コードギアス 久遠のアルカ   作:キナコもち

18 / 87
今回はいつもに加えて雑な気がする(予防線)

stage2の加筆、描写変更行いました。
というか半分くらい書き直しました。

では、どうぞ。


stage8 黒の騎士団

「ねぇ。」

 

 目の前を歩く日本兵士が私の方へ向く。

 

「私の質問に、答えてくれませんか?」

 

 ・

 ・

 ・

 

コンベンションセンターホテルの客室。

一人の少女がベッドに腰掛け、足をぶらぶらと忙しなく、動かしている。

少女の目の前には、軍服を着た男が、正座している。

異質な光景だ。

足を遊ばせている少女の手には、目の前の男から奪った拳銃。

 

 

 

「―――――――――――。という状況だ。」

 

 彼が知りうる状況を、粗方聞いた。

 外には案の定、コーネリア軍。

 中にはゼロの一団。

 地下では、ブリタニアの新型KMFが現在、戦闘中。……兄上が言っていた「白兜」だろうか。

 

「ユーフェミアが連れて行かれた場所は?」

「25階のスイートルームだ………」

「ふーん、そう。ありがとう」

「もう、いいのか?じゃあ、お前は屋上に………」

「うん、もういいよ。バイバイ。」

 

 彼の眉間に銃口を向け、ためらう事無く、引き金を引いた。

 火薬の臭いと鉄の臭いが辺りに充満する。

 さっきまで人だったモノに視線を向ける。私が殺めてしまった日本兵士。

 

「………ごめんね。」

 

 何に対しての謝罪なのか、私にもよく分からなかった。

 自然と口に出てしまった、それだけだ。

 

(さて、と。これからどうしようかな。)

 

 今は変装出来る道具も持っていない。被害者として軍に救出されてしまえば、メディアによって確実に世間に晒される。

 ゼロ…兄上なら、私を匿ってくれる。この場での最善の行動は、ゼロ達に合流するのが一番良いだろう。

 しかし

 

「妹に似ていたから、か。」

 

 先ほどのユーフェミアの行動を思い返す。

 考え無しで、直感だけは鋭くて、どこまでも優しい彼女。

 

「25階…か………」

 

 私は階段へと足を運んだ。

 

 

◇◇◇

 

『死ね。』

 

 こいつらは救えない。

 日本解放戦線のクサカベ、もし彼らの元に正義があれば、と淡い期待をしていたが、やはり無駄だった。

 なにより、俺の妹を巻き込んだんだ。償ってもらう必要がある。

 

(その命で。)

 

 なに、無駄死ににはしない。利用してやるさ、演出としてな。

 目の前に居るクサカベと兵士達が、自身の持っている銃と刀で自害する。

 

「中佐!」

 

 銃声を聞き、外の兵士が声を上げ部屋に入ってきた。

 その後ろにはユーフェミアが。

 

『落ち着け。』

「ゼロ……」

『中佐達は自決した。行動の無意味さを悟ったのだ。』

「……………」

『ユーフェミア、民衆の為に人質を買って出たか?相変わらずだな。』

 

 え?っとユーフェミアは目を丸くする。

 

(そう、何も変わらない。昔から。)

 

 昔から彼女は、考えより身体が先に動く人間だった。

 そしてその行動に、悪意も下心も無い。

 俺やシュナイゼルとは違う。

 

「ゼロ!」

 

 作戦を終えた扇達が駆けつける。

 

『そこに居る兵士達を連れて行け。私は彼女と話がある。』

「あ、ああ……。わかった。」

『紅月は部屋の前で待機だ。持ってきた荷物もお前が持っていろ。』

「了解しました、ゼロ。」

 

 しばらくして、部屋に静寂が訪れた。

 

『…さて。副総督に就任されたと聞きました、ユーフェミア皇女殿下。』

「喜ぶことではありません。」

『そう、クロヴィスが死んだからですね。私が殺した。』

 

 異母兄の光景が目に浮かぶ。始めて人を殺したあの時の。

 

『彼は最後まで私におもねり、命乞いをした。イレヴンを殺せと命じたその口で。』

 

「だから兄を殺したのですか?」

 ユーフェミアの表情に怒りの色が浮かぶ。優しい彼女の事だ。異母兄とは言え、クロヴィスに対しても情を持っていたのだろう。

 

『…いいや。』

「では、なぜ!?」

『あの男が、ブリタニア皇帝の子どもだから。……そういえば、貴女もそうでしたね。』

 

 ・

 ・

 ・

 

 一つの足音が廊下に響く。

 

(まだ、日本解放戦線の生き残りが……)

 

 赤い髪の少女。紅月カレンは、音のする方向へ銃を向ける。

 視界に人の姿は無い。

 しかし、足音は依然変わらずペースで、近づいてくる。

 

(あそこの曲がり角か…)

 

 ゼロからの指示は、部屋の前で待機。

 邪魔者が来た場合に始末しろ、という事なのだろう。

 

(彼女だったら良いんだけど……)

 

 銃を持つ手に力が入る。

 人質の中に彼女の姿は無かった。兵士に連れていかれたらしい。

 しかし、制圧した日本解放戦線のメンバーは、誰も彼女の所在を知らなかった。

 焦燥と不安が無い訳では無い。

 しかしゼロは言った、彼女を信じよう、と。

 

(でも、ゼロってアルカに信頼置く程、関わりがあったっけ?)

 

 いや、今はそんな事考えるな。

 もし、足音の正体が敵だとしたら、私は引き金を引かなければならない。

 廊下の角から、小さい人影が現れた。

 

「あれ、カレン一人?」

 

 幼いながらも、凛とした綺麗な声。

 

「……アルカ!!」

 

 思わず銃を投げ出し、彼女に駆け寄り、抱きしめる。

 

「良かった……!無事で!!」

「わわ、よしよし…」

 

 彼女は小さい身体で、私を受け止め背中を撫でる。

 普通逆では…と思わなくも無いが、今はそんな事いい。

 事が事だ、いくら彼女とは言え、心配だったのだ。

 

「……カレン…?私、血生臭いから、出来れば離れて欲しいなぁ……」

 

 アルカにそう言われ、彼女から血の臭いがする事に気付く。

 

「血……?怪我してるの!?」

「違う違う。返り血だよ。ここに来るまでに何人か、ね。」

 

 そう言いながら、彼女は手に持っている拳銃をヒラヒラとさせる。

 彼女の着ている白いワンピースは、返り血でベッタリだ。

 まぁ、怪我が無いなら良かった。

 ……後でお説教だけど。

 

「それで、ゼロは?この中?」

「ええ、そう。ユーフェミアと話してる。」

 

 ユーフェミアと一緒か……、と呟き、考え込む。

 

「ああ、そうだ。ゼロからの預かり物。貴女の荷物よ。」

 

 ゼロから渡されたアタッシュケースを彼女に渡す。

 

「これは…制服と、仮面?」

「そう、私達のお揃いの。これを着て人質としてでは無く、ゼロの部下として脱出しろ、だってさ。」

「なるほど…気を利かしてくれたのか。」

 

 有難い、と言いながら、アルカは制服と仮面を取り出し、着替え始めた。

 

 

◇◇◇

 

 轟音を立てて、ホテルが崩れる。

 視線の先には、僕を助けた仮面の男。

 

「ゼロ………」

 

 自分に与えられた任務。

 ホテル地下に続く、搬入口に突入後、ホテルの基礎ブロックを破壊する事。

 その後は、別部隊が混乱に乗じて、テロリストを掃射、人質を救出という作戦だった、しかし。

 少なくとも、アルカ。ルルーシュの妹だけは、僕の手で救わなければならない。

 コーネリア殿下の目にでも止まったら、彼らの生活は壊れてしまうのだから。

 だから僕は、作戦を完遂した後も、待機命令を無視して突入した。

 でも、確認出来たのは、彼女では無く、ゼロ。

 視認したと同時に、爆発音が鳴り響く。

 

「まさか……」

 

 ブリタニア軍の想定では、ホテルが完全に崩壊するまでは8分。

 それをゼロが横やりを入れてしまった。

 

(これじゃあ………)

 

 ホテルの崩壊は加速する。

 ブリタニア軍が突入することが出来ない、それに、アルカを探す時間が無い。

 怒り、悲しみ、絶望。様々な感情が僕を襲う。

 

「…救え、なかった……、俺は、また!!!」

 

 感情に任せ、操縦桿を叩きつける。

 学園の皆に、どう顔を合わせればいい?

 ルルーシュやナナリーに、何て言えばいい?

 昔とは違う、やれるだけの力はあった。なのに。

 

「クソ!!!!」

 

少年の悲痛な叫びは、誰にも聞かれる事は無く、闇に溶けた。

 

 ・

 ・

 ・

 

『人々よ!我らを恐れ、求めるがいい。我らの名は、黒の騎士団!』

 

 仮面の男、ゼロは雄弁と語る。

 

『我々、黒の騎士団は、武器を持たない全ての者の味方である。イレヴンだろうと、ブリタニア人であろうと。』

 

 コーネリアは、彼をただのテロリストと吐き捨てた。

 

『私は戦いを否定しない。しかし、強者が弱者を虐げる事は、断じて許さない!』

 

 ユーフェミアは、困惑した表情で彼を見つめる。

 

『撃って良いのは、撃たれる覚悟のあるやつだけだ!』

 

 枢木スザクは、その顔に怒りの表情を浮かばせている。

 

『我々は、力ある者が、力無き者を襲う時、再び現れるだろう。』

 

 彼の傍で、紅月カレンは、複雑そうに眉間に皺を寄せる。

 

『力ある者よ、我を恐れよ。力無き者よ、我を求めよ。』

 

 ゼロの傍で佇む仮面の少女。アルカは、口角を上げ、口元を歪ませる。

 

『世界は我々、黒の騎士団が、裁く!!』

 

 ゼロ――ルルーシュは、自身に言い聞かせる。

 

 もう後戻りは出来ない、と。

 

 

 

 

日本解放戦線が起こした、ホテルジャック事件。

手をこまねいていたブリタニア軍に代わり、ゼロが率いる黒の騎士団が人質を救出した。

そこで彼は高らかに、自らの正義と黒の騎士団の結成を口にした。

この事件をきっかけに、黒の騎士団は今日まで、名を轟かせる事となる。

 

そして、その傍らで佇んでいた仮面の少女、皇アルカ。「背信の魔女」として悪名高い彼女が、初めて表舞台に立ったのもこの事件である。

英雄ゼロの傍らで、その仮面の下で何を考え、感じていたのかは誰も知らない。

 

―――――A・A著書 「帝国の崩壊」第2章より抜粋

 

 

 

◇◇◇

 

「ありがとう、助けてくれて。」

 

 黒の騎士団がアジトとして使っているトレーラーの一室、ゼロの部屋で少女はお礼を口にした。

 

「なに、無事で良かったよ。」

 

 それに答えるのは、ゼロ――ではなく、仮面を外したルルーシュ。

 妹の前だからと冷静を装っているがこの男、仮面の下では冷汗を流し、内心焦りまくっていたであろう。

 

「だから、言ったろう?こいつは大丈夫だと。それをするだけの力も、技量もあるのだから。」

「そうは言っても人質として救出されたら、コーネリアにバレるだろう。ゼロの配下としてあの場を去る為にも、制服と仮面を渡す必要があった。」

「それは建前だろう?…シスコンめ」

「黙れピザ女」

 

 全く…妹の前くらい、見栄を張らずに、心配で死にそうだった、と告げればいいものを。

 

「まぁまぁ…こうして助かった訳だから………ん?」

 

 ふと、アルカのケータイが震える。

 画面を除くと、何件もの着信が。

 枢木スザク、ミレイ・アッシュフォード、シャーリー・フェネット………

 アルカの学友達か。

 

「俺は扇達の所に行ってるから。一度も連絡してないんだろ?皆、心配してるんだよ。」

 

 ルルーシュの優しい、甘ったるい声が響き渡る。

 普段とのギャップがとても気持ち悪い。

 

「う、うん。適当に言い訳作って、無事って伝える。」

 

 そう言ってアルカは電話に出た。

 あれやこれや、とその場でそれらしい言い訳を作って、応対している。

 ルルーシュは仮面を被り、下の階へと向かった。

 

(暇だな……)

 

 この部屋からは出るな、と口煩い坊やに言われてるし、アルカは電話で私に構えないし。

 おい、電話をそうそうに切りあげて、私の相手をしろ。

 そんな気持ちを込めて、電話中の彼女にちょっかいを出す。

 私のちょっかいに対して反応を示す、アルカが面白く、可愛い。

 

(これは、いいな……)

 

 この後、アルカに怒られた。

 

 




騎士団メンバーの目があるから、冷静装っているけど内心冷や冷や、冷汗だらだらだったルルーシュ。
暇すぎて電話するアルカにちょっかいかけまくったC.C.
ちょっかいの内容はそれぞれの想像次第…ということで。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。