オリオンの使徒は自分の居場所を探し求め、守る力を欲する 作:凪斗2005
血溜まりに倒れている両親も、たくさんの白い服を着た大人が私を連れていこうとする現実も。
そして、助けられると思った自分自身と、助けることの出来なかった過去を。
全部全部、否定したかった。
そして、自分の弱さを呪った。
生まれた時から不思議な夢を見ることが多くあった。
その夢には私とよく遊ぶ2人と、その2人と同い年くらいの人たちが白黒のボールを蹴っている。そこに私の姿はなくて、ちょっと悲しい気持ちになるまでがセットだ。
そんな夢を最後に見たのが1年前。3歳になってから見たことがない。
夢に出てきた人達がやっていた遊びはサッカーと言ってボールを蹴ってシュート?を決める遊びらしい。1歳の頃から一緒に遊んでいるまもるが教えてくれた。
だがしかし、3歳になったばかりで体も小さく、力もない私には少しつらそうな遊びだなと考えていたのに、まもるは次の日にそのボールを持ってきて
「さっかーしよう❕」
そう言って来るのだ。
やだ、とはっきり言えればよかったのにもう1人いつも遊んでいるいちろうたが
「やる❕」
といえば私がやらないと言えるわけがなかった。
こうして、3人でボールを蹴りあったりする遊びが数日続くことになる。
初めてやってみたサッカーは、思いのほかすんなりボールを蹴ることができて1週間もすればリフティングができるようになるまで成長していた。
まもるといちろうたはまだまだボールを蹴るのもままならないのに、2人より一歩進んでいる私は何となく気分がよくさらに練習を続けることにした。
今日はおかあさんとおとうさんのお休みの日なので家族でお出かけする。私は、いつもは行けいない遠くにあるお店に行くのでワクワクしていた。
靴を履いてさぁ出発❕
玄関の扉を開けて外に出ようとすれば目の前が真っ白になってある景色が見えた。
車と車がぶつかって、片方の車が回転しながら道の脇に飛んでいく。
車が回転する瞬間、なにかが車から投げ出された。その何かは通行人にぶつかって地面に落ちることはない。でも、回転した車からはガソリンの匂いがすると思った矢先、
ドッカーン❕
大きな爆発音とともに車が燃え始めた。
そこで、投げ出されたなにかが立ち上がる。…私だ。
私がそこにいた。なんでいるのか分からないが、これは今日起こると思ってしまった。
なら…助けなくちゃ
そこからの私の行動は早かった。
今日は外に行くのではなく、いつも忙しいおかあさんとおとうさんに家で休んでいて欲しい。
自分はまもるやいちろうたと遊んで来るからゆっくりして欲しい、そうお願いした。
私が何かをお願いすることが少なかったおかげか、はたまた自分たちのことを気にかけてくれた娘を嬉しく思ったのか、おとうさんとおかあさんはその話を聞いて今日はゆっくりしようと決めてくれた。
これでおかあさんとおとうさんが事故に会うことは無い。そう思い込んだ私はいつものように家を出て公園へ急ぐ。今日もまもるやいちろうたとサッカーをしようと考えながら。
公園に着くとそこには、まもるもいちろうたもいなくて仕方なしにリフティングの練習をすることにした。
1、2、3、4、5、6、………
今までの最高記録は50回なので今日は目指せ❕100回と思っていたら、ふと誰かがこちらを見ていることに気がついた。私を見ていた人は、無駄に髭の長いおじさん?おじいさん?で、住宅地周辺にある公園なんかにいていい人じゃない気がする。特になにかする様子はなくてすぐにどこかに行ってしまった。
一応交番に不審者いましたって行った方がいいだろうか?まあ、いいか…
さらにリフティングを続けていても、一向にまもる達が来る気配がない。2時間ほどたった後で今日は来れないのだと区切りをつけて家へと帰った。
本当は事故に合うはずだったおかあさんとおとうさんは家でのんびり休んでいるんだろうと考えて。
家の近くまで来るとなんだか人が多いことに気がついた。なんだかおかしい。住宅街と言ってもここまで人が集まるはずがない…。胸騒ぎがしてそこからは走って家に帰る。
やっと家に着くと家の前には救急車が…
バッ❕
「ちょ、君❕待ちなさい❕」
玄関にいた白い服を着た大人たちを押しのけて家の中に入る。車の事故は無くなったから、何も起こらないはず。
急いでリビングへ行くと
「お、かあ…さん?…おとう、さん?」
おかあさんとおとうさんは血溜まりに倒れていた。
おかあさんは顔面がズタズタで、おとうさんは腕が両腕とも部屋の隅にころがっている。
なんで…事故は起きなかったのに…
「君❕見ちゃダメだ❕なんでこんな所に子供が…」
救急隊のお兄さんが急いで私に追いついて私を外へ連れ出そうとする。
「い…いや…、いやーーーーーー❕」
抱きあげようとするお兄さんに抗っておかあさんとおとうさんの所へ行こうとするけど、なかなかお兄さんの腕から抜けられない。
「行っちゃダメだ❕いい子だから❕」
もがいても、もがいても抜け出すことはできない私は、ついに意識を手放した。
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「姫❕やったぞ❕FFI優勝だ❕」
いつも夢に出てくるまもるが私に笑いかけながら抱きついてきた。まもるはいつも嬉しいことがあるとすぐに体が動いてしまう。
周りにはいつもとはちょっと違うメンバーがいたが、いちろうたはしっかり居てくれた。あと、つんつん髪の人とゴーグルをかけた人をよく見る気がする。
そういえば、自分の姿を見たことがなかった。まもるもいちろうたも成長していて今とは性格は変わらなくても、身長が明らかに違う。もしかしたら私も成長している?
ズボンのポッケを漁ってみると小さなコンパクトがあったので自分の姿の確認を…
え、
そこで意識が一気に引っ張られる。
「はっ❕」
どうやら本当に目が覚めたらしい。目の前には前とは違う小さな手と白いベットにカーテン、ここは病院のベットの上か。
全て思い出してしまった。前世なのか、それとも平行世界の私なのかどうかは分からないけど前の私を。
前は、私が見た通り両親は交通事故で死んでしまった。
今回は回避できるかと思ったのに…結果は前よりもむごい死に方だ。両親を殺した人も憎い。
でも…
救えると思った自分が、これで大丈夫だと思った自分が、何も出来ない無力な自分が…
何よりも、
憎い
「あ、あぁぁ…ァァァああああああああーーーー❕」
なんで❕なんで❕なんで❕
なんで私は❕こんなにも弱いの❕何も守ることが出来ないの❕
いつも守られてばかりのお姫様なの❕
「君、サッカーは好きか?」
部屋の入口の方から声がする。誰かわからなかったので入口の方へ向いてみれば、
「ああ、言い方が悪いな。“力”が欲しいか?」
公園で私の方を見ていたおじいさんがいた。
わざわざ親を無くしたばかりの子供に会いに来た?この人影山と…いや、影山よりもやばい人なのかもしれない。でも、今はどうでもいい。
「公園にいた人ですね。なんですか、何の変哲もない親の死体を前に気絶した3歳児に何か用ですか。」
思わず3歳児には聞こえないであろう言葉を使ってしまったけれど、仕方がない。今は1人になりたい。
「…聞こえてなかったか、“力”が欲しいかと聞いたんだ。」
さっきも力が欲しいかと聞いたらしいが、聞いていなかった。
力?
「子供に何が言いたい❕」
わけが分からない、私はもう疲れた。でも、自分が憎くてしょうがない。弱い自分が憎い。
「私はオリオン財団理事長代理のものだ。君はサッカーが随分上手だね。好きなんだろう?サッカーが。嫌なんだろ?弱い自分が。なら、オリオン財団が力をかそう。君ならきっとすごい選手になる。そして…強くなれる。その代わりパーフェクトワールド計画を手伝ってもらうがね。」
一瞬何が言いたいのかわからなかった。こんな何も無い子供、これからどうなるのかも分からない。精神が病むかもしれないし、本当に強くなるかも分からない。しかもサッカーで強くなれると来たもんだ。
そして、パーフェクトワールド計画…
見るからにやばそうな計画だし、この理事長代理も頭がやばいだろう。
…でも
「強く…なれますか…?」
私の方が馬鹿だった。
「ああ、強くなれるだろう。」
弱い自分が許せない。憎くて憎くて仕方がない。
…もう、どうでもいいや
「じゃあ…私をオリオン財団に連れてってください。」
理事長代理はとても上手くいったと言わんばかりの悪い笑顔を見せたけど、それもどうでもいい。
この世界に私の居場所はないんだから…
こうして私はオリオン財団へと引き取られた。
幼なじみ達には何も言わないまま
これからできるだけ優先して書く予定の小説です(`・ω・´)フンスッ!
これからも頑張るぜ❕