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「世の中不条理と理不尽ばかりだが、一握りの幸せを味わえられれば、それで良いのさ。」
これが俺の教訓だった。全力出してるのに届かなくて、努力なんて報われない。そんな理不尽な世の中でも、大切な人が出来て…自分の中で楽しみが出来て…ある意味充実していたのかもしれない。
でも、そんな世の中にも、突然に別れというのはやってくるもので…。
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「ふぅ…もうすぐだな。ここから引っ越すのも。」
春なのに少し肌寒さを感じる3月の中ごろ、俺は道端を歩いていく。確かに寒さは感じるが、元々寒いところの出なのでそこまでではなかった。
それでも、周りが寒そうにするからあわせて俺もコートを着ているが。
そして、3月といえば…別れの季節。
専門学校を無事卒業し、就職先にも恵まれ、とうとう実家に引っ越すのも時間の問題だった。で、今は…
「大丈夫かな、待ち合わせには間に合うだろ。」
大切な彼女とのデートに行くため、待ち合わせ場所に向かっている電車の中だ。
国家試験の勉強に明け暮れる中、お互いに惹かれ合い付き合いだしてちょうど一年。一周年を祝おうと、少し遠出をする事になったんだ。
…今、リア充爆発しろとか言ったやつ…、リア充にはリア充なりの苦労があるんだから、そういう発言は駄目だぞ?
と、考えごとをしていると…不意に違和感を感じた。
これは……何かがカチッ、カチッと刻んでいる音?
「…?(どうせ隣の乗客の腕時計だろ?)」
俺はその時気にしてはいなかったが…それが間違いだった。
カチッ…
電車の音とは別になぜか響いてくる音…
カチッ…
そして、刻々と刻まれる音が…
カチッ…
なった瞬間…
電車の前車両から順に爆発していった。
もちろん、俺すらも巻き込んで…。
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「うっ………、げほ、げほ……、爆…は…つ?くそっ……!」
俺はとりあえず周りを見渡してみる…。
瓦礫が乗客を押しつぶしていたり、命からがら助かってるが、血を流している人もいる。
「な…!!ちくしょう!…助けないと!!」
先ほど国家試験を通ったといったが、資格としては医療分野。よって、命が救えるなら救おうとするのは当たり前だ。そこで、起きあがろうとすると…
腹の辺りに激痛が走った。見てみると…。
「……………な………。」
何が起きてるなんて分からないが、俺の腹に、おそらく横倒しになった影響で外れた吊革の架かっている鉄の棒が貫いていた。
幸い、その棒は切り離されているらしく、歩けはするものの、激痛が走り、みたがために痛みが増してきた。
「あ、ああぁぁぁぁぁぁぁぁああぁぁぁぁあ!!!」
痛い、痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!!
それだけが頭を支配する中で…ふと目に入ったのは、座席の隙間に運良く挟まっている少女だった。気絶しているのか、動かない。しかし、俺は知っていた。
「ずっと……あのままじゃ………!」
人間、狭い空間に挟まれ続けると、筋肉などから出てきたカリウム量が増え、外に出た時に高カリウムとなり、最悪死に至る『挫滅症候群(クラッシュシンドローム)』という病気が在ることを。
(俺より若い命……まだ、人生を謳歌してない子供が死ぬのは…だめだ!)
俺はただ、その子を助けるためだけに痛みを耐え、歩み寄った。そして…激痛が走り、血が大量に流れる最中、座席一つ、またひとつとどかしていき、女の子が出れるだけの隙間を開けた。そこで、タイミング良く女の子が目を開けた。
「え……?……あ!!」
「ど…うや…ら、無事……らし……い、ね?」
あぁ、夢中になってやってたから、血を流しすぎたのをすっかり忘れてた…。
それを認識した瞬間、頭がぼーっとして、体に力が入らなくなっていった。そして、思い浮かんでくるのは、つらく、不条理で理不尽な目に逢いつつ、幸せだと思えた時間…。
(これが……走馬燈……、あはは、これで…終わり……かな?)
女の子が必死に何かを言っているが、何も聞こえない。さらに、だんだん寒くなってきた…。
あれ?俺、寒さには強いはずなんだけどな…。
でも、心残りは……彼女のこと。
すまない…。デート、行けないや…。最初で、最期と思えた愛しいひと…。本当に、ごめんな。
「やっ……ぱり、世の、中なんて……理不尽だ……な。最期…ま…で……、頼…り、に、ならない…彼氏で…すまない……。…………………………………………。」
そこで、俺、来栖 海斗(くるす かいと)の命は尽きてしまった…
んだけど……。
「……………はぇ?」
なぜかどこもかしこも真っ白な空間で、目を覚ました。
‥何が起きてるんだ?