新越谷の守備職人   作:レオパルト

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お久しぶりです。2000文字ぐらい書いて別作品を書き始めたので遅れました。


練習試合 柳大川越戦

練習試合当日

 

「あれは・・・・・・左投げのサイドスロー・・・・・・」

 

相手の先発はどうやら速球派右腕の朝倉ではなく、事前情報の少ない変則左腕の大野のようだ。

 

「背番号1番だから大野か」

 

相手のベンチを眺めていると芳乃さんが全員を集める。

 

「今日は初めての対外試合だから色んなことを試すよ〜!まずは打順だね!1番希ちゃん!2番菫ちゃん!3番球姫ちゃん!4番キャプテン!5番稜ちゃん!6番理沙先輩!7番ヨミちゃん!8番白菊ちゃん!最後、9番息吹ちゃん!」

 

この発表に各々が喜びの感情を表す。球姫は一度こちらを振り向いて怪訝な顔で俺を見つめていたが武田さんが抱き着いて来てすぐに、対応に追われていた。すると今度はキャプテンがこちらに話しかけてきた。

 

「なぁ尚翔、良かったのか?昨日はああ言ったけどピッチャーの浩未と割と戦力の整っている、ファースト、サードがポジションの澪はまだベンチなのはわかるけど尚翔の実力なら内野は厳しくても外野ならスタメンに入れたのに」

 

「キャプテン、大丈夫です。野球に対する情熱は戻ってもエラーに対する恐怖はまだ残ってます。だから守備で俺を使うのは難ありですよ。それに代打の切り札になるのもアリかなって思っているので」

 

「そうか・・・・・・」

 

「キャプテンこそ四番じゃないですか。信頼してますよ」

 

そう言ってキャプテンはスタメンの練習の輪に戻っていった。しばらくしてウグイス嬢が試合開始のアナウンスをする。

 

『ただ今から、新越谷高校対柳川大学付属川越高校の試合を開始します。攻めます、新越谷高校のバッターは一番ファースト、中村さん』

 

「プレイボール!」

 

審判が腕を上げプレイボールを宣告する。それと同時に相手の先発ピッチャーの大野さんが投球モーションに入る。投じた一球は甘めのコースに入り安打製造機型の中村さんがそれを逃す訳もなく、一塁線を破るツーベースヒットになる。そこから二番藤田さんの犠牲フライに球姫に対してのデッドボールを出しランナー一塁。この気に乗じて新越谷が一気に畳み掛け二点を先制。二回裏に一点返されるがそこから両チーム、スコアボードにはゼロ行進が続く。しかしなかなか、自分の出番は回ってこない。そうして試合を眺めていると五回裏、その前の球までまで全く打ち気を感じられなかった大野さんが覚醒したかのようにスリーランホームランを放った。チーム全員が唖然としている中、大野さんは三塁を回る手前で勝ち投手とかエースとか叫んでいた。

 

「・・・・・・・・・・・・芳乃さん、今日の朝倉の当番予定は?」

 

「えーと、ベンチにはさっきいなかったから・・・・・・あ、いるね。もしかしたら投げるかもしれないけど・・・・・・なんで?」

 

「あの背番号1の勝ちを消したいだけだ。ファーストとキャッチャー、ピッチャー以外はできるからあの背番号1が投げてる間に頼む」

 

「うーん・・・・・・分かった!じゃあ次の回からライトに入って!」

 

「よし、コントロール型ピッチャーは丁度いい練習になる!」

 

そこに守備が終わってスタメンのメンバーが続々とベンチに戻ってくる。そこで芳乃さんは交代を告げる。

 

「よーし!白菊ちゃんお疲れ様!この回の先頭は尚翔くんを代打に使うよー!」

 

この言葉に大村さんは若干ショック受けたようだが新井さんが宥めて、こっちにエールを送ってくれた。

 

「尚翔さん!頑張ってください!私の代わりに存分に暴れてきてください!」

 

「一発打ってくるか!」

 

そう言ってしっかりとバットを握り二回ほど素振りし一礼し、打席に入る。相手のベンチは少し騒がしい。

 

 

side out

 

side大野彩優美

 

大野彩優美は焦っていた。ベンチに朝倉が現れ、ずっと慕ってくれていた大島まで今や朝倉、朝倉と叫んでいる。ここのままでは変えられてしまう。そう焦ると更に調子が狂う。さっきの回も何とか抑えることができたが決して安定はしていない。今の回の先頭打者は西川とかいう一年の男子だった。

 

(なんで、男がこんなとこにいるのよ!さっさとねじ伏せてあの一番と勝負しないと!)

 

一球目はバントの構えをし、咄嗟に外して相手もバットを引く。二球目はバスター打法を試みてくる。しかし、三球目から七球全てカットしてきてカウント、ワンボールツーストライク。この相手だけに八球も投げさせられた。続く九球目、渾身の外角低めのストレートを投げ込む。だが今度もバットに当たる音がした。

 

(クソっ!なんで男相手にこんなピッチングしなきゃいけないのよ!朝倉が来なかったら、こんなことには!)

 

しかし、打球はファールゾーンではなく三塁線を破る。レフトが回り込む間にバッターは二塁には進まず、一塁で止まる。

 

(舐めてるの?そんなに足は遅くなさそうだけど、浅井の肩を舐めてるならそこであんたの負けよ!)

 

side out

 

side西川尚翔

 

三塁線を破る安打を放った後、盗塁しようと一塁で止まると大野さんが思い切り睨んできた。それを睨み返すとクイックモーションで投球動作に入る。クイックモーション自体は遅くない、だが早くもない。つまり、帰塁する前提で大きくリードしても牽制でアウトになる確率は低い。そう考えて、かなり大きめのリードをとる。案の定、二回ほど牽制を挟ませてバッターとの勝負の気を散らせる。そして投じた三球目、おそらくキャッチャーの指示で牽制がピタッと止んだのでおそらくキャッチャーで刺すつもりだがなおのこと、こちら有利だ。先程のリードよりも少し大きめのリードをとる。そしてほぼギャンブルスタートのスタートを決める。投球は外角高めにゾーンに入って判定はストライク。キャッチャーの浅井さんも直ぐに二塁に送球する。だが、送球が逸れて追いタッチになりセーフとなる。さすがは強肩を売りにしてるだけはあるキャッチャーで肩の強さは球姫並みかそれ以上、送球が逸れていなければアウトの可能性もあった。三盗を試みる予定だったが、想像以上に肩が強かったので一度控える。そして盗塁を許したところで先発の大野さんが降板、朝倉さんが登板する。

 

side out

 

試合は六回表新越谷高校の攻撃、ノーアウト走者二塁の絶好の同点のチャンスだったが、9番息吹さん、1番中村さんが続けて凡退しツーアウトになる。2番の藤田さんは打球が外野の頭を越えそうになるがセンターに入った大野さんがナイスキャッチをし、スリーアウト。その裏の攻撃を武田さんがしっかり三者凡退に抑えるが、七回裏はクリーンナップからの打順だったが前に飛ばすのが精一杯でキャプテンの当たりが少し惜しかったぐらいで三者凡退、ゲームセット。試合は3対2で柳大川越の勝利。自分の初試合は1打数1安打1盗塁という結果だった。




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主人公のベストな打順は?

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