インフィニット・ストラトス ー紅蓮ノ太刀ー   作:通りすがりの料理人

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アズ「前回のあ・ら・す・じ♡」


蓮仁「…力…力が欲しい…!コイツ等を殺せる力が…!」

アズ「感じる。あなたの心から、湧き上がる『悪意』を」

 そして蓮仁はアズに渡されたアークワンプログライズキー。そしてアークドライバーワンを装着する。

《アークワン!》

「変身……!」

《シンギュライズ!》

《破壊!破滅!絶望!滅亡せよ!》

《コンクールジョン・ワン…》

アズ「ふふふ…新たなアーク様の誕生よ」

 新たなアークへと変身した蓮仁は亡国企業の敵を殺戮するのだった……

作者 ∑「止めろぉッ!?勝手に前回の話しを捏造するなぁ!あと蓮仁を闇に引き込むな!帰れ帰れ!」

アズ「貴方が投稿するの遅いのが悪いのよ」

蓮仁「そうだそうだ!前話から25日も経ったぞ!」

作者「ごもっともですッ!読者の皆さんすいませんッ!それはそうと帰って!?」

アズ「ソコに悪意がある限り私はまた現れるわ」

作者「不穏な事を言い残してから帰りやがった!?」


はい、不穏な感じで始まった第27話です

 前回暴走を起こした蓮仁くん。
 強すぎる(驚愕)
 一撃でISを搭乗者ごと斬る程の力を発揮。しかし身体が破壊されて満身創痍……
 助けて束さん!アンタじゃないと蓮仁くん助けられない!このままじゃ【インフィニット・ストラトス ー紅蓮ノ太刀ー 完】ってなっちゃうから!まだ原作前なのに!

それでは第27話をどうぞ!


原作前第27話 事件の収束

前回のあらすじ

 

蓮仁の前に現れた4機のIS

 

しかしリーダー機の圧倒的な力を前に敗北した

 

奥の手も通じず致命傷を負った蓮仁

 

そして悪意・殺意・怒り・憎しみに呑まれる

 

朱時雨との血の契約を交わし自我を失った

 

暴走し敵を殺戮するのだった………

 

 

 

 

 

 

Side千冬

 

 私は目の前で起きた事が信じられずに只々呆然としていた。

 蓮が……蓮が人を殺す姿を目撃してしまった……。まるで獣のように自我を感じさせない瞳は真っ赤に染まり、瞳孔が縦に裂けている。

 私はその瞳に恐怖を抱いてしまった。アレはいったい誰だ?本当に蓮なのか?今までに感じた事の無い濃厚な殺意を前にして頭が整理出来なくなる。只々一つ分かるのは、アレと戦ったら私は殺されるだろう。

 既にフラフラで立ってるのが精一杯の筈なのに、それでも殺されるイメージしか出てこない……

 

 すると突然殺気が消えて赤かった瞳が黒に戻る。そして蓮が倒れた。我に返った私は直ぐに蓮のもとに走る。

 

「蓮!蓮!!しっかりしろ!」

 

「ちーちゃん退いてッ!」

 

「ッ!束ッ!貴様何故蓮を巻き込んだッ!!何故私に秘密にしたッ!?」

 

「今はレンくんの事が先でしょ!?手遅れになるよッ!?」

 

 …ッ!そうだ、まずは蓮が最優先だ。早くしなければ死んでしまうッ!!

 改めて傷を見る。身体中に傷を負っている……。傷の無い場所を探すのが難しい程にだ。左耳は無くなり、左腕も千切れかけている……。脇腹や足も抉られて今もなお血を流している。明らかに致命傷だ。

 

「ッ…!止血するぞ!何か布か何か無いか!?」

 

「コレを使って!血が出ないようにキツく縛って!」

 

 束から渡された布や包帯を傷に巻き付ける。すると束が蓮の腕に注射を刺して何かを注入していた。

 

「治療用ナノマシンだけど……この状態だと効き目は…」

 

「ッ!直ぐに病院に運ぶぞ!」

 

「待って!病院よりドイツ軍の施設の方が近い!医療機関も充分な筈!」

 

 それを聞いて直ぐ近くにいたドイツ軍人を呼んで直ぐに移動を始めた。移動中も止血していたが段々と体温が低くなっていく蓮を見て焦り・後悔・怒りと様々な感情が湧き出てくる。

 

(何故私はあの時蓮を信じてしまったッ…!まだ中学生の子供を一人死ぬかもしれない場所に何故送り出してしまった…ッ!)

 

 情けない…!何故私は……クソクソクソッ!

 

 そしてドイツ軍の施設に到着し直ぐに治療室に運び込み、直ぐに手術が始まった。束は流石に正体を見せるのはマズイので姿を変えて手術に参加している。

 

 私は…ただ見てるだけしか出来なかった……

 

 

 

 

 

 

 十数分がたった時に束が出てきた。何故出てきたのか分からないが手術が終わった訳では無いだろう。いくら束でもあの重症を十数分で治せる筈が無い。

 

「ちーちゃん…。落ち着いて聞いて……。このままだとレンくんは……もって1時間くらいの命なの…」

 

「ッ!なんとかならないか!?お前なら治せるんじゃ無いのか!?」

 

「…ッ!私だって治せるなら今すぐに治したいよ!でも私だって出来ない事くらいあるッ!辛いのが自分だけなんて思わないでッ!!」

 

「……ッ!?……すまない…。何か手は無いのか…?」

 

「有るには有るよ。ただ……絶対に助かるか分からないし、なんなら死んじゃう可能性の方が遥かに高い…」

 

 助かる見込みはもうそれしか無いようだ……どんなに可能性が低くてもそれに賭けるしかない

 すると束が何かを取り出した

 

「コレは前に私が作り出した治療用ナノマシン。ただとても危険で失敗作としか言いようが無い代物なんだ…。投与した者を爆発的な回復速度で治療するけど、回復する時に尋常じゃ無い痛みが襲うし、身体の構造そのものを作り変えちゃうんだ…。だからその痛みに耐えきれなかったらレンくんは……死ぬ」

 

「……その痛みに耐えるのはいったいどれほどの時間なんだ…?」

 

「………前例が無いから分からないけど……傷の完全治癒にまる1日、身体の構造を作り変えるのにまる2日…合計3日くらいだと思う……」

 

 まる3日だと……?その期間中に常人ならショック死する激痛に耐え続けるなんて……!

 

「それにレンくんが暴れださないように3日間押さえ込まないといけないよ。レンくんの力だとちーちゃんと私が押さえるしか無いけど……」

 

「みなまで言うな。直ぐに始めるぞ準備しろ!」

 

「う、うん!」

 

 そして現在ドイツ軍に保護されている一夏の元に向かう。案内されて入った部屋に一夏は座っていた。

 

「…ッ!千冬姉!」

 

「一夏……すまないが私はやらなくてはならない事がある…。明日の朝に日本行きの飛行機で先に戻って欲しい」

 

「…………なぁ…蓮は……?」

 

「…………ッ!!……すまないが今は何も言えない…」

 

「千冬姉ッ!」

 

「すまない……」

 

 私はそう言い残して部屋を後にした…

 

 それから程なくして準備は整い蓮を拘束しているベッドに来ていた。身体中を包帯で覆っている姿は痛々しく、血が滲んで包帯の白さが皆無だ。

 束曰く、ナノマシンで延命はしたがそれでもどうして未だに生きていられるのか分からない程の重症らしいが……。あの傷を見れば誰でもそう思うだろうな…

 

 既に厳重に拘束されているがそれでも押さえられないだろう……

 

「ちーちゃん行くよ?」

 

「あぁ、いつでも始めてくれ」

 

 そして束が蓮の腕に注射を差し込みナノマシンを注入していく。全てを注入し終え、しばらくした時に変化が訪れた。

 

「う"、う"ぅ"ぅ"ぅ"ぅ"ッ…!」

 

 蓮が苦しそうに身じろぎし始めて唸り声をあげた。

 

 次の瞬間

 

「ガアァァァァァァァァァッ!?」

 

「「ッ!?」」

 

 突然凄まじい咆哮を上げながら暴れ始めて拘束を破壊しようとしたのだ。突然の変化に私達は驚いたが直ぐに蓮を押さえる。

 

「クッ…!?なんて力だ…!」

 

「これは…!キツイねッ…!」

 

 その力は人間が出せるような力では無かった。筋肉も骨も既にボロボロの身体の筈なのに……!

 

 すると蓮の身体に異変が訪れた。身体中の傷から煙が出てきたのだ。

 

「おい束!何だコレはッ!?」

 

「傷が治って来てるだけだから大丈夫ッ!」

 

 見た感じだと回復してるのか分からないが徐々に治っていくらしい。

 そして1時間が経った頃にある変化に気付いた。千切れ掛けていた腕が元の状態に近付いて来ているのだ。更に回復してるせいか力が強くなっている。この状態だと明日には抑えきれなくなりそうだ…

 

「ハァッ…ハァッ…ちーちゃん大丈夫…?」

 

「問題無い…と言いたい所だがこのままだと何れ力負けするぞ。最悪ISを使って押さえるしか無い…!」

 

 

 そしてまる1日押さえ込む私達だったが遂に生身では押さえ込む事が不可能になりISを纏った。束が何故か白騎士を纏っていたが今は何も言うまい。言う余裕が無いともいうが……

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして2日目に入った。相変わらず獣のように叫び続ける蓮だったが時折

 

「苦しいッ!!」

 

「痛いッ!!」

 

「止めてくれッ!!」

 

「殺してくれッ!!」

 

 …と叫んでいる。叫び過ぎて喉が潰れて血を吐いても暫くすればナノマシンにより治癒されてまた叫びだすのを繰り返している。私達は涙を流しながら声を掛けていた。聞こえているかも分からないが必死に励ましの言葉を掛け続けていた。

 もう私も束も肉体的にも精神的にも限界が近付いてきていた……

 

 正午を過ぎて暫くすると蓮の身体は完全に治癒されていた。腕は繋がり、抉られた箇所も元通りになり、一番驚いたのは欠損した筈の耳が生えてきていた事だ。

 

「ハァッ…ハァッ…もう……命の心配は…無いよ……」

 

 束のその言葉を聞いて泣いてしまいそうになるがなんとか堪えた。まだ終わった訳では無いのに気は抜けない。

 これから身体の構造が変化するらしい。嗚咽しながらもなんとか押さえ込む。

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして3日目。いよいよ今日を乗り切れば蓮を襲う激痛も収まる。最後の正念場だ。

 

「グゥアアアアアアァァァァァァァァァッ!?」

 

 相変わらず叫び暴れる蓮。しかし明らかに昨日より力が強い……いや強すぎる。既にISでも押さえ込みきれない程の力だ。肉体の構造が変化しているからだろう。力だけでは無い。姿まで変わって来ているのだ。170cm程だった身長が180cm程までに伸びているし、見た感じはそこまでがっしりしていない……というよりガリガリな肉体だ。おそらく余分な脂肪を回復の為のエネルギーとしているのだろう。だがこのパワーからして途轍もない筋肉密度のようだ。そして髪も伸びて肩に届く程に長い。その髪は痛みのストレスにより黒かった髪は白髪へと変色していた。

 

 その変わり果てた姿を見ると自分の不甲斐なさに腹が立ってくる。そう思った瞬間に蓮の瞳が突然黒色から真っ赤に変色した。そして拘束具を破壊して私に掴みかかってきた。

 

「グゥオオオオオォォォォォォォォッ!!」

 

「ガハッ!?」

 

「ちーちゃん!?」

 

 突然の事態に反応ができずに首を掴まれて持ち上げられた。ISを纏っているにもかかわらず片手で軽々と。

 そして脳裏を過る蓮が首を折った光景……

 段々と首を締め付けてくる腕を掴むが全く引き剥がせない。束も止めようとするがビクともしていない。

 

(あぁ…死ぬのか私は……)

 

 人生で始めて死を感じた。しかし不思議と恐怖は湧き上がってこない。湧き上がるのは自分自身の不甲斐なさばかりだ。

 私は手を伸ばし蓮の頬を触れた。

 

「す…まない……蓮……守っ…て…やれな…くて…」

 

 私はそう言って目を瞑り、自分の死ぬ瞬間を待つ。

 

 しかしいくら待っても首を折られる事は無かった。目を開けるとそこには涙を流している蓮がいた。意思の無い瞳だったが元通りの黒色に戻っており、その瞳から涙を流していた。

 

 そして意識を失ったのか倒れた。慌てて私と蓮をキャッチした束は蓮の様子を見て驚いた顔をした後にへたり込んだ。

 

「痛みが収まってる……。治ったんだ。予定より早く」

 

 それを聞いて私もへたり込んだ。そして張り詰めていた緊張感が一気に解けてしまい涙が溢れてきた。

 そしてそれを見た束も泣き出してしまい私に抱き着いてきた。

 

「うぇぇぇぇぇん…良かった…良かったぁぁぁぁッ!」

 

「な、泣き過ぎだ…グスッ……うぅぅッ…!」

 

 そして数分してからようやく落ち着いて離れた。

 

「……ちーちゃん酷い匂いだからシャワー浴びてきたら?」

 

「お前だって酷い匂いだろうが……すまないが先に浴びてくる…」

 

「うん、レンくんは任せて」

 

 

 それから交代でシャワーを浴びて食事を取り、仮眠をとった。蓮の身体も拭いたりして汚れを落とした。

 

 まだ目を覚まさない……。束に聞いても分からないと言われた。

 

 そしてドイツ軍から部隊を動員した事、テロリストを捕縛した事、施設を貸し出した事、現場の死体などの後処理をした事の見返りで私をドイツ軍のIS部隊の教官として1年間指導してほしいと言われた。

 

 これに対して束(変装済み)は憤慨した。部隊を動員したが何の結果も出していないし、捕縛したテロリストも蓮が倒して気絶させた男達だ。施設や後処理は感謝しているがその2つは納得いかない、と

 

「分かりました。1年間の指導ですね」

 

「ちーちゃん!?」

 

「良いんだ。今こうして蓮が生きてるのだって少なからずは軍のおかげだ。借りは返すさ」

 

 束は何処か不満そうだったがもう決めた事だ。勝手に決めて一夏には悪いが……。とにかく1年間はドイツでの指導だ。

 

 そして数日後に日本に一時帰還するために飛行機に乗るのだった。

 

 しかし、この数日で蓮が目覚める事は無かった……

 

 

 

Side千冬Sideout

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side蓮仁

 

 

 暗い、真っ暗な場所にいる。

 

 いったいここは何処なんだ?なんでこんな所にいるんだ?俺は何をしていたんだ……?

 

 確か……そうだ。ドイツに来て……戦っていたんだ…!ISの増援が来て…俺は殺されかけて……。

 

 

 …………俺はその後どうなった?意識が曖昧で思い出せない……

 

 

 すると

 

 突然目の前の暗闇が消えて景色が現れた。そしてその光景を目の当たりにした。

 

「なんだよこれ……」

 

 突然景色が変わって、そして目の前にいる奴……

 

 血溜まりに倒れた俺自身だ。

 

「なんで俺が……うぅっ!?」

 

 頭痛の後に段々と記憶が呼び起こされていき、血の気が引いていく。

 

 

 力を求めるか?

 

「ッ!?この声はあの時の!?」

 

 貴様は力を求めるか?

 

 あぁ…そうだ……俺はこの時に力を求めて……ッ!

 

『だ…から……力を…寄…越せ…ッ!』

 

「駄目だ……駄目だ止めろッ!」

 

 

 そして朱時雨が現れて血を吸っていき、最後に自分の心臓に突き刺した。

 

 

 すると意識を失ったのか力無く項垂れたと思った次の瞬間虚ろな瞳のままゆっくりと立ち上がり朱時雨を引き抜いた。

 

 その瞳は真っ赤に変色しており瞳孔は爬虫類のように縦に裂けている。そして獣のように唸り声を上げてゆっくりと歩いていく。

 

 殺気による恐怖で身動きが出来ない女に近寄り、千切れかけている左手をゆっくりと首に近付けて掴み、持ち上げる。ミシミシと嫌な音が聞こえ始めて何が起こるか……目の前の自分が何をするのか思い出す。

 

「止めろッ!手を離せッ!」

 

 俺は目の前の自分に掴み掛かろうとする。しかし触れたと思ったらすり抜けていた。

 

「止めろッ!止めてくれッ!?」

 

 何度も掴み掛かろうとするがやはりすり抜けて止められない。そして……

 

 

ゴキッ

 

 

 女の首が折れてぐったりと力無く項垂れて死んだ…

 

 そして突然左腕に首を折った時の感触が蘇る

 

「あ…あぁ……あぁぁぁぁぁッ!!」

 

 叫んだ。人を殺した事を自覚してしまい叫び散らした。生々しく残る感触に恐怖して吐いた。

 しかし精神世界みたいな場所では吐く事さえ出来ない。

 

『う、撃てぇぇぇぇぇぇぇッ!?』

 

 その声が響いて我に返った俺は顔を上げた。顔を上げた先には朱時雨で女を縦に真っ二つにしている自分がいた。

 

 再び腕に刀で人を斬った時の肉や骨を断った感触が蘇る。

 

「ヒッ!?や、止めてくれ……止めてくれよ…!」

 

 そんな願いが届く事は無く、無情にも次々と敵を殺していく。

 

 絶対防御を突破する威力の突き刺しを喰らい、突如爆散した奴。背中を向けて逃走し始めた瞬間に一瞬で近付いて一人の首を引きちぎられた奴。斬撃を飛ばして仲間を庇って真っ二つになった奴……。

 

 それら全ての感触が鮮明に蘇る。俺は絶叫しながらその場に蹲る。

 

『クソクソクソクソッ!この化物がぁぁぁぁッ!殺す!殺してやるッ!アイツ等の仇をとってやるッッ!』

 

『チクショウッッ!お前は!俺が殺す!絶対に殺してやるッ!死んだアイツ等の仇をとってやる!絶対に!ぶっ殺してやるッ!!』

 

 

「違う!違う違う違う!止めろ!止めてくれ!」

 

 再び景色が消えて真っ暗になる。蹲って叫ぶ俺の周りにさっき死んだ奴らが現れた。

 

『人殺し』

 

「止めろ…」

 

『化け物』

 

「違う…」

 

『人殺しの化け物』

 

「違う違う…」

 

『なんで殺した?』

 

「お前らだって殺そうとしただろ…ッ!」

 

『お前は人殺しの化け物だ』

 

「こんな!こんな力を求めてなんか無かった!人なんか殺したく無かった…!」

 

『おいおい、嘘つくなよ』

 

「ッ!?」

 

 

 今までと違う声に顔を上げると俺が立っていた。しかし先程とは明らかに違う意思のある瞳だ。

 

『お前はあの時に求めたのは奴らを殺す力だろ?嘘つくなよ』

 

「な、なんだよお前は…」

 

『あぁ?俺の話は無視か?…まぁいいけど。俺はお前だよ。見れば分かるだろ?』

 

 ケタケタ笑いながらソイツが話す。

 

「何が俺はお前だ…!なんだよこの場所は!?お前も何なんだよ!?」

 

『はぁ……さっきから言ってんだろ俺はお前でお前は俺。どっちも【緋龍蓮仁】さ。あとこの場所は意識の深層世界って感じだ』

 

 俺はお前?意識の深層世界?分からない事ばっかりだ。

 

「待てよ……あの時の声、力を求めた時に聞こえた声がお前かっ!?」

 

『だから違うって言ってんだろ!あの声は朱時雨だ!』

 

「な…に?」

 

『朱時雨は妖刀だ。呪われてる。使用者の血を吸って、あわよくば殺して魂をも取り込んで呪いの格を上げようとしているんだ。そして俺はお前の意識の深層部にあった【負の感情】。それが意思を持った者だ。いわばもう一つの人格だ』

 

「もう一つの人格…?負の感情…?」

 

『朱時雨は使用者の感情を引き出し力を与える。それらは負の感情……怒り・憎しみ・悪意・殺意…そんな感情を引き出して力を解放する。その力に呑まれるとお前みたいに暴走して死に朱時雨に血と魂を奪われ、更に呪いを昇華させて殺しやすくする。そんな感じで負の感情を引き出した時に俺は自我を持つ事ができた。純粋なる悪としてなぁッ!』

 

 コイツは俺の負の感情が自我を持った、もう一つの人格って事かよ…!

 

『良かったなぁ?今までこの力を引き出した奴は皆死んだのに、お前は生き残った!束さんと千冬さんが今も必死こいてがんばってるぜぇ?おかげで俺は自我を手に入れた!ハッハッハッハッ!』

 

 突然笑いだした奴は無視して、たった今も2人が俺を治す為に手を尽くしている事に素直に喜ぶ事が出来ないでいた。

 

「あの2人が……」

 

『なんだよ、嬉しく無さそうだな?まぁ俺はお前だから何を考えてるか分かるけどな。『人を殺した俺なんか死んだ方が良い』って思ったんだろ?』

 

「…ッ!あぁそうだよ…!俺は人を殺したんだ!殺人を犯したんだ!そんな俺が……生きてなんて…」

 

『ふーん。ならさ……身体を寄越せよ』

 

「ガッ!?」

 

 突然首を掴まれて持ち上げられた。そして奴の目が真っ赤に変色し始めた。

 

『自我を手に入れたらさぁ…身体も欲しくなったんだよ。死にたいんだろ?なら良いだろう?』

 

「な…んだと…」

 

『あぁ!ちなみにだけどさ!俺が身体を手に入れた暁には…』

 

 そこで言葉を止める。そして残虐な笑みを浮かべて言い放った。

 

『束さんと千冬さんを殺すよ』

 

「……は?」

 

『あの2人だけじゃない。ドイツ軍の連中も皆殺しだ!』

 

 何が面白いのかケタケタと笑いながら話し続ける。

 

『その後は日本に帰ろう!そして母さんと親父を殺す!それじゃまだ終わらないぞ!一夏も鈴も弾も数馬も!キリトも直葉も明日奈も!他のゲームでの知り合いもクラスの奴らも!そうだ!箒も殺しに行こう!俺に関わる奴らは全員殺してやろう!ハッハッハッハッハッハッハ!

 

「……けんな」

 

『あ?』

 

「ふざけんなッ!」

 

 俺は殴りつけようと拳を振るうが躱された。しかしその拳はフェイクだ。本命の蹴りで顎を狙った。

 

 しかし

 

『さっき言ったろ。お前が何を考えてるか分かるって』

 

 蹴りも防がれてしまったが掴まれていた首を解放され後ろに飛んで距離を取る

 

「ハァッ…ハァッ…!なんで殺そうとする!お前が俺ならアイツ等を殺すなんてしないだろ!?」

 

『俺は純粋な【悪意】…だから殺す。理由はそれだけだ。お前を殺して俺が緋龍蓮仁になる!だからお前はここで死ね!』

 

 そう言った瞬間に奴の右手に朱時雨が現れた。そして俺に斬り掛かる。

 

『《時雨流(しぐれりゅう)穿(うが)ち》ッ!』

 

「ッ!ぶねぇ!」

 

 間一髪で躱して距離を取り応戦しようとブレスレットから武器を出そうとする。しかし何故か反応が無く何も出てこない。

 

『オラどうした!もっと足掻けよ!《時雨流(しぐれりゅう)岩砕割(がんさいわ)り》ッ!』

 

「くっ!ガハッ!」

 

 岩砕割りを躱したが衝撃で石などが飛んできて身体中に当たる。精神世界の癖になんで石なんかあるんだと悪態をつくが直ぐに体制を立て直すと拳を握る。

 

『おっ、やっと殺る気になったか!ならこっちも本気で行くぜぇ!《時雨流(しぐれりゅう)(きわみ)”・五月雨(さみだれ)》ッ!』

 

「身体強化【防】!拳に極み振りだ!はあぁぁぁぁぁぁッ!!」

 

 両拳を身体強化で硬質化させて五月雨の無数の突きに対応する。しかし鉄をも貫く途轍もない威力の突き刺しに拳が耐えられる筈も無く、最初は防いでいたが限界を迎えて深々と突き刺された。

 

「グアァァァァァァァッ!?」

 

『ハハハッ!滑稽だな!まだまだ終わらないぞ!《時雨流(しぐれりゅう)(きわみ)”・鬼滅突(きつつ)き》ッ!』

 

 《時雨流(しぐれりゅう)(きわみ)”・五月雨(さみだれ)》の派生技《時雨流(しぐれりゅう)(きわみ)”・鬼尽突(きつつ)き》。前方の広範囲に穿ちを放つ五月雨とは違い、一点集中で穿ちを放つ技だ。

 

 その技が俺の左拳を貫く。何度も何度も同じ場所に突き刺して遂に拳から肩に貫通した。

 

「ガアァァァァァァァッ!!?」

 

『なんだよさっきから叫んでばっかりだな……?もっと足掻けよ、楽しませろよ!』

 

「グフッ!?」

 

 左腕の激痛に倒れた俺の腹に向かって蹴りを入れる。そして数メートル吹き飛ばされた。

 

『なんだよ弱いなぁ……。あっ!そうだ!こうすれば本気になるか?』

 

 周りの景色が再び変わる。そこには暴れる俺とISを纏っている千冬さんと束さんがいた。

 

『さて……まずは千冬さんからだな』

 

 すると目の前の暴れている俺の瞳が真っ赤に変色して千冬さんの首を掴んで締め付け始めた。

 

「ッ!?お前何をしやがった!」

 

『今の状態の身体なら俺でも干渉できる。こんなふうになっ!』

 

「ッッ!?」

 

 す…まない……蓮……守っ…て…やれな…くて

 

 千冬さんがそう言った瞬間、怒りが爆発し飛び掛かった。

 

「止めろぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 

 すると叫んだ瞬間に左目が熱くなるのと同時に身体に力が漲るのを感じた。そしてそのまま奴に掴み掛かり投げ飛ばした。すると現実の肉体だと思われる俺の瞳が黒に戻り、倒れた。

 そこで景色は霧散して暗闇に戻った。

 

『ぐっ……はははっ…。片目が俺と同じ赤色になっているぞ?いや、赤より濃い朱色か?』

 

「テメェ……!」

 

『お前が本気にならないからだぜ?まぁいいや。ようやく面白くなってきたしな!』

 

 そして再びぶつかりあう。右目を瞑って左目だけで見る事によりなんとか対応出来ている。

 

 左目を通して見る景色は色が無いモノクロの世界。そしてまるでスローモーションのように攻撃がゆっくりと見える。更に攻撃や危険な物などが赤く見えるので対応しやすい。

 

 しかしコチラは無手。それに対して奴は朱時雨を装備している。既にかなりの時間が経過している。1時間?10時間?はたまたまる1日?

 

 既に精神的な疲れでそんな事に気をかける余裕すら無い。精神世界故か肉体的疲労は無いが終わりの見えない戦いに加え、自分が人を殺した事実に負荷が掛かり既に精神がボロボロだ。

 何度も挫けそうになるが自分が負けたら大切な人達が殺されると、何度も何度も立ち上がった。

 

 

 しかし

 

 

 遂に限界が訪れる。

 

「ぐっ……」

 

 身体に力が入らなくなり膝をついてしまう

 

『やれやれ…。往生際が悪い奴だよお前は。ここまで粘るなんてな』

 

 そう言いながらゆっくりとコチラに近付いてきて朱時雨を振り上げる。

 

『これで終いだ。あばよ』

 

「クソっ……!」

 

 そして朱時雨を振り下ろし俺を切裂こうとした瞬間。朱時雨が手から弾かれた。

 

「!?」

 

『…あ?』

 

 俺も奴も何がおきたのか理解出来なかった。そして地面に落ちた朱時雨から2つの光の玉が現れた。

 

『なんだお前等は……死人の分際で邪魔をするなッ!《時雨流(しぐれりゅう)(おく)()(ちょう)》ッ!!』

 

 死人…?どういう事だ?しかも送り火ノ蝶は霊なんかに使う技だ…。いったい何がおきてる?

 

『……ッ!?なに!?何故効かない!?霊ならば強制成仏させる技だぞ!?』

 

 技が不発に終わり驚愕した奴に向かって2つの光の玉が飛んでいく。そして何度も何度もぶつかり攻撃をしていく。

 

『グァッ!?クソ!なんだお前等は!?』

 

 攻撃が一切効かない相手に一方的に攻撃を受けてダメージを負っていく。そして遂に膝をついた。

 

『グゥっ…!このまま終わると思うなよ……!次こそお前を殺してその身体を手に入れるからなッ…!』

 

 そう言った瞬間、闇に溶け込んで消えていった。

 

「た、助かった……?」

 

 すると今度は俺に光の玉が向かってきた。そして俺の前で止まると、なんと話し掛けてきた。

 

『大丈夫ですか?』

 

「え?あ、はい…」

 

 突然聞こえた女性の声に驚いたがなんとか返事をした。

 

「あの…助けていただきありがとうございます。……貴女達は、いったい…」

 

『すいませんが余り時間がありません。なのでこれから話すことをよく聞いてください』

 

 いったい誰なのか尋ねようとしたが遮られてしまった。そしてその女性の声は話し始めた。

 

『これから先、貴方が肉体に多大な傷を負って弱った時。彼はまた貴方の身体を奪う為にこの場所で戦うでしょう。彼は貴方の半身にして闇の部分です。貴方が力をつければ彼も強くなり、貴方が負の感情を抱けばより強大な相手になります』

 

「……」

 

『だから彼を倒すには心を強く保ってください。貴方は身体と技量はあります。ですがその2つに比べ心が脆く危ういです。怒りや憎しみ、殺意を押さえ込む為にもこれから心を強くしてください。でなければ……次こそ貴方の身体を奪われるでしょう』

 

 すると光の玉が段々と小さくなっていく

 

『私達が助けてあげられるのは今回だけです。どうかお気をつけて』

 

「待ってください!貴方達はいったい誰なんですか!?なんで俺を助けてくれたんですか!?」

 

『………もう、時間です』

 

 その直後、俺は突然意識が遠のいて倒れる。そして意識が途切れる瞬間に2つの光の玉が何かを言った。

 

『厳仁さんをよろしくお願いします』

 

『父さんの事は任せるよ。頑張れ蓮仁』

 

 そして俺は完全に意識を失った。

 

 

 


 

 

「うぅっ…」

 

 目を開けると見知らぬ部屋で寝ていた。起き上がろうとするが上手く力が入らなくて起き上がれない。誰かを呼ぼうにも掠れたうめき声しか出せない。

 

(……夢じゃ…無かったのか……)

 

 俺は……人を殺したんだ。

 

「ッ……ゔぅッ…!」

 

 吐き気がこみ上げるのを必死に押さえていると部屋の扉が開き誰かが入ってきた。

 千冬さんと束さんだ。

 

「た…ばね…さん…。ちふ…ゆ…さん…」

 

「「ッ!?」」

 

 2人が驚愕した目でコチラを見て固まる。そして暫くして泣き出した。

 

「よ、良かったぁぁぁぁぁッ!目覚め無いかと思ったぁぁぁぁぁぁッ!!」

 

「蓮…!良かった…本当に良かった…!うぅっ…」

 

「あ…の…」

 

 上手く喋れない事に気付いたのか直ぐに水を飲ませてくれた。おかげで少しは声が戻ったみたいだ。

 そして俺は束さんの言葉に衝撃を受けた。

 

「俺は…1週間以上、寝ていた…?」

 

「うん……全然起きないから…本当に心配したよ…」

 

「そう…ですか……」

 

 そうか……俺は1週間も奴と戦っていたのか…

 

「…………」

 

「…れ、蓮…」

 

「待ってちーちゃん。色々話したいだろうけど今はとりあえず検査を……」

 

 

グウゥゥゥゥゥゥゥゥゥッ

 

「「「…………」」」

 

「と、とりあえず食事にしよっか」

 

 そしてまず先に食事をとる事にした。

 

 暫くして運ばれてきたのは質素な食事で、しかも介護食のような物ばかりだ。

 

「いきなり固形物は無理だからこれで我慢してね」

 

 そして力の入らない腕を持ち上げスプーンを握り食べ始めた。そして直ぐに完食し……

 

グゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥッッ

 

「「……………」」

 

「………おかわり」

 

 結局は固形物も食べた上に成人男性の1月分の食事を平らげるのだった。

 

 

 

Side蓮仁Sideout

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 千冬と束の2人は目の前の光景に目を疑った。途轍もない量の食事が次々と消えていき、あっという間に完食されたからだ。

 

 しかもそれを食べていた蓮仁は起きた時の状態は骨と皮しか無いようなガリガリの姿だったのに、今ではがっしりとした身体付きになっているのだから。

 

「まさか…今食べた物を瞬時にエネルギーに変えたというのか…?コレはあのナノマシンの力か…?」

 

「分かんないけど……多分そう…」

 

 この現象には蓮仁に投与したナノマシンの開発者である束ですら困惑していた。もはや人智を超えている謎の現象に頭が整理出来ていない。

 

「モグモグ……ごくん……(……人を殺しといて何を呑気に飯なんて食ってるんだろうな……)」

 

 自分の犯した事がずっと離れない蓮仁は食事を終えて立ち上がった。

 

「も、もう身体大丈夫なの…?」

 

「はい。身体は(・・・)大丈夫です」

 

 ナノマシンのおかげで肉体は完全回復どころか構造すら変わって前より遥かに強くなっていた。しかし肉体に反して精神はズタズタであり、とても危うい状態である。

 

「それじゃあ大丈夫だとは思うけど一応検査するね」

 

 そして移動する為に歩き出した蓮仁は……

 

ズデンッ!

 

「ッッ!?」

 

 盛大に転んだ

 

「だ、大丈夫か!?」

 

「どうしたの!?まだ痛むの!?」

 

「か、身体が変な感じが……まるで自分の身体じゃないみたいだ…」

 

 ゆっくりと立ち上がり気づく。前とは明らかに自分と千冬と束との身長差が違う事に。そして視界を覆うような真っ白な長い髪に。

 

「あ……そっか…。それも含めて説明するからまずは移動しよう」

 

「肩を貸そう」

 

 そして2人の肩を貸りて部屋を移動したが身長差があり過ぎて支えられてと言った方が正しい状態になっていた。

 

 そして精密検査を受けた蓮仁の肉体は健康そのものであった。体中の傷も癒えて千切れ掛けていた腕も元通りになり、欠損した耳も治っている。

 

 ただし、朱時雨を突き刺した胸の傷は決して消える事は無かった。

 

「なんでこの傷だけ消えないのかな?」

 

 その事に疑問を覚えた束。それに蓮仁は答えた。

 

「この傷は呪いです。一生消える事はありません。俺が犯した罪、俺が求めてしまった力の代償……この傷は未来永劫俺を苦しめる…」

 

「………」

 

「クッ……!」

 

 2人は何も言えなかった。蓮仁の身体の傷は治ろうとも、心に一生消える事の無い傷を負わせてしまった自分たちの力の無さを恨んだ。

 蓮仁も2人の心情を察し、声を掛けようと思ったが、自分が何かしら言っても今の2人には苦痛でしか無いと思い、話題を変えた。

 

「俺はこれからどうすれば良いですか?」

 

「そうだね……暫くはここにいて貰うね」

 

「そうですか…(今は…そっちの方が良いな…。皆に合わせる顔が無いし…)」

 

 すると束が思い出したようにある物を取り出した。

 

「レンくんコレ。回収してきたけど……」

 

「…ッ!雪月赤…!」

 

 鞘に収められた愛刀を受け取り引き抜くと、そこには半ばから折れた刃があった。

 

「……ッ!すまない…!俺が未熟なせいで…!」

 

 貰ってから約4ヶ月と短いが、自身の愛刀としての愛着があった為にかなりのショックを受けていた。

 

「………今日はとりあえずもう寝よう。明日から少しづつ身体に慣れたりカウンセリングしたりするから」

 

「…………はい」

 

 

 こうしてその日はお開きになった。しかしベッドに入った蓮仁は様々な思考が渦巻き、眠れない夜を過ごすのだった……

 

 

 

 




第27話でした!

 いや〜……まさかまさかのもう一人の蓮仁くん登☆場

 しかもかなりの悪い奴だから身体乗ったられたら殺して殺して殺しまくるサイコパス野郎になっちゃう。

 そして新たな力を開眼しましたねぇ。写輪眼とか緋の目みたいな感じですねぇ。

 そして次回!いよいよラウラちゃんが参戦!?そして蓮仁の葛藤!いったいどうなるのか!?

 それでは次回もお楽しみに!
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