ポケモンと現実の混ざった世界で   作:チュロッシー

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18.完成

 

 

論文作成二日目、この日もタツキは資料の選別と論文の肉付けに追われていた。

 

(昨日の今日で実験データが鬼の様に増えてる…。皆さんの頑張りも無駄に出来ないからな。俺も頑張らないと!)

 

気合を入れ直しパソコンに向かうタツキ。

増える実験データから使用するものを選び、論文を作成していく。

食事もデスクから離れなくて良いものにしてもらい、食事の時間を削り論文を仕上げていく。

寝泊りも使用していた部屋のソファーをお借りし移動の時間を短縮する。

 

三日目の夕方、気合で完成させた論文を持って両博士のもとへ向かう。

 

(終わった…。よくよく考えると三日で論文書くって無理あり過ぎるだろ。明日は、キンセツまで行ってそこで休もう。)

 

「博士、失礼します。」

 

博士の部屋の扉をノックしながら、そう声をかける。

 

「タツキ君か、どうぞ。」

 

ドアを開けると両博士が資料を片付けている所だった。

 

「なんとか書き上げる事が出来ました。」

 

そう言い、オダマキ博士へ論文を手渡す。

 

「すみません、オーキド博士。先に読ませて頂いてよろしいでしょうか?」

 

「構わんよ。ここは君の研究所じゃ、遠慮する事はない。」

 

「すみません。ありがとうございます。」

 

とオーキド博士へ感謝を述べるとオダマキ博士は視線を論文へと落とした。

オダマキ博士が論文を読んでいる間にオーキド博士が声をかけてくる。

 

「よく頑張ったの。」

 

「いえ、皆さんの協力があっての事ですので。自分はただ考えを文字にしただけですので。」

 

とオーキド博士と他愛のない会話をしていると

 

「タツキ君。素晴らしい出来だよ。毒状態の新たな可能性やポケモン達との信頼関係についてとてもわかりやすく書いてある。それに信頼関係のところでは微妙に濁す書き方になってて研究意欲をそそられるよ。オーキド博士もどうぞ。」

 

と感想を口にしながらオーキド博士へと論文を手渡し、オーキド博士も真剣な表情で読み始める。

 

興奮もひと段落し始めたオダマキ博士が部屋の片付けを再開しだす。タツキも手伝いながら部屋を2人で片付けていく。

ほとんど部屋の片付けが終わった頃にオーキド博士も論文を読み終わる。

 

「タツキ君。ワシはこの論文の作成に携われた事を嬉しく思っとる。これはまさにこれからの新しい常識になるじゃろう。そんな発見の近くに居れた事、考え方に触れられて研究者としてこれ以上ないと言うくらい幸せな気分じゃ。この前の論文とこの論文はワシとオダマキ君で責任を持って提出しよう。」

 

タツキはその言葉を聞き頭を下げ、一つのお願いを口にする。

 

「実は、論文の著者として名前を公にしたくないんです。もちろん学会などでは大丈夫ですが、その他の方々にはまだ知られたくなくて。」

 

そのお願いを聞きオーキド博士も頷く。

 

「そうじゃな。確かにこれだけの内容じゃとマスコミ連中も騒ぎ立てる筈じゃ。さらに著者が、10歳の子供とくれば尚更じゃな。その為には、タツキ君を守る為にも学会に著者の情報を口外しない事、無闇に詮索しない事を言い含めておくかの。そこら辺は、ワシに任せなさい。」

 

タツキは再度お礼を述べ頭を下げる。

 

「じゃあ、今日はこれくらいにして広間に行きましょうか。」

 

と広間へ向かうオダマキ博士。その後を着いていくと研究所のメンバーが揃っており、オダマキ夫人にハルカちゃんまでいる。

テーブルには色とりどりの料理が所狭しと並んでおり、ドリンク類も多くの種類が準備されていた。

 

「論文完成パーティーだよ。この三日間の健闘を祝して騒ごうじゃないか。」

 

笑顔でそう口にするオダマキ博士。他のメンバーもそれぞれ好きな物を食べ、飲みながら三日間の苦労を笑いながら話していた。

 

 

(こんなポッと出の俺の手伝いまでしてくれて、本当に感謝しかないな。)

 

と会場でどんちゃん騒ぎをしている研究者達を見る。

パーティーは夜遅くまで続き、広間でそのまま寝出す者まで出始める始末だった。

タツキは、そもそもアルコールを飲んでない為、オダマキ夫人やハルカちゃんと一緒にオダマキ家で一夜を明かした。

 

 

翌朝、オダマキ研究所に入ると死屍累々と表現してもおかしくないと思う光景が広がっていた。

皆、体は動かしているが動作が遅くまるでゾンビにしか見えない。

 

「オダマキ博士。本当にお世話になりました。」

 

「あぁ、頭が痛い…。タツキ君、もう行くのかい?」

 

二日酔いだろう、顔を真っ青にし頭に手をあてているオダマキ博士。

 

「今日はキンセツまで行き、明日からジム巡りを再開する予定です。」

 

「そうか、気をつけてね。何かあったらいつでも言ってね。」

 

オダマキ博士と話していると

 

「おや、もう行くのかね。」

 

案外平気そうな顔でオーキド博士が奥から出てきた。

 

「オーキド博士は、二日酔い大丈夫なんですか?」

 

タツキも感じていた疑問をオダマキ博士が問いかける。

 

「そんなに飲んどらんしの。途中でお茶に変えとったから大丈夫じゃ。」

 

と二日酔いに注意しセーブしていた様である。

 

「オーキド博士も大変お世話なりました。」

 

「なに、ワシの方こそ勉強になった。有意義な休暇じゃったよ。それから、タマムシ大学の推薦じゃがの。ワシとオダマキ君で必ずもぎ取るつもりじゃ。来年からは小学5年生・タマムシ大学学生の二足の草鞋じゃ、頑張るんじゃぞ。」

 

「はい。ご期待に添える様出来る事を最大限頑張りたいと思います。」

 

「うむ、期待しておるからの。」

 

「はい!それでは皆さん、行ってきます。」

 

研究員達にも挨拶をし、お世話になったオダマキ研究所を離れる。

バスでキンセツまで向かう。

移動中も椅子に背中を預け目を瞑る。

 

車内のアナウンスで目が覚め、外を見るともう少しでカイナシティに到着する頃だった。時間を見れば昼過ぎ。

 

(腹も減ってきたしカイナで一回降りて飯にするか。)

 

そう考えたタツキは、バスを降りて食堂に入る。ポケモン達と少し遅めの昼食を摂り、街を歩いていると博物館が見えて来る。

 

(前回入れなかったし、寄っていくか。)

 

と博物館の方へ歩いていく。

博物館と言うだけあり、大きく綺麗な建物であった。ゲームでは二階建ての建物だったがこちらでの博物館は三階建てらしい。チケットを購入し中に入る。ゆっくりと博物館を見て周るのだった。

 

博物館を堪能したタツキは、キンセツへ向かうバスに揺られていた。

 

今タツキが攻略したジムは、トウカ・カナズミ・ムロ・キンセツの四ヶ所。

次に狙うはフエンジムだが、その前にキバニアを捕まえようと、頭の中で予定を立てていく。そうこうしているうちにバスはキンセツシティへと入って行く。

バスから降りるとポケモンセンターへ向かい部屋を取る。

 

部屋に入り荷物を置く、疲れたと呟きベットに倒れる様に横になる。

 

(あぁー、このままだと確実に寝るな。せめてシャワーだけでも…。)

 

と考えるが疲労から来る強い眠気に耐えられずそのまま寝入ってしまうのであった。

 

 

 

 

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