オリオンの使徒は自分の居場所を探し求め、守る力を欲する 作:凪斗2005
オリオン財団の施設で暮らしてあと少しで10年、つまり13歳だ。13歳ということは中学生になる。だから私は少し施設の人と話し合い(脅し)をして雷門中に行かせて欲しいと頼んだ。
未練タラタラな自分に嫌気がさすけど、もしかしたら今も前の世界かもしれない、そう思わずにはいられない、だから確認しに行く。だって、守や一郎太がいたんだからその可能性だってある。
FFで落ちこぼれ雷門中サッカー部が優勝して、エイリア学園が地球を攻めてきて最強のチームを作るため旅に出て、FFIで世界のすごいヤツらと戦って優勝するのだ。
そんなハチャメチャだったけど、たくさんの思い出が詰まった1年が始まるのだ。
でも、そんなに上手くいくはずもなく、話し合いをした施設の人はその“話し合い”にビビることなく
「一星充にしっかりとサッカーを教えろ、その雷門とやらに行くのはそのあとだ。」
と上から目線なセリフを頂戴した。一星君改めて一星にサッカーを教えて半年くらいすぎていたが、世界のサッカーのレベル(小学生の)にはまだ程遠い。日本でなら通用するかもしれないがそれではダメなのだ。なぜなら一星にはオリオン財団から指令が来ていて、今度ロシアのサッカークラブチームに入ることになっているからである。
ロシアのサッカー事情を調べてみたところ、サッカープレーの水準はとても高く今のままでは一星がコテンパンにやられてしまう。そうなると一星の弟への支援が見込めなくなるかもしれない。そういうこと全部を見て考えると、今私が一星の練習を指導しなくなるのは一星のこれからが危ないので自動的に私の雷門入学は中学生2年生からになることが決定した。
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一星視点
最近相原さんが考え事をしてぼーっとしている所をよく見るようになった。僕との練習中はいつも通り生き生きと(表情筋はあまり動いていない)練習しているけど、休憩中や食事の時などふとした時に考え事をしている。
練習に支障をきたしている訳では無いのでまあいいかと考えていたのだけれど…
「一星、ひとつ言っておかなきゃならないことがあるんだが私は中学二年生になったら一人暮らしするから、施設から出ていくんだ。だからそれまでにロシア、いや世界のサッカーに通用するような選手に君を育てる。時間が無いから練習がきつくなるけど頑張って。」
「え……相原さん…いなくなっちゃうんですか…?」
いきなりこれだ。
まず、ロシアに僕が行く?聞いてない、相原さんが出ていく?これも聞いてない、世界に通用するサッカー選手になる?これだって聞いたことない。
なんで相原さんがいなくなる必要があるんだ❕
「ロシアに行くことは上の決定だとして、なんで相原さんがここを出なきゃ行けないんですか❕」
嫌だ❕置いていかれたくない、1人になりたくない。施設の人は確かに優しいかもしれない、上辺だけは、だから僕も猫を被って接するんだ。でも相原さんと練習している間は、相原さんといる時は、自然体でいられる気がするんだ。
「僕はまだ全然勉強も運動も、もちろんサッカーだってあなたに敵わないんですよ❕もっと僕に教えてくださいよ❕たくさんのことを❕行かないでください、相原さん❕」
だから…ひとりにしないで❕
ぽす、なでなで…
「相原…さん?」
相原さんは僕の話を聞いて悲しそうな、嬉しそうな顔をして僕の頭を撫でた。優しく、大事なものを触るような手付きで静かに撫でてくれた。
そして、ゆっくり口を開いて話し出す。
「ごめんなさい…、私の事情で寂しい思いをさせてしまって。小学三年生なんてまだまだ甘え足りない歳だから、それなのにお兄ちゃんだからって頑張ったんだよね。」
ゆっくり、ゆっくり言い聞かせるように…
「一星は頑張ってる、練習も勉強も。たっくさん頑張ってる、だから甘えていいんだ。でも、ここを私が出ていくことは私がやらなくちゃ行けないことがあって私が決めたことだから。…ごめんなさい。」
優しく、ゆっくり…まるで姉が弟に言い聞かすように。
「でもまだ一緒にいられるから、少しの間でも極力一緒にいよう。それに、もう会えなくなるわけじゃい。多分だけど、4年後FFIっていう中学サッカーの世界大会がある、もしその大会に出られるくらい一星がサッカー上手くなってたらきっと会える。だからごめんね。」
ポロポロと涙が自然と零れた。兄だからと、弟のためだからと我慢してきた涙は驚くくらい簡単に流れた。頭を撫でれられながら涙を流していると言う事実に恥ずかしさで顔が真っ赤になるけれど、相原さんの話を聞いて納得してしまった自分がいる。この施設に来る人なんてなにか“事情”がある人だけで、相原さんにとっての“事情”はここを出てしたいことなんだとわかった。
それに、4年後…僕が頑張っていればまた会えると言ってくれた。
「…その4年後って言うのは本当ですか?」
「正確には3年〜4年後だけど、必ず会える。まあ、一星次第だけど。」
確証が絶対にない…という訳ではなだそうなので、きっとまた会える…か。
「じゃあ、指切りしましょう。約束事破ったら針千本ですから。」
「ふふふ、いいよ、約束。」
指切り〜げんまん〜嘘ついたら〜針千本〜のーます、指切った❕
こんな子供じみたことに付き合ってくれる相原さんはやっぱり優しい。だから一緒にいれる、1年ちょっとを大切にして行こう。
「…“俺”、強くなってみせますから❕すぐ追い抜いてやります❕」
「❕、早くここまで追いついてきて、待ってるから。」
俺は行ってみせる、相原さんの待つ場所まで…
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敬語を使いこなしていても、真面目に練習を頑張っていても、家族と離れ離れになったとしても日常生活が遅れても、まだ小学生なんだと思い知らされた。突然知らないところに来て弟のために頑張って気を張っていても、10歳になったばかりの小学生。親に甘えたい時期なのに随分我慢した方だと思う、偉かったと思う。
でも、これは私の決めたことで行かなきゃ行けないから…
だから…
「ごめんね…」
謝ることしか出来ないけど、君ならもしかしたら世界の選手になれるかもしれない。
でも、ここまで来れるかは君次第。
だから私は、そこまで一星を行かせるための土台を作る。
あと1年ちょっと、全力で彼を導いてみせるから…世界の舞台へ。
一星が思った以上にキーキャラになって作者もびっくりしています。
無印の話は飛ばして速攻相原たちが3年になるので悪しからず…