BBQから二日。
左腕の怪我の事もあり両親付き添い、もとい監視の元ジム巡りの許可がおりた。
ヒマワキシティを目指しミシロタウンを出発する。キンセツシティまではバスでノンストップで移動。
キンセツシティからは、バスと徒歩での移動となる。
途中、いつものようにレベリングと分布調査をしながら進み、無事キバニアをゲット。
ゲットしたキバニアを見て表情を緩めながら
「愛嬌のある顔だよなぁ。」
と呟くと
「「「いや、ないない。」」」
と家族総出で否定される。
この顔が否定されるなんて、世の中歪んでんなぁ。と一般論から著しくズレた事を考えるタツキ。
順調に進んでいくとチルットの群れを見つける。
(こんなとこにチルット?ゲームじゃここらには出なかった筈…。)
タツキは写真に収め先に進もうとするが
「可愛い!!オラあの子ゲットしたい。」
ミオリがチルットに目を奪われ、捕獲したいと言い出す。
タツキは溜め息を吐きながら
「なら、自分で捕まえなよ。ボールやるからさ。」
話ながらミオリにモンスターボールを三つ投げ渡す。
「お願いエナちゃん!」
ミオリの投げたボールからポチエナが飛び出し、チルットを威嚇する。
「エナちゃん、ちょうはつ!」
「チルッ⁈」
うたうを使おうとしたらしいがポチエナのちょうはつの方が早く決まり、チルットはうたえなくなる。
「そのままかみつく!」
チルットは空に逃げて回避し、チャームボイスを放つ。
「避けて!」
「多分、チャームボイスだ。必中技だぞ。」
「絶対当たるの?ズルい!!!」
ミオリは必中と聞き、地団駄を踏む。
チャームボイスがポチエナにヒットしタタラを踏む。
「エナちゃん、こわいかお!」
(こわいかおで素早さを下げた⁈この世界じゃ使われない戦法だぞ⁈)
ミオリは小さな頃からタツキがテレビに向かって指示を出していたのを見ており、その際にタツキからある程度の変化技についての話を聞いていた為、変化技の有用性を知っていた。タツキからポチエナをもらってからは野生のポケモン達と戦ううちに何となくその有用性を理解していたのだ。
チルットはポチエナのこわいかおを見て一瞬動きが止まる。
「エナちゃん、そこの木を使ってジャンプ!おんがえし!」
ポチエナのおんがえしがチルットの急所に当たる。
そのままチルットは地面に落ち、尚も諦めず攻撃しようとしたその時
「行け!モンスターボール!」
ミオリの投げたモンスターボールがチルットに当たり、チルットがボールの中に入る。コロコロと転がるボールを家族皆んなで見つめる。
カチッ!と音がしてボールは動きを止める。
「やったーー!初ゲット!」
「すごいぞミオリ!」
父も娘のバトルを見てテンションが上がったらしい。
ミオリを抱き上げくるくると回る。
「ちょっと!お父さんやめて!」
ミオリの抵抗に慌ててミオリを地面に下ろす。
ミオリはチルットの入ったボールを持ち上げ、チルットをボールから出す。
「チルッ!チル?」
と首を傾げるチルット、元気良さげに鳴いているが先程のバトルの傷も残っている。
「ミオリ、傷薬使ってやりな。」
タツキは自分のバックから傷薬をミオリに渡す。
「ありがとう。お兄ちゃん。チルちゃん、傷薬だよ。」
タツキから受け取った傷薬をチルットにかけてやるミオリ。傷薬のお陰でバトルの傷も大分癒えたように見える。
(それにしてもミオリのやつ、この調子で成長したらそこらのジムリーダーより強くなるぞ。)
タツキはミオリのバトルに将来の可能性を見て、将来の夢が気になった。
「ミオリは、バトルの筋が良い。将来は何になりたいんだ?」
「オラね。お化粧とかで色んな人を綺麗にしたい。」
将来の夢を話すミオリを両親は微笑ましく見つめている。
タツキはタツキでポケモンに結び付け考えていた。
(綺麗にしたい…か。それならこの先にぴったりのヤツがいるじゃないか。)
両親はこの時の事を「タツキが悪者の親玉みたいな顔で笑ってた。」と語っている。
「ミオリ、それならぴったりのヤツがこの先にいる。そいつも捕まえてみな。」
その発言を聞きミオリは勘違いをする。この先に綺麗なポケモンがいると思ったのだ。
「本当?それならオラ頑張って捕まえる。」
そう意気込むミオリを連れ、一家は道を進んでいく。
歩いていると水辺に出た。上流に滝があるのだろう、水の落ちる音が聞こえて来る。
「ここらにいる筈なんだけどなー。」
とタツキが水面を眺める。それに倣いミオリも水面を眺める。
少しの間そうしていると水面からお世辞にも綺麗とは思えないポケモンが顔を出す。
「いた!ミオリ、あいつだ!」
タツキの発言にミオリはタツキの顔をまじまじと見つめる。
「お兄ちゃん、この子?」
疑うようにタツキに聞いてくるミオリ。
「そうそう。この子!」
タツキの返答に
「えぇー。この子綺麗ってより可愛いって感じじゃん。」
ミオリの発言に両親は「「えっ⁈」」と声を出してしまう。
コソコソと夫婦は会話を始める。
「タツキといい、ミオリといいうちの子供達の美的センスは壊滅的じゃないか??」
「どうしてこうなったのかしら…?」
と両親は共に首を傾げるのだった。
水面に顔を出したポケモン、ヒンバスは自らの耳を疑った。
それまでは、汚い、気持ち悪いとしか言われなかった自分の事を目の前の子供は可愛いと言った。
ヒンバスは子供に興味が湧き、恐る恐る近づく。
「きゃー!こっち来たよ。触っていいかな?」
ミオリもヒンバスが近くに来た事で興奮を隠せない。
「いいんじゃないか?ゆっくりと手を出してみな。」
タツキの助言を聞き、ゆっくりと手を差し出しヒンバスの頭に触れる。
「ツルツルしてて冷たくて気持ちいい。」
と嬉しそうに笑うミオリ。
「そうだろう。この子はヒンバスって言うんだ。こんな可愛い子をもっと可愛く、綺麗にしたいと思わないか?」
ヒンバスは驚いた。もう1人いたのだ。自分を可愛いと言う子供が。
ヒンバスは急いで水面に潜り移動する。伝えねば!と
水面に潜ったヒンバスを見てミオリが溜め息を吐く。
「お兄ちゃん、行っちゃったよ…。」
「そんな顔するな。もう少ししたらまた顔を見せてくれるさ。ちょうどお昼も近いし、ここらでご飯にしようと思うけど良い?」
クルッと振り向き両親へお伺いをたてる。
「そうだな。そろそろ昼にするか。オダマキさんがくれた弁当もらあるしな。」
神原一家は近くの木陰で昼食を摂ることにした。
昼食を食べ、食休みとして川に足を入れて涼んでいると何と川から多くのヒンバスが顔を出したのだ。
「きゃー!また来てくれた!今度はいっぱい!!可愛いー!!」
と大量のヒンバスを見てミオリのテンションが一気に上がる。
タツキはヒンバスにポロックをあげながら話しかける。
「良ければ君達、一緒に来ない?今はないけどいつか君達が満足に泳げる池を作るよ。それにもっと可愛くなって世間を驚かせてやろうぜ。」
「狡い!オラとも友達になろ!」
するとヒンバス達はタツキ達の足に群がる。
(これは良いって事かな?)
と持っていたモンスターボールを一匹の頭に当てるとヒンバスはボールに吸い込まれ、転がる事なくカチッ!と音がする。
(こ、これが俗に言う友情ゲットか!)
タツキはゲーム内ではまず見かけない、現実の世界特有の友情ゲットに感極まっていた。
「オラも!」
とミオリもヒンバスの頭にボールを当てる。
こちらも転がる事なくゲットする事が出来た。
最終的にはヒンバスを6匹捕獲する事が出来た。
とりあえず、お互いに最初の一匹を手持ちにし、他のヒンバス達をボックスに預ける。
目的を達成し、一家はまた歩き始める。
途中新入り達のレベリングと捕獲も忘れる事無く進んでいく。
日も暮れかけ、あと少しでヒマワキシティというところでそれは起こった。
「そこの君、良かったらバトルしないかい?(コイツで憂さ晴らしでもするか。)」
ミオリにバトルの申し出があったのだ。これまではリーグ協会のマナー規定からミオリにバトルが申し込まれる事はなかった。
(リーグ協会のマナー規定から外れる行動?)
この世界のポケモンバトルにはマナー規定というものがポケモンリーグ協会で定められており、物凄く簡単に言うと15歳以下のトレーナーに15歳以上のトレーナーが自ら野良バトルを仕掛ける事はマナー違反となる。逆は可。
罰則として1番厳しいものでトレーナーIDの剥奪も考えられる。
タツキは相手を怪しく思い、これからのバトルを携帯で録画する事にした。
バトルが始まる。相手が使ったポケモンはラムパルド、オノノクス、ドサイドン。
この脳筋世界では上位に入る種族値を持つポケモン達だ。
これだけならまだミオリには育成時間がなかったで済んだ。
しかし相手は、口では優しそうな事を言っているがバトルは完全な力押し。レベル差などもあり、ミオリに反撃の余地はなかった。そもそもミオリに反撃させるつもりもなかったと思われる。
(完全にサンドバッグだな。)
とてもバトルとは言えない内容にタツキも不快な思いをする。
「ミオリ、気にするな。って言っても気にすると思うけどさ、何もバトルは力が全てじゃない。俺から見たらお前の指示の方が上手かったぜ。しっかりと力の差を理解して変化技で少しでもその差を埋めようとしてたじゃないか。今のスタイルで良いんだよ。間違ってない。」
タツキはそう言ってミオリの頭を撫でる。
「でも負けちゃったよ。」
「今はな。そりゃ見る限り相手の方がレベルも高かった様だし、何より相手はお前より長くバトルの世界にいるんだぞ。相手は力押し、お前は技で工夫しようとした。土俵が違う。でも同じ土俵でやってもきっとレベルなんかもあって勝つ可能性は低かったと思う。」
「ほら〜、やっぱり負けるんじゃん!」
「だから今はって言っただろ。お前のポケモン達が相手と同じレベル帯だったらお前が勝ってたと思うぞ。お前は俺みたいに細かく戦術やらを研究してないだろ。それでもあそこまで粘れたんだ。お前じゃなくて他の子だったらもっと早く勝負がついてたと思う。ポケモンはレベルが少し違うだけでもそれが大きなアドバンテージになる。今日で良くわかったんじゃないか?確かに好きなポケモンで勝てればそれに越した事はないしその気持ちは大切なものだ。でもな、気持ちだけじゃ勝てなくなるのもポケモンバトルだ。本当に好きなポケモンで勝ちたいならしっかり育てて、その子に合った戦い方をポケモン達と考えないとな。」
「わかった。エナちゃん達を勝たせてあげたい。」
「わかったらよし。ジム巡りが終わったらゆっくり教えてやるよ。」
タツキがミオリを慰めていると
「俺の勝ちだね。君も強くなりたいならそんなポケモンじゃダメだよ。でも君みたいにこわいかおとか、良くわからない技を使うようじゃどんなポケモン使っても勝てないかもね。ヒンバスみたいな汚いポケモン使ってたらダメだよ。」
相手はミオリのポケモンを馬鹿にし今みたいなバトルをしてると勝てないと言い、歩きだす。
これにはタツキもプッツン!とキレてしまったのだ。
タツキは今すぐに相手の胸ぐらを掴んで罵倒したかった。しかし、ここにはミオリや両親がいるためそれが出来ない。
考えたタツキはその場を離れる相手のところへ向かう。
「おにーさん。今度俺ともバトルしてよ。今じゃなくてもいいからさ。」
「ごめんね。約束は出来ないかな。それに君みたいな小さな子とバトルしてもねぇ…。」
断られる事は百も承知。しかしタツキは、先程のミオリとのバトルの一部始終を携帯で動画として保存していた。
ミオリの顔は分からず、相手の顔はしっかりとわかる画角で録画していた。
「これリーグ協会に送っても良いんだけどなぁ。小さな子にバトル仕掛けるわ、相手の事やポケモンを侮辱するわ、さっきのバトルにマナーなんて一つもなかったからね。」
「チッ!クソガキ!やってやるよ!今からすんのかよ?」
「あっ!それが本性ですか⁈まぁ、良いですが。バトルは2時間後にここで!それまでにしっかり回復させてくださいね。負けた言い訳されたくないんで!」
「てめぇもあのガキみたいに泣かしてやるよ!ゴミの敵討ち出来ると良いな!2時間後覚悟しとけ!」
タツキはブチキレそうになるもミオリや両親が近くにいるため、深呼吸をして自分を落ち着かせる。
ミオリはバトルが終わりボロボロと泣き崩れた。
ミオリが泣き止むのを待って一家はヒマワキシティへ向かう。
ポケモンセンターで回復をしてもらい、部屋をとる。タツキはいつも通り1人部屋を希望するが両親に難色を示される。
いつも通りの旅がしたいと押し切り1人部屋を確保。
早い夕食を済ませて、タツキはレベリングをすると外に出る。
(あのクソガキ、ちゃんと来てるだろうな!!)
約束した場所まで戻るとさっきのクソガキ君が逃げずに来ていた。
「俺が勝ったらさっきの動画消してもらうぜ!本気でやってやるからなぁ!」
「出来るならやってみろや!3タテくらわせてやるよ!」
家族がいなくなった事でタツキの口の悪さが大変なことになっていく。
「馬鹿かお前?俺はまだ出た事ねぇが、俺のポケモンはなチャンピオン大会常連のトレーナーも使ってる最先端のポケモンだぜ!負けるわけねぇだろ!チャンピオン大会前に勢い付けてやるよ!」
「知ってるかクソガキ!最先端は更新されるもんだ!それに俺に言わせれば今の力だけのバトルなんざ眼中にねぇんだよ!魅せてやるよ!完成してねぇが、対策しねぇと3タテされる様な戦術の最先端を!」
明らかに相手の方が歳上だがキレているタツキはお構いなしに相手をクソガキと呼ぶ。
「いけ!ラムパルド!」
「いけ!グライオン!」
「はっ!グライオン?口だけかよ!ザコが!」
ボールから出て来たタツキの手持ち達は哀れみの視線を相手に送る。
グライオンの怖さを1番知ってるのは、普段から共に戦う手持ち達であった。
「やりゃ、わかるさ!泣いても許してやんねぇよ!」
「「バトル!」」
「グライオン、みがわり!」
グライオンの身体から光が抜け出し小さなぬいぐるみの様なモノを作り出す。
「みがわり?なんだそりゃ!ぬいぐるみ作っただけかよ!ラムパルド!かわらわり!
ラムパルドが右手を勢いよく振り下ろすが、その攻撃はグライオンではなくぬいぐるみへ炸裂した。しかしぬいぐるみは未だ健在。
「腕に向かってどくどく!」
グライオンはラムパルドの周りを旋回しながらその両腕へしっかりとどくどくを命中させる。
猛毒を浴びたラムパルドは苦しそうに表情が歪む。
「毒だと⁈」
「これくらいで狼狽えるなよ。じしん!」
狼狽え、上手く指示が出さないところにグライオンのじしんが炸裂する。
「くそ!ストーンエッジ!」
ラムパルドの攻撃はまたもやぬいぐるみに向かう。
「なんだよ⁈は⁈」
「バトル中だろーが!じしん!」
再びグライオンのじしんをくらいよろめくラムパルド。
「遅くしろ!どくどく!」
グライオンはその指示のみでラムパルドの足にどくどくを命中させる。
猛毒の痛みでタタラを踏むラムパルド。
その間もグライオンは高速で動き周りラムパルドを撹乱する。
「くそ!しねんのずつき!」
指示を出すものの、ラムパルドは動かずゆっくりと倒れる。
「ほら、ラムパルド戦闘不能だぜ!」
「クソ!戻れ!ラムパルド!次だ、オノノクス!」
「遅くだ!どくどく!」
足元を狙ったグライオンのどくどくを間一髪で交わすオノノクス。
「オノノクス!かみくだく!」
オノノクスはグライオンではなくぬいぐるみに噛み付く。
この攻撃でグライオンのみがわりは耐久値を無くし、崩れ落ちる。
「ようやく、そのぬいぐるみを壊したぜ!そのままグライオンもう一度にかみくだく!」
「まもれ!」
グライオンの前に緑がかった半透明の壁が現れオノノクスの攻撃を防ぐ。
「どくどく!」
技名だけの指示だったが、先程の指示からグライオンはオノノクスの足に向けどくどくを放つ。
接近していた事で交わす事が出来ず、オノノクスは猛毒をくらってしまう。足元から来る猛烈な痛みに思わず膝を着くオノノクス。
「離脱からのみがわり!」
一度目のみがわりで減った体力をポイズンヒールが癒し、またもやぬいぐるみの生成に成功する。
「なんだ、そりゃ⁈卑怯だぞ!正々堂々戦え!」
「は?正々堂々と戦ってますが?みがわりもどくどくもまもるも立派なポケモンの技ですが、もしやお知りにならない?辞書にもしっかり載っているれっきとした技ですが?やはり、クソガキはお勉強が足らないみたいですね。もう一度小学校からやり直した方が良いのでは?「先生!みがわりって何ですか?技なんですか?」「クソガキ君、そんなおバカだからチャンピオン大会にも出れないんですよ!居残りしなさい!」あぁー、クソガキは結局小学校でも居残りですね。すみません。アンタみたいなクソガキが同じクラスにいたら他の子供達に悪影響ですね。保育園からやり直してはどうですか?保育士さん達が優しくポケモンの技について教えてくれると思いますよ。これでアンタみたいなクソガキもチャンピオン大会に出られますね。おめでとーございます。パチパチパチ。」
「こんのクソがぁーー!オノノクス!げきりん!」
「クソガキ君のオノノクスはお人形遊びに夢中ですね。グライオン。じしん。」
じしんはげきりんで暴れ回っていたオノノクスにクリンヒット。
足元からの猛烈な痛みもあり、オノノクスは地面に倒れてしまう。
「立て!オノノクス!」
トレーナーから立てと言われるもげきりんを使用した事で混乱しているのに加え、足の痛みもありなかなか立ち上がれない。
「毒塗れに!」
タツキの指示でグライオンはオノノクスの頭から猛毒を浴びせる。オノノクスは全身を猛毒に侵され、体色が紫へと変化している。
オノノクスの混乱は未だ治らず、トレーナーの指示を無視し自らを傷つけていく。
「終わらせろ。」
タツキの指示の元、グライオンは混乱し自らを傷付けるオノノクスに渾身のじしんを放つ。
攻撃、猛毒と自傷によって減った体力で耐えられる筈もなくオノノクスは倒れる。
「クソクソクソ!いけ!ドサイドン!」
「全身にどくどく!」
ドサイドンの素早さではグライオンの素早さに勝てず頭から猛毒を浴びてしまう。
「くそ!毒ばかり卑怯だぞ!」
「だから、アンタはクソなんだよ!世界のどこでも毒状態にしちゃいけませんなんて言われてねぇよ!そうさせねぇ様にトレーナーが指示を出してポケモンのサポートをすんだよ!自分が勝ってる時はなんでもありで負けてると文句付けんのか?本物のガキだな!そんなんじゃ一生チャンピオン大会出れねぇよ!ポケモンバトル舐めんじゃねぇぞ!」
「クッ!ストーンエッジ!」
みがわりがある為、ドサイドンの攻撃はぬいぐるみに向かっていく。
オノノクスのげきりんとドサイドンのストーンエッジでみがわりが壊れる。
「チャンスだ!畳み掛けろ!れいとうパンチ!」
「躱せ!」
持ち前の素早さでドサイドンを翻弄するグライオン。
負けじと全身の痛みに耐え凍った拳でラッシュをかけるドサイドン。
運悪く踏ん張りが利かなくなったドサイドンの拳がグライオンの予想と違う軌道で放たれる。
僅かに掠っただけだったが、そこは攻撃の種族値の高いドサイドン。
トラックに跳ね飛ばされたかの様に飛んでいくグライオン。
何とか体勢を立て直すも左の飛膜が若干凍り付いており、上手く飛べない様である。
「もう一度れいとうパンチ!」
「まもってみがわり!」
半透明の盾が凍った拳からグライオンを守る。その間に3体目のぬいぐるみか完成する。
「じしんで揺さぶれ!」
グライオンの毒でフラつく足は激しい揺れに耐えられず、倒れてしまう。
猛毒を浴びてから体を活発に動かした事で余計に毒が体を巡って行く。
毒とじしんのダメージはあるものの何とか立ち上がるドサイドン。
「ドサイドン!きしかいせい!」
きしかいせいは、自分の体力が少なければ少ない程に威力の出る技である。今のドサイドンが使えばどれほどの威力が出るかわからない。
しかしドサイドンの攻撃はみがわりで作られたぬいぐるみへと向かう。
一撃でぬいぐるみが崩れ去った事からどれほどの威力があったのかが良くわかるだろう。
肩で息をしているドサイドン。
辺りを見回すがグライオンが見つからない。
「上だ、ドサイドン!」
「じしん!」
グライオンはドサイドンの真上から急降下しじしんを放つ。元々素早さではグライオンに利があり、ドサイドンは猛毒でさらに動きが鈍い。
そんなドサイドンがグライオンに追いつける訳もなく、じしんがドサイドンの体力を削る。
じしんを放ったグライオンはドサイドンから離れ様子を伺う。
全身毒塗れのドサイドンは地面に倒れ、動かない。
「ドサイドン、戦闘不能だな。」
「わかったか!クソガキ!これがポケモンバトルだ!攻撃だけしてれば良いって訳じゃねぇんだよ!」
「うるさい!俺が弱いんじゃねぇ!コイツらが使えねぇポケモンだったんだよ!俺は負けてねぇ!」
「負けたのはポケモンのせいじゃねぇよ!てめぇが勝たせてやれなかったんだ!その小さなオツムで覚えとけ!同じポケモンでもトレーナーが変われば戦い方が変わる!てめぇは、どんなポケモンで戦っても勝てねぇよ!」
「うるさいうるさいうるさい!チャンピオン大会で吠えずらかかせてやるよ!」
と走り去る。
完全に姿が見えなくなるとタツキはグライオンの顔を見て、よくやったと撫でる。それと同時にかいふくのくすりを使う。
バトルを見ていた手持ち組もグライオンに近寄り話をしていた。
キバニアとヒンバスの新入り達はグライオンのバトルを見て力に技で渡り合う、そんなバトルを自分たちも出来る様になりたいと考えるようになる。
「うし、やる事やったし帰るか。てか、やっぱり口悪かったよな?良く考えるとあんなヤツにキレたのは恥ずかしいな。あれだけミオリに言っといてムキになるなんて…。」
キレたせいで精神年齢は40近い筈が、見事に退行してしまった様に感じる。
(めちゃめちゃ、煽ったしなぁ…。ミオリは美容系に進みたいみたいだけどバトルの仕方教えるって言っちゃったしな。チャンピオン大会くらいまで行ける様に教えてやるかな。なんだかんだミオリに泣かれると弱いんだよなぁ。今日のことでバトルを嫌いにならなければいいけど…。)
と自分の普段とのギャップに苦笑いし、これからのミオリのトレーニングメニューを考えながらヒマワキシティへ帰るタツキだった。
ーーー ーーー
シャモ(バシャーモ) レベル64 ♂ かそく
とびひざげり まもる フレアドライブ かえんほうしゃ
フェル(サーナイト) レベル64 ♀ トレース
ムーンフォース めいそう 10まんボルト サイコキネシス
グライオン レベル63 ♂ ポイズンヒール
みがわり まもる どくどく じしん
フライゴン レベル63 ♀ ふゆう
エアスラッシュ だいちのちから 10まんボルト りゅうせいぐん
ボーマンダ レベル62 ♂ いかく
りゅうのまい げきりん ストーンエッジ じしん
キバニア レベル29 ♂ さめはだ
どくどくのキバ かみつく アクアジェット あくのはどう
ヒンバス レベル30 ♀ どんかん
りゅうのはどう ねっとう マッドショット なみのり