インフィニット・ビート   作:Akila?

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千冬さん再登場…と言っても電話越しですが


何時までも

鈴と別れた後、皆暫くは元気が無かった

 

やはり会えなくなると寂しさが大きくなるんだと実感する

 

 

しかし俺は信じている また会えると

 

それは皆も同じらしくて、

元気になるのにそう時間はかからなかった

 

 

 

 

 

 

俺が更識家に来てから一年以上経った

 

簪とは色々な事をした

 

夏は祭りで花火を見た

 

秋は紅葉狩りに出掛けた

 

クリスマス、

二人で少し高めのレストランで食事をした

 

 

年末には一緒に年を迎えた

 

お互い着物を着て、初詣に行った

 

春には花見を楽しんだ

 

楽しかった…… 二人の思い出をたくさん作った

 

そして中学3年の半ば頃  その時はやって来た……

 

 

 

「今日は弾のヤツが……」

「ふふ……」「五反田さん………」

何時もの様に自宅でお喋りをしていた時

 

♪♪♪ 「ん、電話だ……」 俺の携帯が鳴った

かけてきたのは……

 

「えーと…千冬姉?」

千冬姉が電話をかけてきた。 俺は電話に出た

 

「もしもし」『一夏か、夜分にすまない』

「いや、大丈夫だよ。何かよう?」

 

『ああ…… 日本に帰ることになった』

 

「……え?」 『ドイツでの雇用期間が終わったからな。

ようやく戻れるようになった』てことは……俺は……

 

「因みにいつ頃帰るんだ?」

『そうだな……

色々準備があるから、3週間後くらいだな』

 

 

 

 

 

「……そうか、帰るのか……」 「…うん…」

俺は千冬姉が帰ってくること、

それに伴い俺も実家に戻ることを皆に伝えた。

 

「こうして考えると、早かったわねぇ……」

と母さんが染々と呟いた

 

「…………」「簪ちゃん……」

簪は顔を埋めてしまっている

 

「……あのさ

 

帰ってからも、ここに来てもいい?」

俺は皆に訊ねる

 

「当たり前だ」「父さん……」

 

 

「お前は私達の家族だ……何時でも来なさい」

 

 

「そうね、ここは貴方の家なんだから」

「…母さん……」

 

「何時でも来なさいな」 「待ってますよ」

「また遊ぼ~ね~」

「刀奈姉…虚姉…本音……ありがとう」

 

「…………」「…簪……」 簪はずっと顔を埋めたままだ

 

「…簪」

 

「これからも、一緒に学校に行こう」 「え…?」

 

「帰りもさ、これまで通り一緒に帰ろう」

 

「で、でもそれだと一夏が凄く遠回りすることになっちゃう…「構わないさ」!…一夏……」

 

「俺は……少しでも簪と一緒にいたいんだ」

「///……うん……うんっ!」

 

簪は泣きながらも、飛びっきりの笑顔を浮かべてくれた

 

「う~ん、見せてくれちゃって」

刀奈姉の言葉で思い出した

あっ、皆見てるんだった……

 

「あ、あう……」 簪は顔を真っ赤にして再び顔を埋めた

 

その後、俺達はそこにいる全員から、からかわれた……

 

 

「…良いなぁ、簪お嬢様と一夏…… 私も弾さんと……」

 

 

 

「一夏、すぐに弾くんをここに呼びなさい」

「へ?ああ、良いけど……」

「良くないです!余計なこと言わないでくださいお嬢様!そして一夏は電話しないで下さいぃぃっっ!!」

 

 

 

翌朝、俺と父さんは何時もより

早めに起きて道場にいた

 

理由は皆からは実家に帰っても何時でもこいと言われたが、家事をしなければならない関係で

これまでのように毎日手合わせとはいかなくなる。

 

だからそれまでに、

俺は出来るだけでも父さんから教わろうと思ったのだ

 

それは父さんも受諾してくれた

 

 

 

「さて鍛練を始める前に一夏、

強さとはなんだと思う?」

早速…と思っていたら、父さんにそう聞かれた

強さ…か……

 

「…………」 何だろう……浮かばない

今までならば、俺の答えは『守る事』だ

 

…でも……何でだ? それだけじゃ駄目な気がする……

何かが…足りない……

 

「ふっ…出てこないか。 なら、この鍛練の中で見つけろ。   お前なら……出来る筈だ」

 

「……分かった」 見つけて見せる……

『強さ』とは何なのか…… 自分なりの答を!!!

 

「「…………」」 お互い構える

 

俺は右手を握り腰の位置に、左手は開いて前に出す

 

対する父さんは無形。 構えは無いが、隙が無い。

 

「…………」 父さんは無言でプレッシャーを出してくる。

 

立ってるだけでこれだけの威圧感。 足が震えてくる。

 

やはり凄い……純粋にそう思う。

しかし、だからこそ……勝ちたい!

 

「…………」 俺も負けじとプレッシャーを出す

 

「…ほう……」 父さんは俺を、

面白いと言わんばかりに見続ける。

 

父さんには及ばない、しかし。

負ける気なんて更々無い!!!

 

「っ………」 俺から仕掛けた

 

「ふっ……」 体重の乗った右手の平打ち。

しかしそれを父さんは軽々避け、反撃しようとしてくる

 

だが……それは此方の読み通り!

 

「っ!」「むっ!」

俺は仰向けに倒れて父さんの手刀を回避した。

これには父さんも驚いている。

 

「しっ!」 俺はその体勢のまま左手を思いっきり地面に叩き付け、その反動で体を浮かせる。

 

謂わば腕一本の逆立ち状態。

勢いを殺さず右足で顎を蹴りあげようとした。

 

「おっと、危ない!」

しかしそれを父さんは後ろに跳んでかわしてしまった

何ていう反応速度だよ……

 

「今のはヒヤッとしたぞ」

「良く言うよ……余裕でかわしたくせに」

 

「当然だ。私はお前達の父親であり楯無……

これくらいの技量がなくては話にならん」

「…そっか」

 

楯無の名の重さ…それは相当の重さなのだろう

 

父さんの守りたいものは俺達なのだ

 

…じゃあ、なら───

 

「…来ないのか?……では……」

父さんのプレッシャーが一段と強くなる。

 

これは……殺気?

 

「今度はこちらから」

 

「うえっ!?」

父さんの姿が見えなくなったと思ったら

いきなり目の前に現れた

 

「ふんっ!」 父さんの足蹴り。

俺は何とかそれを両腕をクロスさせて防いだが……

 

ガッ……! いってぇ!!!

 

衝撃が腕から体を突き抜けた。 腕も痺れている

 

「くっ!」 今度は俺が跳びながら後退する

 

「ハアハア……」 「…………」

肩で息をしている俺に対し、

父さんは息切れ1つしていない。

 

やはり……強い……

 

「……一夏」 父さんが俺に声をかけてきた

 

「…なんだ?」

 

「お前は強くなりたいと言っていたな?」

「…ああそうだ、その願いは変わってない」

 

「ほう……それで?」 「え?」

 

「強くなって何がしたい?」 「何が…って……」

「その先は?強くなった先に、

お前は何をしたいのだ?」

 

強くなった先……

 

…どうだろう?

 

困ってる人を助ける?…確かにしたいけど、なんか違う

 

正義の味方?…違うな、違うんだ……

 

俺は……そんな大層な事を望んでない 俺は……俺は………

 

『一夏』 !!!

 

『一夏……助けて……』 ………………

 

『うん……うんっ!』

 

そうだよ……俺は…

 

笑顔を……守りたいって……決めたじゃないか!

他の誰でも無い、彼女の!!!

 

 

 

「…………」 「……ほおう」

 

俺は再び父さんと対峙した

 

「……こい、一夏よ」

父さんが俺を睨み付けながら言った

 

「…………」 …俺はもう迷わない──

 

強くなってしたいこと、望むもの

 

それは1つしか無い、しかし本当にしたいこと

 

 

それは……

 

 

 

「っ!ハァッ!!!」 俺は父さんに向かっていく

 

「…(ダメージ覚悟の捨て身か…それもよかろう)」

 

俺はそのまま突進していく

 

「…………」 父さんは動かず、立っているだけ

恐らくカウンターを狙っているだろう

 

でも……

 

「っ!」「ん!?」 父さんが驚いている

 

俺は、父さんの前で『跳んだ』のだ

 

父さんの頭付近まで跳んだ俺は体を左に回転させる

 

そして一回転した後、

思いっきり右足で頭の横に回し蹴りを叩き込んだ

 

「うぐっ!」父さんはそれを左腕で受け止めたが、

顔を歪ませた

 

このまま押し込めば……そう思った瞬間

 

「あぐあ!!!」

顔を手のひらで捕まれ、俺は地面に叩き付けられた

 

「ぐっ……」「…あっ、す、すまん一夏」

慌てた父さんが俺に駆け寄ってきた

 

「本当すまん…つい力入れすぎた……」

どうやら、少しだけ本気を出したらしい

お陰で頭がガンガンするが……

 

「いや、少しでも本気出してくれたんだ。

これほど嬉しい事は無いよ」

「…ふっ、そうか……」

 

それから俺達は一旦休憩をすることにした

 

「一夏、それでどうだ?見つかったか?」

父さんが俺に訊ねてくる

 

「ああ、見つかったよ。

ていうか……ずっと傍にいたんだ」

 

 

 

 

 

 

「俺は簪を守るよ。

簪の笑顔を……俺は守りたい」 俺の応えに父さんは

 

「ふっ、フハハハ!」 笑いだした

 

困惑する俺に父さんは言った

 

「成る程な……それがお前の目指す道なんだな」

なら……と父さんは言葉を繋げる

 

「その道は、ずっと変えるな!

己の道を、歩み続けるのだ!!!」

「父さん……はい!!!」

 

俺は守ろう。 彼女の笑顔を、未來を。

それが俺が成したい事なんだ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「では簪を嫁にするときは、私を倒してからにしろよ?」 「え……えええ!!?」

 

 

 

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