インフィニット・ストラトス ー紅蓮ノ太刀ー 作:通りすがりの料理人
最近どこ目指してるか分からなくなってきた作者です(泣)
俺は蓮仁をどうしたいんだろうか…?
しかしもはや後戻りは出来ない…!このまま進む…!
あと話しは変わるけど、モンストの呪術開戦コラボガチャで悠仁と五条先生とななみん当てました☆
ハッハッハ!先に悠仁と五条先生当てて【英雄の書】使ったら【呪術の書】が登場して発狂しました★
それでは第28話!どうぞ!(ヤケクソ)
前回のあらすじ
倒れた蓮仁を治療する束と千冬
瀕死の身体に打ち込まれた危険な治療用ナノマシン
回復するにつれて蓮仁は激痛により暴れる
そして蓮仁も別の戦いを繰り広げていた
それはもう一人の自分…
激闘の末に敗北したが謎の2つの光の玉に助けられた
そして目を覚ましたら既に1週間以上経過していた
更に身体まで変わり果てるのだった……
Side束
レンくんが目を覚ました翌日。
朝食を済ませたレンくんと二人で話をしている。いわゆるカウンセリングだね。
人を殺した事でだいぶ精神が不安定になってるみたいで夜も眠れなかったのか隈ができている。なによりいつも明るく笑っていた顔は暗いままだ。このままだと自殺でもしてしまうのでは無いかと思う程に憔悴しきっている。
別に専門的ではないカウンセリングだけど、ちーちゃんやドイツ軍の連中に任せるより私が行なう方が良いだろうと始めた事だけど……。結果は著しく無いね…。
一切笑わなくなったし、目は虚ろだし、食事も喉を通らないらしく昨日のバク食いが嘘のようだよ。私とちーちゃんより少ないもん。
そして急成長した身体に慣れてないからか転びはしなくなったけどよくコケるようになったね。動きもぎこちなくて危なっかしいから余計に心配になる。
「それじゃあ今日はこの辺にしとこっか」
「はい……」
やっぱり元気が無いなぁ…。……無理もないか…レンくんだってまだ子供なんだから…。
「そ、そうだ!今日からちーちゃんが教官として指導するから一緒に参加してみたらどうかな!?新しい身体にも慣れないといけないし丁度良いよ!」
「そう…ですね…。行ってみます」
「うんうん!あっ、コレ新しく買ってきたジャージだから使ってね!それじゃ行ってらっしゃい!」
私はそう言ってレンくんを送り出した。一人になってため息を漏らしてしまった。
私がレンくんを巻き込んだからこんな事になった……。私のせいでレンくんは……
そんな事を考えながらラボに戻るとクーちゃんが何かを作ってくれてた。
「おかえりなさいませ束様。丁度クッキーが焼き上がりましたのでお茶にしましょう」
「うん、ありがとうクーちゃん」
差し出されたクッキーは真っ黒でコゲコゲだったけど私は迷わずに口に入れた。ガリッゴリッバキッと音をたてながら咀嚼して飲み込む。
「う〜ん!美味しい!」
「嘘ですね」
「そんな事無いよ!クーちゃんの作った料理は何でも美味しいよ!」
「なら蓮仁様の料理と私の料理どちらが美味しいですか?」
「レンくん」(即答)
あっ、ヤバ……
「やっぱり私の料理は美味しくないですよね……グスン」
「ワーワー!美味しいよ!前より断然美味しくなってるよ!これは将来有望だなーッ!?」
慌ててそう言って泣いてるクーちゃんを見ると…
「嘘泣きです」(キリッ)
「嘘かーい!本気で焦ったよ!」
「少しは元気になったみたいで良かったです」
「…!クーちゃん…」
どうやら心配を掛けていたみたいだ……それにしてもこんなふうに元気付けるなんて、なんだかレンくん家に泊まったらユーモアになった…?
「私でも相談くらいにはのれます。どうか一人で抱え込まないでください」
「クーちゃん……」
そして私はポツポツと語り始めた。
私がレンくんを巻き込んだからあんなに大怪我をさせてしまったし、人を殺させてしまった。身体も変わってしまったし……それに通常の範囲を超えた極端なストレスによりPTSDと言う病気を引き起こしてしまった…前とはかなり違ってしまった…。私を恨んでるんじゃ無いかな…?……そりゃあ恨むよね…私のせいでこんな事になったんだから…
「………束様。結論から言いますと蓮仁様は決して束様を恨んだりしません」
「…ッ!なんでそう言いきれるのさ!レンくんの事あんまり知らないじゃん!」
「そうですね」
「なら…ならなんで恨んでないなんて言えるの…!」
私は声を荒げてそう叫んでしまった。相談にのってくれたクーちゃんに八つ当たりまがいな事をしてしまった。
それでもクーちゃんは優しい声で話し始めた。
「確かに一度しかあった事はありません。ですが束様から耳にタコができる程話を聞きました。本当は束様が一番分かってるのでは無いですか?蓮仁様が恨んだりしない事を」
「……ッ!……それでも…やっぱり恨んでるかもしれないって……。そう思っちゃうんだ…。もう…前みたいに戻れないんじゃないかって…」
そう…私は怖いんだ。レンくんが恨んだりする性格じゃないはのは知ってる。それでもやっぱり心の底では恨んでるかもしれない。もう…前みたいな関係には戻れないかもしれないと。
「なら本人に直接聞きに行きましょう」
「えっ!む、無理だよ……。レンくんだって自分の事で大変だし、精神的にも不安定だし、負担を増やしたくないし……怖いし……」
「束様……ヘタレですね」
「ングッ!?」
厳しい言葉が突き刺さる。
「ですが確かにそうですね。今は様子見をしましょう。では私はこのクッキーとお茶を届けに行きますので失礼します」
「行ってらっしゃい……」
私はクーちゃんを見送ってからソファに寝そべり手で顔を覆った。
「やっぱり恨んでるかな……?」
そんな私の疑問の答えは出なかった………
Side束Sideout
Side千冬
ドイツ軍で教官として指導する事になった私は少々不安だった。蓮の事もあるが、指導なんて篠ノ之道場にいた頃と日本代表として代表候補生に教えたくらいの経験しか無い。
私はしっかりと導いて行けるだろうか……。
そんな事を考えていたら蓮が訪ねてきた。その姿はジャージで、肩まで伸びた真っ白な髪を後ろで結って邪魔にならないようにしている。
「千冬さん、俺も身体動かしたいので訓練に参加しても良いですか?」
「あ、あぁ…構わないが……。大丈夫なのか…?」
「今は身体を動かしたい気分なので…」
「そう…か。分かった」
そのまま蓮を連れて訓練所へと向かう。軍事施設が珍しいのか辺りを見ているがやはり元気が無い。普段なら間違い無く興奮しながらアレはなんだ、コレはなんだと聞いてくるのだが……今は少し辺りを見渡しながら私の後ろをついてくるだけだ。
そして暫くして訓練所に到着すると既に私が担当する部隊が整列していた。私が担当するのはIS部隊だ。故に全員が女性でありどうしても蓮が浮いてしまう。
「この部隊を指導する事になった織斑千冬だ。これから1年間、教官である私の指示に従うように」
『ハッ!』
「そして彼は暫く訓練に参加する事になった緋龍蓮仁だ。男故にISは動かせないが対人戦闘など他の訓練には一緒に参加する」
「緋龍蓮仁です。暫くの間、よろしくお願いします」
そして蓮を紹介した。すると部隊の面々はどこか怯えたような顔をしている事に気付いた。
そう、彼女達はあの日に蓮がISを纏っている相手を一方的に蹂躙する姿を見ていたのだ。
その視線に気付いた蓮は俯いてしまった。
そして訓練に移った。まずは走り込みだ。流石は軍人と言ったところだ。皆体力はかなりのもので呼吸の乱れも無い。しかし気になったのが少し離れた場所を走る二人。
一人は蓮。部隊の人に気を遣って離れた場所を走っている。……その理由もあるだろうが急成長した身体に慣れずによくコケていて上手く走れないようだ。
そしてもう一人は長い銀髪に眼帯を付けた、蓮と並んだら親子と見間違う程に小さな少女。名前はラウラ・ボーデヴィッヒと言ったか……事前に話しを聞いているが、どうやら【落ちこぼれ】と言われているらしい……。なるほど……彼女も部隊から浮いてしまったか。
体力には何ら問題は無いが蓮同様に離れた場所を走っている。というか蓮の後ろを走っている。
確か同い年の筈だ。互いに何らかのきっかけになれば良いのだが……。
そして走り込みも終わり対人戦闘訓練に移った時に蓮がコチラに近付いて来た。何かあったのかと思ったが、どうやら力の加減がまだ分からないらしくこのまま対人戦闘に参加するのは危ないと判断したらしく自主トレをするとの事だ。
そして割と離れた場所に移動して行った。するとボーデヴィッヒも部隊から離れた場所に移動し一人で訓練を始めだした。
まったく……これは前途多難だな……
そして訓練を開始し一人一人を見て回りながらアドバイスしたり、手合わせしたりしている。ボーディヴィッヒの所にも行き指導したがどこかよそよそしい態度だ。まぁ、初日だから仕方がないか……。
暫く訓練していると皆が動きを止めてある一点を見ていた。私も見てみるとそこには蓮がいた。地面に倒れている蓮が。
私は血の気が引いて直ぐに近付こうとしたら直ぐに立ち上がった。まったく心配させてくれる……。
立ち上がった蓮は構えて体術を繰り出していく。少しぎこちない動きをしているが段々と調整されていき速さを上げていって……盛大に転んで再び地面に倒れた。
部隊の者達はその光景をポカンと見ていたが私の一喝により再び訓練に戻った。とりあえず蓮の元に向かおうとすると私より先にボーディヴィッヒが近付いていって何かを話し始めた。そして暫く話し合うとボーディヴィッヒは少し離れた場所に移動して訓練を再開し始めた。
そして今度こそ近付いていき話し掛けた。
「蓮。余り無理はするなよ?」
「いえ、大丈夫です。多少無理した方が早く馴染むので」
「そうか…程ほどにするんだぞ」
そしてさっきボーデヴィッヒと何かを話していた事について聞いてみる。
「ボーデヴィッヒとは何を話していたんだ?」
「え?…あぁ、俺の体術について聞いてきたんですよ。ただ1から教えるのは期間的に無理だと言ったら『ならば動きを見て参考にする』って少し離れた場所に行きましたよ」
「なるほど…」
どうやら蓮から何かを学ぼうとしているらしい。今も視線をコチラに向けて観察しているようだ。
まぁ、害は無いしこのままでも大丈夫だろう。
そして訓練に戻るのだった。
Side千冬Sideout
Sideラウラ
今日から新しく教官として入った人物。それはモンド・グロッソで優勝を果たした人物、織斑千冬だった。
私もその戦いぶりには感嘆したもので一種の憧れを抱いている。
しかし、私が今一番気になるのは彼女ではなくもう一人の人物だ。名は確か…緋龍蓮仁と言ったか…。
部隊だけでなく軍全体である噂でもちきりであるのだが、その噂の人物こそが緋龍蓮仁らしい。
“生身でISを纏った敵複数を惨殺した男がいる”……この噂の本は私の部隊らしい。ドイツ軍の所有するISは現在3体だ。その3体をモンド・グロッソ最終日にある場所に出動させたのだ。その時私は力不足故に出動メンバーには選ばれなかった。
そしてその出動メンバー3人と他の部隊の連中が現場にてISと交戦する姿を目撃していたらしい。相手はテロリストだったらしく6機ものISを所持していた。そしてその全てを一人で…たった一人の生身で倒してのけたのだ。
私は大いに興味が湧いた。私はデザインチルドレン……人工的に作られた人間だ。軍人として戦う為に生み出された故に強さこそが全てであり、強さこそが存在意義だ。
実際に相手が男だろうが大人だろうが私は負け知らずだった……。ISが現れるまでは。
ISが現れてから私はどんどん落ちぶれていった。IS適合手術にも失敗し今では【落ちこぼれ】の烙印を押されてしまった……。
左目は忌々しい金色になってしまい私は眼帯を付け始めた。私はこの瞳が嫌いだ。この瞳を見ると自分が惨めに思えてくるから……。
だから私は強くなり再び這い上がろうとしている。好都合な事にあの織斑千冬が教官なのだ。なにより生身でISを倒すこの男からも何かを得られるかもしれない。私はそう思って奴の観察を始めた。
まず最初は走り込みだ。奴は部隊から離れた場所を走り始めた。別に遅れている訳では無く、離れ過ぎず近過ぎない距離を保っている。その後ろを走って観察した。体力はかなりのもので現役軍人に余裕でついていっている。………いや、余裕過ぎるのでは無いか?私や他の部隊の奴らも多少息切れしているのにコイツはまったく息切れしている様子が無い。だがよく躓く奴だな……。いつか転びそうだ。
次に対人戦闘に移ったが奴は教官と何かを話してから離れた場所に行った。どうやら対人戦闘はしないらしい。むぅ……一番気になる戦闘が見れないとは…。
私も部隊から離れた場所で一人で訓練を始めた。暫くすると織斑教官が来たが柄にもなく緊張してしまいよそよそしくなってしまった……。そして訓練を続けていたら奴が何かをしているのに気付いて手を止めた。
あれは……体術か…?見た事の無い体術だが…。最初はぎこちない動きをしていたが暫くすると動きにキレが出て来て洗練された動きになっていった。そして段々とスピードが上がっていき……。奴が転んだ。それはもう盛大に。
暫くすると起き上がり、再び体術を始めた。さっきよりキレが増している動きで徐々にスピードを上げていき………また転んだ。
起き上がった奴は頭をポリポリとかいて困ったような顔をしている。なんだろうか……見ていて思ったがなんともチグハグな奴だ。体力もあるし体術のキレも技量もあるのに、まるで身体が思い通りに動かないような……。そう、まさに自分のでは無い身体を動かしているようだ。変な奴だ。
それでも確かな強さを持っている事は分かった。それにあの体術は使えるかもしれん。ISはパワードスーツだが、使用者の身体能力も大いに反映される。あの体術を学べば対人格闘はかなりの物になるだろう。ならば前は急げだ。直ぐに行こう。
そして私は奴に近付いて話し掛けた。
「おい」
「…ん?」
「さっきの体術はなんだ?」
「体術か?なんでそんな事を……えぇっと、名前は?」
「ラウラ・ボーデヴィッヒだ」
「ボーデヴィッヒはなんでそんな事を知りたいんだ?」
奴はそんな事を聞いてきた。
「私は強くならなければならない。強さこそが私の存在意義だ」
「強さこそが存在意義……か」
私の言葉に何かを考え込んでいるようだがいちいち待ってやる程私は暇では無い。
「おい、それでどうなんだ?」
「あぁ…この体術だが、一朝一夕で身につく物じゃ無いし、俺が此処にいる期間もそこまで長くないからな。期間的に全て教えるのは無理だ」
「……そうか、ならば動きを見て参考にする」
私は奴から離れた場所に移動し始めた。
「別に基礎くらいなら教えたんだが…」
奴が何かを言ったようだが聞こえなかったのでそのまま観察を続けた。
しかしやはり見様見真似ではどうにもならないようで結局今日の生身の訓練では何も得られ無かった。
そしてISの訓練に移った。奴は男なのでこの訓練は見学のようだ。しかし始まって直ぐに顔色を悪くして訓練所から走り去ってしまった。教官も自主トレを命じて追いかけてしまった。
いったいなんだったんだ……?
暫くして教官が戻ってきたが奴の姿は無かった。そして今日の訓練を終えた。
そして私は上層部の命により奴の…緋龍蓮仁の滞在中の翻訳係や案内などの面倒を見るように言われた。しかしこれは建前であり本当は奴を危険と判断して監視させようとしているのだ。私が選ばれた理由は日本語が話せる事、そして【落ちこぼれ】である事だ。
私が死んだ所で大した痛手にはならないのだろう。
しかし好都合だ。これで奴の事を調べる事ができる。必ず強さの秘密を暴き、這い上がって上層部の奴らを見返してやろう。
「施設の案内をしてやる。ついてこい」
「…分かった」
そして私は滞在中に使用できる施設や移動可能なエリアを案内した。すると奴が話し掛けてきた。
「なぁ…ボーデヴィッヒは俺が怖く無いのか…?」
なんだ突然…。顔を見れば悲しそうな顔をしていた。少なからず驚いたが直ぐに返事をした。
「ふん、別に貴様など怖くなど無い。噂話は聞いたが実際に見た訳では無いしな。それに……貴様は確かに強いがそれだけだ。恐怖も何も感じない【無】だ」
「【無】か……確かにそうだな。今の俺は胸にぽっかり穴が空いた気分だ……。すまない、変な事を聞いたな……もう部屋に戻るか」
そう言って奴は背中を向けて去って行った。
それにしても奴は本当に日本人か?髪は真っ白だし身長もかなり高いが……まぁ、どうでもいいが。
私も自室に戻ろうかと思った時に曲がり角から織斑教官が出てきた。
「お疲れ様です教官」
「あぁ、ボーデヴィッヒもな。所で先程の会話だが…」
「…!聞いていたのですか?」
「あ、いや、盗み聞くつもりは無かったんだがたまたま耳に入ってな…」
「そ、そうですか?」
なんだかしどろもどろしている気がするが気のせいか…?(天然)
「そ、それでだ。もし良ければ蓮の…蓮仁を気に掛けてやってくれないか?アイツは一人で抱え込み過ぎているからな。ボーデヴィッヒが何らかのきっかけになればと思ったんだが」
「ハッ、その命、謹んでお受けいたします」
「別に命令では無いのだがな……。まぁいい。それにボーデヴィッヒも強くなりたいのだろう?ならばアイツから何かを得られるかもしれんぞ?…では、よろしく頼んだ」
教官はそう言って戻ってしまい私だけがその場に残されてしまった。しかし、気に掛けるか……どうすればいいんだ…?
とりあえず奴の部屋に向かうとしよう。
そして暫く歩いて奴の部屋に到着した。ノックをして部屋に入ると奴はトレーニングをしていた。
「ボーデヴィッヒか?何か用か?」
「そういう訳では無いが……。貴様は訓練終わりだというのにトレーニングか?休む事も仕事だぞ」
「いや、何もする事が無くてな…。手持ち無沙汰だし動き足りなくて筋トレしていた所だ」
「なに…?生身の訓練だけとは言え軍人専用の訓練だぞ!?いったいどんな体力をしてるんだ!?」
クッ…!私は既に疲労しているのになんて奴だ…!織斑教官といいコイツといい日本人は化け物か!?
「それで特に用は無いのか?」
「むっ、そうだな…(教官に気に掛けてくれと言われだが黙っていた方が良いか…)…貴様の強さが気になってな。話しを聞きにきた」
「そうか……あっ、なら丁度良い。今から腕立て伏せをするから背中に乗ってくれないか?」
「はっ?何故だ?」
「いや、身体に負荷をかけたいし、乗るだけだから話しもできるだろ?」
「ふむ、それもそうか。よし分かった」
そして私は奴の背中に乗る。すると奴は直ぐに腕立て伏せを始めた。
「厶…?厶厶厶!?」
「ど、どうかしたか?」
「いや、何でも無い。続けろ」
そして再び腕立て伏せを始めた。そして私は奴の背中に乗っているのだが……ふむ、なるほどな。
(なかなか楽しいではないか…!)(`・ω●´)キリッ
なんだろうか。ただ背中に乗って上下に動いてるだけなのに妙に楽しいぞ!そうか!コレがいわゆる遊園地の乗り物に乗った時の気分か!
「ボーデヴィッヒ?」
ふ、ふふふ…今まで娯楽など一切何もしなかったが、まさかこれ程までに楽しいとはな…!
「ボーデヴィッヒ??」
おお?少し早くなったぞ!ハハハッ!いいぞいいぞ!もっと早くだ!
「ボーデヴィッヒ!?」
「はっ!?な、なんだ!?」
「いや、話しを聞きにきたんだろ?突然黙ったからびっくりしたぞ?」
し、しまったぁ!私とした事が余りの楽しさに呆けてしまったぁぁぁぁ!いかんいかん!強さの秘密を暴かなければ…!
そして私は奴の話しを聞いた。剣道の道場に入った話しや、師匠の時雨厳仁に弟子入りした話し。山に一ヶ月籠もって野犬の群れや熊と戦った話しなど様々な事を聞いた。しかし途中強さとは関係無い話しも挟んでいたが……。まぁいいが…。
しかしVRMMOか…仮想世界の中で人や人外と戦う……ゲーム内ならば死ぬ事は無いだろうし訓練には良いかもしれんな。しかも日本の自衛隊も訓練で使っている銃を題材にしたゲームもあるのか…。ふむ…これは良い話しを聞いたな。
にしても度々出てくる一夏と言う奴は教官の弟だったか…。コイツの話しを聞いてると高確率で出てくるな。
そして暫く話しを聞いていると夕食の時間になっていたので話しを終えた。その時に気付いたがコイツはいつからか片手で…しかも人差し指一本で腕立て伏せをしていた。私が乗っている状態にもかかわらずだぞ?やはりコイツはとんでもない奴だな。そして私達は食堂へと向かっていった。
……背中に乗るやつだが、またやらないだろうか…?
SideラウラSideout
Side蓮仁
暗い闇の中
俺は走り続けていた
どこまで進んでも終わりの無い闇の中を…
『人殺し』
『化物』
『何故お前が生きてる』
『何故私達が死んだ』
どこからともなくそんな声が聞こえてくる
俺はひたすらに走った
その声から逃げた
怖い
もう止めてくれ
そして何かに足を取られて転んだ
そして生暖かい液体に触れた
血溜まりだ
俺が殺した彼女達の血だ
足を見ると彼女達がしがみついていた
虚ろな瞳でコチラを見ている
『人殺し』
『人殺し』
『化物』
『死にたく無かった』
『お前のせいだ』
『お前が死ねばよかったのに』
『お前が死ねば』
お前が死ねばよかったのに
俺は耳を塞いだ
聞きたくない、見たくない
すると俺の腕が掴まれて耳から引き剥がされた
そこにいたのは
『目を背けるな』
『逃げられはしない。一生付き纏う』
彼女らが足にまとわりつく
『お前は…人殺しの化物だ』
そう、まるで血のように真っ赤に……
「ウワァァァァァァァァッ!!?」
俺は叫びながら上半身を起こした。そして直ぐに布団を捲った。しかしそこには何もなく、ただ前より長くなった自分の足があるだけだった。
「ハァッ…ハァッ……ゆ、夢…か」
どうやら夢を見ていたらしい。酷い夢だった。生々しい光景が鮮明に蘇り、脳に焼き付く。それを思い出した途端に気持ち悪くなり蹲る。
すると突然ノックが聞こえて誰かが入ってきた
「おい!今何時だと思っている!隣部屋にまで聞こえて飛び起きたぞ……って、どうした…?」
「ボー…デヴィ…ッヒ……袋…吐き…そう…うっぷ」
「!?ま、待て!今用意するから!えぇっと…えぇっと……あった!よし、コレを使え!」
そして袋を受け取りその中に吐いた。胃の中の食べ物全てを吐いたが、それでも吐き気が収まらずに胃液を吐き続けた。
この事態にはボーデヴィッヒも焦ったのか俺の背中を擦ってくれていた。
そして暫く経ちようやく落ち着いた俺はボーデヴィッヒに礼を言った。
「すまないボーデヴィッヒ……あと、ありがとう…」
「あ、あぁ…気分が悪いなら医務室に行くか?」
そう訪ねてきたが俺は首を横に振った
「大丈夫だ…。少し外の空気を吸ってくる…」
「……そうか…分かった」
そして俺は一人で外に出た
見上げた空は清々しい程に雲一つ無いキレイな夜空だった。こんな気分の時に見ても何も感じる事は無いが
「…………クソっ」
俺は座り込んで悪態をつく。気分が晴れない。モヤモヤしたものが胸に残って気持ち悪い。
なによりあの光景が頭から離れない。人を斬った感触や断末魔が鮮明に蘇る。
「クソっクソっクソっクソっ!」
俺は壁に頭を叩き付ける。忘れたい。見たくない。聞きたくない。俺は逃げるように頭を打ち付ける。全て忘れる為に
「忘れろ!忘れろ!忘れろ!」
頭を打ち付けるが壁に傷ができるばかりで頭にはまったくダメージが入らない。忌々しい身体だ。こんな事してもかすり傷すらつかないなんて。
『言ったろ?逃げられはしないって』
「ッ!?」
俺はその声に立ち上がりながら振り返る。しかしそこには誰も居らずに周りにも誰もいない
「なんで……」
『別に不思議じゃないだろ?俺はお前なんだから頭から直接話し掛けてんだよ』
ケタケタ笑いながら奴は話し掛けてくる
『精神的に不安定だと幻聴が聞こえるとか言うけど、それとは違う。俺は魂を宿したんだ。だからお前に話し掛けられる。……まぁ精神が不安定な時にしか割込めないけどな。アッハッハッハ!』
「黙れよ…話し掛けてくるな…」
『そのうち幻覚も見えるんじゃないか?俺が現れるかもな!』
「引っ込んでろよ…」
『あ!死んだ奴らも見えるかもな!アッハッハッハ!』
「黙れッッ!!」
俺は叫んだ。左目が熱い。きっと真っ赤に染まっているんだろう。すると奴は笑いを止めて話し掛けてきた
『なら死ねば?』
「ッ!?」
奴の言葉に驚愕した俺は後ろに下がった
『本当は死にたいんだろ?怖いんだろ?また誰かを傷付けるのが。あの光景を見るのが。怯えた目で見られるのが』
「う…あ…ッ!な、なんで…身体が欲しく…無いのか…」
『欲しいっちゃ欲しいがお前が死にたがったから俺にまで伝染したんだよ。まぁ別に怖くないから良いけど』
「なんだよ…それ…」
『もう嫌なんだろ?全てを投げ出したいんだろ?楽になりたいんだろ?なら逃げちゃえよ』
「逃げ…る…?」
『そう!死ねば全てが終わる!その恐怖も罪悪感も何もかもが終わる!』
あぁ…そうか。死ねばこの呪縛から解放されるのか……。もう…苦しまないし、怖くないし……
そしていつの間にか左手に持っていた朱時雨を右手で掴んで鞘からゆっくりと引き抜いた。
真っ赤に染まった…まるで血を滴らせたかのような刀身を首元に近付けていく。
俺は……
もう……
死のう
しかしその刀身が首を切り裂く事は無かった
「何を…何をしている貴様ッ!」
「……ボーデヴィッヒ…?」
ボーデヴィッヒが朱時雨の刀身を掴んで止めていたからだ
そしてボーデヴィッヒの手から溢れ落ちた血が床を染め上げていくのだった………
第28話でした
ラウラかわゆす。はっきりわかんだね
そして蓮仁くんまさかの自殺未遂。これもう分かんねぇな
死にかけて死にかけて死のうとする系主人公(意味不明)
次回、蓮仁の自殺を止めたラウラはいったいどうするのか!?
蓮仁は思いとどまるのか!?
それでは次回もお楽しみに!
p.s.モンスト呪術開戦コラボの藤堂さん、強すぎない?火属性4体とか無理ッス(諦め)