俺はソフィとイルミカと共にひとつ屋根の下で暮らしている。二人は自分のペットなので当たり前の話なのだが。
共同生活をする上で大切なことといえば家事の分担だ。人が増える分家事の負担も増えていく。だからこそお互いに協力しあい負担を減らすことが大切なのだ。
「シュトさーん、お洗濯物取りに来てくれるー?」
とは言ったものの、現在我が家の家事の大部分はソフィが一人で行っている。
最初は分担を申し出たのだが、私はペットなのだから家事も私の仕事だと言われ断られてしまった。
それと家事をすること自体が好きだとも言っていた。
世話好きな彼女らしい。
「はいこれ、あなたの分。面倒くさがらずにちゃんとタンスに仕舞うのよ?」
ソフィは実に楽しそうに家事をしている。そんなに奉仕できることが嬉しいのだろうか。
もちろん自分も手伝えるところは積極的に手伝っている。
ソフィに甘えっきりという訳にはいかないだろう。
最低限やることはしっかりとやるべきだ。
という訳で俺は今、洗濯物を仕舞う手伝いをしているのだ。
「もうこれであなたの分のお洗濯物は終わりね。いつもありがとう♪」
いやいやお礼を言うのはこっちの方である。
「ふふっどういたしまして♪
……あっそうそう、ちょっと頼み事しても良い?」
もちろん、何でも言ってほしい。
「それじゃあこのお洗濯物、部屋にいるイルちゃんに渡してきて欲しいの……イルちゃん何度呼んでも来ないのよ……戻るついでにやってくれる?」
そう言ってきちんと畳まれたイルミカの洋服のたばを指差すソフィ。
お安い御用だ、と言い洋服のたばを受け取る。
「ありがとう♪」
嬉しそうに笑うソフィに引き受けて良かったなと思いながら、洗濯物を落とさないよう気を付けてイルミカの自室に向かう。
慎重に歩を進め、無事イルミカの部屋の前に到着する。
洗濯物で手が塞がっているので、イルミカに開けてもらうため扉を叩く。
コンコン。
…………。
……コンコンッ!
…………。
……ドンドンッ!
軽く叩いて呼んでも出てこないので強めに叩くと、ゴソゴソと部屋の中から音が聞こえイルミカが顔を出す。
「うーん……? 何だね騒々しい……折角良い夢を見ていたところなのに……」
代わりに洗濯物を持ってきてやったというのに本人はスヤスヤ眠っていたうえに文句まで言ってきた。本当に良いご身分である。
「……えっ? ……あっ……ああ、すまない。洗濯物を運んできてくれたのか……本当にすまなかったな……ありがとうシュト」
分かれば良いのだ。
「ソフィにも後で謝っておかなければいけないね……。
洗濯物はその持っているので全部かな?」
おそらくそうだろう。まあ念の為ソフィに確認しに行けばいいんじゃないか?
「ん……そうするよ。それじゃあ洗濯物は仕舞っておくよ」
そう言ってイルミカが手を差し出したので洗濯物を受け渡す。
「わざわざありがとうシュト」
洗濯物を受け取り部屋に戻っていくイルミカに、どういたしましてと言って帰ろうとした……が、床に一つ白い布が落ちていることに気付きそれを取り止める。
イルミカに渡す前には落ちていなかったので、渡した時に落ちたものだろうと考え、それを広い上げイルミカに声をかける。
「……うん? ああ、取りこぼしてしまったのかな……? 分かった今取りにいく……よ……」
そう言ってイルミカは振り返ったのだが、なぜか持っていた白い布を見ると動きが固まった。
一体どうしたのだろうと思い、視線を自分の持っているその白い布に落とす。
……あれ、この白い布……よく見たらパン「うわあああ!! それを返せぇええ!!」
ドゴォ
血相を変えて叫びながら突っ込んできたイルミカは、強烈な拳を俺の腹に打ち込みその白い布を強奪した。
……流石に腹パンはあんまりじゃないか……と膝から崩れ落ちながら呟く。
だがしかし、イルミカのその真っ赤になった耳には届かず問答無用で扉を勢いよく閉められた。
「……どうかしたの?」
ソフィが心配そうな顔を覗かせたので、いやどうってことはない……と言いながら立ち上がる。
まったく、とんだ災難だ……下着を異性に見られるのが恥ずかしいのは分かるが、それにしたってオーバーすぎないだろうか……。
トボトボと自室まで歩きながら一人そう思うのであった。
――――――
ああああぁぁああ…………見られた……ボクの……シュトに見られちゃった……。
……よりにもよってこれ……白くてフリフリの、お気に入りのかわいいやつだし……。
ううぅ……シュトに知られちゃった……。ボクがこんなの、履いて……うあぁ……。
…………。
…………シュト、……どう思った……かな……?
こんなの、……ボクのイメージと……合わないし……。
……やっぱり、こんなの……似合わない……よね……。
ううぅ……本当に恥ずかしい……これから一体どんな顔してシュトに会えばいいんだ……。
うぅ……。
…………もっかい寝よ……。
ちなみにあまり家事を手伝わないイルミカは知らないのだが、シュトはソフィの手伝いでよく洗濯をしていた。
なので実はイルミカのは割と見慣れていたりするのだが……その事実をイルミカが知るのはまだ少し先の話なのであった。
「へぇ……そんなことがあったのね……イルちゃんかわいい……!!
……あっそうだ! 代わりにお姉ちゃんのパンツ見せてあげる!!
……えっ別に要らない? そう…………」