険だ!逃げるぞ!』

 

 そこに現れたのは束と戦っていたDr.ゲノムだ。機体は既にボロボロである。

 

「チクショウッッ!お前は!俺が殺す!絶対に殺してやるッ!死んだアイツ等の仇をとってやる!絶対に!ぶっ殺してやるッ!!」

 

 オータムはゲノムに抱えられながらそう叫んだ。そんなオータムに向かって再び刀を八双に構えよえとしたが身体が動けなくなっていた。限界など既に過ぎていた肉体だ。もう立つので精一杯だろう。

 

「ク"ゥ"オ"オ"お"お"オ"オ"ぉ"ぉ"ォ"ォ"ォ"オ"お"オ"お"オ"オ"お"お"オ"ぉ"ぉ"ぉ"ォ"ォ"ォ"ォ"ォ"オ"ぉ"ォ"ォ"オ"ぉ"オ"オ"ぉ"ォ"ォ"ォ"ォ"ォ"ォ"オ"ぉ"ォ"ォ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"オ"ぉ"ぉ"ぉ"ぉ"ォ"オ"お"お"お"オ"オ"オ"オ"オ"オ"お"オ"オ"お"お"オ"ぉ"ぉ"ォ"ォ"ォ"ォ"オ"ぉ"ォッッッ!!!」

 

 血のように真っ赤な瞳でオータムを睨み付ける。

 そして怪物は叫ぶ。

 それは産声だ。怪物が生まれ堕ちた産声なのだ。

 

 その光景を、一方的な虐殺を目の当たりにしたドイツ軍は恐怖に支配された。

 

「……蓮…?蓮なのか……?」

 

「嘘……レン…くん……?」

 

 そして同じようにその光景を見てしまった束と千冬は呆然と見る事しか出来なかった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

“Beware that, when fighting monsters,

you yourself do not become a

monster… for when you gaze long into

the abyss.The abyss gazes also into you.”

 

“怪物と戦う者は、その過程で自分自身も

怪物になることのないように気をつけなくてはならない。

深淵を除く時、深淵もまたこちらをのぞいているのだ”

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




第26話でした

 蓮仁くんは朱時雨との血の契約により暴走。瞳が真っ赤に変色し、強大な力を使い殺戮者と化す。


【それぞれの被害状況】

蓮仁
両手両足の粉砕骨折・他数十箇所の骨折・内臓に多大なダメージ・片方の肺に肋骨が突き刺さる・左腕が千切れかかる・右耳喪失・左足が抉られる・脇腹を抉られる・筋肉複数箇所が千切れる・健の断裂
愛刀【雪月赤】を破壊された。

束
ゴーレム・プロトタイプ全てが大破。内一機を奪われた。
白騎士中破。武装は全て破壊された。


Dr.ゲノム
謎の機体中破。ゴーレムを一機手に入れた。

オータム
左腕を喪失。他のIS操縦者の部下5人が死亡。男部下達はドイツ軍に連行された。


しばらくシリアスだけど次回もお楽しみに!
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