要因としましては
・スパイダーマンNWHを観るためにほぼ全てのマーベル映画を観直してた。
・マスターデュエル
・アルセウス
等が挙げられます。
はい、すみません。
超合衆国。
現代における平和の象徴であるこの連合体は、日本と中華連邦を中心に発足した。
まだブリタニア帝国が超大国として世界を支配していた頃。
それに対抗する為にゼロが身を扮して反ブリタニアの意志を纏め上げた。
今更説明するまでも無いが、超合衆国への参加の条件は武力を永久に放棄する事。
それはブリタニアが支配者として健在だった当時でも変わらない。
そこで武力に対する抵抗の象徴として、各国の怒りの代弁者として白羽の矢が立ったのが黒の騎士団。
合衆国に所属する国の剣、或いは盾として。
黒の騎士団は傭兵という立ち位置で、超合衆国と契約する事となる。
そんな彼らの超合衆国での初仕事は、あの超広域破壊兵器『フレイヤ』が初めて実戦導入された第二次トウキョウ決戦。
日本国代表『皇神楽耶』の要請により、黒の騎士団は初めて、世界に認められた戦力として振るう事となる。
―――――A・A著書 「帝国の崩壊」第8章より
◇◇◇
全ては順調だった。
『黒の騎士団の派遣を要請したいと考えますが、賛成の方はご起立を。』
神楽耶の言葉に一斉に席から腰を上げる各国の重鎮達。
『賛成多数。よって、超合衆国決議第壱號として、黒の騎士団に日本解放を要請します。』
初めて手に入れた大義名分。
ブリタニアにも引けを取らない国力。
今それが、一人の反逆者の手の中に。
『良いでしょう。――超合衆国決議第壱號…。進軍目標は――――、日本!!』
全ての条件が揃った。
何の憂いも無く、戦いに望めると、その時のルルーシュは考えていた。
しかし。
『ゼロよ。』
表舞台から消えた筈の、覇王がまた立ち塞がる。
『ゼロよ、それで儂を出し抜いたつもりか? だが、悪くない。』
倒した、と思っていた敵の再来に、ゼロ=ルルーシュは一歩、また一歩と威圧される様に後退する。
『3局の一つ、E.U.は既に死に体。つまり貴様の作った小賢しい憲章が、世界をブリタニアとそうでない者に色分けする。単純それゆえに明快。』
この男の目的が、アルカとC.C.である事は既に分かっている。
それを意味するのは―――。
『この戦いを制した側が、世界を手に入れるという事。良いだろう、ゼロ。挑んでくるが良い。
全てを得るか、全てを失うか。戦いとは元来そういうモノだ!』
皇帝にとって、ナナリーとルルーシュは何の価値も無いということ。
『オール・ハイル・ブリタニア!!!!』
彼の声に負けじと、黒の騎士団の面々からも日本万歳と声が上がる。
普段なら不敵に微笑んでいたであろう。
しかし、今のルルーシュには―――。
・
・
・
『皇帝が生きていた……。』
「………。」
「ご主人様!」
部屋に入るや否や、力無く仮面を外し、揺れる瞳を下に向けて考え込むルルーシュ。
そんなルルーシュの様子にアルカは一瞥、C.C.は嬉しそうに大皿を持って彼に駆け寄る。
「いけない、すぐにナナリーを…。」
ルルーシュがゼロだと知られた以上、ナナリーは皇帝にとっての体の良い人質でしかない。彼女が皇帝の膝元にあるだけで、ルルーシュの行動は否応なしに制限されてしまう。
ルルーシュは思考を巡らせる。
捕虜であるコーネリアやノネットを使ってしまうか。ロロやジェレミアを使い、暗殺を試みるか。ゼロの世界をルルーシュだと公表してしまおうか。
思いつく限りの策を列挙するが、どれも状況を覆す要因にはなりえない。
そもそも、ナナリーを助けた所で、今の超合衆国に迎え入れる用意が無い。
文字通り八方塞がりだった。
「………。」
「あのご主人様、これ……。」
考え込むルルーシュの元へ駆け寄ったC.C.が、おずおずと一切れのピザが乗った大皿を差し出す。
「………。」
「朝ごはん、取られていない様でしたから…。」
「…………。」
「あの、ご主人様……?」
「五月蠅い!!!!!」
反応の無いルルーシュを心配してか、彼に声を掛け続けたC.C.だが、琴線に触れたのであろう。
彼女の気遣いを一蹴する様に、ルルーシュは声を荒げて差し出された皿を振り払う―――――ことは無かった。
「――――!」
「いったぁ……。」
ルルーシュからすれば、差し出された皿を払ったつもりだったであろう。
しかし、実際に手を振り抜いた後、眼前にあったのは、頬を赤くしたアルカの姿。
―――――妹を殴った。
その事実にルルーシュは先程の焦りも忘れ、呆然とする。
「ほら、ご主人様は虫の居所が悪い様だから、下がってなさい。」
「は、はい…。」
叩かれた頬を擦りながら、自身の後ろに居るC.C.に優しく語り掛ける。
素直に頷きを返したC.C.は、足早にこの場を離れ、ソファの後ろへと隠れる。
「―――――――アルカ。」
「……はぁ。動揺するのは分かるけど、C.C.に当たるのだけは止めて。」
「………済まない。今すぐ手当を…。いや、冷やすのが先か……。」
冷凍庫から氷を取り出そうと、部屋に備え付けられた冷蔵庫に向かうルルーシュに、アルカは呆れた様に口を開いた。
「冷やす必要があるのは兄上もじゃない?」
「………………分かってる。」
小さく答え、ルルーシュは氷をアイスバックに詰め、アルカに渡す。
皮肉気な笑みを浮かべながら、それを受け取り、「ありがと」と彼女は短く答えた。
「皇帝があの場から戻ってきたんだ。」
「知ってる。中継、見てたから。」
ルルーシュは項垂れながら、アルカは渡された氷を当てながら、お互いソファに腰掛ける。
「このままだとナナリーの身が……。」
「………そう、ね。」
「人質が通じる相手では無い。しかし、暗殺しようにもギアスは効かない。いや、それどころか不老不死の存在だ。どうしたら―――。」
「……私もこの前言われたばかりなんだけど、もっと視野を広げてみたら?」
「………何?」
まさかこの前自分が言われたアドバイスを、そのまま人にする事になるとは思わなかった。とアルカはぼんやりと思った。
(まだ自分自身の答えも出てないというのに。でも…、嗚呼、なるほど。)
目を細めながらアルカはルルーシュを見つめる。
(傍から見たら、私もこんな感じだったのだろうか。)
余裕の無い人間、というのは実に分かりやすいらしい。
兄上は姉上の身の安全の不安から。私は――――、まぁ今は良いだろう。
「手数が足りなければ、増やせばいい。至極普通の事でしょ?」
◇◇◇
「………さて。」
瞑っていた目を開き、辺りを見渡す。
目に映るのは雲一つも無い青空。そして無数の本棚と絵の入っていない額縁。
「……いやいや、「さて」、じゃないよ!」
自分の家の様にソファに寝そべっていた黒髪の少女は、突然の来訪者に思わず、身体を起こして手をパタパタと振りながら声を上げる。
「そんな近所のコンビニに行く感覚で、ここに来る人なんて聞いた事無いよ!!」
「過去の存在の割には、随分と現代的な表現するのね。」
「……伊達に長く生きていない、という訳さ。」
O.O.の言葉を聞いているのか聞いていないのか。「ふーん」と返事をしながら本棚に置いてあった本を手に取り、先程まで彼女が寝そべっていた座る。
「ソファなんて、前回来た時には無かったけど? 他人の領域で随分リラックスしてるじゃない。」
「ここは君の世界であると同時に、私の世界でもあるんだよ。頭で思い浮かべたものは何でも手に入る。そういう場所さ、ここは。」
「……嘘吐きね。何でもは無理でしょう。」
「――ハハっ! 君のお兄さんには敵わないさ!! それに嘘吐きという表現は少し違う。演出家と言って欲しいな。」
ペラペラと捲っていた本をパタンと閉じ、呆れた顔でアルカはO.O.に視線を送る。
「大した役者になれるんじゃない? 私の前以外だったら。」
「手厳しいな。――何時から気付いていた?」
「今さっき。このソファ、私が本国に居た頃、宮殿で使ってたものだから。」
懐かしむ様にソファの上に手を滑らせる。
「大方、ここに保管されているモノ、つまりは私の記憶にあるものを具現化出来る、っていうところでしょう?」
「……なんとも揶揄い甲斐の無い…………。まっ! そんな君も可愛いけどね!」
「…………来なきゃよかったな。」
鬱陶しい、と言わんばかりの態度で距離を取るアルカに対して、気にすることなく迫るO.O.。
小さなフィールドで暫しの間、二人による攻防が繰り広げられた。
▼
「……無駄に疲れた。」
「いやぁ、僕は満足だよ。数世紀ぶりに可愛い女の子とのスキンシップを楽しめた!!」
C.C.しかりミレイさんしかり、神楽耶しかり。どうして私の周りにはこう特殊な人が集まるのか……。
自身の事はしっかりと棚に上げて、3人の顔を思い浮かべる。
「……それで? こんな大変な時に何故ここへ?」
だらしなく緩ませていた顔はすっかり消え、神妙な顔でO.O.は尋ねる。
「……分かる癖に。」
「君の口から聞きたい。」
「………はぁ。」
彼女の言う「大変な時」というのは現実で黒の騎士団が。いや、兄上と私が置かれた状況の事だろう。
「君のアドバイス通り、お兄さんは
「先導者は兄上だけでしょ……。私はただの戦闘要員。」
「謙遜しないでくれよ。合衆国が誇る最強の矛だろう?」
「―――その矛が鈍り始めたから砥ぎに来た、って言ったら満足?」
O.O.が僅かに口角を上げるその横で、アルカは再び本に目を落とし、ページを捲る。
「あるのかな? 求める答えが。君の記憶の中に。」
「……私の記憶には無いかもね。でもここは、貴女の世界でもあるのでしょう?」
興味深そうに浮かべていた笑みは消え、O.O.は目を細める。
「……全く、頭が回り過ぎるのも問題だな。」
「それはどうも。褒められて嬉しいよ。
「…ふん。それで? 私達の世界で、君は何が知りたい?」
家族譲りのアメジスト色の瞳を細め、ただ静かに少女は口を開く。
「―――■■■■■を。」
そう言いながら、本に視線を落とすアルカを、O.O.は静かに、しかし悲しそうに見つめていた。
◇◇◇
トウキョウ租界は闇に包まれた。
租界内の電気設備は全てゲフィオンディスターバーによりシャットダウン。市民は出歩く事無く、まさにゴーストタウン。
私達の目的はブリタニア政庁の制圧、及び総督である姉上の保護。
世界に向けてこのトウキョウ租界からブリタニアからの独立を宣言する事で、世界中の人々を一斉蜂起させる。希望を与えるのだ。世界中の虐げられている民衆達に。
そしてブリタニア側もそれを理解しているのか、呼び寄せたのは精鋭中の精鋭達。
つまりはブリタニアにとっても私達にとってもここが天王山。
「……ま、どうでもいい事だけど。」
一般的なナイトメアよりも小さいコックピットの中で、少女は独り呟く。
そう、どうでも良いのだ。
この戦いの勝ち負けなど。
「見失うな。ぶれるな。最初からそうだったじゃない。」
操縦桿を握る手に力が入る。
『良し、これで条件はクリアされた。藤堂!』
コックピット内に響くのは先導者である兄の言葉。
続けて響く、作戦指揮官の声。
それを合図に、黒の騎士団は進軍を始める。
自由を求めて、帝国の崩壊を願って。
「私にとって重要なのは……!」
一人の少女は世界を知った。
「心を捨てろ。冷徹、非情…。世界とはそういうものだろう!」
一人の少年は心を捨てた。
同時に黒の騎士団の動きを見て、帝国も動き始めた。
反乱分子の殲滅を。自身の正義の証明する為に。
そして。
「お兄様…、アルカ…、どうかご無事で……!」
一人の少女はまだ真実を知らず。
「乗るしか無いのか……。ランスロットに。」
一人の少年は手に余る力を手に入れた。
戦争が始まる。