フリーズから全員が復活してしばらく今度はノックに移る。セカンド、ショート、サードの守備を経て外野に移動する。
「行くよー!」
その掛け声からノックが始まるとキャプテンの岡田さんの次で待機すると平凡なフライを難なくキャッチする。そして、何球かの平凡なヒットからバックホームの練習をする。そのうちの一球が綺麗に返球が決まると、岡田さんに話しかけてきた。
「西川尚翔・・・・・・だから尚翔でいいな。尚翔、中学の時はレギュラーだったか?」
「・・・・・・いえ、代走と守備固めでの出場が大半でスタメンに入ったのはせいぜい10試合程です」
「そうか・・・・・・それは勿体無い。かなりの逸材なのにな。野球は楽しいか?」
そうこちらに尋ねながら岡田さんはフライをキャッチしホームに送球する。
「!・・・・・・今はあまり」
「尚翔みたいなプレイスタイルなら、多分大事な場面でエラーをした。とかじゃないのか?」
「!・・・・・・すごいですね。よく当たってますよ。体力の限界のピッチャーを故障寸前まで投げさせたんですよ、自分のミスでね」
「つまり責任を感じているんだな・・・・・・・・・・・・尚翔は盗塁は得意か?」
「?一応、盗塁なら自信ありますけど・・・・・・」
「この練習の後、シートピッチを練習するんだがランナーをやらないか?」
「構いませんが、なんでですか?」
「さっき尚翔が打撃練習をしている時に球姫から尚翔の昔のことを聞いたんだ。尚翔くんは野球を本当に辞めたがっているのか分からない、ってな」
「だったらなんで盗塁勝負なんて・・・・・・」
「尚翔、こういう条件はどうだ?球姫が尚翔の盗塁を阻止出来たら、ウチの野球部に入部する。尚翔の盗塁が成功したら好きにすればいいさ」
「・・・・・・分かりました」
その条件を呑み、外野ノックが終わるともう一度、入念に体をほぐし準備運動をする。肉離れが起きないことを確認して、一塁ベースに入る。
「・・・・・・・・・・・・」
無言で一塁上にいると先に準備していた投手の武田さん、捕手の球姫と一塁手の中村さん、二遊間の藤田さん、川﨑さんが入る。一応、可能性は低いが送球がそれたことを考えてセンターにも岡田さんが入る。バッターは大村さん、理由はバットがボールに当たらないから、らしい。こうして一打席勝負(盗塁)が始まった。
「プレイボール!」
マネージャーの芳乃さんがプレイボールを叫ぶ。全員の中に緊張感が漂う。この異様な光景にギャラリーも増えだした。ピッチャーの武田さんがどのぐらいクイックモーションが速いのか確認するため、牽制してくるまで走るつもりはない。最初の一球は普通の球速のストレートをアウトハイにゾーンに入れてくる。どうやら球姫がこちらが一球目から走る気は無いのでどうやらカウントをひとつ取りに来たようだ。クイックモーションも特別速くもなく遅くもない感じだ。これなら外されない限り、走れそうだ。続いての球もナックルカーブのような軌道の通称「あの球」を内角低めに入れてくる。バッターの大村さんはこの球をスイングし、カウントノーボールツーストライク。カウント的にはこちらが圧倒的に不利だが、こちらには謎の自信があったので余裕で大きめのリードを取る。そして牽制を一球挟んで、次の一球が投げるためモーションに入った途端、スタートを切る。しかし、バッテリーはそれを予測していたかのように外に外す。その動きを横目で見て、二塁ベースを追い越すつもりぐらいで更に加速する。球姫は握り直すような素振りもなく、全力で二塁に向かって矢のような送球をする。こちらもそれに負けじと鋭く滑り込む。セカンドの藤田さんが送球をキャッチし、こちらにグラブを差し込もうとする。土煙が立ち辺りが隠される。
「どう!」
藤田さんは辛そうな顔している。塁審を務める藤原先輩が土煙が晴れるのを待って判定を叫ぶ。
「セーフ!」
藤田さんはタイミング的に恐らくアウトだった。だがセカンドの藤田さんが俺のスライディングにグラブを弾かれボールをこぼしてしまったのだ。これで俺は野球部に入ることもない。だが、次の瞬間こう言葉を発していた。
「・・・・・・アウト」
「え?」
その一言にベースの周りに集まった部員は驚く。
「タイミング的には完全にアウト、送球も完璧。今のタッチは俺が飛ばし過ぎだったのが原因だ。これは盗塁としては完全に失敗してる。俺の負けだ。だから・・・・・・」
球姫は少し戸惑った後、何かに気がついたように満面の笑みを見せながらこちらを見る。
「今日からよろしくお願いします!」
「こちらこそ!」
次回辺りからリクエストキャラを機会を見て投入したいと考えています。乞うご期待!ちなみに夏大会の前には入れる予定です。
主人公のベストな打順は?
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