オリオンの使徒は自分の居場所を探し求め、守る力を欲する 作:凪斗2005
あの後無事に王帝月ノ宮中の寮へ帰ることができたが、予定より少し遅くなってしまい野坂君に色々問いただされたので包み隠さず雷門に寄っていたと伝へた。
遅れた理由が意外だったらしくびっくりしていたがボソッと、元の相原さんなら有り得るか…、っと野坂君が言っていたのはバッチリ聞こえているので傍から見ても私の性格は変わったとわかるのだと再確認する。
そして今日はFF開会式の翌日。普通ならほかの学校の試合を見に行くなどして偵察をするはずだ、でも私が今いるのは病院の診察室のような内装をした寮の中にある部屋である。ついでに言うと今からすることは薬の投与、なんでそんな事を私がされなくてはならないかと言うとそれは半年前に遡る。
元々王帝月ノ宮中は強化委員の私を試合に出すつもりはなかったが、私のサッカーの練習を見てこれだけ能力の高い子供がアレスシステムのおかげだということにしたくなったらしく、私のDNAを採取し半年でも効果が出るように他の選手より数倍強い薬を開発し週一で私に打っている。
そんな薬ごときで私の身体能力が飛躍的に上がったりはしないので、今日も大人しく薬を打たれてはい終了、と終わるはずだった。
「今度は5日後に来てもらうのと、この錠剤を1日1錠飲んでください。体の変化があれば職員に必ず報告すること。」
私の体を心配するのではなく、薬の効果を確かめるための報告を忘れないようにという言葉と少し大きめの錠剤をもらい部屋を出た。そしてそのままオリオン財団からの新しい命令、影山零治をオリオン財団に誘うため帝国学園に行く。なぜオリオン財団に影山零治を誘うのかと私も疑問に思ったのだが、送られてきた資料を渡してオリオン財団について話すだけでいいと言われた。上には上の考えがあるらしいので私はとやかく言う必要は無い。
部屋に戻るのも面倒なのでこのまま監督に外出許可を取りに行こうとすると…
「ッ……❕」
いきなり強い頭痛に襲われる。とりあえず監督の元へ行くのは諦めて部屋へ向かう。原因を考えてみれば思いつく原因はひとつ、さっき打ったばかりのアレスシステムのための薬だ。実は、アレスシステムのために渡したDNAはオリオンの使徒のデータが漏れてはいけないとオリオン財団が用意したもので私のDNAとは全く異なる。
つまり、身体に合っていない薬を普通より数倍効力の強いものを打っていた。さすがの私でも身体にあっていない薬は受け付けないらしい。
「くそっ、なんでこんな…」
悪態つきながらも何とか部屋に着きベットに横になれば痛みはスっと収まった。ベットから起き上がってみてももう頭痛は起きない。時間にして5分くらいだろうか?今は大丈夫でも次がまた来るはずだし、今度から薬は5日おきに打つものと毎日服用する錠剤でさらに時間は伸びるだろう。錠剤を服用したり薬を打たなくなれば落ち着くだろうけど……
「FF終わるまでの辛抱か。」
試合の途中に頭痛が襲ってこないことを願いながら、明日から不定期に襲ってくる頭痛との戦いが始まった。
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「相原さん、この後始まる雷門の初試合を観戦しに行きませんか?」
野坂くんからお誘いを受けた。正直、まだ色々疑われている身なのにこんなに易々と誘っていいものなのか…
そんな疑問をさらに抱かせるのはいつも野坂君に付いていて、今日も後ろに控えてる西蔭君の態度だ。明らかに嫌だという顔をしている。
「…誘ってもらえるのは嬉しいですが、私がついて行っても大丈夫ですか?西蔭君は不服そうですけど。」
今日の試合は行ければ行くぐらいの感覚だったので、断れる理由も特にないから西蔭君を理由にして遠回しに“行かない”といえば…
「それなら気にしてもらわなくていいですよ。それに敬語はやめてくださいよ、相原さんの方が先輩ですし協力してもらうですから。」
爽やかな笑顔で西蔭君のことを無視しろと言い、あまつさえ敬語をやめろと来たもんだ。今まで気にしなかったことなのに今更すぎる。
こういうゴリ押しで野坂君が事を進めようとする時は大体何を言っても無駄だということはこの半年間の様子でわかっているので、もうついて行くしかないのか…
「はぁ〜、じゃあお言葉に甘えて敬語はなしで話そうか。試合も一緒に見に行かせてもらうよ。」
渋々行くことを決めた私に対して野坂君はなんだかニコニコとしていて怖い…、西蔭君はさらに眉間の皺を濃くした。西蔭君は野坂君大好きだから私が敬語じゃなくなったのも気に食わないんだろう。
「では、私服に着替えて寮の前にいてください。」
野坂君の言う通り今着ている制服を着替えるため部屋に戻って出かける様の服を引っ張り出す。白地に三本赤色の横縞の入ったシャツの袖を少し織って、シンプルな明るめの青いジーンズを履く。そして急いで寮の前に向かった。
寮に前に着けばまだ西蔭君しかいないようで、西蔭君に野坂君のことを聞いてみることにした。
「西蔭君、野坂君は今どこにいるかわかわかる?」
「………。」
いつも通り黙りか。西蔭君はいつも私が話しかけると必ず無視。私を疑うのはわかるし、当たり前だけどさすがに半年もそうだと悲しい。
「………。」
「………。」
2人とも無言の時間が続く。話すことはあるけど、答えてくれないなら仕方がない。
「……あんたはなんで王帝月ノ宮に来た?何が目的だ?」
「え、」
い、いきなり話しかけてきた…
めちゃくちゃ唐突に、さっきの質問と何の関係もないけど、私を1番警戒しているであろう西蔭君がしそうな質問。今までも聞く機会はあったのになぜ今さらと思うところもあるけど、それよりも話しかけてくれたことの方にびっくりしてしまった。
それにしても、来た目的か…
「目的は君たちを強くするたm「嘘だ❕」…最後まで言わせてよ。」
「お前も野坂さんを害すんだろ❕邪魔だてするのなら容赦しねぇぞ❕」
今まで前を向いていた体を私の方へ勢いよく向けて感情的に怒り散らす西蔭君は言葉が乱れ、口調が昔に戻って?いる。
いきなり喋ったと思ったら感情的になってみたり、私の目を見て話すのだって初てだ 。
「一方的に感情をさらけ出し、相手を決めつけるのは野坂君のためとは言えないんじゃないかな?それじゃぁ逆に野坂君の立場を脅かすことになる。行動を起こすならもっと考えな?」
「っ❕」
私が注意したことは正しいとわかっているようで、何も言い返せずに西蔭君は固まってしまった。
まあ無理もないか、それにしても…
「野坂君もすぐそこにいるんだから、早く行こう。雷門の試合が始まる。」
「……西蔭と楽しく話しているようだったので邪魔かと。」
「はぁ…そういうことにしておく。」
少し前から私たちの事を見ていた野坂君に声をかければ見つかっていると思っていなかったのか少し黙ったあと白々しくそれらしい言葉を並べた。野坂君の言動を見るに今回西蔭君のこの行動は、野坂君が指示したものではなく野坂君を心配した西蔭君の単独行動なので、そこまで警戒されて傷つくな……
でも、ひとつ見過ごせないことがある。
歩き出す2人に後付けとでも言うように釘を刺す。
「そういえば、西蔭君は最近私をつけてるけどバレバレだからやめな。まあ、野坂君の指示だと思うけど。」
私よりも前にいた2人は振り向いて、びっくりした顔を見せてくれた。野坂君の方はそこまで表情にでてないけど西蔭君なんて動揺が表情にでまくってる。
「それはすみませんでした。じゃあ行きましょうか。」
謝罪はするけど、話を強引に逸らしたということは少しでも後ろめたさがあるのかそれとも逆にどうでもいいのか…私の気にすることじゃないか。
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会場をライセンスを使い素早く入れば、2人がズンズン進んでいき全く人が周りに居ない席へと向かった。人払いをするのは正しいけどここまでするとは、さすがにびっくりである。
「好きなところに座ってください。僕はっと、ここに座るので。」
野坂君にどこでもいいと言われたので隣にでも座ろうかと思ったら、野坂君は背もたれに座り前の席の背もたれに足をかけた。行儀が悪いが後ろの西蔭君は何も言わないしわたしが口出しすることでもないだろう。結局私はひとつ隣りの席に座ることにした。
試合は始まってすぐに雷門が一点先制した。一点先制も予想外だったが、何より点をとった必殺技にびっくりさせられる。
「…ファイヤートルネード。」
豪炎寺のファイヤートルネードそのものな技を繰り出したのは小僧丸サスケ2年FW。身長が低くふくよかなものの、空中でのしっかりと安定した姿勢、打った時の威力、それを見ればひと目でわかる。御影専農中の完全コピーのわざとは違う、彼なりのファイヤートルネード。豪炎寺に憧れてあの技を覚えたのかと思うと、立向居みたいで少し寂しい。でももう戻れない場所に思いを馳せても仕方がない。
雷門が1点入れたあとの試合は星章の独壇場だった。星章に手も足も出ない雷門だけど、どんなにボールを取られても、どんなに点を入れられても、諦めずに挑んでいく。というか試合を楽しんでいるようにも見える。
でも、試合は程なくして星章の勝利で幕を閉じた。
「……面白い。」
…っと呟いた所を見るとどうやら野坂君は雷門と星章を気にったらしい。
野坂君、西蔭君とともに観客席をたち会場を後にしようと外へ続く道を歩くが…
「、、、え。」
目の前を歩いているのは別の人で野坂君と西蔭君がいない。これはもしや、迷子?
…この歳になって迷子になるとか、さすがに酷すぎる。でも、迷子になってしまったものは仕方がないので人混みの中野坂君と西蔭君を探す。
数分後…
人混みの中にいるのが思っていた以上に堪えたので人混みを避けようとしていたらいつの間にか、星章学園選手控え室近くまで来てしまった。なぜ選手控え室の近くだとわかったのかと言うと“選手控え室はこちら”とご丁寧に張り紙が貼ってあったからだ。
…とりあえずここから出てまた人混みの方へと帰ろう。ここは完全に関係者以外立ち入り禁止の場所だし、選手にでも見つかってどうこう言われたくはない。幸いさっきまでいた人混みの方から遠くないらしく色んな人達の喋り声が出口であろう方向から聞こえてくる。
静かに、でも確実に観衆の声がする方へと歩いていく。そして、もう角を曲がれば元の人混みに戻れるっと思った瞬間
ッド、
「うをぉっ」
「?」
誰かと当たって相手の方が少しよろけてしまった。私は人にあたられたくらいで倒れるような体幹はしていないので助かったが相手は大丈夫かとすかさす手を伸ばす。
「すいません❕大丈夫で……フィールドの悪魔、灰崎凌兵?」
大丈夫ですか、と声をかけるつもりだった。でも思わず相手の名前が先に出てしまった。今日の試合で1番活躍していたであろうその選手は、私の差し出した手を見たあとすぐに私の顔に目を向け、睨んできた。
差し出したては相手に掴まれることなく空を切る。
まさか、彼に会うとは私も運がない。鬼道だったらまだ誤魔化して貰えたのによりにもよって面識のない2歳下の選手とは。
私が少し考え事をしている間も灰崎は私を睨みつけたまま…
「ぶつかってすいません。ここには間違えて入ってしまって、すぐに出ていきます。もしこのことで何かあったら、このライセンスに書いてある連絡先に電話してください。私の電話番号です。」
対応としてはあっているだろう。睨みつけているのはぶつかった私に怒っているからだと思うので、一応何かあった時のため連絡先を渡す。メモなどがなかったので急いでカバンから出したライセンスに連絡先を書いてしまったがまあいいだろう。
「それでは私はこれで……あ、そういえば今日の試合いい動きでしたね。これからも頑張ってください灰崎君。」
少しの本音とお世辞を混ぜ込んで今日の試合の感想を言って急いで灰崎の横を抜ける。
だから私は知らないままなのだ。私が灰崎に背を向けて歩き出した時に灰崎が少し顔を赤く染めていたなんて。
無事人混みまで戻るとイレブンバンドに野坂君からもう帰り始めているという連絡をもらい私も急いで帰ることにした。
なぜ相原が複数ライセンスをもっていたかと言うとファンに渡すようです。