ポケモンと現実の混ざった世界で   作:チュロッシー

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9.おいでませポケモン図鑑

 

オダマキ博士に手を引かれ走る事5分程。オダマキ博士と俺は、博士の研究所の中で机を挟んで向かい合っていた。

 

「読ませてもらった論文だけど凄い面白かったよ。これから更に検証しなければいけないけど論文内の仮説は辻褄が合っているし、この仮説なら僕の研究の今まで謎だった部分にも対応しているように思う。何よりその歳でこれだけのもの、もう研究と言っていいレベルのものを検証不足といえ完成させるなんて凄い事だよ。」

 

単純にべた褒めされている。

憧れの“博士”に褒められていると言う事に思わずニヤけそうになるものの自制心を総動員して表情筋を制御する。

 

「オダマキ博士にそう言って頂けて嬉しいです。自分もいつか博士の様に研究所を構えて研究者としてポケモン史に貢献したいです。」

 

「タツキ君なら可能だろう。僕にも娘がいるんだ。君より5歳下だが既に将来パパのお手伝いすると言ってくれていて嬉しい限りだよ。」

 

(ハルカ?ちゃんが5歳と言うことは、後5年はホウエンの主人公ことユウキ君はこっちに来ないと考えられるな。)

 

「それにしてもタツキ君はどこから来たんだい?」

 

博士からの質問に5歳の頃からの話を簡単に説明した。

 

「なるほどね。じゃあ君は、今ジム巡りの最中なのか。それにホクリク地方とはまた遠いところから来たんだね。」

 

「まぁ、遠いですがホウエン地方には、1番に来たかったので。」

 

「この地方に何か思い入れでもあるのかい?」

 

と聞かれたので博士に許可を取り、ボールからシャモとフェルを出す。

この子たちをタマゴから孵した事、この子たちが生息する地方を見たいと思った事を話した。

 

「なるほど、たしかに2体ともこのホウエンのポケモンだね。ワカシャモ君、さっきは助けてくれてありがとう。」

 

博士は、先程助けられた事へのお礼をシャモに伝える。

 

「シャモ!」

 

シャモも気にするなと片手を軽く振る。

そんな事をしていると博士は驚くべき事を言い始めた。

 

「そうだ、タツキ君。君は夏休みが終わる前にホクリク地方に帰るんだよね。」

 

「はい。学校もあるのでその予定ですが…。」

 

「ならこれもらってよ。去年のモデルだけど、あちこち色々な地方に行くなら持っておいた方がいいよ。それに君が持っててくれたら僕はこの研究所にいながら色々な地方のポケモンの情報が集まって来るんだ。これがwin-winてやつじゃない?」

 

と言うと赤い電車辞書の様な物を渡してくる。

そう、ポケモンをアニメでもゲームでも知っている人なら誰もが知っているあの機械である。その名もポケモン図鑑である。

もちろんこの世界にもポケモン図鑑は存在しているが超ハイテク機械であり、その所有者は限られている。

基本的には有名な博士達、その博士が認めて所有を許したトレーナー、技術提供元の大企業の社長やらそれに連なる人くらいしか所有者がいないのである。

 

(貰えるのは、素直に嬉しいが…)

 

「博士、とても嬉しいのですがさすがに高価すぎる物ですのでいただけません。」

 

もらえないのは、残念だがこればかりは仕方ない。自分が博士になるまで我慢だな。

と決心してからすぐのこと。うんうん唸っていたオダマキ博士が再起動した。

 

「わかった。ならタツキ君、僕の助手にならない?」

 

「は?」

 

オダマキ博士の突飛な提案に思わず失礼な声が出てしまった。

 

「いやね。君のポケモン達はしっかり鍛えられていたし。これから更に強くなるだろう。それにジム巡りをすると言うことは、このホウエンの中でもいろいろな土地に行くと言う事だ。それは、この研究所にいる僕よりも色々なポケモンに出会うチャンスは多い。違うかい?」

 

「いえ、まぁ違わないでます。」

 

「そうだろ。それに君はホウエン以外の土地にも行くとなればこのホウエンには、生息していないポケモンの情報も僕の所に集まる事になる。そうすれば更に研究が捗ることだろう。ね。もらってよ。」

 

(イラストでは、どこか鈍臭そうなイメージなのになんて強引なんだよ。)

 

「はぁ、わかりました。ご好意に甘えて、ありがたく頂戴します。」

 

俺がそう言うと先程までの真剣な表情を崩し、朗らかに笑いながら

 

「そうか。もらってくれるか。これからよろしく頼むよ。」

 

とニコニコと笑っている。

 

(この博士、狸だ。政治家にもなれんじゃねぇか?)

なんて事を考えているとオダマキ博士は、ニコニコしながら更なる爆弾を放り込んできた。

 

「そうだこの君が書いた論文なんだけど、オーキド博士にも送っておいたから。」

 

と言いながらお茶を飲んでいた。

 

「はぁっ⁈オーキド博士?えっ?」

 

(いや、オーキド博士に?いやいや、意味わからんし、てかいつ?いやこの人行動力ありすぎじゃない?)

 

タツキは、忘れていた。オダマキ博士はフィールドワークでポケモンに襲われるくらいに行動力がある人だと言う事を…

 

「だって、君の論文にはそれだけの価値があるよ。この仮説が証明されれば僕の研究以外にも色々な人の研究が一気に進む可能性だってあるんだよ。そんな物が有ればお互いに報告し合うくらいにみんな繋がりがあるんだよ。」

 

「まぁ、そりゃ俺もいつかオダマキ博士やオーキド博士に認められたいって思ってますよ。あわよくばタマムシ大学の推薦もらえればなぁ、なんて思ってますけど、早すぎませんか⁈」

 

あまりのオダマキ博士の予想の斜め上に突き抜けて行く行動に精神年齢35歳近い自分でも色々本音が漏れてしまう。

 

「おや、それが本性かい?」

 

ニヤニヤしながらオダマキ博士が聞いてくる。

 

「まぁ、素ですかね。オダマキ博士は歳上ですし、博士として社会的地位もあるので色々抑えていただけですよ。」

 

「なるほどね。あの論文を読んで思ったけど、タツキ君は10歳とは思えないほど精神が大人びているね。まぁ、それは良いとしてタマムシ大学に行きたいの?」

 

「そりゃ、行きたいですよ。博士号とりたいですしね。出来れば通信課程ですぐにでも博士号とりたいですよ。」

 

俺の考えを聞いて興味深そうに聞いてくる。

 

「なんでまたすぐに博士号が欲しいんだい。君なら正規で入学しても取れると思うけど。」

 

「だって博士って簡単に言うとポケモンの研究が仕事じゃないですか。だから仕事と称してポケモンと触れ合えるなって、それに俺みたいな子供が論文出すのと子供だけど博士号もってるやつが論文出すのだとやっぱり博士号持ってる方が論文を読んでもらいやすいじゃないですか。

少しでも多くの人にポケモンの事をもっと知ってもらいたいんですよ俺は。」

 

思わず自分の考えをそのまま言ってしまった。

言い終わってヤバイと思い、言い直そうと博士と言おうとしたその時

 

「はか「そうか、なら僕が推薦しよう。」

 

オダマキ博士がまた予想の斜め上をいく事を言い始めた。

 

 

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