ガンダムビルドダイバーズRe:Birth   作:ドラーグEX

6 / 21
1000UA突破記念で更新です。


第6話 《神》待つ宇宙へ

「驚いた。まさかこんな近くに依頼主がいたとは」

 

 

 病院の外。駐車場付近のベンチに腰掛ける少年に、麻玖木と別れたショウマが話しかける。

 

 

「はい。僕も驚きました。ショウマさん、キャラメイクお上手ですね。そっくりです」

 

 

「お前もなかなかのもんだよ。昨日のこともあって、すぐにわかった。違うのも頭の羽根と服装くらいだし。ほら、オレンジジュース。俺の奢りだ」

 

 

「ありがとうございます。えと、改めて、僕はセレジュ……成瀬(ナルセ)玲十郎(レイジュウロウ)です」

 

 

 飲み物の缶を受け取ったセレジュが本名を名乗り、ショウマもそれに倣うことにした。

 

 

「柊翔真だ。ゲームと同じショウマでいい」

 

 

「じ、じゃあ僕も、セレジュで。その、ショウマさん、昨日はすみませんでした。無理を言って依頼を引き受けてもらって……」

 

 

「もういいって。お前よりあのユーコとかいう記者の方が無理言ってたしな」

 

 

「そ、そうですか。あはは……」

 思い出してげんなりするショウマにセレジュは苦笑した。

 

 

「で、セレジュはなんでこの病院に? 依頼のことと何か関係あるのか?」

 

 

 単刀直入に切り込んだショウマに、セレジュは少し俯く。ショウマはすぐに自分の失言だったと後悔した。

 

 

「あ、いや、話したくないなら、別にいいんだ。俺もそうだし……!」

 

 

 愛想笑いを浮かべて、ショウマは自分用に買った缶コーヒーのプルトップに指をかける。

 

 

「実はここに、僕の兄が入院してるんです」

 

 

 セレジュは、ショウマの向こうに立つ一般病棟に視線を投げた。

 

 

「ガンダムが好きで、ガンプラが好きで、GBNもサービス開始と一緒に始めたんです。だけど……」

 

 

「だけど?」

 

 

 言い淀んだセレジュは、絞り出すように続く言葉を紡いだ。

 

 

「事故で、失くしたんです。利き手を……」

 

 

「な……」

 

 

「それ以来、兄さんは抜け殻のようになってしまって、せっかく早いうちからCランクになったGBNのアカウントも僕に譲って、ガンプラから距離を置くようになったんです」

 

 

「じゃあ、GBNのセレジュは本当はセレジュのお兄さんのアカウントなのか」

 

 

 頷くセレジュの目は、後悔に揺れていた。

 

 

「ギアを兄さんから譲り受けた時、僕は兄さんに言われるがまま、GBNでの兄さんの姿と名前を、僕のものに作り変えました。兄さんの目の前で」

 

 

「そりゃまた、なんで」

 

 

「兄さんは、踏ん切りをつけるためだって言ってました。実際、それからの兄さんはガンプラの話も、GBNの話もしなくなって……。心が離れてしまったんです。あんなに大好きだったガンプラから」

 

 

 セレジュは鞄から一冊のノートを取り出し、ショウマに差し出した。

 

 

「兄さんがオリジナルのガンプラを作る時に使っていたアイデアノートです」

 

 

 ショウマがノートを開くと、そこには機体から武器まで、様々なアイデアがイラスト付きで記されていた。

 

 

「すごい情報量だ。本当に好きだったんだな。ガンプラが」

 

 

「はい。……後ろの方、見てみてください」

 

 

 言われて開くと、そこには《Zガンダム》をベースにしたオリジナルガンプラの設計図があった。

 

 

「へえ、面白いコンセプトだな」

 

 

「僕、またあの頃みたいな兄さんに戻って、元気になってほしくて。今度の兄さんの誕生日に、その完成したガンプラをプレゼントしたいんです! でも、そのためにはパーツ成型のためのBCが足りなくて……」

 

 

「なるほど。それで今度のミッションの撃墜報酬が欲しいわけか。あの額があれば、パーツどころか、ちょっとしたフォースネストも買える」

 

 

「それに、僕、あまりバトルが得意じゃなくて……。いろいろ練習はしてるんですが……。だから、ショウマさんにお手伝いしてほしくて」

 

 

「そういうことか……よし!」

 

 

 ショウマは音を立ててノートを閉じると、勢いよく立ち上がり、セレジュの前に立った。

 

 

「要はお前に《ディビニダド》を一機でも倒させればいいんだろ? 俺に任せろ。ヘルパーのプライドにかけて、お前を援護するぜ」

 

 

 その言葉を聞いて、セレジュの顔に笑顔が咲く。

 

 

「ありがとうございます! よろしくお願いします!」

 

 

「ただし!」

 

 

「へっ?」

 

 

「俺はあくまで援護だ。トドメは必ず、お前が撃て」

 

 

「……! はい!」

 

 

ショウマが突き出した拳に、セレジュも自分の拳を合わせた。

 

 

▼▼▼

 

 そして、ミッション開催当日。

 

 

 限定ミッション専用のエントランスの先には、クロスボーン・バンガードの旗艦《マザー・バンガード》のモビルスーツデッキを模した待機エリアが広がっている。

 

 

そこでは今回のミッションに参加するダイバーたちがミッションの開始を今か今かと待ち続けていた。

 

 

「ごめーん! お待たせ!」

 

 

「ユーコさん、こっちです!」

 

 

「遅くないか? 一応の依頼主だろ。もう始まるぞ」

 

 

 先に待機エリアに入っていたセレジュとショウマに、ユーコが金色の髪を揺らしながら駆けてくる。

 

 

「社会人なめないでよ。取材相手はあなただけじゃないんだから」

 

 

「そりゃ悪かった。というか、あんたも出るんだな。てっきりギャラリーにでもいるのかと」

 

 

「密着取材って言ったでしょ? 足手まといにはならないから、安心して」

 

 

「ユーコさんのガンプラって、どんなのなんですか?」

 

 

「ふっふっふ、それは見てのお楽しみよ」

 

 

 そこに、ミッションの開始1分前を告げるチャイムが鳴り、ショウマ達の周囲からもダイバーたちが次々と姿を消し始めた。この音を合図に、ダイバーたちは自分のガンプラに搭乗し、出撃に備えるのだ。

 

 

「俺たちも行くか」

 

 

「はい!」

 

 

「オッケー!」

 

 

 ディスプレイを操作し、ショウマはセレジュやユーコと同じようにガンプラに搭乗する。

 

 

『あ、来た来た』

 

 

 ショウマがコクピットに入ると、《クインス》の声が響いた。

 

 

「さあ、今回はいつも以上に張り切っていくぞ」

 

 

『うん! セレジュ君の事情がショウマ好みだもんね! 私も頑張っちゃう!』

 

 

 クインスの正面、閉じられていたハッチが開いて光が差し込む。ショウマは操縦桿を握りしめ、ミッション開始10秒前のカウントダウンで大きく息を吸った。

 

 

「ショウマ! 《キマリスクインス》、いきます!」

 

 

 カタパルトが駆動し、悪魔の名を持つ白い機体が発進する。




次回はいよいよ戦闘回。

不定期更新です。

感想来たら意外と早い更新があったりするかもしれない。

来なくてもいいことがあったら更新するかもしれない。

お楽しみに。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。