ポケモンと現実の混ざった世界で   作:チュロッシー

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10.プレゼント

 

「あの、博士…。」

 

あまりの博士の突飛な提案でタツキの頭は絶賛パニック中である。

 

「僕もタマムシ大学を出ているし、オーキド博士みたいに強い発言権はないけどそれなりの権力は持ってるんだよ。」

 

ニコリと人の良さそうな顔をしながらそう口にするオダマキ博士。

 

(オダマキ博士から権力なんて言葉が聞けるとは…。やっぱりゲームはゲーム、現実は現実なんだな…。)

 

と遠い目をしながら視線を空中に向け、深呼吸をする。

そんなタツキの姿を見てまたオダマキ博士が口を開く。

 

「その為にもオーキド博士の協力は尚必要だと思うよ。この話を更に現実的なものにする為ね。ただ、いくら僕とオーキド博士の推薦があっても君は、まだ10歳であの論文があっても通信課程という所謂特別扱いを受けるには、いろいろと足らない。そこで1番手っ取り早いのは、君が誰が見ても功績とわかる事をしなければいけない。何かわかるかい?」

 

と真剣な目で問いかけてくる。

 

(功績、それも誰が見てもわかるもの…。)

 

少し考え、自分の中の答えを口にする。

 

「リーグチャンピオンですか?」

 

タツキの考えた誰もがわかる功績とは、ポケモンリーグのチャンピオンになる事であった。

ポケモンリーグのチャンピオンとは、地方リーグのトップと言えどポケモン関連の事に関してではあるが、前世で言うところの県知事くらいの権力・発言権があるのだ。

簡単に言ってその地方の紛れもないトップである。

タツキの回答を聞いたオダマキ博士は笑顔で頷いた。

 

「そうだね。今の君にはそれが1番近く、確実な功績だと思うよ。僕も色々とサポートさせてもらうよ。」

 

「でも、そんなにお世話になって良いんでしょうか?」

 

さすがのタツキも色々してもらいすぎなのではないかと思っていた。

が、オダマキ博士は笑いながらあっけらかんと話をする。

 

「何を言ってるんだい? 君は、僕の助手だよ。言わば、僕の部下だ。部下が上司のサポートをする様にその逆もまた然りだと僕は思ってるよ。」

 

オダマキ博士のその言葉を聞きタツキは思わず涙が出てくる。

シャモとフェルが心配そうに寄り添ってくる。

 

「大丈夫。2人ともありがとう。それからオダマキ博士もありがとうございます。こんなに早く夢へのきっかけを掴めるとは思ってもいませんでした。」

 

「気にしなくて良いよ。初対面でこんな事になるとは僕も思っていなかったけど、君には期待しているんだ。まだまだ話したい事もあるし、君を他の職員にも紹介しないとだからね。今日の宿は決まってるのかい?」

 

「ありがとうございます。宿は、ポケモンセンターに泊まろうと思ってました。トレーナーIDで無料なので。」

 

素直にポケモンセンターに泊まろうと思っている事を伝える。

 

「そうかい。なら今日はウチに泊まると良い。」

 

オダマキ博士の提案に驚く

 

「いえ、でもご迷惑じゃ…。」

 

「そんな訳ないだろう。それに新しい助手と親睦を深めたいしね。」

 

「そう言って頂けるのならお言葉に甘えてお邪魔させていただきます。」

 

オダマキ博士の提案は驚くものだったがタツキとしても嬉しいものだった。タツキもオダマキ博士とは、色々と話してみたいと思っていたからだ。

 

(そうだ、話し込んですっかり忘れていた。ポチエナを回復させて実家に送らないとな。研究所に回復装置と転送装置あるかな?)

 

「博士、すみません。この研究所にポケモンの回復装置と転送装置はありますか?」

 

タツキの質問に首を傾げながら何故と聞いてくる。

博士を襲おうとしていたポチエナを回復させ、妹へのプレゼントにしたいと話すと回復装置の所まで案内してくれた。

 

「ここにボールをセットして、このボタンを押すと回復してくれるから。君もここの一員なんだ好きに使ってくれて良いよ。」

 

「すみません。ありがとうございます。とても助かります。」

 

タツキは、回復している間に研究所の中を一通り見せてもらいながら色々な機器の操作方法を教えてもらっていた。

 

 

    *** ***

 

 

 

 

回復が終わりボールを受け取る。

その足で紹介された中庭へと向かう。博士は少し前に研究に戻ると言って部屋から出て行っていた。

 

中庭に出ると色々なポケモンが各々好きに過ごしていた。

大きな木の根本に腰掛け、ポチエナのボールを開ける。

 

「エナ!」

 

元気よくポチエナが出てきてタツキの手に頭を擦り付ける。

先程まで敵意を剥き出しにしていたがゲットしたからなのかポチエナからは敵意のような負の感情は感じられない。

変わらず頭をタツキの手に擦り付けているポチエナと目を合わせ話しだす。

 

「いいか、ポチエナ。これから大事な話がある。」

 

タツキの声を聞き、真剣な顔でタツキの顔を見返すポチエナ。

 

「実は、お前に頼みたいヤツがいるんだ。」

 

ポチエナは何?と言うように首を傾げる。

 

「エナ?」

 

「俺の妹でミオリって言うんだが勝気な癖に危なっかしいヤツでな、色々兄として不安なんだ。そこでお前に俺の妹を守ってほしいんだ。」

 

「エナ!エナエナ!」

 

「やってくれるか?こことは違う遠いところに住んでてお前の仲間にも会えなくなるんだぞ。それでも良いのか?」

 

伺うように聞く。

 

「エナ!」

 

まるで任せろと言わんばかりに胸を張り力強く一鳴きする。

 

「そうか。なら早速妹のところに送るけど大丈夫か?」

 

「エナ!!」

 

力強く鳴いたポチエナをモンスターボールに戻し、転送装置の元へ向かう。

 

転送装置の前に着き、まずは先に連絡してポケモンセンターに行ってもらわないといけないと思い携帯から家に電話をする。

数回のコール音が聞こえ、2日ぶりの母の声が聞こえる。

 

『はい、神原です。』

 

「母さん、タツキ。」

 

『あら、タツキ。ちゃんとご飯食べてるの?』

 

「大丈夫だよ。基本的にIDがあるから宿も食事もタダだから。そんなことよりバッジ1つ獲ったよ。」

 

『そうなの?早いわね。それでも気を抜いちゃダメよ。調子が良いと思う時ほど警戒しないとだからね。』

 

「わかってるよ。それよりミオリいる?いたら代わって欲しいんだけど。」

 

『はいはい、今代わるわね。』

 

『お兄ちゃん、何?』

 

「お前ポケモン欲しいか?」

 

『ポケモン⁈欲しい!くれるの?可愛い子?』

 

ポケモンと聞いて大きな声で捲し立てて来るミオリ。

 

「こっちでゲットしたポケモンをやるよ。ちゃんと可愛いから安心しろ。母さんに代わってくれ。」

 

そう言うと騒ぎながら母に代わってくれた。

 

『良いの?タツキが捕まえたんでしょ?』

 

「良いの、良いの。こっちは、すぐにでも転送出来るから良かったらすぐにポケモンセンターに行って欲しいんだけど。」

 

『わかったわ、すぐに行くわね。ミオリはもう車に乗ったみたい。』

 

「こう言う時は行動が早いからなぁ…。まぁ、センターに着いたら連絡頂戴。じゃあね。」

 

そう言って電話を切ると母からの折り返しを近くの椅子に座って待つ。

待つこと10分、マナーモードにしている携帯が震える。液晶画面を見ると案の定母からの着信だった。

 

『お兄ちゃん着いたよ。いつも行くポケモンセンター。3番の転送装置。』

 

「はいはい。じゃあ、いつもの所の3番な。送るぞ。」

 

そう言うとタツキは、転送装置にポチエナの入ったボールをセットし、装置を操作する。装置が起動しセットしたボールがその姿を消していく。

 

『来た!お兄ちゃんありがとう。早速出してみる。』

 

『きゃーー、可愛いー!!お兄ちゃんありがとう!』

 

「ポチエナって言うポケモンでかみつきポケモン。とりあえずいろんなものに噛みつくから、何か噛んでもいい棒とか用意してやってくれ。可愛がってやれよ。じゃあな。」

 

『ありがとう。大切にするね。バイバイ。』

 

(無事ミオリにポチエナを渡す事に成功したし、次は研究所のメンバーに自己紹介だなお昼の食事前にするって博士が言ってたし、食堂って紹介された部屋に向かうか。)

 

タツキら、一仕事終えた感を出しながら食堂に向かって歩きだす。

 

 

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