怪獣失楽園:アニゴジ世界で怪獣プロレス。 作:よよよーよ・だーだだ
どーん、どーん、どーん。
まずラドンとメガギラス、続いてエビラ、カマキラス、そしてメガニューラ。
立ちはだかる邪魔者共を始末したゴジラは悠々と孫ノ手島に上陸した。
どーん、どーん、どーん。
一歩一歩、ゴジラが近づくたびに、その衝撃と恐怖から人間たちはフライパンで炒られた豆みたいに跳ね回っていた。
桟橋を蹴り飛ばし、コンクリートの舗装を踏み抜き、始末した怪獣たちの死骸を足蹴にしながら、大怪獣ゴジラは四本指の巨大な足跡を孫ノ手島の大地に刻み込んでゆく。
ゴジラの行く手には奉身軍最後の生き残り、ZILLAが待ち構えていた。
ZILLAは怒りに燃えていた。
地鳴りよりも低い唸り声。
牙を剥いた表情。
自分の主人である真七星奉身軍を皆殺しにされた恨み。
ZILLAは、ゴジラに復讐するつもりだった。
ZILLAの咆哮が轟く。
他方、ゴジラも吼え返す。
ゴジラとZILLAの対決だ。
ZILLAは深々と息を吸い込み、ゴジラの顔面に火を吐きかけた。
ZILLAの火炎放射、パワーブレスだ。
唸り声を挙げながら後退するゴジラ。
何しろ核ミサイルも効かないゴジラである。火炎放射ぐらいではさほどダメージを受けてはいないはずだ。
しかしいきなり炎を浴びせられれば流石のゴジラでも驚く。
ゴジラが怯んだ隙を突き、ZILLAは大地を蹴って高く飛び上がった。
ZILLAのジャンピングキックがゴジラに直撃。万トン級の体重を込めた渾身の飛び蹴りにゴジラも一歩たじろいだ。
そしてZILLAはゴジラに連続攻撃を加えた。
引っ掻き、噛みつき、そして蹴り。ZILLAはハーケンよりも鋭い爪でゴジラの目玉を抉り出そうとし、ギロチンよりも強力な顎で喉笛を食い千切ろうとする。
ZILLAによる猛攻撃に対し、ゴジラは防戦一方だった。
しかし、そうやって攻め立てられる最中でもゴジラは勝機を見失ってはいなかった。
ZILLAの猛攻の隙間を掻い潜ったゴジラは、プロボクサーのように素早く腕を繰り出してZILLAの首輪を鷲掴みにした。
……ここでも仇になったのは首輪だった。
首輪がなければZILLAだって、勝てることはないにせよもっと善戦できたかもしれない。
少なくともパワーブレスを使って一矢報いることくらいは出来ただろう。
ゴジラは、ZILLAを高々と吊し上げた。
ZILLAは喉を絞められて絶息しながら、なおも攻撃をやめようとしない。
蹴爪でゴジラの顔面を引っ掻き、尻尾のビンタを叩き込み、ZILLAは懸命に抵抗し続けた。
そんなZILLAを睨みつけながら、ゴジラは鼻を引くつかせて背鰭をバチバチと光らせる。
ゴジラに掴み上げられたZILLAが最後に知覚したのは、青白い強烈な光。
ゴジラの放射熱線が頭上へと発射、その射線上にあったZILLAの顔面を撃ち抜く。
ZILLAの頭が爆裂し、閃光と共に脳味噌をぶちまけた。
ZILLAの首なし死体がひくひくと痙攣しながら、ゴジラの手元からずるりと滑り落ちる。
これぞまさに、秒殺。
ZILLAは痛みすら感じなかっただろう。
ZILLAが奮闘している隙に、新生地球連合軍は態勢をなんとか立て直していた。
もはやLSOも奉身軍も関係ない、ゴジラを前に一群となっていた。
怪獣軍団に踏みにじられた中で使えそうな軍備をかき集め、ゴジラに立ち向かおうとする。
二十四連装砲や多脚砲台、パワードスーツ、島中の銃口が一斉に火を噴く。
爆弾を満載したメカニコングの大群が特攻を仕掛ける。
新生地球連合軍の生き残りによる死に物狂いの総攻撃、その標的はゴジラだ。
全島にあるあらゆる火器の集中砲火を受け、ゴジラの全身が真っ赤な爆炎に包まれた。
晴れる煙、現れたのは無傷のゴジラだった。
全身に纏わりついたメカニコング軍団の自爆、残存兵力の一斉砲撃、しかしそんなものは常識外れに頑強なゴジラには豆鉄砲も同然だ。
……なんだ、今のは。くすぐってえなあ。
そう言わんばかりに頬をボリボリ掻いたゴジラは、今度はこっちの番だと背鰭を青く光らせると、ゴジラは放射熱線を発射した。
二十四連装砲や多脚砲台、パワードスーツ、せっかく立て直した迎撃部隊の決死の攻撃もゴジラに掛かればひとひねりだ。
ゴジラに集中砲火を浴びせまくっていたあらゆる兵器は、放射熱線の一息で軽々と焼却されてしまった。
爆弾を用いた兵士たちの特攻も、長い尻尾の一振りで吹っ飛ばされてしまってゴジラ本体へ肉薄することすら出来ない。
そんな惨状をわたし、タチバナ=リリセはタワーの上階から眺めていた。
突如現れたゴジラに次々と殺されてゆく怪獣と、抵抗むなしく蹂躙されるばかりの兵士たち。
ザマーみろ悪党め、みんな踏み潰されちまえ!
……なんてことは微塵も思わなかった。
立川自治区にいた人たちのことを思い出す。
怪獣に襲われた街を必死に守ってくれたり、街で困り事があれば親身になって手伝ってくれたり、わたしが知っている新生地球連合軍の人はみんな良い人たちばっかりだった。
指揮官のヘルエル=ゼルブやネルソンは最低最悪の屑だったが、部下の人たちまでそうだとは限らない。
真七星奉身軍の兵士たちは信仰のために戦っている。
LSOの中にだって、ヘルエル=ゼルブの『地球のため』という建前を真に受けていた人もいただろう。
そうじゃない人もいたかもしれないが、大抵それはお金や生活のため。悪いことをしようとなんて思っている人は多くないはずだ。
みんな上の命令に従っていただけの普通の人たちばかり、悪人じゃない。
そんな人たちが、どうしてこんな目に遭わなきゃいけないんだ。悪いのはヘルエル=ゼルブやネルソン、ウェルーシファみたいな奴だろうに。
怪獣だってそうだ。
ラドン、メガギラス、エビラ、カマキラス、メガニューラ、それにZILLA。
人間の戦争に巻き込まれたばっかりにLTFシステムとかいう変なシステムに組み込まれて兵器に改造された挙句、こんな酷い死に方をする羽目になってしまった。
可哀想に、こんな戦争なんかなければ、彼らだってゴジラに殺されることなく平和に天寿を全うできたかもしれない。
そんな中で猛威を振るう、大怪獣ゴジラ。
もはやゴジラを誰も止めることができない
かに見えた。
そんなゴジラに、挑む者がいた。
地面を踏みしめる足音。
重量級の存在感に、ゴジラは振り向いた。
島の高台にそいつはいた。
狼のような四足歩行。それ自体が棍棒のようにも見える長い尻尾。
全身にクリスタル状のトゲをびっしりと生やしたシルエットと、クリスタル状の牙を剥き出しにした厳つい表情、そしてなみなみと溢れているのは獰猛な闘気。
口にはカマキラスの肉片を咥え、カギ爪の伸びた前足でクモンガの死骸を踏みにじり、全身からは昆虫怪獣たちの返り血を滴らせている。
そしてそいつは首をぐるりと振り回しながら、ラッパのような咆哮を挙げた。
勇ましいそいつの名前はアンギラス。
高いところからゴジラを見下ろすアンギラスの号哭は、チャンピオンに突きつけた果たし状だ。
そんな挑戦者アンギラスを、怪獣王ゴジラは猛々しい咆哮で出迎える。
ゴジラ対アンギラス、宿命の対決が始まった。
登場怪獣紹介その8「ZILLA」
・
身長:40メートル
全長:100メートル
体重:1万8千トン
二つ名:ダゴン、強脚怪獣、
主な技:ハイジャンプアタック、パワーブレス
初出は『ゴジラ FINAL WARS』。
ローランド=エメリッヒ版『GODZILLA』に登場したゴジラ(通称エメゴジ、またはトラゴジ)をパロった怪獣……という体裁ではありますがぶっちゃけエメゴジそのまんま。
エメゴジは「
なお『ファイナルウォーズ』ではフルCGで登場しており、「着ぐるみゴジラとCGゴジラの対決」という点でも注目されたものの、実際のエメゴジの撮影には実物大の模型や着ぐるみ、アニマトロニクスも使われていますし、逆に和製ゴジラもCGを使ってたりします。
イグアナと呼ばれることが多いものの、実際は爬虫類のキメラであり、メインはワニがモチーフとされています。
実際のワニも子供を大切に育てる種類がいますし、背中の鱗や、細かい歯がビッシリ生えた口などはワニっぽいですよね。
頭が若干大きすぎる印象はあるものの、流線型のシルエットがとても美しい怪獣であり、可動フィギュアが出たらとても映えると思います。
名前は魚の神ダゴンから。
ギャレゴジの外伝にあたるビジュアルノベル『ゴジラ アフターショック』に登場した、ゴジラの同族の名前が『ダゴン』であることに因むネーミング。
ダゴンと言えば『モスラ2 海底の大決戦』の敵怪獣ダガーラの名前の由来にもなっていますね。
こいつも個人的に好きな怪獣で、良いヤツっぽいイメージで書いています。