最近、私たちの仲間になったアンドロイドのコトちゃん。
私のことをお姉様と呼んで慕ってくれる、素直でかわいいかわいい妹ちゃん……!
……まあ、私よりコトちゃんの方が背が高いんだけどね。
でもそんなの関係ないわ! だってお姉様お姉様って私のこと慕ってくれてるんだもの! あーもうかわいいなあー!
「お姉様、それは今は何をなさっているのでしょうか? ワタシにできることがあれば命令して頂けると」
お洗濯物を干していたワタシに首を少し傾け問いかけるコトちゃん。その仕草、かわいすぎる……!
コトちゃんは生まれたばかりであまり物事を知らない。だから色々なことを私たちに聞いて知識を蓄えているらしい……勉強熱心でとっても偉い……かわいい……。
「いえ、当然のことです。ワタシはもっとお姉様やマスターたちの役に立ちたいので」
いい子……本当にいい子ね……。
もちろん、そんなコトちゃんを応援したい私は、お洗濯についてコトちゃんに身振り手振りを混じえて丁寧に教える。
興味深そうに私の手の動きを見つめるコトちゃんがソウ・キューッ!
「……理解。お洗濯、記録しました。
お洗濯、ワタシにも手伝わせて頂けますか? 手順は記録したので役に立てると思われます」
そう言って眩しい顔で私の目を見つめるコトちゃん。
どうやら新しく知ったことをすぐにでも使いたくてうずうずしてるみたいね……うんうん、分かるなあ……。
じゃあ早速手伝って貰おうかな?
「了解。お洗濯、完璧にこなして見せます」
ふふっ、何とも頼もしい言葉……とっても助かっちゃうわ。
――――――
「かなり進みましたねお姉様。……しかし、やはり量が多いですね」
うちも結構大所帯になってきたし、数日間旅をし続けることも多いからねえ……お洗濯物は溜まる一方なのよねえ……。
でも、コトちゃんがたくさん手伝ってくれたお陰でとっても早く終われそうよ! ホントに助かるわ!
「……お姉様に褒めて貰いました……何だかとても胸の辺りが温かくなります」
あーもう、その反応もとってもかわいいわね!
ささ、じゃんじゃんやってとっとと終わらせちゃいましょうか!
「はい、お姉様……!
……所で、このお洗濯物はどうすれば良いのでしょうか……? ワタシにとって初めての形状の物なので手順が不明です」
そう言ってコトちゃんが私の前に差し出したのはフリフリのレースが付いたパンツだった。
……ってそれ、私のパンツね。やんっ、コトちゃんのえっちぃ♡
「……すみません、ワタシ何かいけないことをしてしまったのでしょうか……? 申し訳ございません、お姉様……」
即座に深々と謝るコトちゃん……ってゴメンゴメン! 違うから、冗談だから大丈夫よコトちゃん! お姉ちゃん、ちょっとからかいたくなっちゃっただけだから全然気にしなくていいのよ! むしろウェルカムだから!
「了解。それなら安心しました……所で、えっちとは一体……?」
それも何でも無いから! いい!?
……無垢なコトちゃんを安易に汚しちゃいけないわ……気を付けよう……。
「了解。それで、これはどのような手順でやれば良いので?」
それはこれに挟んでおけば大丈夫よ! 多分こんな形のは他にもあるだろうから、それもここに挟んじゃって!
「記録完了。ありがとうございますお姉様」
いえいえ、どういたしまして♪
……それにしても、家事をするコトちゃんってなんだかとっても似合ってるわよねえ……。
……やっぱりアレかしら……コトちゃんの格好が、メイドさんみたいだからかしら……。
「メイド……さん……?」
そう、メイドさん。
うちではまだ雇ってないけど、家のお仕事やお客さんの案内とかをしてくれる女の人のことね。
エプロンをして頭にフリフリのを付けて、おかえりなさいませご主人様! もえもえキュンっ! て感じよ!
「もえもえ……キュン……」
コトちゃんはエプロンに頭のフリフリが付いてるからメイドさんみたいなのよねえ……まあそれ以外はメイド服じゃないし、別にコトちゃん自体もメイドさんって感じじゃないんだけどね。
「なるほど、ワタシの服装に類似性があると……興味深いですね。今度本で調べてみます」
どこまでも勉強熱心で、コトちゃんはとっても偉くて凄いわね……!
……でもまあ、無理にメイドさんになる必要は無いのよ……?
ありのままのコトちゃんがかわいいんだから!
「了解。
……お姉様、これが最後のお洗濯物です」
あら、もう終わっちゃったの?
ホントにとっても早く終わっちゃった……!
すっごくすっごく助かったわコトちゃん! ありがとうね!
「お役に立てて嬉しいです。それと、こちらこそありがとうございます。色々教えて下さり」
ふふっ、どういたしまして♪
さ、これが終わったらお茶にしましょ! 美味しいお菓子があるから二人で食べちゃいましょ♪
「良いのでしょうか?」
テキパキとお洗濯物を干しながらそう聞いてくるコトちゃん。
もちろんよ! 頑張ったコトちゃんへのご褒美よ!
「ありがとうございますお姉様……!」
後片付けを終えて家の中に戻る私とコトちゃん。
そうして私たちは、優雅な午後のティータイムに花を咲かせるのだった。
――――――
その数日後メイドさんを本で勉強したコトちゃんは、シュトさんをマスター呼びからご主人様呼びに変え、見様見真似で作った料理を振る舞い――シュトさんを撃沈させた……。
……うん、コトちゃん料理スキル覚えてないもんね、仕方ないわよ……! ……私もスキル覚えてないから料理は出来ないし。
コトちゃん、ドンマイ!
「お姉様、ご主人様が倒れてしまったのですが……美味しすぎたってことなのでしょうか……?」
……うん、多分そうだと思うわ。きっとそう。大体そう。
……あっでも、いつもシュトさんに倒られては困るから、お料理はまた今度にしようね?
「了解。お姉様の指示に従います」
……所でコトちゃん、シュトさんのことはご主人様呼びに変えたけど……私のことはお姉様呼びのままなの? お嬢様とかって呼ばれたいなあ……。
「…………お姉様を……お嬢様……と……?」
何故かそれを聞いた瞬間動きを止め表情を固めるコトちゃん。
……えっ、そんな衝撃受けることだった……?
「…………りょ、……了解……。お姉さ……おじょ……さまの指示に……従い……ま……従いま……ま……ま……おじょうさ……おねえさ……おじょ……ま……おねえさ……ま……」
えっちょっと大丈夫……!?
「――エラーエラー重大なエラーが発生しました。再起動を行います。エラーエラー再起動を行います」
――どうやらコトちゃんは、私の言うことは絶対というルールと、お姉様とどうしても呼びたいという想いの板挟みになった結果エラーを起こしてしまったらしい。
その後、再起動をしたコトちゃんは、二度とメイドさんのようなことはしないと誓い、シュトさんの呼び名は再びマスターになったのだった。
……そんなにも私のことをお姉様って呼びたかったのね……何だか凄く嬉しいわ……♪
状況を飲み込めずまたいつ料理が出されるのかとビクビクし続けるシュトさんを見ながら、自然と頬を緩ませるのだった。