とても励みになります~~!!
「そうか…、お前がゼロか……。」
朦朧とする意識の中、コーネリアは呟く。
彼女に対峙するのは、仮面を外し、自らの左目を押さえたルルーシュ。
隠されてない方の目から注がれる視線は、最早肉親に向ける様なものでは無かった。
「そうなると、仮面の少女は……。エニアグラム卿の言う事は…当たっていたな……。妹達の為にこんな事を…?」
「そうです。私は今の世界を破壊し、新しい時代を創る。」
ルルーシュは極めて機械的に、感情を表に一切出さず、答える。
「そんな世迷言の為に殺したのか…!?クロヴィスを…、ユフィまで!」
「………。」
ルルーシュは何も答えない。
それだけで十分にコーネリアは理解した。
もう、道が交わる事は無い、と。
「どうやら、これ以上の会話に、意味は無い様だな……。」
そういうコーネリアの表情は、何処か悲し気にも感じる。
「そうですね。…ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが問いに答えよ。」
左目から手を離し、コーネリアの瞳を見つめる。
ルルーシュから放たれたギアスは、コーネリアの脳内を蝕み、支配した。
・
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「……っ、はっ、きっつ…。」
朦朧する意識の中、アルカは政庁の屋上へと辿り着いた。
ノネットとの戦闘による負荷が、今になって身体に現れており、ルルーシュと合流するのに時間が掛かってしまった。
屋上には満身創痍のコーネリアと苛立ちを隠せない様子のルルーシュ。
仮面を外し、素顔を晒していものの、アルカが来たと知り、再び仮面を身に着けた。
ギアスを掛けないようにする為だろう。
しかし、分かっていても、兄の素顔を見れないことに、アルカは寂しさを覚えた。
「兄、上…、大丈夫……?」
そうルルーシュに問いかけながら、アルカはコックピットからゆっくりとした動作で降りる。
その姿にルルーシュは怪訝な表情を浮かべた。
何せ、腹部を血に染めながら、今にも倒れそうな足取りで近づいてくるのだから無理も無い。
『おい、アルカ!』
ゼロ=ルルーシュはすぐさま駆け寄り、アルカを支える。
耳元で聞こえる息遣いも荒く、体温も高い。
相当無茶をしたのだろう。
兄の心配も余所に、アルカは言葉を紡ぐ。
「コウ姉様は、なんて…?聞いたのでしょう……?」
『お前…、そんな状態で…!後でいくらでも話すから……!』
ルルーシュの言葉に、アルカは首を横に振った。
「…だ、めっ。今、聞きたい……。傷は、大丈夫。放っておけば、どうにか……。」
『………っ。コーネリアは何も知らなかった。首謀者も、お前の出生についても……!』
ルルーシュは語る、新たに得た情報は、マリアンヌの指示で警備を下げたという事と、シュナイゼルが皇帝に指示され遺体を運び出した、と。
「……そ、っか。やっぱり、シュナイゼルか、皇帝本人じゃないと、知らないのかも、ね…。」
『おい、そんな事より、早く…。ええい、一先ずラクシャータの元へ………。』
その時、珍しく焦った様子のC.C.が、ガウェインから2人へ声をかけた。
『おい、戻ってこい!』
『分かっている!そろそろ政庁の守備隊が…。それにアルカも放っておく訳には……。』
『違う!ナナリーが攫われた!』
その一言に、アルカとルルーシュは怪訝な表情を浮かべる。
『私には分かる!お前達の生きる目的なのだろう!今は神根島に向かっている!』
「神根、島……。」
明らかにギアスに関係があると思われる遺跡、そしてC.C.の分かるという言葉。
それがより、C.C.の言っている事が真実だということが、嫌でも分かる。
「…行こう、兄上。行くしか、ないよ…。」
『しかし、お前、傷が……。』
『アルカも連れて行け!ここに置いていった方が危険だろう!』
忌々し気な表情を浮かべ、アルカと共にガウェインに乗ろうとする――が、それは叶わなかった。
激しい揺れと共に、政庁の屋上庭園は崩壊し、その下から新たな障害が顔を覗かせたからだ。
「きゃっ!」
政庁全体に響く振動にアルカはバランスを崩し、ルルーシュの傍を離れ、倒れ伏す。
『オォォォルハイル、ブリタァァァニア!!!』
それは巨大な円状の兵器だった。
四肢の概念は存在せず、あるのは五基の巨大なスラッシュハーケン。
それを操るのは―――。
『おや?貴方様は、ゼロ!!何たる僥倖!宿命!数奇!!!!』
その男は狂った様に言葉を紡いだ。
その言葉の選択はとても正気の者の言葉は思えない程、支離滅裂で、狂気的だった。
『まさか、オレンジか!?』
その単語に、オレンジ――、ジェレミア・ゴッドバルトは身体を震わせ、怒りを露わにする。
『オ、オオオ、オオオオ…、お願いです。死んでいただけますか?』
ジェレミアの怒りを体現するかの様に、その円状の兵器は自らを回転させながら、ガウェインへと迫る。
『あいつを叩いてアルカの安全を確保する!!』
「分かっている!!」
正面から突っ込んでくるジェレミアを、ハドロン砲で迎え撃とうとするが、速度はあちらの方が上。
反応しきれず、ガウェインはそのまま、上空へと押し出された。
『ゼロ、私は、帝国臣民の敵を排除せよ。ならばこそ、オールハイルブリタニア!!』
『ええい、邪魔をするな!!』
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「…う……、今のは…。」
倒れた衝撃で少しばかり意識が飛んでいたらしい。
アルカはゆっくりと立ち上がり、空を見上げる。
「確か、ナイトギガフォートレス……。」
嚮団に居た頃、何処かで資料を見た気がする。
操縦を生体電気で行う、機動兵器。
「…早く、加勢しない、と。」
自身の身体に鞭を打ち、無窮へと向かう。
コックピットの席に座り、起動させると、丁度ルルーシュからの通信が入ってきた。
『アルカ、無事か!?今そっちに向かっている!大人しく…。』
「ナイト…、さっきの、機体は?」
『ん?ああ、ジェレミアなら撒いた。それよりも――。』
「なら、先に向かって、神根島に……、後から、私も行くから。」
『何…?』
「今から、こっちに戻ってちゃ……、時間、かかっちゃうよ。……大丈夫、今の私でも、移動位は、出来るから。」
『…………。』
時間にして一瞬の間。
しかしアルカにとっては、長い時間が経ったような、そんな気がした。
『――――分かった。』
「ふふ、ありがとう……。」
結局、ルルーシュはアルカの提案を受け入れた。渋々と言った様子ではあったが。
アルカが頑固な事を理解しているのか、はたまたC.C.に何か言われたのか。
それをアルカは知る由も無い。
それでも、自然と感謝の言葉が零れた。
妹の我儘を聞いてくれた兄に対しての。
アルカのお礼を皮切りに、通信は切れ、コックピット内に沈黙が訪れる。
「…今から行くよ、姉上………。」
理から外れた二人の兄妹が、今、神が根付く島へと向かう。
◇◇◇
アルカが去った数刻後、崩壊した政庁の屋上に、1人の青年が降り立った。
純白のパイロットスーツ、日本人にしては色素の薄い髪、緑色の瞳。
枢木スザクだ。
先程とは打って変わり、その顔から怒りは幾分か削ぎ落され、何時もの彼が垣間見える。
それもその筈、今の彼は様々な人の想いを背負って、この戦場に立っている。
怒りのままに、その力を振るっていた時とは、違う。
ロイドやセシルに助けられ、生徒会のメンバーに背中を押され。
独り善がりの戦いでは無くなったのだ。
そして、彼をこの場に呼び出した人物も、また――――。
「せ、戦況は、我が軍に有利だ……。」
コーネリアは息を切らしながら、そう告げる。
確かに彼女の言う通りだろう。
司令塔であるゼロはこの場から離脱し、黒の騎士団の主力である藤堂達は、政庁の防衛装置に手間取っている。
他のエリアからの増援も間もなく到着する事を考慮すると、ブリタニアは戦線を維持し続ければ勝てる状態だ。
「いいか…、私の負傷は、極力伏せろ…、動揺する……。ギルフォードや、グラストンナイツが……。」
コーネリアに対する忠誠心の高さ。
どの戦場に置いても、有利に働いていたが、それはコーネリアが居るからこそ成り立つ事。
彼女が満身創痍だと知れば、その動揺は軍全体に侵食し、付け入る隙を産んでしまうだろう。
「しかし、お前にだけは……。」
それでもそんな状況で、日本人である―――、いや、ユーフェミアの騎士であるスザクに伝えたかったこと。
「神根島…、そこに、ゼロが……。」
「っ!」
「それ以外は…、ダメだ、思い出せない……。」
一時的な記憶の欠落。
枢木スザクは、この現象を知っている。
「…ギアス……。」
聞きなれない単語に、コーネリアは一瞬疑問を浮かべたが、再びスザクを見つめ、口を開く。
「お前は、ユフィの騎士なのだろう?ならば、行ってユフィの汚名をすすぐのだ。」
彼女は信じている。自身の妹を。
ギアスという超常の力の存在を知らないながらも、愚直に。
「…貴公に、略式ではあるが、ブリタニアの騎士侯位を授ける…。これで名実共に、お前は騎士だ…!」
ユーフェミアの汚名をすすぐ為か、弟と妹の行動を止める為か、それとも本当に彼を認めたか。
彼女の真意はスザクには知る由も無いし、今後も知る事は無いだろう。
しかし、スザクにはその言葉だけで十分だった。
「行け、枢木スザクよ……!」
「……Yes,Your Highness!」
スザクは、また一人分の想いを背負った。
◇◇◇
黒の騎士団は混乱の渦に落とされていた。
「ゼロ、私はどうすれば……。」
赤いKMFを駆る少女も、その1人。
副指令の扇が凶弾に撃たれ、重傷。
後方のG-1ベースの医務室で、治療中だった筈のアルカの行方が不明。
そして、ゼロの戦線離脱。
度重なるイレギュラーと司令塔の不在により、黒の騎士団の指揮系統は崩れ、徐々にブリタニアに押されていた。
「アルカもアルカよ…、どうして戦場になんか……。」
アルカについて分かっているのは、無窮に乗って戦場に飛び出した事のみ。
G-1ベースに居た神楽耶や南達も、行った場所までは知らない様だった。
憧れの対象、旧知の仲間、友人。
今まで彼女を支え、共に歩んできた3人が、一度に離れた事により、カレンはどうしようもない孤独感と焦燥に駆られていた。
そんな中、彼女のコックピットに男の声が響く。
『カ、カレン……。』
「扇さん!?大丈夫なんですか!」
息も絶え絶えで、今にも意識を落としてしまう様な、そんな弱々しい声。
『ああ……、それより、カレン……。ゼロを、追え……。』
「あっ……。」
『彼の行動には、意味が、ある筈……。おそらく、アルカも…、彼と……。』
言われなくても追いたいのは山々だ。
しかし、その2人の行き先が、カレンには思いつかない。
「でも、どうやって探せば!」
『そろそろ、見えるだろう……。』
扇の言葉に疑問を持ったカレンだが、その疑問はすぐに解消された。
上空の熱源を捉えたのだ。
そこには、トウキョウ租界を離れていく白い騎士。
「あれは…、ランスロット…?あいつがここを離れる理由なんて……。」
カレンは知っている。
ゼロと枢木スザクの確執を。
スザクのゼロに対する強烈な憎しみを。
『ラクシャータが、中に、発信機……。』
「分かりました。」
余程無理していたのだろう。
先程よりも息が荒く、苦しそうだ。
「補給部隊、接収した空輸機を私に回せ!最優先だ!!」
舞台袖に控えていた少女が、壇上へと続く階段に足を掛ける。
一期は次の話か、その次で終わります。
そのまま二期に突入するか、間に小話を挟むかは検討中です。
もし、こういうの見たいとかありましたら、感想とかで言って頂けると幸いです!