かつて帝王だったモノの対GNOSIA措置   作:ゑなかす

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改善点お待ちしております。


3day

「ハッ!?ここは!?」

ディアボロは目を覚ますとメインコンソール室にいた。

「ほほー、こんな時にお昼寝とはのんきなものですなー」

「ディアボロ。今は、まじめな話。」

 

思わず辺りを見渡す。そこには凍らされたはずのSQ、ラキオ

さらには消滅させられたハズのジナがテーブルについていた。

(なるほどな・・、コレがヤツの言っていたループ、というやつか。

しかし肝心な姿が見えないが・・?)

 

絶望してた割には余り動揺していないディアボロ。ちょっぴり驚きはしている。

事前に覚悟を決めていたというのもあるのだろうが、苦痛を供わないループは

生き地獄を延々繰り返していたボスには案外楽だったのだろう。やったね!

 

「まったく、シャモでの災害のせいで研究課題が滞っているンだ。

グノーシア汚染者発見なんて、この船のプログラムでどうにかならないのかい?」

「それは無理な話だろう。これでもLeviには最大限譲歩してもらっているんだ。」

 

ラキオの発言に返答しながら自動ドアからセツが姿を現した。

その顔は相変わらず真剣なものだ。

「来たか・・・・」

「やあ、ディアボロ。」

軽い挨拶をしながら、テーブルに備えられた椅子に腰を下ろす。

これで5人、役者は全員そろった。

 

「譲歩してもらってる、っていうのはどういうことなんだい、セツ?

まさかこの船が、次元波調査機能すら搭載していないなんてことはないだろうね?」

「もちろん搭載されてるよ、ラキオ。

でも航宙中にグノーシア汚染が確認された場合は、一部機能の制限が行われるんだ。」

 

「そのとおりでございます。

これは星間航行条約規定に則った対応なので、皆様にはご迷惑をおかけ致します。」

セツの説明を補足するように出てくるLevi。

会話は全部、録音でもされているのだろうか。

 

「それに本来なら、汚染が確認された時点で乗員の生命維持義務を放棄できるんだ。

それを何とか頼み込んで、こういう形にしてもらってる。

グノーシアと自爆して宇宙の塵芥は嫌だろう?」

「確かにね、やれやれ残念だけどここは一刻も早くグノーシアを見つけ出して

処理するのが賢明なようだ。」

 

「フン・・・では始めるとするか。汚染者はまず間違いなくSQだ。

投票に移るぞ。」

ディアボロの議論なしの確定黒宣言に、一同は冷や水を浴びたかのように静まり返る。

 

「待って、待って。SQちゃんグノーシアじゃないケド・・・なんで?」

「決まっているだろう。お前のような赤いヘンなヤツが人間であるわけがない」

「ディアボロに言われたくないんだケド!?」

 

流石にループしているから知っているなんていえるはずもなく、

適当な理由を言ってセツの援護を待ち、場の流れを掌握しようとした。

しかし彼の予想に反してまわりの反応は芳しくなかった。

「ディアボロ、流石にそれはちょっと・・・・・」

「私も、そう思う。ディアボロの方がヘン。」

「君も大概なんじゃない?」

 

「なっ、なんだとぉぉーーーーッ!?」

 

他の有象無象はどうでもいい、しかしセツの反応はどうしたというのだ。

ヤツは既に誰がグノーシアかわかっているはずだろう!

まさかここにきて裏切られたとでも言うのかッッ!?

・・・仕方あるまい、こうなってはゴリ押すしか!

 

「貴様らよく見てみろ!どこからどう見てもこの女の姿は怪しいだろう!」

「ディアボロ、うるさい。」

「うぐぅ!?」

 

ジナから予想外の反論がきて黙ってしまう。

これ以上は自分の立場も危ういと考え、不本意であるがいったん引くこととする。

地味にセンスカウンターのダメージも積み重なっていた。

「とりあえずディアボロは放っておいて4人で話し合おうか・・・」

 

話し合いの結果、この日コールドスリープするのはとりあえずラキオに決定した。

 

 

 

 

「セツ!貴様!」

「一体どうしたの、ディアボロ?

朝の話し合いじゃ君らしくもない」

 

セツは困惑したように顔をゆがめていた。

その表情は本当に心当たりがない、といった顔だった。

それが逆に彼の怒りに油を注ぐ。

 

「貴様も既にわかっているはずだろう!誰が汚染者なのかを!」

「えぇ・・・?すまないが、私にはまだ誰がグノーシアなのかわからないよ」

「そんなハズが・・・!」

 

どうにも話がかみ合わない。お互い一方通行の会話をしていく。

するとセツが何かを閃いたような仕草をした。

 

「・・・!、ディアボロ。ちなみに君は今何回目なんだ?」

「何回目・・・?それがどうしたというのだ?」

「ああ・・・、やっぱり。その反応からして2回目か3回目というわけか・・・」

 

一人納得したようにうんうんと頷くセツ。

反してディアボロは依然として内容がつかめないままだった。

 

「一人で納得してるんじゃあない!オレにも分かる様に説明しろ!」

「ああ・・・ふふっ、君はもしかして毎回グノーシア汚染者が同じ人物だと思ってないかい?」

「それは・・・!違うのか・・・・?

この世界はループしているはずだろう?」

「そう、この世界はループしている、それは間違いない。

でも困ったことに、グノーシア汚染者は固定されてはいない。

さらには乗員や汚染者の数も何故かいろいろ変わってしまうんだ。」

「さっ、先に言え!」

 

セツの笑いがディアボロの羞恥心を煽る。

ことこれに限って彼は全く悪くはないのだが、

いたずらっ子のようにクスクス笑い続けるセツに対し、

あたかも自分のミスのように感じてしまう。

 

「ええい!、笑うのをやめろ!そして大事なことは最初に伝えておけ!」

「ああ、ごめんよ。君の反応が、自分の3回目の時と似ていたから

つい・・・ね?」

 

ようやく笑うのをやめたセツはフッと深呼吸して、一転いつもの真剣な表情に戻る。

「それにしても前回の私は君に伝えなかったのか。

言う暇がなかったのか、もしくは・・・」

「・・・?どういうことだ?

ずいぶん他人事のように言うじゃあないか。」

「確かに他人事と言えば他人事かな。

自分自身のことではあるけれど、今の私はそのことを経験していないからね。」

 

また回りくどいことを言い出したぞ・・・

要点をきっちり話すことができないのかコイツは・・・

 

「君にはいろいろ迷惑もかけられているからね・・・。

お互い様と言うヤツだよ」

「人の思考を勝手に読むんじゃない!

・・・・!フン、そういうことか。」

「そう、ディアボロ。何故君の一回目と私の一回目が同じではないのか。」

「つまり・・・、お互い順番がバラバラに飛ばされている、ということでいいな?」

 

ディアボロは大きくため息を吐く。

単純に時間が巻き戻るだけであれば、おそらくまだ楽に解決できただろう。

記憶も取り戻さなければならないのに、状況や時間軸までもがチグハグとは

運命はどうしても彼を困らせたいらしい。

 

 

 

 

ディアボロはメディカルルームへと足を運んでいた。

前回のループでは結局促成学習を行えなかった為、

急遽Leviに手配してもらい今回で済ませてしまおうとしている。

設備の使用方法がわからなかったり、日常生活でもいろいろ不便なのだ。

 

(それにしてもレクイエムの地獄から逃れられたのはいいが、3000年やらグノーシア

だの妙なところに辿り着いてしまったものだ・・・)

そんなことを考えつつ廊下を歩いていると、メディカルルームの手前に人影が見える。

あの紫は・・・、ジナだ。

彼女もこちらに気づいたのか、向かってきて声をかけてきた。

 

「ディアボロ、朝は、強く言いすぎた。ごめんね。」

「・・・フン、その話はもういい。こんなところで何をしている?」

「宙を、見ていたの。」

 

ボソリと呟くと、窓に視線を戻す。

 

星が見えた。

色とりどりの光を発し、暗い宇宙を照らしている。

まるで生命の息吹のように輝く星々。

その幻想的な雰囲気は一種の美しさすら感じさせるものだった。

 

「芸術鑑賞が趣味なのか?

感傷に浸るのは汚染者除去が終わってからにしておけ。」

 

彼が素っ気無く言うと、ジナは心底驚いたように振り向いた。

「ディアボロも、そう、思うんだ。」

「ああ、敵がどこにいるか分からない状況で、のん気に星なんぞ―――」

「違う。貴方も星を、美しいと思ってる。」

「ム・・・、別に驚く程のことでもなかろう。」

「ディアボロは、旧時代の人、だったね。

今はこういう景色、珍しくないから。」

 

暫し沈黙が流れた後、当初の目的を果たすため、歩を進める。

だが数歩動いたところで再び後ろから声をかけられた。

 

「私、誰がグノーシアか、わかるかもしれない。」

「明日。もし終わってなかったら、皆の前で説明する。」

 

 

 

 

 

朝が来た。

昨晩は無事促成学習を受けることができ、この世界の常識を理解することができた。

もう彼はシャワールームで水の出し方に苦戦することもないだろう。

一つ残念なことがあるとすれば、汚染者はラキオでなかったということだ。

グノーシアはまだ船内に潜伏している。今日も話し合いが始まりそうだ。

 

(昨日ヤツは誰がグノーシアかわかるかもしれない、などと呟いていたな。

何か策があるのか・・・。なんにせよお手並み拝見と行くとするか。)

 

メインコンソール室に集まったのはSQ、ディアボロそしてジナの3人だった。

セツの姿が見当たらないということは、おそらく・・・・・

 

「Levi、セツの反応はどうなっている? 確認できるのか?」

「船内には反応を確認できません。ログの状況を鑑みるに

グノーシアに消滅させられた可能性が高いかと・・・・」

 

報告に眉をしかめる。

しかし表情とは裏腹に、ディアボロの思考は落ち着いており、一つの結論を推測していた。

(どうやら消滅させられたとしても、何の問題もなくループさせられるらしいな・・

おそらくコールドスリープも同様なのだろう。)

(無論、問題ないとはいえ、むざむざ消されてやるほど甘くはないがな!)

 

「消されたのはセツですカ・・・、

つまりジナ、ディアボロのどっちかがグノーシアってことになりますな・・・」

「少し、話をさせて欲しい。」

 

ジナが皆の注目を集める。おそらく昨日の“グノーシアが誰か分かる”と言う話だろう。

さて、参考にするに値するかどうか・・・。

 

「私はこの船のエンジニア権限を持ってる。

だから昨日、ディアボロの次元波を調べるように設定した。

これでグノーシア汚染されているかどうか、識別できる。」

 

(先日話題に上がっていた次元波調査機能、

それのアクセス権限ということだろう。しかし・・・)

「その機能は確か、現在制限がかかっているのではなかったか?」

「説明させていただきますと、全く使えないと言うわけではないのです。」

Leviが間に入って問いに答える。

 

「本来ならば、乗員一名につき2時間ほどで調査できるものなのですが、

機体性能のダウンが行われているため、16時間ほどかかってしまうのです。」

「つまり一日に一人しか調査できないってわけっスね!」

 

「フン、ではやはりグノーシアはSQだったと言うわけか。

だから昨日言っただろうがコイツは―――。」

「違う、ディアボロ。貴方がグノーシア。」

 

なんだと?――――――

 

「ハイハイ!

SQちゃんも昨日から、ディアボロのこと怪しいと思ってたんだZE!。」

「オ、オイ待てキサマらッッ!そんなことがあるわけなかろうッ!!

SQ!、オレをよく見ろッ!怪しいのは誰か!?もう一度よく考えろ!!」

「えー、どこからどう見てもディアボロですケド。」

 

初日の言動が祟りSQには取り付く島もなさそうだ。

確実にジナを信用しきっている。

というか全くディアボロが信じられていないと言った方がいいかもしれない。

 

(クソッ!この状況は不味い!

このままだとオレが選ばれることは必至だ!

何とかしてヤツの嘘を見破るしか生き残る術はないッ!)

 

「本当にエンジニアであるなら、何故に前日に言わなかった!

この状況で名乗り出るとは、怪しさしかないぞ!」

「それは・・・、怖かった。消されるのが。」

「うんうん、ディアボロ。認めれば楽になれるZE?」

「やかましいッ!!」

 

必死に脳を回転させ、逆転の一手を考える。

誰もが認めざるを得ない証拠を見つけるため。

 

「・・・!そうだ!

Levi!誰が本当にエンジニア権限を持っていたか確認できるか!?」

ディアボロは起死回生の閃きを、願望もこめて吼える。

しかし現実は無情にも彼の希望を両断した。

 

「エンジニア権限が1件受理されているのは確認できますが、

個人情報データが汚染されている可能性があるので、権限の紐付けが不可能な状況です。

ご期待に沿えず申し訳ございません・・・」

 

「そ、そんなバカな・・・

こ、このオレが・・・・!

こんな――取るに足らない小娘どもに・・・ッッ」

「んじゃ、ちゃっちゃと投票はじめちゃいまSHOW!」

 

「この便所に吐き出されたタンカスどもがァァーーーーッッ!!」

 

手元にスクリーンが表示され投票が始まった。

奇跡の逆転なぞあろうハズもなく・・・

結果はディアボロがコールドスリープ行きとなった。

 

 

 

 

 

コールドスリープルームに向かう人影が二つ、ディアボロとジナだ。

 

逃げ出そうとも考えたのだが、射殺されるよりかは凍った方がマシだと

考え、おとなしく彼女に連行されている。

 

「すました顔してよくやるもんじゃあないか、えぇ?

わたしもまさかここまでやるとは思っていなかったよ。」

「結果は、結果。」

 

せめてもの腹いせにネチネチと口撃を続けるボス。

ボロを出すことを期待していたようだが、表情を一切変えないあたり

あまり効果はなさそうだ。

そうこうしている内に目的の部屋の前まで辿り着いた。

 

「入って。」

「・・・言われなくてもわかっている。」

 

少しひんやりとした空気がディアボロを包む。

通路と室温は変わらない。

殺されるのとはまた違うが、多少の抵抗があるのだろう。

それが無意識に感覚となって現れたか。

 

「フン・・・、あの女を消滅させた後は、肴にまた星でも見るのか?

いい身分だなグノーシアとは。」

「・・・・!」

 

何気なく言った捨て台詞が、始めてジナを動揺させた。

目を大きく開け、肩を震わせている。

もっともこの時、彼は背を向けていたため気がついていなかったが。

 

ポッドが開かれ、意を決して入り込んだディアボロ。

寝心地は悪くはないが、決して入りたいとは思わないだろう。

出入り口がまさに閉まろうとする。

 

「待って!!」

ポッドが閉まりきる直前、声と共にジナの細い手が伸び、

蓋が閉まりきることがないよう、手を挟み込んだ。

 

「な、なんだ!?」

「ジナ様。危ないのでおやめください!」

彼女の危険行動をLeviが嗜める。

その不可解な行動に、疑知体であるLeviも困惑の色を声に滲ませていた。

 

悲痛な顔で彼女が叫ぶ。

「違うの、私。私がグノーシア!」

 

場が静まり返る――。

「・・・ジナ様。その発言はこれ以上看過できません。

取り消すつもりはございませんか?」

「いいの。これで。」

 

「・・・何のつもりだ?」

 

静かにポッドから出て、彼女を睨みつける。

怒りこそないものの、まるで理解できないものを見る目つきだ。

 

「これ以上、嘘。つきたくなかった。」

「理解できんな。黙っていれば目的を達成できたろうに。」

 

「嘘をついてまで、行くところなんて私には、ないから。」

「改心したかなんだか知らんが、礼はいわんぞ。」

 

「ディアボロ。貴方は嫌い。嫌な感じがする。」

「・・・」

 

「でも、貴方は星を、綺麗と思う人だから。」

 

ディアボロはジナの言葉を何一つ理解できなかった。

いや、まるで自分と言う存在が、理解を拒んでいるかのように感じた。

妙なモヤモヤを抱え、無言でその場を立ち去る。

 

そこにはもう、涙を流した女性の姿しかなかった。

 

 

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