活動報告にも書きましたが、stage.0とstage.1の加筆をしました。
気が向いたら見てみて下さい。
第2皇女 コーネリア・リ・ブリタニア
皇女でありながら、有事の際は先陣を切って戦地へ赴く、女傑。
帝国の敵はどんな犠牲を払ってでも打ち倒す。という強い覚悟の元、各地の内乱を悉く力によって鎮めてきた。
ブリタニアの国是を厳守し、ナンバーズとブリタニア人の区別は、皇族の中でも群を抜いている。
世間からは、ブリタニアの魔女と言われ、非情な人間として認識されている、が………
(コウ姉様が次の総督…か……)
その実、世間が言うほどコーネリアは非情では無い。
ナンバーズとブリタニア人を区別するのも、彼女の根底に、ナンバーズは皇族である自分が導かなければならない、という強い意識があるからだ。
ブリタニアの軍門に下らない、ナンバーズ……つまりは非名誉ブリタニア人に対しては苛烈を極める。
が、ブリタニア国籍を持ったナンバーズ、名誉ブリタニア人に対しては、守るべき帝国臣民、として認識している。
それを彼女が口に出すことは、決して無いだろうけど。
コーネリアという女性は、戦場における姿ばかりが注目されているが、優れた統治者という側面も併せ持つ。
まぁ、ナンバーズからすると、そんなコーネリアもただの敵であることには変わりないが。
(やりづらいなぁ、色々な意味で)
加えて彼女は存外、身内には甘い。
実妹である、ユーフェミア・リ・ブリタニアは勿論の事。
他の異母兄弟に対しても家族として接する。帝位を狙い、争い合う皇族の中では珍しいタイプの人間だ。
それは私達に対しても同じだった。
特に私に対しては……
「―――ルカさん。アルカさん。」
「え? あ、何?」
物思いにふけてしまい、クラスメイトに声を掛けられているのに気づかなかった。
「高等部にイレヴンが入学してきたって話、知っています?」
ああ、そういえば。そんな話どこかで聞いた気がする。
「ごめんなさい、興味ない。」
「あ…………」
そう言って私は席を立ち、教室を出る。
クラスメイトには悪いが、噂話で花を咲かせる程、仲良くする気は無い。
関わる人が増えれば増える程、それは私にとっての重荷になる。
全てを背負いながら戦うなんて芸当、私には出来ない。
(最近、話しかけられる事、多くなった気がする)
C.C.と再会してからだろうか。
ミレイさんに「最近、雰囲気柔らかくなった?」と言われた事を思い出す。
自分でも気づかないうちに気が緩んでいたのかもしれない。
そんなことを考えながら、私はクラブハウスへと向かう。
授業?今日はサボりだ。
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アルカの学校においての評判は、そこまで悪くない。
彼女自身は愛想が無く、歳も下であることから、嫌われている、周囲から浮いている、と思っている。
本人としても仲良くする気は無いので都合が良いと、特に態度を変える気は無い様だ。
しかし、実際はそうではない。
彼女は学校中で、高根の花とまで言われている。
生徒から聞けば、
「愁いを帯びた幼い顔が美しい」
「普段のツンツンとした態度と、ナナリーと居る時の態度のギャップが尊い」
「突き放す様な態度取っているのに、困っている人を見過ごせないのが可愛い」
というプラスの感想ばかり。
生徒会が設置した目安箱。そこに寄せられる意見にも
「妹にしたい」
「甘やかしたい」
「一緒にピザを食べたい」
などの意見が頻繁に寄せられている。
つまり、アルカは嫌われているのではなく、遠くから温かい目で見守られているだけ。
彼女の態度に対してマイナス印象を持っているのは教師陣くらいだ。
「……まぁ、そんなところだな。」
「流石、ルルーシュ。べた褒めだね。」
目の前に居る少年。枢木スザクは柔和な笑みを浮かべる。
「事実を言っているまでだ。生徒からの生の声だぞ。」
「はいはい。」
スザクにアルカとはどんな子か、と聞かれ、客観的事実を伝えた。
なのにどうして、こいつは生暖かい目を俺に向ける?
「楽しみだなぁ、ルルーシュのもう一人の妹。でも、本当に驚いたよ。入学したと思ったら、ルルーシュとナナリーと一緒の学校だし。まさか君が生き別れたと言っていた、もう一人の妹まで一緒だなんて」
「ああ、本当に奇妙な巡り合わせだよな」
そう、今日付けでスザクはアッシュフォード学園に入学してきた。
クロヴィス殺しの元容疑者で、イレヴンであるスザク。
スザクこそ、周りから悪意のある目を向けられ、疎まれている。
そんな状況ではスザクとゆっくり話する事も出来ない。
だから俺はスザクをこっそり屋上へと呼び出し、こうして人の居ない屋上で話をしている。
そうこうしていると、昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴り響く。
「そろそろ戻らないとな。」
「そうだね。じゃあ、ルルーシュ。放課後、楽しみにしてる。」
「ああ。」
そう言い残し、スザクは一足先に教室へと戻っていった。
ナナリーとスザクの再会も楽しみだが、アルカとスザクの対面も楽しみだ。
2人ともどの様な反応をするだろうか。
これから起こる事に期待を膨らませながら、俺も教室へと歩みを進める。
◇◇◇
「初めまして、君がアルカかい?」
日本人にしては色素の薄いくるくるした髪。
緑色の優しい目。
幼さを残した顔立ち。
「あ、はい……。初めまして………。」
枢木スザク。
「ルルーシュとナナリーから話は聞いていたよ。自慢の妹だって。」
「…私も、2人から話は聞いていました…。不器用でバカだって。」
私に対して柔和に微笑んでいた彼の顔が、兄上の方へと向く。
「………ルルーシュ?」
「…いや、そんな事言ったかな?」
兄上とスザクさんは、口喧嘩を繰り広げているが、2人とも何処か嬉しそうだ。
「ふふ、スザクさん、お兄様にとって初めてのお友達なんですよ。」
久しぶりの再会に姉上の声も弾んでいるのが分かる。
(兄上のあんな顔…初めて見たかも)
年相応の楽しそうな表情をしている。
一通り言い争いを終えた兄上は、机の上のティーポッドを手に取り席を立つ。
お茶が無くなったらしい。
「あ…手伝うよ。」
「……ふ。座ってろって。7年前と違ってこっちがホストなんだ。」
「うん、分かった。」
再び柔和な笑みを浮かべて、スザクさんは席に座る。
「お前、なんか大人しくなったな。」
「君はがさつになった。」
「ははは、はいはい。」
兄上は笑いながらリビングを後にする。
「本当に仲、良いんですね。あんな兄上、初めて見ました。」
「最初に会った頃は酷かったよ。喧嘩ばっかりさ。あ、敬語は要らないよ。」
「はい、いや、うん。……わかった…」
なんだろう、初めて見た時から、こうして言葉を交えた時から、違和感を感じる。
「スザクさん、アルカは初対面の人に壁を作っちゃうところがあるんです。懲りずに仲良くしてあげてくださいね?」
「はは、昔のルルーシュみたいだね。大丈夫、そのつもりだから。」
彼に対して何か。
「まぁ俺達よりも信頼できる人間が少ない環境だったからな、仕方が無い。」
お茶を淹れなおした兄上がキッチンから戻ってきた。
そこからは3人の昔話から、私の話へと移る。
私の経歴から、兄上達と再会した時の事など。様々な事を、夜が更けるまで、4人で話した。
・
・
・
クラブハウスの自室から外に居る2人を見下ろす。
兄上とスザクさんだ。
2人は何かを言い合っている様だが、ここからは何も聞こえない。
「あの男を見て……どう思った?」
ベッドの上に居た筈のC.C.が、何時の間にか私の隣に居た。
「…優しくていい人だな。って思ったよ。」
実際に初対面である私の事も気に掛けてくれていたし、昔話を聞いていても、悪い印象は持たなかった。
「…そうか。」
C.C.は静かに呟き、再びベッドへ腰かける。
「ただ……」
「ん?」
「ただ、変な感じがした。彼と初対面じゃない様な、赤の他人では無いような。そんな感覚。」
その時、後ろでC.C.が目を細めていた事を私は知らない。
◇◇◇
アッシュフォード学園 中庭
「―――ええ、そう。だから貴女が居ないと大変なのよ。ルルーシュ、リヴァルはサボるし、会長は直前で仕事思い出すし。シャーリーは部活があるし、ニーナは研究に没頭しているし………」
「相変わらず自由だねぇ。」
最近の生徒会の様子を、愚痴も含めて、カレンから聞いている。
迷惑そうな口調とは裏腹に、嬉しそうな顔をしているのだから、彼女も素直じゃない。
「ふふ、仲良くやっている様で何より。」
「はぁ?何処が―――――」
『あーテステス…ん?入ってる?おけおけ………』
突然、学園中に1人の女性の声が響いた。
学園切ってのお祭り女、ミレイさんだ。
カレンと顔を見合わせ、顔を青ざめる。
『こちら、生徒会長のミレイ・アッシュフォードです。猫だ!』
この人がマイクを取るときは、碌なことが起きない。
『校内を逃走中の猫を捕まえなさい!部活は一時中断。協力したクラブは予算を優遇します。』
「そんな無茶苦茶な……」
自分達の仕事を増やしていることにミレイさんは気づいているのだろうか。
『そして~、猫を掴めた人にはスーパーなラッキーチャンスが!生徒会メンバーから、キッスのプレゼントだぁ!!』
ミレイさんの高笑いが校内に響き渡る。
「生徒会メンバーって私も!?」
ほら碌な事じゃない。
「「「「「「「そうですよね!!!!!!」」」」」」」
「うっ!」
目の前の茂みから男達が飛び出した。
格好を見るに、園芸部と映画制作部……かな。
「生徒会に出入りしてるし」
「お嬢様の唇」
「頬っぺたとか、そういうオチじゃないですよね?」
「いやーこの際、頬っぺたでもいい!」
「え? 場所指定出来るの!?」
「じゃあ………」
一斉にカレンへ視線が集まる。
「「「「「「「よっしゃー!!!!!!!!」」」」」」」
興奮した男達は猫を捕まえる為、一斉に走りだした。
「…………キモッ…」
思わず言葉に出してしまった。
いや実際そうなのだから許してほしい。
「やめてよ、私の初めての!!」
カレンは顔を真っ赤にさせ、病弱設定を忘れて叫ぶ。
いやー大変だなぁ。
「んじゃ、頑張って捕まえてね。また明日。」
カレンに手を振り、その場を去ろうとした、その時。カレンに肩を掴まれた。しかも結構強い力で。
「痛い痛い痛い!!!」
「何処にぃ、行こうとぉ、しているのかなぁ?」
口調はおっとり、表情は笑顔の筈なのに、威圧感を感じる。
「いやだって、私には関係無……痛いっ!!本当に痛い!!!」
肩を掴む手の力がさらに強くなる。
「アルカはぁ、友達が困っているのにぃ、見捨てちゃうのぉ?」
何なんだ、この有無を言わせない強制力は。まさかギアス………
なんて下らない事を考えていると、唐突にポケットの中の携帯が震え始めた。
「ちょっと、離して!カレン!!電話、来てるから!!!」
カレンから解放された私は携帯の画面を確認する。
(兄上………?)
念の為、会話を聞かれない様に、カレンと距離を取る。
「もしもし?」
『アルカ!今、どこだ!?』
「中庭だけど…どうしたの?」
『猫だ!猫を、捕まえるんだ!!』
猫…というとミレイさんが言っていたやつだろう。
「兄上、私は別にキスなんて……」
『仮面が!ゼロの仮面が猫に盗られたんだ!!』
一瞬思考が止まった。
何が盗まれた?
仮面だ。
誰に盗まれた?
猫に。
全生徒が血眼になって探している動物は何だ?
ここまで来て、私の思考は現実へと引き戻される。
「へっ!?」
自分でもらしくない、と思えるほどの間抜けで、甲高い声が出た。
『とにかく、頼む!』
そう言い残して兄上は電話を切った。
冷汗が止まらない。顔が引き攣る。
ぎこちなく笑顔を作り、カレンの方へと向いた。
「…カレン………喜んで手伝うわ…」
負けられない戦いが今、始まる。
・
・
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アッシュフォード学園 高等部 廊下
『猫を見つけたら、所有物は私に渡しなさい!!私に!私に!私にぃ!!!』
生徒を煽るミレイさんの声が再度響き渡る。
「人を勝手に商品にして!これだからブリタニアは!!」
「いや、流石に人種は関係無いと思う」
ブリタニア人が、では無くミレイさんが、というのが正しい。
「もう!病弱なんて設定!しなければ良かった!!」
カレンは先程から、生徒とすれ違う度にお嬢様モードを発動している。
放課後とは言え、まだまだ生徒の多い時間帯。
持ち前の身体能力を発揮しきれず、捜索は難航している。
(身体能力が高いカレンと一緒に居ればすぐに見つかると思っていたけど、誤算だったか………)
これならカレンと別れて、一人で探した方が効率が良かったかも……と考えていたその時。
廊下の曲がり角で、カレンは一人の生徒とぶつかった。
「ごめんなさい!そっちは……」
オレンジ色の腰まで届く髪に、活発そうな顔立ち、そして
「って、シャーリー? なんて恰好しているの!?」
アッシュフォード学園指定のスクール水着。
「だって……私達のキスがかかっているのよ!!ねぇ、アルカ!!」
「え、私も?私、正式なメンバーって訳じゃ……」
「……同感!!」
「ねぇ、聞いてる?」
カレンは私の言葉はスルーしてシャーリーさんの言葉に同意する。
今ここに、生徒会乙女同盟+αが、勝手に結成された。
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・
「これで私達のキスは安泰ね。シャーリーは後ろを。アルカは……」
私達3人は猫を何とか袋小路に追い詰めた。
(やっとこの騒動も終わる……)
馬術部は馬を乗り回し、リヴァルさんはバイクを走らせ、園芸部はマタタビをそこら中にばら撒く……ハッキリ言って滅茶苦茶だった。
でも後は目の前の机の下に居る猫を捕まえればいいだけ……
「待って!!」
「何?」
と、そこでシャーリーがストップをかける。
「どうしたの?シャーリーさん。」
「ねぇ、2人はキスの権利、誰に使うの?」
「は?」「へ?」
いきなりの質問に、カレンと私の呟きが重なる。
「いや、私は別に使う気無い…けど………」
「カレンは? ひょっとして…ルル?」
「な、なんでそうなるのよ!」
ここに来てシャーリーの乙女心が爆発してしまった様だ。
こうしている間にも猫が…
(最悪、ギアスを使うしか…でも………)
身近な人にギアスは――――
一瞬だけ、過去の記憶が蘇る。
(あんな思いは、もう………)
沈みかけた意識を現実に引き戻す。
再びシャーリーへと視線を向けた時、聞き捨てならない言葉が聞こえた。
「だってこの間、その…ルルと………」
シャリーは顔を赤くしながら、言い渋っている。
ルル…兄上と?カレンが??
さっきまでの沈んだ思考が一気に吹き飛ぶ。
「え、カレンって本当に兄上の事好きなの!?」
「本当にってどういう意味よ!!」
「やっぱり!ルルとカレンさんは……」
「だから、何もないってば!!」
そうこう3人が言い合っている間に、気づかれる事無く、猫は足元を通り過ぎる。
ルルーシュは知らない。
「女三人寄れば姦しい」という言葉を。
それはアルカとて、例外では無いということを。
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・
「非常に……申し訳…無いデス………」
「良いって良いって。こうして無事、手元に戻ってきたんだ。」
ベッドの上で正座し、肩をすくめ、しおらしくしている末妹。
聞けば、あと一歩のとこまで猫を追い詰めたものの、シャーリーの発言に気を取られ、取り逃してしまった様だ。
「でも、あそこで私が捕まえていれば…あんな危険な目に………」
「スザクが助けてくれたんだ、問題無い。それにスザクが学園に馴染む良いきっかけになったからな、寧ろこの方が良かったと思う。」
だからそんなに落ち込むな、とアルカの頭を撫でる。
猫を掴める為、俺とスザクは時計塔の屋根の上に登った。
猫が着けている仮面に気を取られていた俺は、足を滑らせ、時計塔から落下しそうになった。が、スザクが助けてくれた。
その際にお互いの名前を呼び合ってしまった為、俺とスザクの関係が露呈してしまったが、結果的には彼を生徒会に入れる事が出来た為、上々の結果だと俺は思っている。
仮面の事、誰にもバレなかった事だしな。
「今度からスザクも生徒会のメンバーなんだ、仲良くしてやってくれ。」
「あ、うん…わかってる………。」
そういうアルカの表情は、先ほどとは打って変わり、神妙であった。
◇◇◇
『人は平等ではない。』
歳を感じさせない圧倒的な威厳。
『生まれつき足の速い者、美しい者、親が貧しい者、病弱な身体を持つ者。』
恰幅の良い身体。
『生まれも育ちも才能も、人間は皆、違っておるのだ。』
世界の1/3を占める超大国ブリタニアの絶対君主。
『そう、人は差別される為にある。だからこそ人は争い、競い合い、そこに進化が生まれる。』
第98代皇帝 シャルル・ジ・ブリタニア。
『不平等は悪ではない。平等こそが悪なのだ。』
黒髪の少年は彼を射殺さんとばかりの鋭い眼光で彼を見つめている。
『我が息子、クロヴィスの死も、ブリタニアが!進化を続けているという証!!』
淡いミルク色の髪の少女は冷静に見据えている。しかしその瞳の奥には、ドス黒い憎しみの色。
『戦うのだ!競い、奪い、獲得し、支配しろ、その果てに未来がある!!』
色素の薄い髪をした少年は、何かを堪える様に、拳を握りしめる。
『All Hail Britannia!!!』
腰まで届く緑色の髪をした少女は無感動な表情で彼を見つめる。
「あいつらの敵……か…。」
猫騒動の回、私、すごく好きなんですよね。
ということでメインに起きました。
最近カレンとの絡み少なかった気がするし、いいよね