ガンダムビルドダイバーズRe:Birth   作:ドラーグEX

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ノリと勢いの第2話です。


第2話 魂を失くした少女

 夕日に染め上げられる街を走る一台のバイク。ハンドルを握っているのはショウマだ。

 

 

 最近になって開発が始まった沿岸都市に住むショウマは、これから向かう場所に行く際は必ずこの道を通る。

 

 

 赤信号でバイクを停め、ヘルメットのバイザー越しに工事現場を見やる。一際目立つ位置に、その内側に立つものを隠すようにしてシートが張られていた。

 

 

「……実物大のエールストライクか。もうできてるのかな」

 

 

 なんとはなしに呟くと、信号が青に変わった。

 

 

 やがてショウマは目的地である凰修大学附属病院に到着した。

 

 

 いつも利用している関係者用の駐車場にバイクを停めて、建物に入ると、顔なじみの看護師が受付に立っていた。

 

 

「あら、柊くん。こんにちは」

 

 

「どうも。先生は?」

 

 

「いつもの所にいると思うわ」

 

 

 短くも充分なやりとりを終え、ショウマは病院内の一室へと足を運ぶ。

 

 

 資料保管室という札が掲げられたそこが、これから会う人物の根城だ。

 

 

「失礼します」

 

 

 扉を開けると、椅子に腰かけ、こちらに背を向ける一人の若い男がいた。

 

 

「麻玖木先生」

 

 

 呼びかけると、その男は振り返ってショウマに微笑んだ。

 

 

「やあ、ショウマくん。そろそろ来ると思っていたよ」

 

 

 麻玖木(マクギ)ハルト。

 

 

 この病院に勤務する脳外科医で、その容姿も相まって病院内の女性たちからの評判も高い。

 

 

 そして、ある取引をしてショウマの人生を変えた男だ。

 

 

「これ、今週分の活動記録です」

 

 

「ありがとう。いつも助かるよ」

 

 

 ショウマから受け取ったUSBメモリーを机の上のパソコンに挿し、麻玖木はデータの閲覧を始める。

 

 

「彼女の調子はどうだい」

 

 

「特に問題はないです。働き過ぎじゃないかって、俺の方が心配されました」

 

 

「フッ、惚気話だな。しかし、本当に今週の分は多いな。いつもの倍はある」

 

 

 ショウマが渡したUSBには、《ヘルパー》としての彼の活動記録が、曜日ごとに分類されて入っていた。

 

 

「これは、近々開催される期間限定ミッションの参加条件が、Cランク以上のダイバーであることも関係しているのかな?」

 

 

「かもですね。今週はほとんどが昇級絡みの依頼でした。みんなそんなにやりたいんでしょうか。10機の《ディビニダド》攻略戦」

 

 

「あの場面はインパクトがある。それに、撃墜報酬も欲しいのだろうさ」

 

 

 二人の会話はGBNに関するもの。麻玖木もGBNのダイバーの一人であった。

 

 

「先生も出るんですか? もしかしてついに先生のガンプラが見れるとか⁉」

 

 

 ショウマの声が弾む。ショウマはまだ麻玖木のガンプラを見たことがなかったのだ。

 

 

 しかし、麻玖木は眉を下げて苦笑した。

 

 

「生憎、イベント期間中は仕事が立て込んでしまってね。すまないが、今回は不参加とさせてもらうよ」

 

 

「なんだ、残念。先生のガンプラ、カリンも楽しみにしてるのに」

 

 

「そうか。……さて、記録の確認は後でもできる。彼女に会っていくかい?」

 

 

 その言葉に、ショウマの表情が一変して陰る。

 

 

「……はい。会わせてください」

 

 

 二人は部屋を出て、ある病室へ足を運んだ。

 

 

 麻玖木によって確保されているこの病室には、一人の少女が眠っている。

 

 

「カリン……」

 

 

 ベッドの上の表札に記された名前は、淡倉(アワクラ)花梨(カリン)

 

 

「バイタルに問題はない。脈拍も脳波も正常値だ。ただ、植物状態が依然として続いている」

 

 

「そうですか……」

 

 

 事実を述べる若い医者の声に、ショウマは目を伏せる。

 

 

「すまない。私も出来る限りのことはしているつもりだが……」

 

 

「やめてください! 先生には俺もカリンもずっと世話になりっぱなしです! 先生がいなかったら、カリンは……。だから、先生は悪くありません!」

 

 

「そう言ってくれると、いくらか気持ちが軽くなるよ」

 

 

「俺、頑張りますから。GBNでカリンと一緒に《クインス》をもっと動かして、データを取って。だから、こっちのカリンのこと、よろしくお願いします!」

 

 

「ああ。全力を尽くすよ」

 

 

 そしてショウマは短い滞在を終え、帰路についた。

 

 

 病院の廊下からそれを見送った麻玖木は、ショウマの乗るバイクが角を曲がって見えなくなると、その視線を遠くに投げた。

 

 

「……柊翔真、淡倉花梨。君たちは私の希望だよ」




GBFがラルさん、GBDがコーラサワーなら、うちの作品はマクギリスです。

そのうち更新します。
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