stage2の加筆、描写変更行いました。
というか半分くらい書き直しました。
では、どうぞ。
「ねぇ。」
目の前を歩く日本兵士が私の方へ向く。
「私の質問に、答えてくれませんか?」
・
・
・
コンベンションセンターホテルの客室。
一人の少女がベッドに腰掛け、足をぶらぶらと忙しなく、動かしている。
少女の目の前には、軍服を着た男が、正座している。
異質な光景だ。
足を遊ばせている少女の手には、目の前の男から奪った拳銃。
「―――――――――――。という状況だ。」
彼が知りうる状況を、粗方聞いた。
外には案の定、コーネリア軍。
中にはゼロの一団。
地下では、ブリタニアの新型KMFが現在、戦闘中。……兄上が言っていた「白兜」だろうか。
「ユーフェミアが連れて行かれた場所は?」
「25階のスイートルームだ………」
「ふーん、そう。ありがとう」
「もう、いいのか?じゃあ、お前は屋上に………」
「うん、もういいよ。バイバイ。」
彼の眉間に銃口を向け、ためらう事無く、引き金を引いた。
火薬の臭いと鉄の臭いが辺りに充満する。
さっきまで人だったモノに視線を向ける。私が殺めてしまった日本兵士。
「………ごめんね。」
何に対しての謝罪なのか、私にもよく分からなかった。
自然と口に出てしまった、それだけだ。
(さて、と。これからどうしようかな。)
今は変装出来る道具も持っていない。被害者として軍に救出されてしまえば、メディアによって確実に世間に晒される。
ゼロ…兄上なら、私を匿ってくれる。この場での最善の行動は、ゼロ達に合流するのが一番良いだろう。
しかし
「妹に似ていたから、か。」
先ほどのユーフェミアの行動を思い返す。
考え無しで、直感だけは鋭くて、どこまでも優しい彼女。
「25階…か………」
私は階段へと足を運んだ。
◇◇◇
『死ね。』
こいつらは救えない。
日本解放戦線のクサカベ、もし彼らの元に正義があれば、と淡い期待をしていたが、やはり無駄だった。
なにより、俺の妹を巻き込んだんだ。償ってもらう必要がある。
(その命で。)
なに、無駄死ににはしない。利用してやるさ、演出としてな。
目の前に居るクサカベと兵士達が、自身の持っている銃と刀で自害する。
「中佐!」
銃声を聞き、外の兵士が声を上げ部屋に入ってきた。
その後ろにはユーフェミアが。
『落ち着け。』
「ゼロ……」
『中佐達は自決した。行動の無意味さを悟ったのだ。』
「……………」
『ユーフェミア、民衆の為に人質を買って出たか?相変わらずだな。』
え?っとユーフェミアは目を丸くする。
(そう、何も変わらない。昔から。)
昔から彼女は、考えより身体が先に動く人間だった。
そしてその行動に、悪意も下心も無い。
俺やシュナイゼルとは違う。
「ゼロ!」
作戦を終えた扇達が駆けつける。
『そこに居る兵士達を連れて行け。私は彼女と話がある。』
「あ、ああ……。わかった。」
『紅月は部屋の前で待機だ。持ってきた荷物もお前が持っていろ。』
「了解しました、ゼロ。」
しばらくして、部屋に静寂が訪れた。
『…さて。副総督に就任されたと聞きました、ユーフェミア皇女殿下。』
「喜ぶことではありません。」
『そう、クロヴィスが死んだからですね。私が殺した。』
異母兄の光景が目に浮かぶ。始めて人を殺したあの時の。
『彼は最後まで私におもねり、命乞いをした。イレヴンを殺せと命じたその口で。』
「だから兄を殺したのですか?」
ユーフェミアの表情に怒りの色が浮かぶ。優しい彼女の事だ。異母兄とは言え、クロヴィスに対しても情を持っていたのだろう。
『…いいや。』
「では、なぜ!?」
『あの男が、ブリタニア皇帝の子どもだから。……そういえば、貴女もそうでしたね。』
・
・
・
一つの足音が廊下に響く。
(まだ、日本解放戦線の生き残りが……)
赤い髪の少女。紅月カレンは、音のする方向へ銃を向ける。
視界に人の姿は無い。
しかし、足音は依然変わらずペースで、近づいてくる。
(あそこの曲がり角か…)
ゼロからの指示は、部屋の前で待機。
邪魔者が来た場合に始末しろ、という事なのだろう。
(彼女だったら良いんだけど……)
銃を持つ手に力が入る。
人質の中に彼女の姿は無かった。兵士に連れていかれたらしい。
しかし、制圧した日本解放戦線のメンバーは、誰も彼女の所在を知らなかった。
焦燥と不安が無い訳では無い。
しかしゼロは言った、彼女を信じよう、と。
(でも、ゼロってアルカに信頼置く程、関わりがあったっけ?)
いや、今はそんな事考えるな。
もし、足音の正体が敵だとしたら、私は引き金を引かなければならない。
廊下の角から、小さい人影が現れた。
「あれ、カレン一人?」
幼いながらも、凛とした綺麗な声。
「……アルカ!!」
思わず銃を投げ出し、彼女に駆け寄り、抱きしめる。
「良かった……!無事で!!」
「わわ、よしよし…」
彼女は小さい身体で、私を受け止め背中を撫でる。
普通逆では…と思わなくも無いが、今はそんな事いい。
事が事だ、いくら彼女とは言え、心配だったのだ。
「……カレン…?私、血生臭いから、出来れば離れて欲しいなぁ……」
アルカにそう言われ、彼女から血の臭いがする事に気付く。
「血……?怪我してるの!?」
「違う違う。返り血だよ。ここに来るまでに何人か、ね。」
そう言いながら、彼女は手に持っている拳銃をヒラヒラとさせる。
彼女の着ている白いワンピースは、返り血でベッタリだ。
まぁ、怪我が無いなら良かった。
……後でお説教だけど。
「それで、ゼロは?この中?」
「ええ、そう。ユーフェミアと話してる。」
ユーフェミアと一緒か……、と呟き、考え込む。
「ああ、そうだ。ゼロからの預かり物。貴女の荷物よ。」
ゼロから渡されたアタッシュケースを彼女に渡す。
「これは…制服と、仮面?」
「そう、私達のお揃いの。これを着て人質としてでは無く、ゼロの部下として脱出しろ、だってさ。」
「なるほど…気を利かしてくれたのか。」
有難い、と言いながら、アルカは制服と仮面を取り出し、着替え始めた。
◇◇◇
轟音を立てて、ホテルが崩れる。
視線の先には、僕を助けた仮面の男。
「ゼロ………」
自分に与えられた任務。
ホテル地下に続く、搬入口に突入後、ホテルの基礎ブロックを破壊する事。
その後は、別部隊が混乱に乗じて、テロリストを掃射、人質を救出という作戦だった、しかし。
少なくとも、アルカ。ルルーシュの妹だけは、僕の手で救わなければならない。
コーネリア殿下の目にでも止まったら、彼らの生活は壊れてしまうのだから。
だから僕は、作戦を完遂した後も、待機命令を無視して突入した。
でも、確認出来たのは、彼女では無く、ゼロ。
視認したと同時に、爆発音が鳴り響く。
「まさか……」
ブリタニア軍の想定では、ホテルが完全に崩壊するまでは8分。
それをゼロが横やりを入れてしまった。
(これじゃあ………)
ホテルの崩壊は加速する。
ブリタニア軍が突入することが出来ない、それに、アルカを探す時間が無い。
怒り、悲しみ、絶望。様々な感情が僕を襲う。
「…救え、なかった……、俺は、また!!!」
感情に任せ、操縦桿を叩きつける。
学園の皆に、どう顔を合わせればいい?
ルルーシュやナナリーに、何て言えばいい?
昔とは違う、やれるだけの力はあった。なのに。
「クソ!!!!」
少年の悲痛な叫びは、誰にも聞かれる事は無く、闇に溶けた。
・
・
・
『人々よ!我らを恐れ、求めるがいい。我らの名は、黒の騎士団!』
仮面の男、ゼロは雄弁と語る。
『我々、黒の騎士団は、武器を持たない全ての者の味方である。イレヴンだろうと、ブリタニア人であろうと。』
コーネリアは、彼をただのテロリストと吐き捨てた。
『私は戦いを否定しない。しかし、強者が弱者を虐げる事は、断じて許さない!』
ユーフェミアは、困惑した表情で彼を見つめる。
『撃って良いのは、撃たれる覚悟のあるやつだけだ!』
枢木スザクは、その顔に怒りの表情を浮かばせている。
『我々は、力ある者が、力無き者を襲う時、再び現れるだろう。』
彼の傍で、紅月カレンは、複雑そうに眉間に皺を寄せる。
『力ある者よ、我を恐れよ。力無き者よ、我を求めよ。』
ゼロの傍で佇む仮面の少女。アルカは、口角を上げ、口元を歪ませる。
『世界は我々、黒の騎士団が、裁く!!』
ゼロ――ルルーシュは、自身に言い聞かせる。
もう後戻りは出来ない、と。
日本解放戦線が起こした、ホテルジャック事件。
手をこまねいていたブリタニア軍に代わり、ゼロが率いる黒の騎士団が人質を救出した。
そこで彼は高らかに、自らの正義と黒の騎士団の結成を口にした。
この事件をきっかけに、黒の騎士団は今日まで、名を轟かせる事となる。
そして、その傍らで佇んでいた仮面の少女、皇アルカ。「背信の魔女」として悪名高い彼女が、初めて表舞台に立ったのもこの事件である。
英雄ゼロの傍らで、その仮面の下で何を考え、感じていたのかは誰も知らない。
―――――A・A著書 「帝国の崩壊」第2章より抜粋
◇◇◇
「ありがとう、助けてくれて。」
黒の騎士団がアジトとして使っているトレーラーの一室、ゼロの部屋で少女はお礼を口にした。
「なに、無事で良かったよ。」
それに答えるのは、ゼロ――ではなく、仮面を外したルルーシュ。
妹の前だからと冷静を装っているがこの男、仮面の下では冷汗を流し、内心焦りまくっていたであろう。
「だから、言ったろう?こいつは大丈夫だと。それをするだけの力も、技量もあるのだから。」
「そうは言っても人質として救出されたら、コーネリアにバレるだろう。ゼロの配下としてあの場を去る為にも、制服と仮面を渡す必要があった。」
「それは建前だろう?…シスコンめ」
「黙れピザ女」
全く…妹の前くらい、見栄を張らずに、心配で死にそうだった、と告げればいいものを。
「まぁまぁ…こうして助かった訳だから………ん?」
ふと、アルカのケータイが震える。
画面を除くと、何件もの着信が。
枢木スザク、ミレイ・アッシュフォード、シャーリー・フェネット………
アルカの学友達か。
「俺は扇達の所に行ってるから。一度も連絡してないんだろ?皆、心配してるんだよ。」
ルルーシュの優しい、甘ったるい声が響き渡る。
普段とのギャップがとても気持ち悪い。
「う、うん。適当に言い訳作って、無事って伝える。」
そう言ってアルカは電話に出た。
あれやこれや、とその場でそれらしい言い訳を作って、応対している。
ルルーシュは仮面を被り、下の階へと向かった。
(暇だな……)
この部屋からは出るな、と口煩い坊やに言われてるし、アルカは電話で私に構えないし。
おい、電話をそうそうに切りあげて、私の相手をしろ。
そんな気持ちを込めて、電話中の彼女にちょっかいを出す。
私のちょっかいに対して反応を示す、アルカが面白く、可愛い。
(これは、いいな……)
この後、アルカに怒られた。
騎士団メンバーの目があるから、冷静装っているけど内心冷や冷や、冷汗だらだらだったルルーシュ。
暇すぎて電話するアルカにちょっかいかけまくったC.C.
ちょっかいの内容はそれぞれの想像次第…ということで。