マギアレコードRTA ワルプルギスの夜単独討伐チャート   作:アイス@210

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他人視点が難しすぎたので初投稿です
*間違えて執筆中のものをあげてしまったので急いで修正します


chapter3.5 sweet&strange

 

 

 

 あの日あたしは"本当の"過去の清算をしようとしていた…

 

 

 

 

 

 あたしは顔つきのこともあって望んでもいないのに面倒な輩に絡まれることが多かった…関わり合いにもなりたくなかったガラの悪い連中に…

 

 

 

 

 いいようにやられるのは御免だからいつもやり返してやった。

 

 結果…毎日のように喧嘩

 

 そのことについては諦めている『この顔じゃなかったら…』と思うけれど所詮はたらればの話だ…

 

 だから、自身の身に起きたことならいい

 

 それは諦めもつく

 

 しかし…周囲の人間を巻き込むことは絶対に許せない

 

 なのに…

 

 

 

 あの日あたしは巻き込んでしまった

 

 先日、お決まりのように『目つきが悪い』と言って因縁を吹っ掛けてきた男がいた。そいつを追い払ったまでは良かったのだが、それで諦めると思ったあたしの詰めが甘かった。

 

 その男は面子を潰されただなんだで執拗にあたしをつけ狙った

 

 

 

 その結果学校の中で唯一あたしと付き合ってくれる後輩を人質にとられてしまった

 

 

 どうしようもなかった。助けなんて呼べなかった。

 

 

 いやそもそも助けを呼ぶ相手なんて…

 

 

 

 

 

どうしようもなかった。もうダメだ。と思った時聞こえるはずのない声が聞こえた。

 

 そしてキュウべえと名乗る謎の生き物が現れた

 

 魔法少女になる代わりとして何でも願いを叶えてくれるという…

 

 

 あたしは藁にも縋る思いでキュウべえの申し出を受け入れた

 

 願ったのは、目の前のクズが所属している組織を即座に根こそぎ潰すこと

 

 

すると…

 

 

 

 ついさっきまで喚いていた男も人質に取られた後輩も消えていた…

 

 

 いや、あたしが立ち会っていてた状況そのものが無くなっていた

 

 

 

 ひとまずこの場はどうにか解決できた

 しかし、根本的な解決には至らなかった

 

 

 後輩を拉致したクソ野郎はこの世からいなくなったわけではない

 結局、別の組織に所属して悪事を重ねている

 

 

 熟慮する時間がなかったとはいえ願いについては今も悔やまれる…

 

 

 

とにかく、あたしは男のことを知り行方を追って大東区へ向かった

 

 

 しかし、そこでも別の出会いがあった…

 

 

 男の転がり込んでいる住居を探している時に『和泉十七夜』という魔法少女に出会った

 

 けどそいつはいきなり襲いかかってきた

 テリトリーを侵したと見られたらしくあたしを攻め立てる手は止まることを知らなかった。

 

 

 私は誤解を解きたかった

 何よりも男を追いたかった

 

 

 

 しかし、そのために及び腰となりあたしは逃げながら戦うことに…

 

 

 

 「いい加減、やめろ…!誤解だ。」

 

 

 「それをどうやって証明する?」

 

 確かにこいつから見ればあたしはただの侵入者だ…

 けど、だからって執拗に攻撃する必要があるのか?

 

 「確かな事実は貴様が境界を越えたということだ。」

 

 

 「知らなかったんだ、そのつもりはなかった。」

 

 

 「どうだか…」

 

 あたしは本当に知らないんだ。だいたい魔法少女になったばかりで知ってることの方が少ないっていうのに…

 

 「…いい加減に…!」

 

 そう言って再びぶつかり合おうとした瞬間…

 

 

 「そこまでだ!!」

 

 和泉十七夜とあたしの間に誰かが割り込んだ。

 

 「なんだ貴様!」

 

 

「えっ?私?そうだなぁ…君、何だと思う?」

 

 

 「…え…あたし…?」

 

 

 「そうそう君君」

 

 

 いきなりやってきた謎の人物にあたしはとても困惑した。

 

 

 「いきなり走り出したと思ったら…どういう状況なのかしら、これ。」

 

 「ただの痴話喧嘩…ではなさそうですね。」

 

 状況の変化が目まぐるしい。後からやってきた青髪の人と最初に割って入ってきた緑髪の人が言い合いをしている。

 

 

 「はあ…ややこしくなるから、向こうに行ってて。」

 「ハイハイ、仰せのままに。」

 

 

 言い合いも終わったところで、ようやくあたしの方に目が向いた。

どうやら青髪の人は『七海やちよ』、白髪の人は『梓みふゆ』というらしい

2人はまず和泉十七夜に状況説明を求めたのだが…

 

 緑髪の人がずっと話しかけてきた。あたしとしては話に集中したかったのだが…結局あたしに説明を求められるまで話しかけてきた。

 

 そして事情を説明すると…

 

 そいつは涙をながしていた。あまりにも泣くものだからこんな涙脆い奴がいるのかと思った矢先に…

 

「それに…見てこの子の顔!」

 

 

 背筋が凍った…またこの顔のせいで…疑われるのかとそう思った。

 

 

 けどそいつはあたしの予想の斜め上の言葉を投げかけた

 

 

 

 「とっても優しそう!」

そう言われた

初めてだったこの顔を見て目つきが悪いと言われなかったのは…

そいつに投げかけられた言葉について思考を巡らせているといつのまにか話し合いが終わって解散することになっていた

 

 

 けど問題が解決した安心感からか、疲れからかあたしは意識を手放してしまった…

 

 

 

 

 気がつくと…

 

 

 

 目の前に緑髪が…

 

 「あっ…起きた!」

 

 「うわっ!?」

 

 

 驚いた拍子にぶつかってしまった。すごく痛かったはずなのだが、自分の今いる場所や、何故こうなっているのか、目の前になぜ人がいたのかなどわからないことが多すぎてパニックに陥ってしまった。

 

 その後なんとか落ち着きを取り戻しやちよから説明を受けた。気絶していたので家に運び込んだこと、家に運び込んだ際にあたしのことをやちよのおばあさんには家出をしてきた知り合いと説明したこと…

 

それを取り繕うのも大変だった…元々人と話すのは得意ではない上嘘の理由に対して矢継ぎ早の質問

最初はほぼ何も答えられなかったが…どうにか誤魔化すことができた

 

そして…驚いたことがある

こんな時、あたしは大抵顔が強張る

そうやってまた人に怖がられたりしていた

 

ところが、あたしは気が付いた…

 

 

 

この人の優しい笑顔を見ていると自然と頬が緩んでいることに…

 

 

 

 

 

何故なのか考えたけど、答えは出なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その次の日…あたしはやちよの家の周辺をウロついていた。

 

 理由はたぶん…おばあさんに会いたい…からだと思う

 

 おばあさんと話している時は不思議と気持ちが穏やかになる

 あたしが大きく年の離れた人とあまり話したことがないからそれが新鮮だったのだろうか…?

 

…いや、おそらくそうではないだろう

おばあさんの人柄があたしの心を自然と穏やかにしてくれるのだと思う

だから、また会いたい…

でも…

 

 そうやってウロウロしていると…

 

 

 「ねえ君こんなところで何やってるの?」

 

……この前頭をぶつけたやつが話しかけてきた。気まずいので逃げようとしたのだが…そのまま取り押さえられて家に連れ込まれてしまった。

 

 

 家にはおばあさんがいてあたしは目一杯話し込んだ。話していると心が穏やかに…穏やかになっていった。会いに来てよかった…そう思えたから連れ込まれたことにも感謝しようと思った。あのままだったらずっと勇気を出せずここに来ることができなかったかもしれない。

 

 そうやって穏やかな時間を過ごしていると…

 

 「そういえば、あなた達って同じ学校に通っているんじゃない?ほら制服も同じみたいだし。」

 と七海やちよが言い出した。

 

 確かに言われるまで気がつかなかった。あたし達は栄総合の制服を着ていた。それを聞いてあいつは…

 

 「ホントだ!やったー!同学校魔法少女友達ってことだよね?そういうことは早く言ってよね。そうと決まれば…ねぇ明日から一緒に登校しない?はいこれ連絡先。今度から電話しまくるから覚悟してよね!」

 

 「それは迷惑だからやめなさい」

 

 矢継ぎ早に言葉を投げかけて最後はやちよにチョップされた。

この時からだろうか、やちよ達と深く繋がっていくことになったのは…

 

 

 

 

 

 

 後日駅前に集合して学校に行くことになった。これまで誰かと待ち合わせをすることなんてなかった。だから…ほんの少し楽しみで寝付けなかった。

 

 

 当日時間ギリギリになって駅前に着いた。時間を過ぎても来ないから心配になってきたころにやってきた。

 

 「遅れてごめん!何でもするので許してください!」

 

 どうやら電車を1つ逃したようだ。あたしも時間ギリギリだったのでおあいこだと言ったのだが、これがなかなか引いてくれない。

 

 結局放課後に好きなものを奢るという約束を取り付けられてしまった。距離感が掴めずしどろもどろしている時だった…

 

 

 「おいそこのお前!なんだその目は?喧嘩うってんのか?」

 

 

 関わりたくもないやつが来てしまった。目つきが気に入らなくて突っかかってくるやつはよくいた…来て欲しくなかった。とりあえず巻き込まないように何とかしようと思考を巡らせようとした時…

 

 (かなえ…目を閉じて…耳を塞いで。)

 

 (…いきなりどうした?…)

 

 (いいから私がいいって言うまで…お願い)

 

 (…ん…わかった…)

 

 言われた通りに目を閉じて、耳を塞いだ。

 そして合図があったので目を開けると…

 

 

 

 

 男は消えていた。何があったのか聞いてみても、どこかに行ったとしか言わなかった。

 学校のこともあるから…

 

 

 ほんの少しだけ見えたあいつの目つきについて聞くのはやめた。

 

 

 その後は何事もなく学校に着き、それぞれの教室に向かっていった。放課後になるまでの間いつもの冷たい生活が待っている…そう思っていたのだが

 

 あいつは休み時間毎にも、昼食の時もあたしの所にやってきた。これが次の日もまた次の日も続いた。あたしに関わると変な目で見られるので、人前で話しかけるのはやめておいた方がいいと釘を刺しておいたのだが……。いやそもそも、何故毎回あたしの所に来るのか?もしかすると無理にあたしに付き合おうとしているのではないか。と、気になって本人に聞いてみたのだが…

 

 

 「え?そんなことないよ。かなえと話すのが楽しくて私が勝手に来てるだけなんだけど…迷惑だった?」

 

 

 なんて言ってきた。迷惑をかけているのはあたしの方なんだが…なんてことも言えずにずるずるといつもとは違ってちょっぴり甘い……そんな時間が過ぎた

 

 

 

 

 

 

 

 そんなある日やちよおばあさんと話している時だった

十七夜との戦いでやちよの家に運び込まれた時、やちよが「家出してきた」と説明した。そのことをまだ心配してくれている。ただ…これはあながち間違っていない。あたしは確かに家族との折り合いが悪い…

 

 気がつくとあたしはおばあさんに自分のことを話していた…

 

 自分の顔のこと…

 そのせいで絡まれること…

 そしてすぐに喧嘩になること…

 

 無かったことになったとはいえ後輩にもそのせいで迷惑をかけた…そしてあいつにも

 自分は近くにいていい人間ではない…

 受入れてくれる人がいるとはいえ…そう思えて仕方がないのだ

 

 この場はいつの間にかあたしの懺悔の場となっていた…

 

 

 「…そうかい……」

 

 「…うん…」

 

 「…だったら、さっきの自分の顔忘れないようにしないとね。」

 

 「…え?」

 

 「ピリピリした顔をするのはおよしなさいよ。そうするとね、そういう人を引き寄せちゃうの。あなたは可愛らしい顔をしてるわ。だから不要に強張らせないで。」

 

 「…そ、そんな…あたしなんて…」

 

 「卑下するのもおよしなさい。」

 

 「…………」

 

 「あなたは純粋でいい子よ。そのことを素直に出しなさい。歪な型に自分をはめ込まないで思うように生きなさい。」

 

 「………うん……」

 

 あたしはいつの間に泣いていた

 

 この時を境にあたしやちよたちや学校の皆と今まで以上に気兼ねなく付き合うようになり、おばあさんと過ごす時間が何よりも大切なものとなっていた

 

 

 皆と過ごしていく中で自分がどうありたいのかを考えるようになった。その過程で、あたしはあることを自分でやってみたいと思うようになった…

 

 

 それは「音楽」だった

 

 

 自分を素直に出すこと…その想いが音楽という表現手段と結びついたのかもしれない…でも、それは後付けの理由。きっかけはシンプルに『突き動かされたから』歪な型にはめず、素直に自分を…そう思ってたら辿り着いた…

 

 

 「かなえー?何してるの?」

 

 自分を素直に出せたのはこいつのおかげでもあるかもしれない。いつもあたしの側で変なことをやっているまっすぐな姿を見ていると自分をもっと出してもいいんじゃないか、と思えるようになって…

 

 「えいっ!なるほど〜こういうのが好みなんだ?」

 

 「……うん……」

 

 「音楽に興味…あるの?」

 

 「…部活に…入ろうと思ってる…」

 

 「…いいと思う。私応援するから、頑張ってね。」

 こうやっていつもあたしの側にいてくれて、あたしに勇気をくれる。そのかけてくれた言葉や与えてくれた勇気を胸にあたしは一歩踏み出した…

 

 

 

 

 部活に入部したことはやちよたちに報告した。

 皆自分のことのように喜んでくれた。

 

 「で、どんな音楽をやるんですか?」

 

 「…ロック…」

 

 「なんというか…ストレートですね!」

 

 「いいじゃないストレートで」

 

 「そうそう。かなえには王道を行くロックが似合ってるよ!」

 

 「…ですね!」

 

 「うん…!」

 

 「…それで…あの…」

 

 「ん?どうしたの?」

 

 

 「………ありがとう」

 

 「…あら?私、別に何もしてないわよ?」

 

 「私も何もしてなーい」

 

 「…まー、そうですね!」

 

 「さっきも言ったでしょ。自分で自分の道を見つけたんだよ」

 

 「…うん…それでも…ありがとう…!」

 

 この家で過ごす時間はあたしの心を優しく包み込んでくれる

 学校で過ごす時間もまた穏やかな時間に変化していった

 今まで生きてきてこれほど充実していた時間はなかった

 

 

 けれど…充実していた時間は長くは続かなかった…

 

 それは、ある日のこと…

 

 バンドメンバーとリハーサルスタジオで別れた後ににそれは起こった…

 ギターの音が良くなったといわれてもっと頑張ろうと思った時に…

 みふゆたちと出会った。

 どうやら魔力の痕跡を追っていたらたまたまここに着いたらしい…

 言われてからあたしも気付いた。反応がすぐ近くにあった。そう思った瞬間に…叫び声がした。聴き覚えのある声だった…

 

「うわっ!い、今…人がさらわれてましたよ!」

 

 「今のって…まさか!」

 

 そう言ってあいつが走り出した。すごい速さで走っている。陸上選手もビックリするくらい…というか車に追いつきそうだったのだが…

 

 

 

 

 …ずっこけた

 心配だから駆け寄ったが、

 

 「今の……かなえの部活仲間でしょ?早く追いかけないと…」

 

 まただ…またあたしのせいで…

 

 「かなえ……今自分のせいで迷惑かけたって思ってるでしょ…」

 

 「…えっ?…それは…まあ…」

 

 「それ…違うから。あの子たちがさらわれたのは…かなえのせいでもなんでもない。悪いのはさらったやつなんだから、かなえはもっと私たちに助けを求めていいんだよ。」

 

 「…いいのか?…」

 

 「そりゃあもちろん!」

 

 「…2人の力を貸してほしい…貸してくれ!…」

 

 「言われるまでもありませんね。」

 

 「よしきた!とりあえず車種とナンバーは覚えておいたけど…たぶん必要ないね。向こうにいくのは見えたし…よし!行こっか」

 

 「「うん。」」

 

 

 

 こうして3人で魔力を追って辿り着いたのは…

 

 

 あたしが魔法少女として契約した場所…例の男と対峙した場所…自分だけが知っているあの場所だった。

 

 

 あの時男がいた所までやってくると…さらわれた2人がそこにはいた。どうやら2人とも無事なようで一安心した…直後だった

 

 「うわっ!何この人?」

 

 そこにいたのは…あたしが追っていた男だった。そうわかると自然と体が動いた。とりあえず蹴りを一発喰らわせておいた。

 

 「側頭部ハイキック〜!一撃K.O.ですね!」

 

 「うわぁ…すごいよ。きれいに3回転したよ。大丈夫?この人……?」

 

 

 (ふたりとも見て…この人の首元)

 促されるまま見てみると…そいつの首元には魔女の口づけがあった…

 

 (ということは…この一件は…

 

 

  魔女絡み…!)))

 

 

 みふゆたちが追っていた魔力の大元こそが今回の件の主謀者だったわけだ…

 

 とりあえずその場は警察に連絡して収拾をつけることにした。そうでもしないとふたりにも、世間的にも説明がつかないからだ。あたしが追っていた男たちついても前回の件と今回の件で警察に突き出すことができて都合がよかった。そして魔女を追うためにやちよを呼ぶことを提案したのだが…

 

 

 一連の騒動の事情聴取を終えた後にみふゆは言った。

 

 

 

 

 やちよのおばあさんが入院した…と

 胸が苦しくなって自分で救急車を呼んだとのことだが…その時やちよは病院から連絡を受けて大急ぎで向かったらしい。

 

 

 これまで感じたことのない不安と恐怖に襲われた。もしかすると…おばあさんとはもう語り合うことができないのではないか。もうあの優しさ、温かさに触れることが叶わないのではないか…できることなら今すぐ向かいたい

 

 みふゆも病院へ行くことを提案してくれていた。けれど気が付いた…

病院に行ってあたしは何をするのか?行ったところで何ができるのか?自分にできることなんて何もないだろう。それよりも今追うことのできる魔女を追わなければきっと後悔することになるだろう…そう考えていると

 

 

 「うーん…よし!ふたりとも病院に行っておいで、魔女の方は私がなんとかするから。」

 

 そう言ってきた。あたしもみふゆも当然反対した。危険だからだ。もし何かあったら…

 

 「考えてもみなよ。魔女を倒すのは魔法少女の役目。でも、おばあちゃんの傍にいて安心させるのはやちよとふたりの役目。ならあとは簡単私が魔女を追って、ふたりはやちよと一緒におばあちゃんの側にいてあげる。はい。役割分担完了。」

 

 「待ってください!それならワタシにもかなえさんにも魔女を追う役目があるはずです。」

 

 「…かなえはどうしたい?」

 

 「…えっ?…」

 

 「自分の心に聞いてみて。」

 

 あたしの心に…

 

 

 

 (あなたは純粋でいい子よ。そのことを素直に出しなさい。)

 

 

 

 (歪な型に自分をはめ込まないで思うように生きなさい)

 

 

 

 

 直感を信じて…自分の心に…素直に…

 

 

 「かなえさん?」

 

 

 「…………おばあちゃんの傍にいたい。あの笑顔をもう一度…いや…まだ見ていたい………」

 

 自分の心に素直になった。少しでも状況が違えば必ずこの選択をしただろう。きっとそうだ。そうなんだ…

 

 

 「よし!決まり!というわけでみふゆ、病院に案内してあげてねー!」

 

 

 「あっ!?待ってください!…かなえさん?いいんですか?このままだと本当に…」

 

 

 「…わからないんだ…どうしたらいいか…」

 

 嘘偽りなく自分の心に従いたい…けれど今あたしはおばあさんの元に向かいたい思いとあいつをひとりにさせたくない思い、どちらを捨てることもできなかった。どちらも大切だけど、どちらか選ばなければならない。こういう時どうすればいい…こんなことは今まで一度だってなかった。そうやって熟考していると…

 

 

 「ふたりとも…こんなところで何をやっているの?」

 

 やちよが現れた。おばあさんの容態は安定し、医者の話では大丈夫とのことで…魔力の痕跡を追ってここまでやってきたようだ。

 

 やちよにはひと通り今までの出来事を説明した。

 

 「…なるほどね。だったら魔力を追うよりももっと簡単な方法があるわ」

 やちよはおもむろに携帯を取り出した。

 

 「やちよ…。あいつは電話なんかに出るとは思えないぞ…」

 

 「違うわ。あの子の携帯のGPSに現在地を教えてもらうの。」

 

 「…なんでそんなに準備がいいんだ…」

 

 「だってあの子勝手にどこかに行ったりで大変だもの。」

 

 「…なるほど」

 

 「さすがですね!」

 

 

 

 「今動きが止まった、反応も…消えたってことはここね。急ぎましょう。」

 

 「「うん(はい)!」」

 

 あたしたちは足早にその位置に向かった。

 

 

 

 

 

 

 あたしたちがついた頃にちょうどあいつも目の前に現れた。魔女倒してしまったのだろう。

 

 「はー。疲れたー。さすがにひとりは堪えるなあ。」

 

 「あら。ずいぶんとお疲れみたいねおバカさん。」

 

 「げぇっ!や、や、やちよ!なんでこんなところに…ていうかかなえもみふゆもなんで…おばあちゃんはどうしたのさ!?」

 

 「それなら安心して、容態は安定したわ。お医者さんのお墨付きよ」

 

 「へ…へぇーそうなんだ。なら安心だね。はーよかったー。ならさっそく病院へ…「フンッ!」いたぁ!何すんのさぁ!」

 

 「少しは反省しなさい。今回は一人で問題なく倒せたかもしれないけど、次もうまくいくとは限らないのよ。」

 

 「ハーイ。ゴメンなさーい。反省してまーす。」

 

 「…はあ。もういいわ。今回は許すけど、次勝手な真似したら…もっと痛いのが待ってるから覚悟しなさい。」

 

 やちよが怒るなんて珍しいと感じものの、自分がやちよの立場ならたぶんそのくらい怒るだろうからあまり人のことを言えたものではなかった。

 

 

 

 

 

 その後病院に急いで向かった

 

 おばあさんは無事に目覚めた。

とにかく無事でよかった。これでまたおばあさんと話すことができる。安心したからかあたしの瞳は涙で溢れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

〔栄総合学園屋上〕

 

 あたしはいつも通りあいつと食事をしていた…

 

 

(そういえば…)

 

 

 「…なあ…ずっと聞きたかったんだけど…」

 

 「ん?どうしたの?」

 

 「…名前…聞いてなかったなと思って…」

 

 「あれ?言ってなかった?」

 

 「…うん…初めて会った時はやちよとみふゆしか名前…言わなかった」

 

 「あー。そうだった気もするなー。いつも〇〇〇って呼んでくれるから自己紹介したつもりでいた!」

 

 「…教えてくれないか?…色々。」

 

 「よし!じゃあ改めまして私の名前はーーーー

 

 

 よろしくね!」

 

 彼女はその綺麗な緑髪をなびかせてそう言ったーー

 

 

 

 

 

 

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