コードギアス 久遠のアルカ   作:キナコもち

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ふと思ったんですけど、この小説。
1期終わらせるのに何話かかるんですかね、


stage9 枢木スザク

 その後の黒の騎士団の活躍は目まぐるしかった。

 民間人を巻き込むテロ、横暴な軍隊、汚職政治家、企業犯罪組織……ゼロの宣言通り、人種関わらず、悪を一方的に断罪していった。

 あっという間に黒の騎士団は英雄と担がれ、協力者も増えた。

 なにより一番大きいのは、キョウトからの協力が得られたことだ。

 

 キョウト――――

 敗戦国となった日本において、真っ先にブリタニアの軍門に下った日本の旧財閥。

 イレヴンのブリタニアに対する反感を沈める為に一役買い、エリアの平定に努めた。それ以来、日本人でありながら、ある程度の権利が与えられている。

 というのが表向きのキョウト。

 実際は、ブリタニアへ武力による抵抗活動を行っているエリア11の複数の武装勢力へ、兵器などの支援を行っている。

 早々にブリタニアを受け入れたのも、内部からの崩壊を謀っての事なのだろう。

 まぁ、私から言わせれば売国奴だ。

 

 話を戻そう。

 

 キョウトからの支援が得られたことで、黒の騎士団はKMFを手に入れた。

 ブリタニアのグラスゴーを改造し、コピー生産をした無頼。

 そして、純日本製のKMF、紅蓮二式。

 先日のリフレインの一件で、グラスゴーを失った私達にとって、僥倖だったと言える。

 

 そんな黒の騎士団は、今日も悪を裁く為、活動を続け………

 

 

 

「眠い。」

 

アッシュフォード学園中等部の廊下を、一人の少女が歩いている。

指定の制服に、自身の私服であるパーカーを羽織り、その目に隈を作らせて。

 

「もう限界、帰って寝る。」

 

一人呟きながら、誰も居ない廊下を進む。

向かう先は自身の部屋があるクラブハウス。

時刻は11時過ぎ。

本来だったら授業を受けている時間帯だ。

いわゆる、サボりである。

 

「毎日、名を上げる為に夜通し活動して……。活動無い日は、皆の操縦の面倒を見て…。最近はカレンのお悩み&決意相談会……。日中は怪しまれない様、学校………」

 

思った以上にきつい。とアルカは思った。

 

「カレンと兄上は、どこにそんな体力が………」

 

この少女は、2人が真面目に授業を受けている、と思っている。

しかし、実際は2人とも爆睡しており、授業の内容を何一つ聞いていない。

 

 寝不足で朦朧とする意識を、保ちながら何とか自室まで帰ってきた。

 扉に手を掛け、開けると。

 

「アルカ?」

 

 C.C.がベッドの上で寝転がりながら、本を読んでいた。

 

「あ、……ただいま、C.C.……」

「どうしたんだ?こんな時間に。今はまだ授業……」

 

 言葉を遮り、C.C.の横へ倒れ込む。

 彼女の着ているシャツを握りしめ、目を閉じる。

 

「授業……今日は無理………眠い。一緒に寝………」

 

 ・

 ・

 ・

 

 すやすやと心地良さそうに寝息を立てて、寝ているアルカ。

 そんな彼女の上に乗り、その細い首に手を掛ける。

 

「………………、はぁ」

 

 が、指に力を入れることは出来なかった。

 

「ああ……分かっているさ。それでも………」

 

 彼女の首から手を放し、あいつに意識を向ける。

 

「なに?………そんなことは……………そうか…わかったよ………」

 

 アルカの頭に手をやる。

 艶のある髪が手触りが良く、ついつい撫でてしまう。

 

「ああ…。お前の口車に乗ってやるよ…。………マリアンヌ。」

 

 

◇◇◇

 

「この国は、キョウト六家の妖怪共に支配されている。」

 

 恰幅の良い、日本人の男は語る。

 

「総理になってもこの様だ。権力を手に入れたとて、実際は妖怪どもに握られている。それが国だ。昔から、何も変わらない。」

 

 その陰湿な声は、薄暗い部屋にピッタリだ、と思った。

 

「だから、変えなければ。如何なる手段を使おうとも……。それがブリタニアであってもな。」

 

 傍で話を聞いていた少年は、目を丸くする。

 

「そ、その為にブリタニアと戦争を……?」

「ワシはマスメディアを煽って、反ブリタニアの世論を作ったのに過ぎん。あとは日本国民の意志よ。」

 

 日本は、民主主義だからな。

 男はそう言い、煙草を吹かす。

 

「後、預かっているブリタニア皇族だが。取引先との要望でな。始末する事にした。全く、ブリタニアの身内争いは見るに堪えんな。」

 

 少年は信じられないモノを見る様な目で、男を見つめる。

 

「兄の方は残しておくか、今後の保険として使えなくも無い。」

「まさか…それで…………」

 

「植民地となった後の日本を統治する為に、な。これであの妖怪どもから解放されるという訳だ。お前も総理の子なら、覚悟を決めよ。ワシと共に覇道を歩め。」 

 

 少年の顔がみるみる歪んでいく。

 失望、憤怒、憎しみ。それらが入り混じった表情をしている。

 

「父さん……、やめてください。戦争は…………」

「ふん、一体何を聞いていたんだ?ここまで来て引くわけにはいかないだろう。」

 

 男は少年の願いを一蹴する。

 

「お願いです、お願いです、今からでも遅くは無い……」

「くどいぞ!」

 

 男は少年を突き飛ばす。

 突き飛ばされた先の机に、背中を強打したらしく、咳込んでいる。

 

「全く、何の為に話したと思っているんだ……。スザク、自身の願いを叶える為には、過程など気にしてはいけないのだ。」

 

 男はそう言い残し、部屋から出ようとする。

 少年はゆらり、と立ち上がり、後ろの机に置いてあるモノに手を伸ばす。

 ナイフだ。机の上の皿に乗っている果物を切る為の。

 

「なら…父さんをここから出す訳にはいかない……」

 

 ナイフを構え、少年は走り出す。

 男のふくよかな腹に向かって、ナイフを突き刺す。

 

「ぐ……はっ。ス、スザク。お、まえ………」

「出ちゃいけないんだ」

 

 少年の呟きを最後に、部屋に静寂が訪れた。

 

 ・

 ・

 ・

 

「っ!?」

 

 余りに鮮明な夢に、思わず飛び起きる。

 

「今のは………」

 

 胸の鼓動が早い、寝ていただけなのに息遣いも荒い。

 身体は寝汗でびっしょりだ。

 頭に痛みを感じ、手で押さえる。

 

「…何故、彼が夢に……?」

 

 その疑問を答える者は居ない。

 C.C.と私以外に部屋には誰も居ない。

 その彼女も隣で寝ている。

 

「そもそも、夢、なの………?」

 

 夢だとしたら鮮明過ぎる。

 彼の記憶…と言った方が、まだ納得できる。

 しかし、そうだとしたら、分からない。なぜ、彼なのか。

 

「……枢木スザク…………」

 

 

◇◇◇

 

アッシュフォード学園 生徒会室

 

 

「アルカはどう思う…?黒の騎士団を……」

「何?藪から棒に。」

 

 生徒会のお手伝いを頼まれ、生徒会室に行ったらスザクしか居なかった。

 昨日の夜に見た夢の事もあり、何となく、気まずくて。

 皆が来るまでは黙っておこう、と思っていたところ、彼から話かけてきた。

 

「ほら、君は黒の騎士団に助けられただろう?どんな印象だった?」

 

 この人は嘘を付けない素直な性格だ。

 この質問は軍人としてでは無く、彼個人の純粋な疑問だろう。

 

「宣言する様に、正義の味方…って印象だったよ。ブリタニア人の私も邪険に扱わなかったし。今やっている事も、テロリストというよりは警察だしね。」

「それなら何故彼らは警察に入らなかったんだろう?」

「組織に染まるのが嫌だったんじゃない?実際、今の警察は腐っているし。」

「今はダメでも、徐々に内部から変えていけばいいじゃないか!」

 

 私は目を細くめる。

 

「今の貴方と同じように?」

「………っ!」

「いや、実際にスザクの存在が軍に対して、どう影響を及ぼしているかは知らないけど、今の言い分を聞くに、そういう想いを抱いて入ったんでしょ?」

「……ああ、そうだ。ルールに従わないと。ズルして手に入れた結果なんて、意味が無い。」

「…やけに潔癖だね。まるで昔にルール違反をしちゃった様な言い方。」

 

 スザクの顔が曇る。

 

「……僕は………」

 

 この反応、あの夢は事実って考えていいかもしれない。

 しかし、そうなると、次の問題は彼の記憶を私が見た理由だ。

 それが分かるまでは、胸に仕舞っておいた方がいいかな………

 

「まぁ間違いにしろ、正解にしろ。結果は結果。その結果に少なからず救われた人も居るでしょう。例えばホテルジャックの人質とか。イレヴンとか。」

「アルカ…………」

「正義なんて結局は、その人次第なんだから。自身の正義に準じればいいと思うよ。」

 

 スザクとの論争は平行線と判断し、私は席を立つ。

 

「何処へ?」

「まだ皆来ないし、喉乾いたから。飲み物買ってくる。スザクも何かいる?」

「アルカ……、君はサボり癖があるってナナリーから聞いてるんだけど………」

 

 疑わしそうな目でスザクは私を見つめる。

 

「大丈夫だって、生徒会のお手伝いは、サボらないからさ。」

 

 そう、言い残し生徒会室を後にする。

 

「ルール、か………」

 

 廊下に私の独り言が響く。

 

「私はもう既に、外れちゃってるからなぁ。」

 

 彼が知ったらどんな顔をするだろうか。

 そんなことを思いながら、購買に向けて足を進めた。

 

 

◇◇◇

 

 黒の騎士団 アジト KMF格納庫

 

 

「…武装は……呂号乙型特斬刀、43mmグレネードランチャー、スラッシュハーケン……それに輻射波動機構。」

 

 赤いKMF…紅蓮二式のコックピットで、一人の少女がマニュアルを読みながら、モニターを弄る。

 

「機構内で高められた高出力の電磁波を高周波として放つことで、膨大な熱量を生み出す……。電子レンジみたいなモン?」

 

 独り言を言いつつも、モニターを弄る手は止まらない。

 

「とりあえずカレンの身体能力に合わせて反応速度を設定して…。操縦桿の感度は…まぁ本人にやらせた方がいいか。それから………」

「おーい、アルカー!!」

「ん?」

 

 呼びかけに応じ、アルカはコックピットからひょっこりと顔を出す。

 

「玉城さん?」

「相変わらずKMF弄ってんのかー?」

 

 おちゃらけた態度、軽い口調。しかし、面倒見が良く、慕う者も少なく無い。

 黒の騎士団初期メンバー、玉城が後ろに何人かを連れてやってきた。

 

「私とゼロ以外、KMFを碌に弄れないじゃないですか。だからやってるんです。人を機械オタクみたいに言わないでくださいよ」

 

 そう言いながらアルカはコックピットから降りてくる。

 

 黒の騎士団はゼロとアルカ以外、まぁ厳密に言えばカレンもだが。イレヴン…つまりは日本人で構成されている。

 しかも殆どは、元民間人。当然、KMFに関わる機会は無かった。

 しかし、ゼロ、ルルーシュとアルカは、幼い頃からKMFに乗っている。

 ブリタニア皇族は有事の際、戦場に赴く事が多い。場合によってはKMFに乗って戦う可能性もある。その為、幼少期の頃から、こういった指導をされているのだ。

 

 そうした背景から、ゼロとアルカは黒の騎士団のKMFのメンテナンスを請け負う事が多い。

 

「ところで、ご用件は?」

「ああ、後ろのこいつらがな。KMFの乗り方について教えて欲しいんだとよ。」

「彼らは?」

「新入りだよ、新入り。つまりは俺の後輩だ。」

 

 今は紅蓮の設定で忙しいし、何よりめんどくさい。

 もう皆、人並には乗れるんだし、私に頼らなくても……

 

「玉城さん…すみませんが。今、手が離せなく………」

『アルカ。』

 

 もう一人の声が加わる。

 

『少し話があるのだが…』

 

 ゼロだ。後ろにはカレンと扇さんも居る。

 

「急用?」

『ああ、出来れば。』 

「あーすみません、玉城さん。また今度っていうことで……。玉城さんが教えてあげてくださいよ。ちゃんと乗れるんですから」

 

 そう告げると、顔を明るくして「しょうがねぇな!」と言い残し、彼らはこの場を去った。

 ……扱いやすい。

 

『浮かれているな。玉城はともかく、騎士団全体が浮ついている』

 

 ゼロの言う事も、最もだ。

 キョウトからの支援が決まり、組織として成長を遂げた黒の騎士団は、今は民衆にとっての英雄。

 その事実に、鼻が高くなっているメンバーが大勢居る。

 

「…それで、話というのは?」

『ああ、すまない。扇、彼女に。』

 

 扇さんからタブレットを受け取る。

 そこにはコーネリア軍の動向と、情報提供者の情報が表示されている。

 ディートハルト・リート、情報提供者の名前だ。

 メディアの人間らしい。

 

「入団希望のブリタニア人からの情報なんだが。週末にナリタ連山で、大規模な掃討作戦が行われるらしい。」

「ナリタ…って言うと、日本解放戦線の本拠地があるって噂の?」

『ああ。』

「いいね、行きたい。」

 

 

◇◇◇

 

アッシュフォード学園 プール

 

 飛び込み台の上からC.C.が飛び込む。

 プールサイドには、パソコンを弄っている私服のルルーシュ。

 その近くで、プールに浸かりながら縁に肘を付き、ルルーシュと話すアルカ。

 

 夜の帳がすっかりと落ち、誰も居なくなった学校で、3人は各々の時間を過ごしている。

 

「ディートハルト・リートは主義者かな?」

「どうかな、ただスパイとしては堂々とし過ぎている。まぁ少なくとも軍の動向と辻褄は合う。ナリタの件は信用して良いかもな。」

「結構な事だな、入団希望者も増えて。」

 

 飛び込みに飽きたらしいC.C.が私の傍へやってくる。

 

(……ちょっと…C.C.………)

(ふふ、いいじゃないか…)

 

 兄上から見れば、いつもの様にC.C.が私を抱きしめている様にしか見えないだろう。

 しかし、見えない部分。

 私の脚に、自身の脚を絡ませ、手の位置はお腹の少し下の鳩尾あたり……くすぐったいし、恥ずかしい。

 

「おい…あまり、アルカにちょっかいを出すな。悪い影響が出そうだ。」

 

 顔をしかめ、兄上はC.C.に言う。

 それを聞き、彼女は愉快そうに口元を歪める。

 どうせ、「もう手遅れだ。」とか考えて、悦に浸っているのだろう。

 

「週末はナリタに向かうんだったな?」

「ああ、コーネリアの軍に横やりを入れてくる。」

「ふ、本当にそれだけか?そんな顔には見えないが……」

「日本解放戦線を壊滅させるんだ。」

 

 2人の会話に、割って入る。

 彼女の手の位置と、脚の位置が気になるが……今は我慢。

 

「日本解放戦線は、エリア11において最大の反抗組織。彼らが居る限り、キョウトの支援はあちらに傾く。それに大衆の支持も二分化されてしまう。だから………」

「ナリタでコーネリア軍に潰してもらう。そして疲弊したコーネリア軍を俺達が叩く。」

「そして、物資も大衆の支持も、黒の騎士団が独り占めする、と。酷い考えだな。正義の味方には思えない。」

 

 そんな彼女の声は、何処か愉快だった。

 

(正義、か…………)

 

 先日の、スザクとの会話を思い出す。

 ルールに従わなければ、ズルして手に入れた結果に意味は無い、と彼は言った。

 しかし彼の意見は、正攻法で結果を勝ち取れる、強い者の意見だ。

 

(………貴方が思うほど、強い人間ばかりじゃないんだよ、枢木スザク。)

 

 内心溜息を付き、後ろに居るC.C.に身体を預けた。

 




アルカちゃんは兄上と違って割と聞き分けが良いです。
まぁスザクと幼馴染っていう訳では無いから、ちょうどいいかな、と。

そして、リフレインの話しは全カットだ。
許せ、カレン。
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