ガンダムビルドダイバーズRe:Birth   作:ドラーグEX

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昨日の宣言通り更新です。
今回はユーコが出ます。



第16話 ソレが彼女のやり方

 中央受付に戻ったショウマとセレジュは、カフェのようなレストスペースで身体を休めていた。

 

 

「はあ~、再現とは言え、砂漠の暑さはすごいですね。こっちはとっても涼しいです」

 

 

「GBNあるあるだな。ミッション環境の変化に酔うダイバーもいるんだぜ。ところで、今日はまだこっちに居ていいのか?」

 

 

 リアルでの《ブラストZ》をめぐる兄との確執が解決してからというもの、セレジュはショウマについて回るようになった。

 

 

 はじめはショウマも離れるように言っていたが、意志が強い、というよりも頑固なセレジュに根負けし、様々な条件付きで彼をヘルパー見習いとして同行させることにした。

 

 

「はい! 今日は塾はお休みで、学校の宿題も終わらせてから来ました! まだまだGBNができますよ。条件その一、『リアルでの生活をおろそかにしない』はしっかり守ってます!」

 

 

「お、おお……。ならいいんだ。うん。でも、お母さんに戻るよう言われたら、ちゃんと戻るんだぞ?」

 

 

「わかってます。でも、母さんもショウマさんのことはわかってくれていますし、多少の融通は利きますよ」

 

 

 成瀬家に乗り込んだショウマは兄弟の仲直りを見届けたあと、リアルに戻ってきたショウマは、セレジュの母に事の顛末を話すことになった。

 

 

 セレジュの母は最初こそ困惑していたが、兄弟の仲を取り持ってくれたとわかるとショウマをいたく気に入り、ショウマにGBNでのセレジュの保護者を任せたのだ。

 

 

「家族公認ですから、いつでもまた家に来てくださいね? 夕飯とか、ご馳走しますよ」

 

 

「はは、そいつは助かる。俺、一人暮らしだし」

 

 

 曖昧に笑ったショウマは、(家まで行ったのが運の尽きだったな……)と自らをなじった。

 

 

 と、二人の近くに立っていた大きな柱時計から、時報のベルが鳴った。

 

 

「あ、そろそろ時間ですね」

 

 

「とうとう来たか、この時が……」

 

 

 ショウマは憂鬱そうにうなだれる。何を隠そう、今日はユーコの取材を改めて受ける日なのだ。

 

 

「集合場所はここのはずですけど、来ませんね。ユーコさん」

 

 

「どうせ前の取材が押してんだろ。いっそ来てくれないならそれはそれでありなんだが……」

 

 

 背もたれに身体を預けたショウマは、上下が逆さまになった視界でその願いが儚く散るのを目の当たりにした。

 

 

「来ちゃったか……」

 

 

「会うなり嫌そうな顔すんの、やめてもらえないかしら」

 

 

 金色の髪を揺らしてショウマの前に立ったユーコは、三白眼でぼやいた。

 

 

「ユーコさん、こんにちは」

 

 

「やっほーセレジュ君。本当にこいつと一緒なのね」

 

 

 セレジュの隣に座ったユーコに、姿勢を戻したショウマが心底やる気がない目を向ける。

 

 

「んで、何が聞きたいんだ? さっさと始めようぜ」

 

 

「はやく終わらせたいっていうのがビンビンに伝わってくるわ。ちょっと待ちなさい。準備があるんだから」

 

 

 ユーコはテーブルに手のひら大の初代《ガンダム》の頭部を置いた。

 

 

「え、なんですか、これ?」

 

 

「ボイスレコーダーよ。ほら、ここを押すと……」

 

 

 ユーコの指が《ガンダム》の左の側頭部を押すと、右の側頭部からマイクがせり出てきた。

 

 

「わあ、すごい!」

 

 

「またマイナーなもんを……」

 

 

 興味津々なセレジュに対し、ショウマはこんなアイテムを実装するGBN運営の手広さに舌を巻く。

 

 

「それじゃあ、はじめましょうか。話題のヘルパー、ショウマへの独占インタビュー!」

 

 

 ユーコの声を合図に録音を開始した《ガンダム》の目が光り、インタビューが始まった。

 

 

 ▼▼▼

 

 

「……とまあ、そんなわけで俺はこれからもGBNを陰ながら支えていくよ。どうだ? これで満足か?」

 

 

 インタビュー開始から一時間。やりきった顔でショウマはユーコに問いかけた。

 

 

「そうね。こっちが用意した質問は今ので終わりよ。どうもありがとう」

 

 

 ボイスレコーダーを切ったユーコは、ふう、と肩の力を抜いた。

 

 

「意外でした。ショウマさんが初心者狩りに遭ってたなんて」

 

 

 一部始終を見守っていたセレジュも、ずっと言いたかった言葉をようやく口にできた。  

 

 

「俺だって最初は初心者だ。駆け出しの頃はろくに戦えもしなかったさ」

 

 

「で、通りすがりのダイバーに助けてもらって、それに憧れてヘルパーを始めた、と。割と普通な理由だったわねぇー」

 

 

「何を期待してたんだよ……」

 

 

「私としてはもっとこう『実はGBN運営の関係者だった!』とかが欲しかったんだけど」

 

 

「そんなわけないだろ」

 

 

 質問リストを表示するディスプレイを流し見するユーコに、ショウマは呆れ顔を作る。

 

 

「鉄血系の機体を使ってるのもビームに強いからって理由なんでしょ? そこも普通っていうか、つまんなかったわ」

 

 

「なんだなんだ、さっきから。せっかく答えてやったのに文句ばかりで。どうせ俺はキョウヤみたいなGBNへの熱い思い入れは語れねぇよ。ふん!」

 

 

「あ、ショウマさんが拗ねちゃいました」

 

 

「ふふふ。あの記事、読んでくれてたのね。ありがと」

 

 

「もういいよな? これでお前との関係も清算だ」

 

 

「ああ、待って待って!」

 

 

 ショウマが椅子から立とうとすると、ユーコは身を乗り出してそれを引き留めた。

 

 

「な、なんだよ。まだ何かあるのか?」

 

 

「写真の方が足りないの。あなたが《クインス》を動かしてヘルパー活動をしている写真が欲しいのよ」

 

 

「は? それならこの間の限定ミッションのがあるだろ?」

 

 

「いやあ、それがね、限定ミッションの時の写真、ブレイクデカールに注意をよびかける特集記事に使うことになって。全部のデータが編集部に持ってかれちゃったのよ。だからまた撮らないといけないの」

 

 

「ええ……」

 

 

「だから次のヘルパーの依頼があったら是非同行させてほしいなぁ~、なんて。ある? このあとすぐとかにあったりするっ?」

 

 

 ぐいぐいと詰め寄ってくるユーコに辟易しつつ、ショウマは頭の中で今日の依頼スケジュールを思い出した。

 

 

「あるにはあるけど……。依頼人の許可も取れよ?」

 

 

「やった! あるのね! 大丈夫よ、こちとら天下のGBジャーナルなんだから! 断ってきたらセンテンスサテライトキャノンよ!」

 

 

「お前、本当にジャーナリストとしてどうなんだ……?」

 

 

「あ、あはは……」

 

 

「さ、そうと決まれば行きましょう!」

 

 

 ショウマを引っ張りながら、行先を知らないはずのユーコが一番張り切ってエリアゲートへと向かっていく。

 

 

「お、おいおい、引っ張るなよ……!」

 

 

「ま、待ってください! 僕も行きますから!」

 

 

 二人を追いかけて走るセレジュは、自分たちの状況を俯瞰して、小さく笑った。

 

 

「なんだか今の僕たち、本物のフォースみたいだなぁ」




マイナーなようで意外と知られているガンダムのマイク、アッザムに焼かれてたときの音声くらいには有名な気がします。

次回は三人がヘルパーの依頼に向かいます。どんな依頼内容なんでしょうね。

不定期更新です。そのうち更新します。

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