コードギアス 久遠のアルカ   作:キナコもち

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お久しぶりです。

長らくお待たせいたしましたぁ。

大分前に頂いていたのですが、阿井上夫様より、主人公「アルカ」イラストを頂きました!
そこはかとなく漂う強気な感じが、ルルの妹っぽくて良きですよね!
素敵なイラスト、ありがとうございます!


【挿絵表示】



stage21 枢木スザクに命じる ※挿絵あり

 黄昏の空に浮かぶ神殿。

 常識に当てはまらないこの空間に、その少年は居た。

 足元まで伸びた金色の髪が特徴的な、どこか超常的な雰囲気を持つ幼い風貌の少年。

 その少年はその整った顔を愉快そうに歪めている。

 

「ふぅん、式根島に彼女が……」

 

 表情には笑みを浮かべているものの、その言葉には抑揚が無く、感情が込められていない。

 

「これは彼女にとって、良い刺激になるかもしれないね。」

 

 この空間に少年以外の姿は無い。にも関わらず、まるで話し相手が居るかの様に少年は喋り続ける。

 

「元々はそっちの遺跡を祀っていたんだ、良い結果を期待しているよ。」

 

 少年の人形の様に整ったその顔は酷く歪んでいた。

 

 

◇◇◇

 

 潜水艦 更衣室

 

 

 身に纏ったパイロットスーツの空気を抜き、身体にピタリと密着させる。

 

「……ふぅ…」

 

 作戦前だと言うのにも関わらず、思わずため息をついてしまった。

 メンバーの士気の低下に繋がる可能性があるので、あまり褒められた行為ではない。

 

「アルカ、ゼロからの伝言。マスクをきちんと持っていく様に、だってさ。」

 

 同じくパイロットスーツに着替えたカレンが、アルカの肩をポンっと叩く。

 

「マスク……、ああ。マスクね。了解。」

 

 素性を隠す為に作らせたマスク。殆ど身に着ける事が無かった為、記憶から薄れていた。

 今回の作戦の性質上、ブリタニア軍と直接接触する可能性が高い。

 私の身を案じての事だろう。

 相変わらず過保護な兄上に思わず、苦笑をする。

 

「言われなくても持っていくよ、って伝えてくれる? 私は後で行くから。」

 

 カレンは少し訝しげな表情を浮かべつつも、分かったっと呟き、この場を後にした。

 

「………調子が悪そうだな。」

 

 見計らった様にC.C.がアルカに話しかける。

 

「C.C.……? えっと、いつから――――」

「お前が着替え始めた時から居たぞ。気づかなかったのか?」

 

 言葉を遮り、呆れを含んだ声で彼女は問う。

 

「うん………。」

 

 C.C.に言い返す言葉が思いつかなかったのか、アルカは口を閉ざし、視線を落とす。

 

「……重症だな。」

「変な感じがするんだ、式根島(この辺り)に来てからずっと。誰かに監視されている様な、呼ばれている様な。」

「ふむ………」

 

 彼女の言葉を聞き、C.C.は何か考え込む様な仕草をしたが、意を決した様に話始める。

 

「式根島の近くにギアスに纏わる遺跡があってな、恐らくそれの影響だろう。」

「……遺跡? 嚮団のあれみたいな?」

 

 アルカの脳裏に浮かぶのはギアス嚮団が本拠地を置いていたブリタニア本国にある遺跡。

 

「ああ…。 ギアスと関わり深い場所だ。 ギアスユーザーがお前の様になるのも珍しくない。」

「……そっか。」

 

 アルカは釈然としない様子ではあったものの、それ以上口を開く事は無かった。

 いくら聞いてもこれ以上ははぐらかされると悟ったのだろうか。

 もしくは信頼の表れか。隠し事は多くても彼女は、自身に危害を加える事は決して無いという。

 

 沈黙が訪れた更衣室内に、機械交じりの声が響く。

 ゼロによる艦内放送だ。作戦に出撃する者は格納庫に集まれ、という内容の。

 

「じゃあ、時間だから行くね。 ありがとう、気に掛けてくれて。」

「ああ。」

 

 足を出口へと運び、アルカが扉に手を掛けようとした時、C.C.は再び口を開いた。

 

「アルカ、一つ忠告だ。」

「?」

「さっき言った遺跡だが、()()()絶対に近寄るなよ。」

 

 ・

 ・

 ・

 

 アルカが格納庫へと向かい、誰も居なくなった更衣室で1人口を開くC.C.。

 

「なんだ? 私に文句があるのか?」

 

「……別に、深い意味は無いよ。ただ、時期尚早だと判断したまでだ。」

 

「この件に関してはお前達より私の方が詳しい。 黙って見ていてくれないか。」

 

「……ああ、変わってないよ。 何も変わらないさ。 分かっているだろう? マリアンヌ。」

 

 

◇◇◇

 

 式根島 ブリタニア軍基地 

 

 射出されたスラッシュハーケンが、ブリタニアのVTOLを貫く。

 両手に持つ太刀が、サザーランドの胴体を切断する。

 

『一番隊、そのまま前進! 零番隊は一番隊の側面から援護しろ!』

 

 右へと展開している紅蓮とサザーランドが交戦している様子が視界の端に映る。

 

「流石KMF無しでブリタニアに土を付けた男、戦いやすい。 ……兄上程じゃ無いけど。」

 

 藤堂の指示の元始まった軍事基地への襲撃。

 カレンにアルカ、藤堂、四聖剣といった黒の騎士団の主戦力が集まるこの戦場で、ブリタニア軍は完全に弄ばれていた。

 トウキョウ租界から遠く離れた孤島の軍事基地。そこに在住する軍人のレベルは当然低く、コーネリア軍と戦い続けている黒の騎士団にとって相手にすらならない存在。

 しかし黒の騎士団は、基地の防衛設備やKMFを破壊していくだけで、チェックを掛けようとしない。

 

『とどめ頂き…、あ? どあっ がっ!』

 

 そんな中、圧倒的有利なこの状況に興奮したであろう、玉城の声が聞こえたと思ったその瞬間、今度は彼の悲鳴が響いた。

 破壊されたのだ、彼の乗る無頼が。

 倒れ行く無頼のその後ろには、白の甲冑を身に纏ったKMF「ランスロット」。

 

『ようやくお出ましか。』

 

 高台から様子を見ていたゼロ=ルルーシュは覚悟を決め、その手に持つバズーカの標準を親友(スザク)へと合わせた。

 

(さぁ! 向かって来い、スザク!)

 

 ・

 ・

 ・

 

 戦場へと姿を現した途端、警戒していなかった方向から砲弾が飛んできた。

 とっさにスザクはランスロットの両腕に搭載されているブレイズルミナスを展開し、それを防ぐ。

 

「…くっ」

 

 弾が飛んできた方向へ視線を向けると、そこには無頼の肩に乗ったゼロの姿。

 こちらを挑発するように、その身を外に出している。

 

「ゼロ、やっぱり……!」

 

 ゼロの姿を捉えた途端、スザクの脳内に焦燥が生まれる。

 今のスザクは特派所属のパイロットでは無く、ユーフェミアに仕える騎士。

 何よりも重要なのは彼女の身の安全。

 黒の騎士団が主戦力を基地に集めたのは自分をユーフェミアから引き離す為では無いだろうか。

 自分が離れている間に彼女を手に掛ける気じゃないだろうか。

 彼女は自分の為を思って、ここに送り出してくれた。ならその期待に応える為には。

 そんな考えが頭を支配する。

 

 だからスザクは気にしなかった。

 自身がゼロを視認した途端、基地を襲撃していた黒の騎士団が撤退した事を。

 まるで自分をおびき寄せるかの様に、ゼロが移動を始めたのを。

 

(いくら藤堂先生が居ようと、ゼロ(トップ)さえ叩けば黒の騎士団の戦力を大きく削る事が出来る。なら、僕が今、やるべき事は…!)

 

 スザクは操縦桿を前に倒し、ゼロが逃げた方向へと移動を始めた。

 

 

◇◇◇

 

(砂地に装備無しで飛び込むなんて……)

 

 ゼロを追う内に、幾分か冷静さを取り戻したスザクは、状況の分析に思考を割く。

 丁度KMF一体分がすっぽりと埋まりそうな深さの砂地の陥没部分。

 ゼロの乗る無頼はそこへと飛び込んだ。

 

(それともランスロットを囲むつもりか? 自らを囮にして――。しかし!)

 

 ゼロの事だ、無策でここまで逃げてきた訳では無いだろう。

 だが、そのゼロの策を突破する力が、ランスロットにはある。

 援軍も期待出来ないこの島で、今取れる最善の選択は―。

 

 無頼の進行方向にスラッシュハーケンを放ち、動きを止め、すかさず前に回る。

 MVSを抜き、ゼロへと突き付ける。

 

「ゼロ! これで!」

 

 ゼロを捕らえる最大のチャンスに、スザクはその顔を険しくする。

 

「お前を!」

 

 スザクを仲間に引き込む先後のチャンスに、ルルーシュはその顔に決意を宿らせる。

 

「捕まえたぁ~」 

 

 自身の理論を実証出来るこの場に、喜びを感じながら、ラクシャータはその手に持つキセルでスイッチを押す。

 その瞬間、砂地を囲んでいた機械が発光し始めた。

 

「ゲフィオンディスターバー…。 ちょこっとお手伝いしたけどホント、とんでもない兵器ね。」

 

 アルカはその様子を確認しながら苦笑する

 

 簡単に言えば、範囲内に独自のフィールドを形成し、サクラダイトの活動を停止させる装置。

 つまりは―――。

 

「動けない!?」

 

 いくら操縦桿を動かそうと、いくらボタンを押そうと、ランスロットは沈黙を保ったままだ。

 ユグドラシルドライブの回転も完全に止まったのが分かる。

 

『話がある、枢木スザク。 出てきてくれないか? 第一駆動系以外は動かせるはずだ。 捕虜の扱いについては国際法にのっとる。』

 

 そんな中、ゼロが畳みかける様に身を晒すように促してくる。

 

『話し合いに乗らない場合、君は四方から銃撃を受ける事になるが?』

 

 周りを確認するとランスロットを囲む様に、黒の騎士団のKMFが砂地に集まっていた。

 無頼に紅蓮、無窮。それに黒の騎士団の新型の月下。

 

「くっ…!」

 

 ゼロの何時ものやり方だ。

 一見、平和的にも見えるが、実際はこちらに選択権等無い。

 

『スザク、構いません! ランスロットから出て下さい!』

 

 スザクの身を案じたユーフェミアの焦った声が、コックピット内に響く。

 

「…Yes, Your Highness.」

 

 ・

 ・

 ・

 

 ランスロットからスザクが出てきた事によって、ゼロの交渉が始まった。

 ここからじゃ会話は拾えないが、恐らく枢木ゲンブを殺害したことをネタに揺さぶるつもりだろう。

 

「首相殺し、か。」

 

 そういえば、あの夢で見た光景は事実なのだろうか。

 幼いスザクが、父親に向かってナイフを突きつけたあの光景は。

 

「いやいや、今はそんな事考えている場合じゃない。」

 

 ついつい思考に更けてしまうのは兄上譲りか。

 そんな事を考えている間に、状況が様変わりした。

 スザクがゼロの腕を拘束し、銃を突き付けたのだ。

 

『あいつ…!』

『動くな、力場の干渉を受けるぞ。』

 

 カレンの怒りが籠った声と、それを制する藤堂の声が響く。

 

「兄上……!」

 

 カレンの気持ちは分かる。私だって今すぐ助け出したい。

 しかし、ここから攻撃するにしても、ゼロに危険が及ぶし、駆け付けようにも藤堂の言う通り、動けなくなってしまう。言わば、八方塞がり。

 

(どうする、最悪私がスザクにギアスを……。いや、しかし、駆け付けている間に兄上が殺される可能性も……。)

 

 そうこうしている内に、ゼロを連れ、スザクはランスロットのコックピット内へ入る。

 

 アルカの顔に焦りが浮かぶ。

 これで彼女に藤堂の様な経験が、知識があればこの状況を打開出来たかもしれない。

 しかし、彼女はまだ幼い。

 

(クソ…! これでスザク自身を狙撃する線も無くなった…! どうしたら…!)

 

 

 

 時を同じくして、式根島ブリタニア軍港

 

「誰がそんな作戦を! 枢木スザクは私の騎士ですよ!」

 

 ゼロを拘束しているスザクごと、ミサイルで爆撃するという作戦を聞いたユーフェミアは、怒りをあらわにしながら軍人に詰め寄る。

 

「これは、準一級命令です。命令の撤回は総督以上か、三名以上の将官クラスの合意によって…」

 

 ユーフェミアに対し軍人は、機械の様に冷静にそう答える。

 準一級命令。つまりはユーフェミアより立場が上の者が下しという意味。

 総督であるコーネリアか、あるいは。

 

「だから! そんな作戦を下したのは誰ですか!? 私にラインを繋ぎなさい!」

「準一級命令です。 ユーフェミア副総督。」

 

 ここでユーフェミアは悟る。自身の権限ではどうにも出来ないという事を。

 

「っ! おどきなさい!」

 

 ユーフェミアは軍人の後ろに控える水陸両用KMF「ポートマン」に駆け寄り、コックピットへと向かう。

 

「基地に伝えなさい! 私が巻き込まれる危険があると! それでも発射命令を撃てますか!?」

 

 命令を下した人物は恐らく―――。

 ユーフェミアの脳裏にある1人の男が浮かぶ。

 彼女から見て、その人物は優しい兄そのものだった。

 私に危険が及ぶと知れば、止めてくれる筈…。

 

 そんな淡い期待を抱いて、ユーフェミアはポートマンを駆る。

 自らの騎士、枢木スザクの元へ。

 

 

◇◇◇

 

『接近するミサイルを確認!』

 

 千葉の声が響く。

 モニターを確認すると、こちらに向かってくる無数の赤いポインター。

 

「っ!」

 

 すかさず無窮に装着されているバインダーからライフルを取り出し、その銃口を空へと向ける。

 

「撃ち落とします!」

 

 アルカの声を聞き、立ち尽くしていたメンバーの意識が現実へ引き戻される。

 

『全ナイトメア! 飛来するミサイルに対して弾幕を張れ! 全弾打ち尽くしても構わん!』

 

 藤堂の声を皮切りに、黒の騎士団の全KMFが上空に向けて発砲を始めた。

 ただ一機、紅蓮二式を除いて。

 

『ゼロ! 今助けに!!』

 

 紅蓮はミサイルを撃ち落とす事無く、ゼロの元へと前進する。

 

「カレン!? バカ!!」

 

 アルカはカレンを咎める様に声を上げる。

 

『しまった!』

 

 焦りのあまり、ゲフィオンディスターバーの存在を忘れていたのだろう。

 力場内に入った紅蓮は、ランスロットと同じように干渉を受け、完全に沈黙してしまった。

 

 

 

 同時刻 ランスロットコックピット内

 

『くっ! このままではお前も死ぬ! 本当にそれでいいのか!?』

 

 追い詰められゼロは思わず声を荒げる。

 その様子は、普段の冷静な立ち振る舞いからは想像も出来ない。

 

「う……」

 

 ゼロの言葉を聞き、スザクの中に迷いが生じる。

 本当にこれが正しいのか。ユーフェミアを生涯守るのが自らの責務なのでは無いか。

 ――――親友を残して死んでしまっていいのか。

 

 ゼロに向ける銃口が僅かに震えたその時、コックピット内に司令官の声が響く。

 

『枢木少佐、これは無駄死にでは無いぞ! 国家反逆の大罪人、ゼロを確実に葬る事が出来るのだ! 貴公の武勲は後々まで語り継がれることになろう!』

 

 そうだ、ここでゼロを始末しなければユーフェミアにも、ルルーシュ達にも危害が及ぶ。

 今この場でゼロをどうにか出来るのは僕だけだ。

 それに決めたじゃないか。僕はルールに従って死ぬ、と。

 

 再び銃を持つスザクの手に力が入る。

 

『黙れ!!』

 

 自らの部下に、自身の親友(スザク)に死ねと命じたブリタニアに、上官の無責任な言葉に苛立ち、コックピットを力強く叩く。

 

「軍人は命令に従わなければならないんだ!」

『ふん! その方が楽だからな! 人に従っている方が!! お前自身はどうなんだ!!』

 

 他人に従い、与えられたものだけを享受する。それは生きているとは言わない。

 そんなもの…、過去の俺達と同じだ。

 あの日から自らの意志で生きていくと、そう決めた。

 

 だから。俺はお前の考えを否定する!

 

「違う!」

 

 ゼロの言葉に対し、スザクも声を荒げる。

 

「これは俺が決めた俺のルール!」

 

 周りの意志を全て無視し、己の正義だけを信じて過ごしていた幼少期。

 ルールから外れた俺は、日本の敗戦を招き、全てを失った。

 あの日に決めたんだ、ルールに従って生きると。正しいやり方で、皆が納得する方法で、変えていくと。

 

 だから、君の考えは受け入れられない!

 

◇◇◇

 

「ゲフィオンディスターバーを解除してください! 無窮で2人を救出します!」

『許可出来ない! 君まで危険に晒される!』

「私なら大丈夫です! いいから早く!」

 

 兄と友人の危機に、アルカは声を大きくする。

 

(最悪の場合、スザクを殺してでも……!)

 

 優先すべきはルルーシュとカレンの命。

 それ以外はどうなろうとも……!

 

 大切な人を救うため、少女の細い腕に力が入る。

 

 

「スザク、ゼロを放せ! 私は……、私は生徒会のカレン・シュタットフェルトだ! こっちを見ろ!!」

 

 カレンは紅蓮から飛び降り、ランスロットに駆け寄る。

 良き理解者であり、日本の希望であるゼロを救うため、ずっと隠してきた正体を大声で告げる。

 スザクの気が一瞬でも逸れれば、私に矛先を向けてくれれば。

 そんな淡い希望を持って、カレンは声を上げ続ける。

 

 

「スザク、まだ死んではなりません!」

 

 不慣れな操縦に気を払いながら、ユーフェミアは自らの騎士の元へ向かう。

 ルールを順守し、自らの身をも蔑ろにする優しい青年。

 彼の立ち振る舞いはとても危なっかしく、放っておけない。

 この理不尽な世界で彼が生きていける様に、守る為にと自身の騎士に任命した。

 その彼が今、他でもない自国の指示によって、命の危険に晒されている。

 そんな事実をユーフェミアは受け入れられない。

 だから彼女は駆ける。

 枢木スザクを守る為に。

 

 ・

 ・

 ・

 

 黒の騎士団が飛来するミサイルを全て撃ち落としたその時、ランスロットに、砂地に巨大な影が掛かる。

 誰もがその異変を前に、呆然とした。

 太陽が雲によって隠された訳では無い。

 そこには巨大な人工物が浮かんでいた。

 

「あれは…、お兄様のアヴァロン……。」

 

 その人工物に覚えがあるのか、砂地に到着したユーフェミアは誰にも聞き取れない程の小さな声でその名前を呟く。

 

 アヴァロン。

 ロイドやセシルが所属する、特別派遣嚮導技術部。通称「特派」が建造した世界初の浮遊航空艦。

 ランスロットにも搭載されているブレイズルミナスを採用し、戦艦の弱点である船底に展開させる事で高い防御性を確立することに成功した。

 

「なんの冗談よ、あれ……。」

 

 常識外れの兵器の登場に、アルカは思わず気を取られ、呆然としてしまう。

 他の黒の騎士団のナイトメアがいくら狙撃しようと、全ての攻撃が阻まれてしまう。

 

 その時、アヴァロンの船底にあるハッチが開いた。

 地上からは確認出来ないが、そこには黒い甲冑を身に纏った一機の鋼鉄の巨人。

 その両肩に装備された兵器が赤黒く光り始める。

 その光の矛先は、ゼロとスザクが居る砂地の陥没地帯。

 

『スザク! このままでは本当に死ぬぞ!』

「ルールを破るより良い!」

『この、分からず屋が!』

「あっ……」

 

 頭の固い幼馴染に苛立ちを覚えつつ、ゼロ=ルルーシュは右目を露わにする。

 スザクはゼロの言動に何処か引っかかりを覚えたのか、わずかに警戒を緩める。

 

 丁度、同時刻。黒い鋼鉄の巨人の両肩に赤黒い光が収束し始める。

 

「っ! 兄上!!!!!!!!!!」

 

 少女の悲痛な叫びとは裏腹に、全てを殲滅する無情な光が降り注ぐ。

 辺りは激しい音と、砂埃に包まれた。

 

 刹那、アルカの脳裏には幼い頃の記憶が浮かんだ。

 そこにはマリアンヌ(母親)に手を引かれている幼い自分。

 マリアンヌは優しい声音で、子どもを寝かしつける様な穏やかな声でアルカに語り掛ける。

 

「さぁアルカ、お勉強の時間よ。 行ってきなさい。」

 

 そこでアルカの意識は途絶えた。

 




本当に間が空いて申し訳ございません。

理由としては、体調を崩してしまった期間があるのと、友達がAPEXを始めて毎日付き合っていた事が大きいです。

後はうまぴょいしてた位…ですかねぇ………。(八割位は遊んでいた。)
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