コードギアス 久遠のアルカ   作:キナコもち

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いつも誤字報告、お気に入り、感想、評価etc……
本当にありがとうございます。

ランキングの割と上の方まで行ってたのもうれしかったです!
これも皆さんと愛すべき原作のお陰!!
感謝感謝感謝………


stage3 それぞれの仮面

「え、例のシンジュクの男から連絡が来た?」

『ええ、明後日の16時、旧東京タワーの展望室に来い、と。』

 

 クロヴィスの死亡が報道されたことによって、カレンの歓迎パーティーは中止となった。

 姉上が酷く動揺し、パーティーを続けるどころじゃなかったからだ。

 クロヴィスの死も悲しんでいたが、それだけが原因では無いだろう。

 一番強く動揺が見られたのは枢木スザクが容疑者として逮捕された、と聞いてからだ。

 まぁ無理も無いか。幼馴染なのだから。

 枢木スザクとは会ったことは無いが、2人から話は聞いている。

 兄上と私で不安がる姉上を何とか寝かしつけた後、外の風に当たりたい、と兄上に伝え、私はクラブハウスの屋上へと向かった。

 勿論、建前だ。

 カレンから話したいことがあるから後で連絡すると言われていたからである。

 想像通り、レジスタンスに関する事だった、聞かれる訳にはいかない。

 

「いつ来たの?」

『私がシャワーに入っている時、要件を伝えるだけ伝えて切られちゃったけど。』

「クラブハウスの電話に掛けてきたってことは向こうには素性、バレているみたいだね。扇さんには?」

『伝えたわ。私は制服を着て東京タワーへ。少し離れて扇さん達が付いてくるみたい。そして…』

「あわよくば、全員で接触……と」

『そう、一人で行くのには危険過ぎるから…って』

 

 確かに、一方的にこちらの事を知っている相手に一人は無謀すぎる。

 

『アルカはどうするの?来る?私的には止めた方が良いと思うけど……』

 

 カレンの本来の面倒見の良さからなのか、私が付いていく事は了承し難いらしい。

 身を案じてくれるのは有り難いが、正直、何も行動できないのも飽き飽きしてきた所だ。

 この調子じゃいつ私の悲願が叶うか、分かったもんじゃない。

 それに、本当にシンジュクの男本人だとしたら……

 色々と確かめたい事がある。

 

「いや、行く。男の真意を確かめたいし。そ、れ、に、いざとなったら守ってくれるんでしょう?」

『はぁ……ハイハイ。わかりましたよ、お姫様。』

 

 思ったより素直に引き下がってくれた。

 多分、私がそう言うだろうと分かっていたんだろう。

 

『あんた、ちゃんと変装してきなさいよ?得体の知れない人に会うんだから』

「変装…変装かぁ……。頼んだもの出来てるかなぁ…」

 

 あの老人、ちゃんとやってくれただろうか。少し不安だ。

 

『頼んだもの?』

「こっちの話~。じゃあ、また明後日ね。」

 

 カレンとの電話を終え、屋上を後にする。

 明日の放課後、行ってみよう。

 

 

◇◇◇

 

翌日 放課後

 

「ああ、全て言われた通りにやった。こっちの世界では超一流ってやつがやっているし……」

 

 目の前の男は操り人形の様に、感情を失った声で語る。

 

「あとは全ての証拠を消して、忘れればいいんだな?」

 

 いや様に、では無く、実際に操り人形か。ギアスを掛けたのだから。

 レジスタンスとして活動をしていく上で一番留意しなければらないのは、素性がバレる事だ。

 私達の相手は帝国ブリタニア。私にとっての古巣。

 私の正体が軍にバレれば、芋づる式で兄上、姉上の事も知られてしまう。

 そこだけは常に気を付けなければならない。

 そこで私は、普段の活動で顔を隠せる様に、仮面を作った。

 比喩では無く、文字通りの仮面だ。

 パッと見は何も変哲の無い金属製の仮面。

 フルフェイス式では無く、顔の前面を覆うだけの少し模様の入った仮面。

 

(割と凝ってしまった……)

 

 KMFにも使われている軽くて丈夫な素材を用い、変声器を取り付けた。

 ただ顔を隠せて声を変えれれば良かったのに。自分自身に身に着ける物って考えると、素材から拘りたくなっちゃって……。

 

(まぁ無事出来て良かった。)

 

 私は店を後にし、仮面の入った紙袋を手に下げながら、足早にアッシュフォード学園へ向かった。

 帰路の途中、見知った人物が同じ様に紙袋を手に下げながら歩いていた。

 私は駆け寄り、後ろから声を掛ける。

 

「やっほ、兄上。」

「ほわぁ!?」

 

 聞いたことの無いような声が辺りに響いた。

 

 ・

 ・

 ・

 

 時は少し遡り、アルカが仮面を受け取る少し前。

 奇しくも妹と同じ店で、ある少年が店主から品物を受けとっている。

 

「ああ、全て言われた通りにやった。こっちの世界では超一流ってやつがやっているし……」

 

 目の前の男は淡々と語る。

 

「あとは全ての証拠を消して、忘れればいいんだな?」

 

 ギアス…便利な力だ。

 

「ああ、良くやってくれた…」

 

 今後の事を考えると、まず一番気を付けなければならないのは俺の素性だろう。

 万が一、軍にバレでもしたらナナリーやアルカも芋づる式に知られてしまう。

 そうなってしまっては意味が無い。

 正体を隠して行動を起こす必要がある。

 その為に、仮面を作らせた。

 頭を覆いつくす、フルフェイス式の黒い仮面で、変声機が付いている。

 仮面を付けたままでもギアスを使えるように、左目の部分は開閉出来る様になっている。

 ついでに仮面のデザインに合わせて、スーツも用意した。

 

(ふ、少し凝り過ぎてしまったか)

 

 俺は店を後にし、仮面の入った紙袋を手に下げながら、帰路につく。

 

仮面とスーツ(コレ)をもった状態で会長にでも出くわしたら、目も当てられないな。確実に紙袋の事を聞いてくるだろう。そんな面倒は………)

「やっほ、兄上。」

 

 ・

 ・

 ・

 

「ア、アルカか……今帰りか?」

「うん、ちょっと買い物に……どうしたの、あんなに驚いて?」

 

 兄上と2人でアッシュフォード学園へ向かっている。

 

「ああ、考え事しててな。いきなり後ろから声かけられたもんだから、ビックリしたんだ」

「ごめんごめん。それにしても、最近の兄上、考え事ばっかりしてる。そんなに前に電話で話してた、手強い相手っていうのは厄介なの…?」

「あ、ああ…中々活路が見いだせなくてな。常にそっちに頭を持って行ってしまうよ、はは……」

 

 兄上はぎこちなく笑う。

 ふと視線を落とすと、私のより大きい紙袋が目に入った。

 

「何買ったの?」

「スーツだよ。ほら、会長って学校で良くイベントを開くだろう?絶対無言パーティーとか、男女逆転祭りとか……」

 

 兄上の言葉から、ミレイさんの発案したイベントを思い出す。

 うん、どれも疲れたっていう印象しかない。

 

「会長がまたイベント思いついたらしくてな。やるかどうかは分からないが、一応の為に買ってきたんだ。」

「だから、生徒会室にはコスプレ道具が沢山あるんだね…」

 

 会長の気まぐれの度に買ってたら、そりゃあの量にもなるわ。

 生徒会室の片隅に積まれた段ボールを思い浮かべる。

 

「アルカは?何を買ったんだ?」

「カレンへのプレゼントだよ、歓迎パーティー中止になっちゃったし。だからいくら頼まれても見せてあげないから!」

「はは、流石にプレゼントの内容を当事者が知る前に、見るわけにはいかないよ。」

 

 そうこうしている内にアッシュフォード学園に着いた。

 

「じゃあ俺は買ったもの片付けてくる」

「うん、私も」

 

 それぞれの部屋に向かう為、兄上と別れた。

 

 

 

 言葉は交えずとも、根柢の目的は同じ。

 素性を隠す為に、思いついた手段も同じ。

 一度決めたことは、とことん拘ってしまうのも同じ。

 何なら、利用する店も同じ。

 やはり、兄妹(きょうだい)なのだろう。何をするにしても(ルルーシュ)(アルカ)は似ていた。

 その様子を遠くから見ていた緑色の髪をした少女はため息を付きながら……

 

「……微笑ましい光景だよ、全く。」

 

 と一人呟いた。

 

 

 

 これは余談だが、数日後。

 2人が利用した店の店主は変死体として見つかった。

 この店主は密接に裏社会に関わっていた為、何らかの恨みを買い殺された、というのが警察及び軍の見解だが、果たして。

 

◇◇◇

 

 トウキョウ租界 旧東京タワー 

 

 ブリタニアが日本に仕掛けた侵略戦争―――極東事変。

 その戦争によって、展望台の上部が崩壊した東京タワーは、戦争が終わった今でも修復されずに当時の姿で残っている。

 そんな痛々しい姿の東京タワーは現在、極東事変の記念資料館として使われている。

 戦争の資料館、普通は痛々しい戦争を後世に伝えるのを目的として作られるものだが、そうではない。

 この資料館の目的は、旧日本人のブリタニアに対する恐怖心を忘れさせない様にする事だろう。

 隷属させるのは牙を折るのが一番効果的………とアルカが言っていた。

 その証拠に名誉ブリタニア人でも無い扇さん達が入館出来ている。

 

『ブリタニア軍の圧倒的勝利は、蒙昧な旧日本政府に対し―――。』

 

 耳障りな館内アナウンスが流れている。

 もう何回聞いたであろうか。

 指定された時間よりも早く到着し、それらしい男を探したが、見当たらなかった。

 腕時計に目線を移し、時間を確認する。

 15時59分。

 あと少しで予定の時間だ。

 私からも、扇さんからも少し離れ、一人ベンチに座っているアルカに目を向ける。

 パーカーのフードを深く被り、うつむいている為、表情は確認出来ない。

 重力に従って下へと垂れている艶のある髪が黒くなっている事から、ちゃんと染めてきたのが確認できる。

 アルカから視線を戻し、再び時間を確認する。

 16:00丁度。

 

『アッシュフォード学園からお越しの、カレン・シュタットフェルト様。落し物が届いております。展望フロア、サービスカウンターまで……』

 

 アナウンスがフロアに響く。

 落とし物をした憶えは無い、そうなると電話の男の仕業だろうか。

 警戒を緩めず、アナウンスされた場所へ向かう。

 

「こちらで間違いないでしょうか?」

「え、ええ。ありがとうございます……」

 

 サービスカウンターの女性から黒い携帯電話を受け取る。

 辺りを見渡すが、やはりそれらしい人物は居ない。

 

「ん…?」

 

 先ほど受け取った携帯が、突然振動し始めた。

 電話だ。画面には「ZERO」と表記されている。

 

(ゼ、ロ………?)

 

「…はい、もしもし」

「環状5号線外回りに乗れ、お友達も一緒だ。」

「え、ちょ……」

 

 また一方的に切られてしまった。

 

「何かあった?」

「うわっ!」

 

 呆然としていると、突然後ろから声がし、思わず声をあげてしまった。

 

「ああ、アルカ………今度は環状5号線外回りに乗れ、だってさ。扇さん達も一緒に。」

 

 いつもよりアルカの頭の位置が若干高く、少し慣れない。

 聞けば、変装の一環としてシークレットブーツを履いているそうだ。

 

「ふぅん……じゃあ行こうか。」

 

 少し考えむ様に黙ったと思えば今度は私の手を引いて歩き始めた。

 相変わらずフードを深く被っており、上から見下ろす形になっている私の目線からは、表情は読み取れない。

 

「そんな、皆に相談もせずに……」

「もし罠だったらこんな回りくどい事しないでしょ。多分、カレンの仲間が何人いるか確かめたくて、ここに呼んだんだと思うよ。」

 

 アルカは扇さん達を手招きして呼び、私の手を引いたまま、所定の場所へ向かい始めた。

 

 ・

 ・

 ・

 

 環状5号線…トウキョウ租界とゲットーの境界を走る路線。トウキョウ租界を一周出来る唯一の路線。利用客も多い。

 平日の夕方にも関わらず、席は埋まっており、立っている人もちらほらと見受けられる。

 満員とまではいかなくても乗車客は多い。

 しかし、

 

(客が静かすぎる、不気味なくらいに。)

 

 乗車客は少なく無いのに雑音が何一つ聞こえてこない。

 それどころか、イレヴンである筈の扇さん達に、反応すら示さない。

 大体のブリタニア人はイレヴンを毛嫌いしている筈なのに。

 まるで何かに操られている様に、ただただ虚空を見つめている。

 

「ん……」

 

 隣に居るカレンが携帯を取り出し、耳に当てる。

 あの男からの電話だろう。

 

「ブリタニア人の街だ…私達の犠牲の上に――――。」

 

 進行方向に向かって右側。

 トウキョウ租界の方を見ながらカレンは呟く。

 会話の内容は聞こえない為、詳しいことは分からない。

 まぁでも予想は着く。

 租界についてどう思っているか、とでも聞かれたんだろう。

 

「先頭車両…だって」

 

 電話を終えたカレンが耳元で囁く。

 カレンを先頭に、進行方向に向かって車両を移動する。

 やはりどの車両も不自然な程に静かだ。

 

「!!」

 

 一番先頭の車両に足を踏み入れたカレンは歩みを止める。

 目の前に目線を向けると、ある人物がこちらに背を向けて佇んでいた。

 乗車客は一人も居ない。

 

「お前……なのか………?」

 

 男は何も答えない。

 

「シンジュクのあれは、停戦命令もお前なのか?」

 

 電車がトンネルに差し掛かり、車内が暗くなる。

 と、同時に男は身体を翻した。

 漆黒のマントに紫色のスーツ。そして仮面。

 男……なのだろうか。身長の高さからそう考えたが、線が細い為、判断は難しい。

 

『どうだ?租界ツアーの感想は?』

 

 機械交じりの声が社内に木霊した。

 

「ツアー?」

「おい、こんなふざけた奴だったのか?」

 

 吉田と杉山が言葉を漏らす。

 

『正しい認識をしてもらいたかった。租界とは、ゲットーとは。』

 

 腕を左右に広げ、仮面の男は雄弁と語る。

 

「確かに、我々とブリタニアは差がある。絶望的な差だ。だからこうして――」

『違うな、間違っているぞ。テロではブリタニアは倒せない―――。』

 

 仮面の男、ゼロは語る。

 やるなら戦争だ。

 民間人を巻き込むな。

 正義を行え、と。

 

(…へぇ…………)

 

 男の言葉を聞き、思わず口角が上がる。

 

 

◇◇◇

 

『不可能を可能にして見せれば、少しは信用できるだろう。』

 

 俺の言葉を聞き、レジスタンスは押し黙る。

 信用が出来ないながらも、納得はしてくれた様だ。

 ふっ、ありがたいことだ。

 人間というのは奇跡に縋る生き物だ。

 後は、スザクの奪還という奇跡を起こせば、俺は、いや、ゼロはたちまちイレヴンにとっての希望として認識され始めるだろう。

 これで前提条件はクリアされた。

 しかし、ただ一つイレギュラーが発生している。

 俺の目の前、カレンに隠れる様に佇む少女。

 今の今まで一言も発さず、沈黙を守っている。

 何者だ?

 

『…………』

 

 俺の視線に気づいたのか、今まで微動だにしなかった少女が顔を上げる。

 仮面だ。俺と同じ、仮面を身に着けている。

 顔の前面を覆うだけの金属製の少し模様の入った仮面。

 フードと仮面の隙間から艶やかな黒髪が確認出来る。

 いつの間に身に着けたのだろうか。

 

『どうしてクロヴィス総督を殺したの?』 

 

 機械交じりの声が響く。

 俺のではなく、彼女のだ。

 そんなことを何故、彼女は聞いたのかは分からない。

 俺がクロヴィスを殺した理由……

 答えは一つだ。

 

『………あの男が、ブリタニア皇帝の息子だから。』

「え……?」

 

 俺の言葉が意外だったのだろう、カレン達に困惑の色が見える。

 ただ一人。仮面の少女を除いて。

 

『……そう…、いいね。』

 

 考え込むような素振りを見せたが、それもほんの少しの事。

 彼女はまるで俺の事を待ち望んでいたかの様に、嬉しそうに呟く。

 仮面の奥で少女が笑っている、そんな気がした。




始めはアルカに仮面を身に着けさせる予定、無かったんだけど、今後の展開考えるとあった方が便利そうだから、急遽変更しました。
ルルの真似をしている形にはなりましたが、まぁ妹なので思考は似通う、という事にしておいてください。
そしてあまり深く頭使わずに読んでください、ぼろがバレるんで……

アルカの仮面のデザインは皆様が各々イメージしながら読んでください。
決して仮面のデザインを言葉に起こせなったわけでは無いヨ。
私的には、スパイダーマン・マイルズモラレスに出てくるティンカラーの仮面をイメージしています。
もし、仮面のイメージが出来なかったら検索してみてネ。

そのうちアルカもオリ主らしいことさせないと、とは思いつつ、原作を崩さない様に介入させるのは難しいですね。
もうしばらくは大人しいと思います。

ところでC.C.まだ?
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