いろいろリアルが忙しくて……
あとこの話が難産だった…
しかし、感想を頂いたことにより、意欲がぐんぐん上がりました。
ハチャメチャにうれしかったです!
ありがとうございます!!!!!!!!
エリア11には二つの居住区域が存在する。
ブリタニア人及び名誉ブリタニア人が住む「租界」。
かつての日本人達、つまり非名誉ブリタニア人が住む「ゲットー」。
租界は住環境が整っており、華やかな街という印象を受ける。
それに対してゲットーはお世辞にも人が住める環境とは言えない。ライフラインは整備されておらず、目に付くものは倒壊した建物と疲弊した日本人…イレヴン達。
「…………」
場所はフクオカ租界の展望台。
ベンチに座りながらゲットーを見下ろし、思考に耽る。
租界とゲットー。支配するものとされるもの。強者と弱者。
弱肉強食が国是である、ブリタニアらしい光景だ。
貨物船を降り、私達はフクオカ租界に足を踏み入れた。ブリタニア人である私が、ゲットーに踏み入れた暁にはそこに住むイレヴン達に何をされるか、想像は難しくない。
暴行、恐喝、殺害、強姦、etc……
ありとあらゆる負の感情を向けられることだろう。
それだったらブリタニア人が住む租界に居た方がまだ安全だ。
もちろん、軍の動向には、常に気を付けなければならないが。
「まぁ、追われているって言っても一部からだけだし、気にしすぎてもしょうがないか。」
私達の存在を知る者は少ない。嚮団の関係者と一部の皇族くらいだろうか。私は5年前に死んだことになっているし、C.C.はそもそも存在がオカルトみたいなものだ。
私達の事を誰かに話したとしても、気が触れたか、としか思われないであろう。
「それよりも早く情報を集めないと。」
兄上と姉上の手掛かりを知りたい。
生きているのか、死んでいるのか。
生きているとして、何処に居るのか。
「日本にある2人の手掛かりというと、枢木家くらいか……」
枢木家…。日本最後の首相、枢木ゲンブの家系である。
兄上と姉上が人質として送られた際に引き取り手だったのが枢木家だ。
しかし、
「枢木ゲンブは戦時中に自決、枢木家に所縁のあるものは戦犯として処刑されたのだろう?枢木は当てにならないと思うが。」
私の膝に頭を乗せ、寝ていた筈のC.C.が話しかけてきた。
「起きてたの?」
そうだとしたら独り言をずっと聞かれていたことになる。
恥ずかしい。
「こんな外で寝れるか。アルカの膝枕を堪能したかっただけだよ。」
100%の下心で私に膝枕をさせてたらしい。
眠いと言っていたから、してあげてたのに。
起きてたということは、私が彼女の頬や頭を撫でたり、キス…したりしたのも分かっているのか………
顔に熱が集まるのを感じる。
「そういえば、面白い話を聞いたぞ。」
悶々としている私にC.C.は声を掛ける。
「トーキョー租界にアッシュフォード家の名を冠した学校があるらしい。」
アッシュフォード家……
私達、ヴィ家の後ろ盾。
ブリタニアの元伯爵であり、医療・福祉面から
母上に試作第三世代KMF「ガニメデ」を提供し、母上が騎士侯、皇妃と地位を得ると同時に、成長していったのがアッシュフォードである。
しかし母上が暗殺された際に、後ろ盾であったアッシュフォード家は伯爵位を剥奪され、本国から追放されたとは聞いていたが……。
「日本に来てたんだ……というか誰から聞いたの?」
「………信頼できる情報筋っていうのは確かだ。安心していい。」
答えになっていない……
が、彼女は昔から秘密主義だ。私に話せないことだってあるだろう。
仮に聞いたとしても「いずれわかるさ。」と躱されるだけ。
聞くだけ無駄だ。
「……まぁ、他に手掛かりも無いし、遠いけどトーキョー租界に行ってみようか。それで、学校の名前は?」
ようやく掴んだ
彼女は何故か、後ろめたさを含みながら
「アッシュフォード学園だ。」
と呟いた。
・
・
・
「対象発見しました。」
フクオカ租界にあるビルの屋上から、展望台にいる緑色の髪をした女と10歳くらいの少女を視界に捉え、バトレー将軍に報告する。
『よくやった!対象が租界から出次第、捕縛に移る!
将軍は興奮を隠し切れない様子で命令を下す。
少女二人の捕縛に
何かの聞き間違いかと思い、再度将軍に確認を取る。
「は、
「そうだ!同じことを何度も言わせるな!緑色の髪の女は殺しても構わん!至急要請しろ!」
◇◇◇
「死んでくれる?」
私の眼前に血の海が広がる。
今ので何人目だろう、こうして人を殺したのは。
フクオカ租界を出た途端に軍による追跡が激しくなった。
「租界に居る時点で監視されていたんだろう。」
死体から銃を回収しながら
彼女が言っていることは正しいだろう。あまりにもタイミングが良すぎる。
軍人が持っていた通信機を手に取り、通信履歴を確認する。
私達が租界に居た時からついさっきまで、頻繁に誰かに連絡を取っていることがわかった。
「すぐに追手来ると思うし、早く行かないと。」
私はそう呟いて、
―――――彼女の右腕が吹き飛んだ。
「え?」
彼女が左腕で右の肩口を押さえながら、地面に膝を突く。
痛みでその端正な顔が歪んでいる。
今すぐにでも彼女の元へ駆け寄りたいが、その気持ちを必死に抑え込み、状況の把握に頭を回す。
何処から撃ってきた?
追手の数は?
これまでの経験を考慮するに、多くて5人と推測できる。ブリタニア側も大事にはしたくないはずだ。
(5人程度だったら、どうにか出来る)
銃はある。直接目を見ることが出来ればギアスも使える。
それに私自身、幼少期の訓練で、ある程度は生身でも戦える。
一番の問題は……腕が吹き飛ぶ程の威力を持つ兵器……
いくつかの可能性が浮かぶ。
思考に更けていると、崩れかけたビルの陰から私の疑問に対する答えが姿を現した。
「
最悪だ――――。
想定はしていた。
でも、ただの捕縛に使用しないだろう、とどこかで甘い認識が私にあった。
忘れていた、相手はブリタニアだ。目的の為なら老若男女、関係無しに殺す国。
ただの歩兵だけだったらまだ何とかなった。銃は持っているし、直接目を見れればギアスも使える。
しかし
どうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしようどうしよう。
思考が追い付かない。全身から嫌な汗が噴き出ているのがわかる。
私が狼狽えていると、痛みで顔を歪ませている彼女と目が合った。
行け。
頭では理解出来た。
私はまだ
それに彼女は
生き残ることを勝利条件とするなら、今の最善手は私が逃げる事―――。
「い、やだよ………」
彼女の声を、温もりを失いたくない。離れたくない。
そう私が考えているのがわかったのか、
音として私に届くことは無かったが、彼女の唇の動きから言葉を汲み取る。
「
震える脚に鞭を打ち、
近くに兵士が居たのだろう。私が走り始めてすぐ、探せという声と複数の足音が聞こえた。
立ち止まる訳にはいかない。ここで足を止めてしまえば彼女の行動が無駄になる。
彼女が私に向けて呟いた言葉が頭の中でリフレインする。
そう次がある。冷静になれ、アルカ・アングレカム。
奪われたものは奪い返せばいい。
「必ず……取り戻す………!」
涙で歪む視界を拭いながら、私はただただ走り続けた。